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    かけはし2012.年8月13日号

国・東電は被害の責任を取れ

福島県民一三二四人の声がようやく届いた

8.1 三地検が原発事故の告発受理

全国で一万人規模の第二次告訴を

 

【福島】八月一日、福島地検は東京電力福島第一原発事故をめぐり、東電幹部や政府関係者に刑事責任があるとして「福島原発告訴団」が提出した業務上過失致死傷容疑などの告訴・告発状一件を受理した。また、同日付で東京地検が三件、金沢地検が一件の告発を受理した。最高検の指揮の下、三地検が原発事故における刑事責任の有無を捜査することになった。これを受けて、福島市での「エネルギー環境の選択肢意見聴取会」に参加していた武藤類子団長他七人が急きょ県庁記者クラブで記者会見を行った。
 以下はその際の一問一答(福島原発告訴団フログ)より)       (世)

Q 今日の率直な感想と、今後どのような捜査を望むか。

 受理されとてもよかった。福島県民告訴人一三二四人の声が届いたものと思っています。今回の一三二四人以外にも声を出せなかった人、原発関連で亡くなった方々、被曝した子どもたちもいます。そうした声が届いた。これから捜査が始まるのですが、被告訴人たちの犯罪について、厳重な捜査をしていただきたい。国会や政府の事故調査委員会が事故の最終報告を出してきましたけれども、その中でも調べられなかった部分を、検察にきちんと捜査していただきたい。結局、事故調では、個人の責任がなかなか問えなかったのですが、私たちの告訴は三三人の個人を対象としており、個人の事故に対する責任を、一つひとつ明らかにしていってほしいと心から思っております。

Q 被曝が傷害と認められるか、法的に立証が難しいといわれているが。

 私たちとしては、放射線が体を通過していくこと自体が傷害だと思っておりますので、そのことも一つの罪状になると思っております。業務上過失致死傷が認められない場合でも、公害犯罪処罰法というものを一つの罪状と考えておりますし、激発物破裂容疑という罪状も考えております。いろいろ多方面から事故に関しての、犯罪的な部分を推挙していきたいというふうに考えています。

Q 福島原発告訴団の告訴受理は、他の全国の原発関連訴訟に比べて比較的早く行われたように思うが、何が働いたと思うか。

 被害者である告訴人が、一三二四人というたくさんの人数であったことが、一つのカギであったのではないか。東京地検の方でも、今日、その他の告訴が受理されたと聞いています。

Q 一気に動いたということですね。それは世論が?

 それはあると思います。それと各事故調査委員会で最終報告書が出たということもあると思います。

Q 告訴告発という住民からの声で検察が動いたわけだが法的手続きをしたことでやっと動き始めたことに不満はあるか。

 これだけの事故を起こして、今までなぜ動かなかったのか、私たちもとても不思議です。不思議に思っていましたが、今回、私たちの告訴だけではないと思いますが、告訴が大きな意味をなして捜査が始まるということに関しては、やはり福島県の住民がみんなこのことに関して怒っているし、この責任の取らなさ加減というか、無責任さに非常に憤っている、そういうことがあると思います。それが今回の受理ということにつながったと思います。

Q 最後に改めて訴えたいことを。

 告訴を受理されたということで、一歩前進したというふうに思っております。これから本当に適正な捜査がなされて、きちんと責任ある人たちの責任が問われていくことを願ってやみません。そのためには私たちが地検の行方を、きちんと見つめ続けていきたいと思っております。
 福島県民のみならず、今度は第二次告訴というものを考えておりまして、全国展開で、全国国民が、責任をきちんと取ってほしいということを思っているという世論を、また高めていきたいと思います。

Q 第二次告訴はいつ頃に。

 一一月半ばの予定です。全国に八カ所の県外事務局を設置しているところです。他県エリアというものがほぼ決まってきました。八月半ばから正式に、県外告訴人の申し込みを受けることになります。
 
