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    かけはし2012.年8月27日号

領土ナショナリズム反対!

「竹島・尖閣」領有は侵略の産物だ

今こそ植民地支配を清算し
排外主義宣伝を打ち破ろう

慰安婦問題解決
を訴えた李明博

 二〇〇〇万人を超えるアジア民衆、三一〇万人の日本民衆の悲惨きわまる死をもたらした天皇制日本帝国主義の侵略戦争が敗北に終わった八月一五日。今年の「八・一五」には韓国、中国との「竹島」(独島)、「尖閣諸島」(釣魚諸島)をめぐる紛争の新たな顕在化の中で、排外主義的ナショナリズムと「領土保全=安全保障の危機」キャンペーンが、日本国内であらためて大きくかきたてられた。
 八月一〇日、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は、「竹島」(独島)に韓国大統領として初めて上陸した。イ・ミョンバク大統領は、日本政府が慰安婦問題の解決のための韓国政府の要請を拒否し、「一九六五年の日韓条約で解決済み」との態度を取り続けていることへの批判である、と語った(八月一三日)。さらに八月一四日には「天皇は韓国を訪問したがっているが、独立運動で亡くなった方々を訪ね、心から謝るなら来なさい」との発言も行った(後にこの発言の一部を訂正したが)。
 イ・ミョンバク大統領のこの行動や発言が、どのような思惑から発せられたかにかかわらず、われわれは「慰安婦問題の根本的解決」すなわち日本軍「慰安婦」への謝罪と補償を求める主張が正当なものであり、日本の労働者・市民自身の課題として日本軍「慰安婦」への謝罪・補償を通じて、彼女たちの「正義」を日本政府に求めていかなければならない、と考える。そのことは、イ・ミョンバク大統領による今回の「独島上陸」行動の政治的意図の分析とは相対的には別個に確認するべきことである。

韓国併合と竹島
領有の歴史過程


 「竹島」(独島)が「日本固有の領土」であり、「竹島は韓国によって不法占拠されている」という立場も撤回させなければならない。何よりも、一九〇五年の竹島の「日本領土編入」が、一九〇四年八月の第一次日韓協約、一九〇五年一一月の第二次日韓協約による韓国の「保護国化」を経て、一九一〇年の「韓国併合」に至る日本の朝鮮植民地化のプロセスの不可分の一環であることは、誰にも否定できない歴史的事実だからである。
 ところが、たとえば朝日新聞は「竹島問題、なぜおさまらないの」と題したニュース解説欄(「ニュースがわからん!」八月一六日朝刊)で、「日本は遅くとも江戸初期には領有権を確立したと考えている」との政府見解を無批判に掲載している。しかし江戸時代初期に「竹島」と呼ばれていたのは現在の韓国領鬱陵島なのであり、一六九六年に江戸幕府は朝鮮との交渉の中で鬱陵島が朝鮮領であることを承認し、幕府は鬱陵島への日本人渡航を禁止した。そして当時、鬱陵島への航行の目印として、日本名「松島」と呼ばれていた現在の「竹島」は、絶海の無人島として一九世紀半ばにいたるまで忘れ去られてしまった、というのが事実なのだ。
 竹島の日本領への編入は「無主地先占」を根拠としたもので「歴史的領有」を主張してはいない。
 野田政権は、この「竹島」(独島)へのイ・ミョンバク韓国大統領の「上陸」に抗議して、武藤駐韓日本大使を召還するとともに、五〇年ぶりに竹島の領有権問題を国際司法裁判所(ICJ)に提訴する強硬方針を固めた。さらに安住財務相は「日韓通貨協力」の打ち切りも示唆している。
 しかしこの問題の本質が、日本の朝鮮植民地支配、とりわけ日本軍「従軍慰安婦」への謝罪と補償を実現することであることを明確にしなければならない。「慰安婦」問題の解決をさしおいて、「竹島」(独島)の領有権を主張し、領土主義的ナショナリズムを煽りたてることこそ批判しなければならない。「日本の領土を韓国が不法占拠している」と声高に主張することをやめ、植民地支配の完全な清算への努力を進めることこそが出発点なのである。

