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    かけはし2012.年7月9日号

ナショナルセンターの枠を超えて

6.25「橋下市長に異議あり!」集会

公務員たたきと市民向け
サービス削減を許すな

 【大阪】「公務員たたき」と「市民むけサービス削減」を許さない!「橋下市長に、異議あり!」六・二五集会に一五〇〇人が参加した。
 まず前段の取組みとして、「橋下独裁政治に反対する労働七団体と大阪市労連」主催による緊急集会が大阪市役所前で行われた。橋下・維新の会は、組合との交渉に制限を加える「労使関係条例」、政治活動を国家公務員並みに厳しく規制する「政治活動禁止条例」という、またまたとんでもない条例を七月市議会に上程しようとしている。
 労働者の権利と市民の生活への止まることのない攻撃。しかし、今反撃しなければ大変なことになる、公務員だけ、大阪だけでは済まない、という危機感が多くの労働者・市民たちを捉え始めている。短時間の緊急集会ではあったが、橋下・維新の会の「暴力」を終わらせるために、これからもナショナルセンターの枠を越えて闘っていくことが確認された。

労使関係条例と
政治活動禁止条例
 集会は、すぐ近くにある大阪市立中央公会堂で行われた。主催は「法律家八団体」で、会場は二階席も埋まる程の多くの労働者・市民が参加した。最初に、日本センチュリー交響楽団のメンバーが演奏(四重奏)し、「(橋下に)補助金を打ち切られ、皆苦労しながらがんばっている。大切なのは心の豊かさ。お笑いやオーケストラや文楽、そして演劇などがあって、それらを自分で選べるのが本当に豊かな都市だ」とアピールした。
 この後、主催者を代表して城塚健之さん(自治労連弁護団)は、橋下・維新の会によるこの間の攻撃について報告し、「これらを基にして、七月には新たにまたとんでもない条例を提案しようとしている。一つは『労使関係条例案』で、これは当局が管理運営事項と決めたものは一切団体交渉しない。意見交換も禁止。団体交渉はマスコミに全面公開。違反したら懲戒処分。当局は適正な労使関係か否かを検証して、もし適正でないと判断したら組合に改めるよう言う権限がある。さらに人事委員会は労働組合に対して、収支報告書の提出を求めることができる、というものだ。
 もう一つが『政治活動禁止条例』。これは、政治活動は勤務時間の内外問わず禁止。違反者は、原則として懲戒免職というもの。いずれも何ら法的根拠もない、憲法も無視したでたらめなものだ」と怒りを抑えながら語った。

維新の会の横暴
と断固闘っていく
 続いて、『公務員の権利と、労働組合の権利を考えるー大阪でいま起こっていることの意味―』というテーマで、宮里邦雄さん(日本労働弁護団会長)の講演(要旨―別掲)があった。
 その後、労働組合と市民団体からのアピール。田中浩二さん(自治労・市労連)、竹村博子さん(自治労連・市労組)、松岡誠さん(市教組)、狩谷道生さん(JAM)、長島和眞さん(建交労)、井澤絵梨子さん(全労協・教育合同)、中野冬美さん(大阪の男女協同参画施策をすすめる会)、田島諒さん(学童保育連絡協議会)、大口耕吉郎さん(全大阪生活と健康を守る会連絡会)が、労働者の権利を踏みにじり、市民の福祉や教育を破壊していく橋下・維新の会の横暴に対して、断固闘っていく決意を語った。続いて、小野順子さん(大阪労働弁護団)が「大阪市長適正化条例」(別掲)を提案し、全会一致で可決(本日から施行)された。和田香さん(青年法律家協会)の「アピール採択」、北本修二さん(市労連弁護団)の「閉会あいさつ」があり、熱気に包まれた集会は成功裡に終わった。(努)