Q どのくらいの規模で。

 一万人規模くらいにしたいと考えております。

8.1福島でエネルギー政策意見聴取会

ほとんどが「原発ゼロ」を主張
核廃棄物・被曝労働問題も指摘

 【福島】政府が八月一日、福島市で開いたエネルギー・環境の選択に関する意見聴取会では、大飯原発再稼働を認めた政府に対する批判と怒りの声が噴出した。意見発表者三〇人のほとんどの発言者が「原発はゼロに」「すぐになくせ」「稼働するな」と主張した。須賀川市の女性は「野田首相は大飯原発再稼働で『私が責任を取る』と言ったが、福島の事故で誰か責任を取ったか」と述べた。


故郷を奪われた
悔しさを訴える
 七月に名古屋市であった聴取会で、中部電力社員が「原発事故では放射能の直接影響で死んだ人はいない」と発言したことに、富岡町からの避難者は「どれほど多くの人が避難中や避難生活で亡くなったことか」と怒った。同じく浪江町の農業者は仮設住宅での不自由な避難生活の実態を訴え「あの海、あの山、あの人…」「元に戻してほしい」と故郷を奪われた悔しさを語った。「核廃棄物をどこでどう処分するか」何代先まで付けを回すのか」「最終処分場を日本で引き受ける所があるのか」「核廃棄物をどこにも持って行きようのない状態は歴史的な過ち」など、先の見通しのないまま増やしてきた政策への批判や、「被曝労働を前提とした原発はやめるべき」「事故収束作業に当たる労働者のいのちと健康を守るために安全措置を」などの意見が相次いだ。「発電と送電を分離し、消費者がエネルギーを選択する仕組みとすべき」との考え方も出された。「一五%」意見もあったが、「放射能が絶対漏れないドーム」や「原発近くに電力幹部と家族で住む」など、実現不可能な厳しい条件をつけたものだ。

被害者の権利を
全面保障せよ!
 二〇三〇年までに原発比率(1)〇%(2)一五%(3)二〇〜二五%の三つの選択肢を示し、国民の意見を聞いたフリをして(2)の一五%程度を落としどころとして政策決定をし、実際は(3)の二五%以上にしてしまおうとしている政府に対して、発表者のほぼ全員が原発依存率ゼロ、再稼動反対を突きつけた。これに対し、細野大臣は、「福島の皆さんとできる限り一緒にできることは何かを追求したい」「それは再生可能エネルギーに力を入れていくこと。福島を再生エネルギーの拠点としたい」と発言したが、「いったい何を聞いていたのか」「県民の話を聞いて、それが結論か」「いま、決意すべきは廃炉だ」「脱原発の覚悟を示せ」「規制委員会人事を見直せ」と会場からは怒りの声が上がった。また、「意見発表者は女性が三〇人中九人。男女共同参画社会にふさわしい配慮を」「多くの人が参加できる週末開催を」の注文もあった。さらに、空席があるにもかかわらず、傍聴希望者を「事前申し込みがない」と主催者が入場させなかったことへの批判の声が会場から上がり途中から入場させるという一幕もあった。
 この意見聴取会は全国一一カ所で開かれ終了し、意見の七〇%は「ゼロシナリオ」であった。福島県民の圧倒的多数が即時廃止を主張した。民意が「脱原発」にあることは明確だ。この民意を政府に強制する運動をさらに大きな流れとしていくともに、被災者の生存権の保障、賠償、避難・移住の権利の実現、医療の無償化、原発事故収束作業労働者の健康保障の闘いを粘り強く展開することが求められている。    (世)

浜岡原発再稼働の是非を問う
県民投票条例運動が署名提出

一七万八二四〇筆の成果を生かそう


 【静岡】五月一三日から始まった浜岡原発再稼働の是非を問う条例請求署名運動は七月一一日(一部の市で一八日)に六〇日間の活動を終え、七月二三日各市区長の選管へ署名提出を行った。署名結果は目標とした三〇万筆には及ばなかったが、約八〇〇〇超の受任者(署名を集められる人)が手にした数は一七万八二四〇筆に達した。この成果をどう評価し、今後の闘いに結びつけていくかが当面の大きな課題であることは間違いない。