日米軍事同盟
の強化と一体


 イ・ミョンバク韓国大統領の「竹島」(独島)上陸に続いて、八月一五日には香港からの抗議船に乗った七人が「尖閣諸島」(釣魚諸島)の魚釣島に上陸し、上陸した香港保釣行動委員会のメンバーと抗議船の乗組員など一四人が沖縄県警と海上保安庁に逮捕され、強制送還されるという事件が発生した。
 われわれは「尖閣諸島」の日本の領有権主張に対して一貫して反対してきた。「尖閣諸島」の日本領有が、一八九四〜九五年の日清戦争による台湾植民地支配と軌を一にしたものであり、それはおよそ国際法的にも正当化されないものだからである。そしていま、石原都知事による「尖閣諸島」の買い取り宣言や、野田政権による「国有化」の検討が、「中国の脅威」に名を借りた、沖縄を拠点とする日米軍事同盟の実戦的強化と一体のものであり、それと連動した排外主義的ナショナリズムのキャンペーンと連動しているからである。
 ところが民主党、自民党から共産党、社民党にいたるまで左右を問わずすべての議会政党、そしてマスメディアが「日本固有の領土」である竹島、尖閣諸島の領有権を毅然とした態度で防衛せよという主張で一致している。野党の側は野田政権の「弱腰外交」を煽りたて、民主党政権が政治能力を喪失し断固とした対応を取れないからこそ、ロシアや韓国や中国の「不当な領土侵犯」に火をつけたと批判し、森本敏防衛相の「イ・ミョンバク大統領の竹島上陸は韓国の内政問題」という言及を取り上げて、野田政権を揺さぶっている。
 そしてメディアでは、あたかも中国の「領土拡張」主義によって「尖閣諸島」で日中両国の軍事衝突が近々発生するというような危機アジりが横行している。そして同時に、この「軍事衝突」の可能性も見据えて、それに備えるために「日米の動的協力」が必要なのだとする主張が前面に押し出され、オスプレイ配備に反対する沖縄・「本土」の世論を抑え込もうという主張も強まろうとしている。

極右勢力の「尖
閣」上陸糾弾

 八月一八日、自民党の山谷えり子参院議員が会長をつとめる「日本の領土を守るために行動する議員連盟」が呼びかけ、自民、民主、きづなの国会議員八人が「尖閣洋上視察」を名目に石垣島から漁船で、尖閣諸島海域に向かった。この漁船には一六人の地方議員と極右のスター・田母神俊雄元航空幕僚長も乗った。同じく宮古島と与那国島から総勢一五〇人が二一隻の船で、尖閣海域に向かい、うち地方議員をふくむ一〇人が、一九日に魚釣島に上陸するという挑発的パフォーマンスを行った。
 極右ナショナリスト・排外主義者たちのデモンストレーションである。国会解散・総選挙を見据えたこうした動きにはっきりと反対しよう。共産党、社民党は「北方諸島・竹島・尖閣諸島」への領土要求に加担してはならない。
 オスプレイ配備に反対する闘いは、「日本の領土が脅かされている」というキャンペーンに明確に反対することによってこそ、真に一貫性を持って繰り広げられることになるのである。「領土」問題を振りかざすことは、民衆間の連帯によって平和を達成しようとする努力を妨げるものでしかない。
 (八月一九日 平井純一)