宮里邦雄弁護士の講演から

労使関係条例と
政治活動禁止条例


支配と服従の
強権的服務規程
 大阪でいま起こっていることを東京の労働者や労働組合の皆さんに知らせたいという思いで、三月二一日に集会を開いた。
 就任以降の状況は、まさに「暴走する橋下市政」である。「労使関係に関するアンケート調査」は団結の自由、政治活動の自由、思想・信条の自由を奪い、仲間の密告を奨励するという人権に対する重大な侵害だ。これは歴史に残る不当労働行為だ。市長の橋下(弁護士)と市特別顧問の野村(教授―コンプライアンスの専門家、弁護士、国会の原発事故調)がやったということは、同じ法律家として驚きだ。法律家にとって最も必要なことは憲法の基本的人権を守ること、社会的正義を実現することだ。
 アンケートを皮切りに、組合事務所明渡し・組合休暇(無給職免)の廃止・会議室使用の禁止・チェックオフ廃止など次々と組合への弾圧を強めてきた。「便宜供与」は使用者(市長)の自由ではない。そうではなく、ILOの条約に基づけば、団結権・団体交渉権に不可欠なものとして保障されるべきものだ。「フィラデルフィア宣言(一九四四年)」の「表現の自由と結社の自由は、不断の進歩のために欠くことができない」への侵害である。組合に対してだけでなく、個々の職員に対しても職員基本条例や教育基本条例、そして入れ墨チェックなどを通して、支配と服従の強権的服務規律を貫徹しようとしている。
 橋下は市政に関して自由に考え・活発に議論する公務員ではなく、ただただ命令に従う公務員を求めているようだ。そのような公務員が大阪市政を担うようになれば、市民の生活や権利はどうなるか。七月にも新たな二条例が予定されているように攻撃がエスカレートしている。大阪は、人権を無視していい・団結権を侵してもいい、という「憲法特区」になろうとしているのではないか。

橋下大阪市長
の思想と手法
 橋下の思想と手法は何か。ファシズムという指摘や、五〇年代アメリカのマッカーシズムに似ているという人もいる。共通しているものは、彼が敵というものを作りだして集中的に攻撃を加える。そのことを通して、自分の政策を遂行していく。権力的・強権的・独裁的な手法だ。
 傲慢・高慢・尊大、さらに言えばあざとい手法だ。彼は「白紙委任」「民意」「決定できる民主主義」という。選挙で勝ったら何をやってもいいのではない。そういう意味での白紙委任を有権者は当選者に委ねたのではない。基本的人権はどんな政府であろうと守らねばならないし、侵害することは許されない。彼は「民意」を恣意的に使っている。例えば、原発条例は民意を聞く必要はないと言っている。都合の良い民意・都合の悪い民意と、権力の手段として濫用している。
 フランスの政治思想家トクビルは「国民の意思という言葉ほど、あらゆる時代の陰謀家や専制君主が最大限に濫用した言葉はない」と言っている。今の橋下にあたるのではないか。また、彼の考え方の中には新自由主義・功利主義・市場主義が強烈にある(竹中平蔵が橋下を一番支持している)。すべての問題を費用対効果、生産性で考えている思想は貧困だ。補助金をカットしたり、文化的のものに対する支援を止めるという発想と、働く者や労働組合の権利を抑圧してもいいという発想は同じ根っこから出ている。
 使用者が正常な労使関係を形成し、そこで自由な意見交換や交渉を行う、風通しのいい労使関係がより良い市政の基礎になる。彼の頭の中には労使対等という考え方がまったく欠落している。市長ではあっても、組合を相手にする時は使用者であって、全く対等な関係(基本的なルール)でなければならない。
 さらに、彼の考え方の中には「改憲志向」がある。大阪維新の会は、憲法九条改正の国会決議のハードルを低くした。現在は各議院の総議員の三分の二の賛成が必要だが、二分の一に緩和する(維新八策)というものだ。彼は「憲法九条は、他人を助ける際に嫌なこと・危険なことはやらないという価値観を表現したものである」と言う。また、彼は、自著に「…ウソをつけない奴は政治家と弁護士にはなれない…」と書いている。彼は自己分析の能力が抜群ではないか。ウソをつく弁護士と、つかない弁護士を見分けて欲しい。

今こそ反撃の
闘い組織化へ
 橋下の攻撃は、大阪だけの問題ではない。また、公務員だけの問題ではない。団結に向けた攻撃である。「官」と「民」を分断する攻撃である。私たちは、すべての労働者・労働組合にかかわる問題として捉えたい。しかし、彼の攻撃がいま有権者の一定の支持を得ているのも事実。だから、そのような人々にも真実・本質を知らせ、もう一度考えてもらう取組みが必要だ。そして、参加した労働者の皆さんも、官・民の分断を許していなかったか、自分たちの運動の自己検証もして欲しい。反撃は始まっている。私たちは全国からこの闘いを支援していきたい。全国にこれが伝染しないようにくい止めたい。市民・労働者が手を携えて闘っていこう。   

