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    かけはし2012.年7月30日号

通すな!マイナンバー法案

共通番号制度法案の本質は何か

住民管理の徹底化による
治安弾圧システムの一環

消費税増税法案
とセットの攻撃
 
 野田政権は、民主・自民・公明党の合意による消費増税関連法案の衆院可決強行(六月二六日)に続いて、参院での成立を狙っている。同時に消費税増税法案に「番号制度の本格的な稼働及び定着を前提とする」と明記し、民衆監視と管理、税・保険料の徴収強化のための共通番号制度関連法案(マイナンバー法案)の成立に向けて加速しつつある。
 野田首相は、国会の会期を九月八日まで延長したうえで消費税増税法案の参院八月上旬採決強行に続いて、自民・公明から衆院解散・総選挙を迫られつつもその前提条件として特例公債法案、共通番号制法案、公務員制度改革法案、衆院選挙制度改革関連法案の成立を主張しだした。これだけの法案を一挙に成立させるというのだ。ほとんど無謀だが、消費税増税法成立阻止とともに、こんな暴挙を許してはならない。

「省庁自治体間
のデータ選択」


 共通番号制度は、二〇一四年六月から個人と企業に番号を割り振り、一五年一月に「番号カード」を交付し、運用開始する予定だ。民衆一人ひとりに個人番号「マイナンバー」を付け、税務署や自治体などが別々に把握している所得や納税、社会保障サービスなどの状況を管理し、年金、医療、介護保険、生活保護、労働保険、税務の六分野で活用するとしている(「社会保障・税番号大綱」)。
 さらに民衆監視・管理のためにIC(登録証)カード(氏名、生年月日、性別、住所を記載し、ICチップに番号を記録する)を持たせ、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)の住民票コードを利用し、住民登録・戸籍・収入・税・健康保険・医療・福祉給付・介護保険・年金・免許・旅券・犯歴などの個人情報を国家が一元管理するということだ。つまり「省庁自治体間のデータ連携」の一環として警察庁とリンクすることによってグローバル派兵国家構築のための治安弾圧システムへと飛躍的に「変質」してしまう可能性があるのだ。
 この実現は、長年の支配者、財界の願望でもあった。しかも導入費用は、とんでもない巨額になっている。政府が明らかにした内訳だけでも@国税庁や日本年金機構など情報保有機関のシステム整備三二〇〇億円A各個人情報を一元化する組織の設立七〇〇億円BICカード導入八〇〇億円C個人情報を利用者が確認できるインターネットサイト「マイ・ポータル」開設三〇〇億円D個人情報の漏洩(ろうえい)を監視する第三者機関の設置一〇億円などとなっている。また、システム運用に年三五〇億円の経費もかかるというのだ。IT大企業が大喜びの代物でしかない。
 共通番号制度法案は、二月一四日に国会に上程し、衆院内閣委員会で審議に入る予定だったが、政府の消費税増税法案の審議入り、成立を優先したため審議が止まっていた。だから消費税推進派の読売新聞は、わざわざ社説(七月一八日)で「共通番号法案 なぜ審議入りできないのか」という見出しを掲げて恫喝し、消費税率引き上げ第一弾の二〇一四年四月に八%に続いて、第二弾の二〇一五年一〇月一〇%の引き上げに間に合うために「早急に議論を詰め、確実に成立させるべきだ」と応援するほどだ。
 だが共通番号制度導入の最大の欠陥である「個人情報の漏洩(ろうえい)防止には万全の措置を講じなければならない」と触れざるをえない。そのうえで「法案は「『個人番号情報保護委員会』の設置や、懲役四年以下の罰則などを盛り込んでいる」から大丈夫だと言わんばかりだ。結局、「与野党はこの点についても、十分に議論を深めてもらいたい」などと制度導入のために強引にやれというのだ。
 すでに番号制度創設推進本部が一一年度から一二年度にかけ、全国四七都道府県で「マイナンバーシンポジウム」を開催し、いずれもヤラセの導入賛美発言を繰り返しているのだが、会場から「今、導入する必要性がわからない」「情報が漏れる危険性がある」「PR不足だ」(七月七日、京都大津市シンポ)という批判・疑問が続出している状態だ。
 内閣府の共通番号制度世論調査(一一年一一月/全国の成人男女三〇〇〇人)でも制度が「必要」が五七・四%、「必要だと思わない」が二七・三%と誘導した。しかし共通番号制度の個人情報に関して、最も不安に思うことを聞いたところ、「特にない」が一一%、「プライバシー侵害のおそれ」が四一%、「情報の不正利用により被害に遭うおそれ」が三二%、「国により個人情報が一元管理され、監視されるおそれ」が一三%と、何らかの懸念を感じていると答えた人は八六%という結果だった。つまり、制度導入に反対が多数であり、各地のシンポでの会場発言においても拡大していることを証明している。
 不安や疑問が続いているのは、 官民レベルの個人情報流出事故が次々と発生しているからだ。たとえ守秘義務があっても、個人情報、秘密データ、犯罪歴・病歴などの漏洩事件が報道され続けている。

