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雇用政策か債務の圧政かの
民衆的選択可能とする提案 |
ポルトガル
二〇一二年七月全国評議会決議
左翼ブロック |
欧州のもう一つの債務危機国であるポルトガルで、当地の反資本主義政党の左翼ブロックが、この債務危機に対する総括的対抗策を明らかにした。過渡的要求を探究する一つの素材として紹介する。(「かけはし」編集部、本文を一部省略)
〈1〉
金融市場による投機に対する欧州の対応に向けた提案は、全国評議会の前回決議の中で明らかにされていた。この提案の中で、債務の部分的共同化の、並びに欧州経済に対する資金供給を確保するための戦略が提出された。左翼ブロックはこれらの指針を維持する。スペインの金融崩壊とイタリアに対する変わることのない脅迫は、次のことを明確に示している。つまり、EUが金融市場から独立した金融メカニズムを必要としていることであり、並びにこのメカニズムが、欧州債券の発行であり、最後の貸し手として欧州国家に資金を供与する実体として欧州中央銀行(ECB)を確保することであることだ。
その上この危機は、欧州指導部の技術的無能力と見境のない市場信仰をあからさまにした。彼らは、ユーロという実体がある中では、われわれが今直面しているような対外不均衡などは決して起きようはずもない、と請け合った。経済がそれを自動的に修正するはず、というのだ。例として、二〇〇〇年にポルトガル中央銀行責任者の地位に就任した際の、ヴィトル・コンスタンチオの声明を取り上げよう。
「国毎の通貨がない以上われわれには、過去そうであったような対外収支の均衡を図るといった問題はもはやない。マクロ経済的な通貨問題や、対外支払い均衡を理由とした引き締め行動の必要もない。ミシシッピー州であれ大通貨圏の他の地域であれ、そこでの対外均衡といったマクロ次元を分析の対象とする者など誰もいない」という言明だ。 このコンスタンチオによる声明は、事実によって今や間違いであることが明らかとなっている。実際、金融問題があり、これらは対外的な脆弱性を生み出し、ポルトガルは今や、IMF、ECB、EUの後見の下にある。
〈2〉
しかしながら、欧州の統治は常に、首尾一貫した欧州規模の解決を拒絶してきた。逆にそれはその延長で、国家財政条約を裁可している。そしてこの条約は、各国予算の選択に関する実効的な支配権をECBと欧州委員会に与えることによって、さらに中核的な国家財政赤字に関する、全体としての欧州においては決して到達できないレベルまでの永続的な制限を前提に、経済循環に対抗する財政政策を禁圧することによって、ユーロ危機に対する権威主義的対応の上に成り立っている。そしてこの裁可には、ポルトガルでは社会党(PS)の支持があり、今やドイツにおいて、社民党(SDP)と緑の党の支持がある。
左翼ブロックはこの条約に反対投票した。そして、この条約は欧州に対する攻撃を示していると考えている。この条約を取り消し、それを雇用に向けた欧州規模の協力メカニズムによって置き換えることに欧州が失敗するならば、EUはさらなる不安定性を宿命付けられる。
〈3〉
経済に資金を供給するという当面の問題がある。そしてポルトガルの対外収支不均衡(二〇一〇―一一年においてその赤字は、GDPの七%だった)という、もっと大きいと言える問題がある。この二つの問題は解決される必要がある。
最初の問題は、ECBからの資金供給に基づき欧州的な範囲の中で解決されなければならない。二番目の問題は、対外収支の赤字を、したがってポルトガル経済の構造的依存性を解消する努力を共にしつつ解決されなければならない。
これは、対外収支赤字の支払い残高を減少させることを目的とした(そのために、GDPを三・五%削減させる目標の下に)、またそれと並んで、支払残高への先の波及を減少させるために債務を帳消しにすることを目的とした(この場合には、最低でもさらにGDPの三・五%の形で)、投資と輸出を推進する予算と財政の政策を要求する。このやり方で、資金供与に対する必要はほとんどゼロにまで削減され、ポルトガルの経済と国家は自律性と決定力を得ることとなるだろう。