消費増税法成立を糾弾する

徹底した「弱者切り捨て」税制
生存権と民主主義のため闘おう

低所得者層のみ
に犠牲を強制


 八月一〇日、参院本会議で消費増税関連八法案が民主、自民、公明の三党の賛成で可決成立した。三党合意に基づいて衆院本会議で可決されたものの、「早期解散」の確約を迫る自民党執行部の強硬姿勢で一時は行き詰まり状況を見せていた審議は、野田首相と谷垣自民党総裁の「トップ会談」によって、「近いうち」の解散が「合意」されたことにより、ついに成立した。
 「税と社会保障の一体改革」という名目で打ち出された消費増税法案は、「社会保障改革」に関わる部分については、消費増税とは切り離されて「国民会議」に委ねられることになった。政府案に含まれていた「低所得者対策」(軽減税率や給付措置)は棚上げとなり、高額所得者の所得税最高税率引き上げ、相続税率引き上げも削除された。バブル崩壊・金融危機による金融資本救済のための資金投入が最大の要因であった財政赤字のツケを、低所得者からの税のさらなるむしり取りによって弥縫しようとする徹底的な大衆収奪、所得分配率を低所得者にいっそう不利なものとする「不公正税制」の極致が、今回の消費増税法なのである。
 増税がもたらす労働者・市民への負担は、みずほ総合研究所の計算によれば、年収三〇〇万円未満層で一四万二七六三円の増加、負担率は六・一%であり、年間所得一〇〇〇万円以上の世帯が二・七%であるのに比べて倍以上の比率だ。まさに低所得者層をねらい撃ちにした攻撃であると言わなければならない。

社会保障のため
というウソ暴け

 野田首相は、この法律による増税分はすべて社会保障に使われる、と言っている。しかしそれはとんでもないインチキだ。
 三党合意によって法律に付加された「付則」の2項は次のように述べている。
 「税制の抜本的な改革の実施等により、財政による機動的対応が可能となる中で、我が国の経済の需要と供給の状況、消費税率の引き上げによる経済への影響等を踏まえ、成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分することなど、我が国経済の成長に向けた施策を検討する」。
 実にあからさまな主張ではないか。増税によってできた財政の余裕を、「成長戦略」や「事前防災」「減災」という名目で、資本とりわけゼネコンのための「公共投資」に集中的に振り向けるというのだ。
 すでに「コンクリートから人へ」という二〇〇九年マニフェストを放棄した民主党は、東京外環道、整備新幹線の着工、八ツ場ダム工事の再開を決定しており、自民党は「国土強靭化基本法案」を今国会に提出し、一〇年間で二〇〇兆円もの投資で「防災」や高速道路・新幹線などの公共投資を進める、としている。公明党もまた一〇年間で一〇〇兆円を投資して交通網や津波避難施設・防潮堤などを整備する「防災・減災ニューディール推進基本法案」の国会提出を検討している。
 一方、野田内閣が八月一七日に閣議決定した二〇一三年度予算の概算要求基準では、「生活保護費の見直し」を打ち出して、削減の方向性を明確にしているのだ。大資本のための「公共投資」には大盤振る舞いし、ますます増大する貧困層には「自己責任」「家族責任」を強調して生活保護支出を切り下げ、認定基準を厳しくする。今回の消費増税が徹底した弱者切り捨ての新自由主義戦略に貫かれていることは、ここからも明瞭である。「増税分はすべて社会保障に使われる」という野田の言葉のウソは明らかではないか。
 消費増税については大資本、官僚のイニシアティブで進められ、マスメディアもこぞってエールを送っている。しかし世論調査では、多くの人々はこの消費増税「三党合意」に疑問を投げかけ、反対の意向が日に日に強まっている。「ギリシャのようになってもいいのか」という脅しに、人々は決して屈してはいない。批判・疑問を労働者・民衆自身の運動としてともに作り上げよう。

大資本のための
政治を変えよう


 いま、国会の関心は、国会会期内(九月八日)内の解散・総選挙をめぐる民主党と自民党のせめぎ合いに集中している。ますます「解党」的危機に直面している民主党と、谷垣執行部の求心力の低下に直面している自民党は、消費増税・原発延命・TPP推進、そして日米安保の強化・オスプレイの沖縄配備、そして憲法改悪と「領土」をめぐる排外主義的ナショナリズムにおいて共通の道を歩んでいる。
 この状況に「対抗」するものとして登場しているのが強権主義と新自由主義の権化である橋下・維新の会であることは、今日の資本主義の世界的危機の中で「議会政治システム」が完全に機能不全に陥っていることを端的に示している。橋下・維新の会の政治イデオロギー的本質は、かれらが最も期待を寄せている政治家が、極右改憲派の安倍晋三元首相であることにはっきりと表れている。
 労働者・市民は脱原発の巨大なうねりと、オスプレイ配備に反対する沖縄の人々の反基地闘争の中から、この民主主義の危機に立ち向かう新しい政治の流れを共に作り出していこう。        (純)

 


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