制度導入への
不安広がる


 共通番号制度法案では、@目的外利用などに罰則強化A第三者機関を設置し行政や医療機関を監督するB自分の情報へのアクセス記録を本人が確認できる仕組み、医療分野の病歴などの個人情報保護のための特別法をつくるとしているが、「完璧」なガードシステム、セキュリティーシステムが完成したということがいまだに報道されていないようにインチキなものなのである。要するに現在の「技術水準」では個人情報流出事故は、阻止できないのである。個人情報の流出を前提にした国家の民衆一元支配を優先した制度は必要ないのだ。
 民主党は、制度導入に対する民衆の危機感の広がりに動揺し、政府に対して万全のセキュリティー対策を構築することなどを求める中間報告を提出せざるをえなかった(七月一六日)。だがあくまでも「着実な実施」を踏まえて@情報漏えいの早期発見や漏えいした場合に機動的に対処できるよう専門の職員を配置Aシステムをバックアップする拠点を複数の場所に設置B情報公開などのレベルでしかない。これでは個人情報の追跡・突合に対する懸念、財産その他の被害への懸念、他人の番号を盗用する「成りすまし」などの不正を阻止することはできない。
 民衆に番号を割り振って税金を搾り取り、社会保障費支出抑制をしながら、同時に監視・管理を強化する共通番号制度導入に反対していこう。  (遠山裕樹)

7.22共通番号制のすべてを知ろう

情報公開と市民的自由のため
に「便利」幻想を打ちやぶれ


法案阻止の取
り組みは急務
 共通番号制を考える市民シンポジウム実行委員会は、七月二二日、上智大学で「シンポジウム 共通番号制のすべてを知ろう」を行い、九〇人が参加した。 野田政権は、「行政手続における特定個人を識別するための番号の利用等に関する法律案」(通称「マイナンバー法案」)を二月一四日に閣議決定し、国会に上程した。政府は、消費税増税法案の成立とともに法案成立をねらっているが、まだ衆院内閣委員会で審議が始まっていない。推進派による全国シンポジウムでは各地で共通番号制は「いらない」「不安だ」「何かおかしい」という意見が噴出しているにもかかわらず、国会情勢から判断して消費税増税法案の成立後、短時間で法案強行成立を策動してくることが予想される。法案阻止のための取り組みが急務だ。
 集会は、共通番号制法案反対運動を粘り強く取組んできた仲間たちによって準備された。

IT企業の利権
拡大が推進力
 シンポジウムPartT
は、「共通番号制の本質と問題点を考えるために」というテーマ。
 田島泰彦さん (上智大学教授)は、「情報統制と監視のなかの共通番号制」という観点から@情報は誰のものか?A監視強化のなかの共通番号制B民主党政権下の「新たな表現規制」について明らかにし、「情報を市民のものに取り戻すために、まず必要なことは民主党幻想の克服だ。歴代の政権がやろうとしてきた情報統制と表現規制を現在の民主党政権がやろうとしている。情報公開と市民的自由は、普遍的な課題として取組んでいくべきだ」と強調した。
 白石 孝さん(反住基ネット連絡会)は、 「住基ネットから共通番号制へ、どこが違い、どこが問題か〜わが国における国家管理の特徴と問題点」について解説し、「制度上の保護措置として、第三者機関による監視、罰則強化、目的外利用の制限などが言われているが、それは絵空事でしかない」と厳しく批判した。
 石村耕治さん (プライバシーインターナショナルジャパン<PIJ>代表)は、「共通番号でなりすまし犯罪社会化する米国の現状」について報告し、「米国では共通番号制によって成りすまし犯罪者天国化している。だから国防省は、不正アクセスなどを阻止するために一一年四月から国防省本人確認番号を使うことになった。分野別番号に戻さなければならない状態だ。日本は、米国の深刻な状況を知っていながらIT企業と利権拡大のために共通番号制を導入しようとしている。こんな暴挙を許してはならない」と発言した。
 続いて、実行委から「韓国における情報流出となりすまし被害の実情」が紹介された。