〈4〉
そのような趣旨の下に左翼ブロックは、主要な二つの目標をまとめ上げた、債務の圧政と対決する政策を提案する。二つの目標とは以下のものだ。
1)ポルトガルはIMF、ECB、EUとの間で署名したメモランダムを拒絶し、その中で確定された諸条件を取り消さなければならない。
……メモランダムの拒絶は人権の問題となっている。すなわち、IMF、ECB、EU支配の最初の年月(二〇一一―二〇一三年)の終わりにわが社会が抱えることになる一五〇万人の失業者は、二回目の企業救済財政支援以前に、社会からの追放者となっているだろう。
このメモランダムはまた、それが強いる政策がわれわれの国にとってはまことしやかなオルタナティブにもならない以上、拒絶されるべきだ。それが強要する諸条件は、債務をさらに深刻化することに加え、増大する債務の圧力に立ち向かうことをさらに困難にしつつ、失業と不安定雇用を増大させるだろう。私有化は単なる道化芝居にすぎず、公共的諸商品に対する戦略的支配の、つまりは中国企業とアンゴラの企業に対する明け渡しだ。金融市場の法則は人々のくらしを破壊しつつある。
2)ポルトガルは、GDPの六〇%まで債務を削減するためにそれを帳消しにしつつ、債務を再編し、諸条件と返済の行き詰まりを再交渉しなければならない。
二〇一三年には公的債務はGDPの一〇〇%以上となるだろう。ポルトガル経済の未来にとっての安定性を得るためには、七〇〇億ユーロの債務取り消しを確保することが必須だ。このような再編がなければ、経済は破綻し、国は破産に転落するか、その主権を失うだろう。破産の場合債権者は受け取るものが何もないだろうし、労働者を押しつぶす不況をひどくしつつ、経済には資金が流れないだろう。
今年末には公的債務の所在は以下のようになっているだろう。つまり、八六〇億ユーロはIMF、ECB、EUによって保持され(IMFは二一〇億ユーロ、ECBは二五〇億ユーロ、EUは四〇〇億ユーロ)、八三〇億ユーロはポルトガルの法律の下で投資家によって管理され、一〇〇億ユーロは、より不利なものだがイギリスの法律の下で投資家によって管理される、ということだ。この数字が示すことは、以前には金融投資家と国際的な銀行によって管理されていた債務の重要な部分(現在はほぼ半分)が、IMF、ECB、EUによって保持されている、ということだ。
この債務の小さな部分は、直接的にも間接的にも、労働者と納税者によって保持されているが、それは保護されるべきだ。つまり、二〇〇億ユーロより少ない額が貯蓄証書や財務省証書を通してポルトガルの民衆によって保持され、別の労働者年金基金もまたこの債務に、追加的に投資している。
それゆえ債務の削減は以下のように方向付けられるべきだ。
a)IMF、ECB、EUに対する、債務残高五〇%の取り消し、並びにECBが民間銀行に課しているものと同じく、一%までの利子率低減。……
b)私的投資家が保持している債権を、その名目現在価格の五〇%で、将来の成長率に連動させた利子率と二〇二〇年までの猶予期間という条件の下に、三〇年物の財務省証券と交換するための交渉。
c)GDP成長率連動利率プラス貯蓄と国債への資金供給を推進するための上乗せの下で、彼らの債券の額面返済を保証するために、公的社会保障投資基金と他の年金基金との、また貯蓄証書や財務省証書の保有者との交渉。
こうして公的債務は、俸給と年金を削減する代わりに金融資本に損失を強制することをもって、意味のある削減となるだろう。債務の再編は経済の生き残りに向けて決定的であり、それは完全に正当化される。すなわち、過去何十年にわたって、ポルトガルの債務に対する投資の費用効果は、納税者を犠牲にすることで常に保証されてきたのだ。……
ポルトガルは二〇〇二年から二〇一一年の間で、債務返済に六三五〇億ユーロ、加えて利子と手数料の形で四五五億ユーロ支払った。その期間、平均成長率は〇・〇一%だった。雇用と人々の生活を犠牲にし続けることは拒絶されるべき選択肢だ。