 全県レベルの
 運動作り出す
 この署名運動の性格、特徴は既存の組織、諸運動とは相対的に独自のスタイルであったこと、したがって市民自身の手による草の根市民運動に依拠するというもので、予め一定の限界を持ちながらも――しかも、呼びかけ人代表の一人が開始直前に病に倒れるというアクシデントさえあったのだが――陣営の弱さを補い合って克服しつつ、全県にわたる闘いをやり抜いたこと、また期間中には大飯原発再稼働とそれに抗する官邸前抗議行動のうねり、そして七・一六の大結集という、まさに反原発運動のかつてない高揚――その主張の多様性と運動スタイルの独自性や新しさを含めて――の中で展開されたことなどを指摘することができる。
 つまり、この運動の主体である受任者の半数以上がまったく既存の反原発運動とは直接のかかわりがなく、三・一一に直面して原発の深刻な問題の諸側面や浜岡原発の身近かな危険に向き合うことで、まったく新しい“気づき”として時代の感覚、様々な価値と社会のあり方に至る一種の転換を受けとめた人々によって担われたと見ることができる。
 実際、それはすべての世代にわたる人々を結集したし、とりわけ女性たちのめざましい活動に支えられていた。また特筆すべきこととして、三・一一の事態を深く「命」にかかわる問題と受けとめた仏教者を中心とする宗派を超えた宗教者たちの極めて献身的で広い署名活動への参加は多くの市民の共感、共鳴を集めた。ただ、全体としてみれば青年世代のこの運動への参加は一部に限られるという面があった。
 さらに三島市、函南町、下田市など全県の七市町村で署名率が一〇%を超えた。また原発立地地域である御前崎市でも三・八九%に達し、県庁所在地である静岡市でも五%を超えている。

川勝知事の態度
は極めて消極的
 こうして二カ月間の署名運動は一区切りとなったが、この成果は浜岡再稼働を阻む世論の結集力として十分ではないとしても、かつてない運動の広がりと新たな可能性を示している。そして次に控えている条例請求と制定の可否に至る知事・議会に対する対応、対策についても、早急に受任者全体の合意が問われている。
 他方、この署名について川勝知事は「重く受けとめているがこの直接請求には欠陥がある」などと難くせをつけ、消極的姿勢を見せている。知事は浜岡再稼働について、「使用済み燃料の処理」や「国と規制庁の方針確立」などのハードルを設けてはいるものの、基本的立場として、原発周辺自治体が決議した「浜岡永久停止」とは異なり、いつでも一定の条件のもとで再稼働容認に転ずる可能性があると言うことができる。とは言え、この知事の現実のハードルを利用して(一切の幻想を排してだが)県議会対策を講ずるべきであることは論を待たない。
 この署名運動期間中には、福島から武藤類子さん(福島原発訴訟団代表)を招いて講演集会を持ったり(本紙七月一六日号)、静岡市の中心部でいくつかの多彩なイベントを行ったほか、各地区(例えば菊川市や伊東市では過去に例のない規模の受任者を中心とする集会が取り組まれた)でも様々の工夫で署名運動を展開した。
 中部電力が現在進めている津波対策と称する一八メートルの「壁」の完成見込みがこの一二月末とされており、来年には知事選があることもあって、この先々、浜岡再稼働の現実の動きが強まってくることは必至である。
 署名運動のすべての成果を生かして、全国の闘いと結び、新たな闘いのステップに進もうとしているところである。     (S)
 【注】各選管へ署名を提出した一週間後の七月三〇日、中部電力は浜岡原発の津波対策工事を一年間延長する旨を発表した。その理由を「工事量が大幅に増えた」と発表しているが、実際は「防波壁」による浸水を防ぐ工事計画だけを公表していただけで、冷却設備の運転に必要な電気工事などを当初計画から排除していたのである。だが想定される南海トラフの巨大地震について明らかになるにつれ、関連する電気工事を後回しにできなくなったというのが真実だ。もし知事選などの直前・最中にこの事実が明らかにされると最終的に「廃炉」に追い込まれると危機感を持った中部電力があわてて発表したのである。知事―県議会―御前崎市議会―中部電力の動向にこれまで以上に注意を払う必要がある。



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