医療・入管体制
の面からも批判
 PartUは、「共通番号制で便利になるという幻想を見抜くために」というテーマ。
 知念哲さん(神奈川県保険医協会)が医療の現場から医療制度の将来の危険性を指摘。三浦清春さん(全国保険医団体連合会政策部員)も発言。辻村祥造さん(税理士、PIJ副代表)が「所得の捕捉と税制の課題」 、西邑亨さん(反住基ネット連絡会/入管法対策会議)が「強まる外国人管理〜改定住基台帳法・改定入管法と共通番号制」、桐山桂一さん(東京新聞論説委員)が取材現場から共通番号制の危険性を明らかにした。
 最後に瀬川宏貴さん(自由法曹団)が共通番号制と秘密保全法制の関連性と法案阻止に向けた取組みの緊急性を訴えた。   (Y)

7.18貧困の拡大をヤメロ

首相官邸前で毎週水曜日
アクションが始まった

  巨万の民衆がつめかける毎週金曜の脱原発要求の首相官邸前行動に続いて、七月一八日、もう一つの首相官邸前アクション(毎週水曜)が始まった。
 野田政権が強行しようとする社会保障切り捨て、消費税大増税、非正規雇用規制の投げ捨てなどを前に、「それでは困る」の声を首相に届かせようと、「このまますすむと困っちゃう人々の会」が主にはインターネット上で呼びかけた。呼びかけ人には、この間反貧困運動のスポークスパーソン的役割を果たしてきた雨宮処凛さん(作家)、稲葉剛さん(もやい)、河添誠さん(首都圏青年ユニオン)などが名前を連ねている。ハートフルなスタンディングアクションと銘打たれ、「ささやかな生活をこれ以上不安にしないでほしい」との声を思い思いのやり方で一緒に伝えようと考えられた。この行動は、毎回午後六時〜八時の二時間行われる。
 初回となったこの日午後六時、首相官邸差し向かいの歩道上には、「総理!わたしたちの声を聞いて下さい」などの思いが手書きで書き込まれた横断幕を中心に老若男女数十人が集結。反貧困ネットワーク代表の宇都宮健児弁護士が「貧困と格差の広がりに政治は何をやっているのか、当事者の声があってこそ政治に変化が生まれる」と参加者を力づけ行動が始まった。
 口火は、呼びかけ人の一人で昨年まで生活保護を利用していた小松千矢子さん。利用者の現実を取材することもなく生活保護バッシングが行われ、利用者が追い詰められている、と怒りを込めて告発した上で、利用者が声を出せなくされている中でどうすればいいかと考えやむにやまれない思いで今回の行動を呼びかけた、と訴えた。
 怒りにかられながら「ちゃんと生きさせろ」と声をふり絞る生活保護利用者、就活に追いまくられる現実をおかしいと告発し、今やローンにされてしまっている奨学金返済への不安を訴える学生、生徒の就職難を切々と語る高校教員、自立支援法撤廃の約束を反故にされ、恥じるべきは生活保護利用者ではなく政治家だと語気を強めた障がい者、官製ワーキングプアを告発する自治体非正規労働者、実にさまざまな訴えが続いた。
 国会議員も、日本共産党の田村智子参院議員、社民党の福島みずほ党首、服部良一衆院議員、民主党の橋本勉衆院議員がかけつけ発言した。福島みずほ党首以下三人は、大飯原発直下の活断層再調査が決まった以上は大飯3、4号機は止めるべきと、首相官邸で藤村官房長官とやり合ってきた帰りに立ち寄ったという。
 民衆を完全に無視して進む政治に対して、首相官邸前は、民衆がさまざまな要求を背に直接政治に踏み込む象徴的な場になろうとしているのかもしれない。このような空気を醸し出しながら参加者は最終的に一七〇人に達し、次回への手応えを残しつつこの日の行動は予定通り終わった。
          (谷)


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