選択は、雇用政策か債務の圧政か、にある。
〈5〉
とはいえ、交渉の必要なもう一つの債務がある。それは国内債務であり、より特定すれば、莫大な額の公私連携事業(PPP)だ。左翼ブロックは変わることなくこれらの契約を厳しく批判し、それらは金貸し資本に巨額の利益を差し出し、腐敗と非効率に力を貸しつつ納税者と最終消費者に損害を与える、と示してきた。現時点でこの点は徹底的に証明された。これらの契約は有害であると言明した点で左翼ブロックは正しかった。
これらの契約は、銀行団と契約者の利益を終わりにするよう、リスク(売買の不足のような)を国家に移転する条項を廃止しつつ、彼らの利子をECBが民間銀行に課しているものと同様の価値にまで低減させるために、再交渉されるべきだ。
不正な債務ははっきりと拒絶されなければならない。
ポルトガルは借りてなどいないものを返済してはならない。PPPの理に合わない諸条件、同様に国内金融と国際金融が追求した法外に高い利率、強要された契約上の諸関係、潜水艦購入、また腐敗行為など、それらを起源とする債務はそれゆえ拒否されるべきだ。
〈6〉
最後に左翼ブロックは、貸し出しの統制に向けた国内政策を提案する。これなしには、雇用政策はまったく成功不可能であり、金融市場に対するいかなる対応も実行不可能だ。国内の銀行は三年間一%の利率による流動資産の換金枠という形で五〇〇億ユーロ以上を受け取った。とはいえ彼らは貸し出しを削減し、そうすることで経済を減速させてきた。経済の将来がこのような銀行の選択に依存するとするならば、そこに未来はない。
常軌を逸した循環はこのようにして生み出されてきた。その循環においては、EU諸国に貨幣を貸し出すことができないECBは民間銀行に一%の利率で貸し付け、次にその銀行は彼らの資本を、一〇%の利率でポルトガルの債務証券に投入するか、あるいはポルトガル国家が銀行の基本資本――ほとんどの場合私的株主は、その拠出を拒否している――を回復できるように彼らに貸し付ける。こうしてこの銀行は、公的債務で利益を得る。そして結局は、犠牲を払う者はつねに納税者となる。
この循環は終わりにされなければならない。それゆえ左翼ブロックは、公的銀行部門への投資銀行と商業銀行の包含 を提案する。国家は、いわゆる「ハイブリッド」資本から成る五〇億ユーロ以上の導入を通して、これら二つの銀行由来資本の多数を保持している。納税者がこの資本に今も資金を出しているとしても、銀行をいつでも経済の役に立つように確保し、その活動を経済と雇用の優先性にしたがうよう方向付けることは、ただ公正を確保する問題にすぎない。
この公的銀行サービスは、貸し出しと預金者保護を押し進めるやり方でその活動と品質を組織すべきだろう。その上でそれはまた、商業銀行の活動と歩を並べて、経済を刺激し雇用創出とイノベーションからなる戦略的投資計画に資金を出すための、公的開発銀行を生み出すべきだ。
〈7〉
予算執行の不履行はこれまで、緊縮と不況政策が生み出した損失と愚かさをはっきり見せつけてきた。増税を行った政権はまた、歳入不足を埋め合わせるために、再度増税し犠牲を拡大しようとする同じ政権だ。二つの補助金を廃止した政権は、利子支払いのために俸給と年金を今なお切り下げ続けようとする同じ政権だ。失業と債務の増大は、これらの戦略から帰結した結果であることははっきりしている。これらの政策は回答とはならない。
左翼は今、IMF、ECB、EUの政策並びに緊縮と関係を断つための、そして債務の圧政と対決してわれわれの経済を回復させるための勇気ある政治綱領を要求することを問われている。左翼ブロックは、この意味における回答についての民衆的論争を推進する責任を引き受ける。
(「インターナショナルビューポイント」二〇一二年七月号)
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