《大阪市長適正化条例(案)》

第1条 大阪市長は、憲法・法律を守らなければならない。
第2条 大阪市長は、人権を尊重しなければならない。
第3条 大阪市長は、民主主義とは、選挙で当選した者の独裁ではないと知らなければならない。
第4条 大阪市長は、職員が人間であると認めなければならない。
第5条 大阪市長は、労働組合つぶしを行ってはならない。
第6条 大阪市長は、住民の声に真摯に耳を傾け、市民サービスを安易に削減してはならない。
第7条 大阪市長は、災害等の緊急時を除き、午後十時から午前五時までの間に職員にメールを送り、「朝までに用意するように」と指示してはならない。
第8条 この条例に違反した者は、全てのマスコミを通じて謝罪すると共に、被害者に対する謝罪文を、直筆で大書して大阪市役所正門に一か月間掲示し、加えて、少なくとも三年間、違反者の自宅において謹慎するものとする。     提案理由  最近、大阪市長の不適正な市政運営による弊害が看過できないため、この条例を提案する。                    
                              
コラム

カーシェアリング


 「車で娘と二人 お前に会いに来たよ 野の花咲いた静かな丘に 眠るお前は幸せ者さ」。「娘が嫁ぐ朝」は、一九七六年にミュージシャンの財津和夫が発表した。一人娘の結婚を、亡き妻の墓前に知らせる夫の心情を綴った歌で、当時彼のバンドに傾倒していた私の、お気に入りの一曲でもあった。
 境遇は少し異なるが、私の母が毎月出かけていた墓参りに今年三月、転機が訪れた。コインパーキング会社が併営するレンタカー会員に私が登録。車での移動が可能になったのである。
 以前から注目していた「カーシェアリング」。駅前でキャンペーン中に出くわし、その場で契約すれば入会金は無料。一週間程度で書類が届くと言う。
 IDカードが到着するとさっそくパソコンから予約し、実際に乗ってみた。仕事で使う車種より小型だが、慣れれば細い路地へもすんなり進入できる。料金は一五分二〇〇円。ガソリン代もかからない。だが、入会を決めた理由は、短時間のレンタルができること。駐車場が自宅周辺に多いことだ。検索すれば必ずどこかに空車が見つかるし、現場から電話で予約もできる。
 そんな事情を理解できない母を説き伏せ、さっそく先祖の元へ。これまでは古い自転車で片道二時間近くかけ、急こう配の坂道をいくつも越えた。足と視力にハンディのある危なげな運転を、後ろから監視するのが私の役割だった。疲れれば途中のスーパーで休んだ。往復でほぼ半日を費やした。
 そんな長旅が、わずか一時間に短縮された。私はわざと自転車のルートをなぞって走った。後部座席に埋まる彼女に、車の便利さを実感させたかったからだ。
 ドライブを重ねるたびに、怖がっていた母も安心感を抱き、饒舌になっていった。戦争中は都内最大級の軍事施設が集中した土地柄。その残影が今も随所に残っている。父と祖父母が眠る墓地は、その高台の一角にある。
 田舎に疎開した彼女には直接の被害体験こそないものの、練兵場と呼ばれた一帯には軍靴の足音が響いていた。配給された味噌や醤油を、姉妹で懸命に家まで運んだ。
 亡き伯父が終戦間際に徴兵されたことを、私は車内で初めて知った。「お前なんかが軍隊に行ったから、日本は負けたんだ」――軍人あがりの曽祖父の悪罵に、男一人だった叔父は、何かと反発していたという。
 同じ話を初めて聴かせるように繰り返すのは、八〇歳を間近にした母に限った現象ではない。だがそれに初耳を装い、さらに新しい情報を引き出そうと、運転席の私は大げさな相槌を打つ。「これほど早く着くと、二度と自転車では行きたくないね」――体力の急激な衰え。今や完全に車をあてにしている。彼女の貴重な証言を聞くひとときに、私は複雑な心境で、ハンドルを握るのである。(隆)

 


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