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    かけはし2012.年7月30日号

再稼働強行・原発依存政策に終止符を打つ攻勢の持続を!

いよいよ崖っぷちの野田政権

活断層無視し
大飯を再稼働


 七月一六日の「さようなら原発一〇万人集会」は、代々木公園に一七万人を集める大成功を収めた。この大結集は、原発再稼働強行政策に固執し続ける野田政権、「原子力ムラ」に甚大な影響・衝撃を与え続けている。
 七月一七日に開かれた、経済産業省原子力安全・保安院の専門家会合は、大飯原発の敷地内(2号機と3号機の間)を走っている断層が活断層である可能性を指摘し、関西電力に再調査を命じる方針を決めた。大飯原発敷地内の断層問題については、一九八五年に3、4号機の設置許可申請を出す際に示された掘削調査の写真が、部分的かつ不鮮明なものであり、「活断層ではない」との根拠に乏しいとの意見が指摘されていた。変動地形学専攻の渡辺満久東洋大教授は、断層面に動いた可能性のあることを示す粘土があることなどから、周囲の活断層が動く際にいっしょに動く可能性があることを指摘していた。一七日の専門家会議でも委員の間から「関電の資料では活断層であることを否定できない」との意見が続出したという。
 これまで、「大飯原発敷地内の活断層」についての警告に「問題ない」とかたくなに否定してきた関西電力や、「現時点では新しい知見にはあたらない」としてきた枝野経産相に対する不信が、改めて浮上してきた。このずさんな調査は関西電力だけではなく保安院、学者など「原子力ムラ」ぐるみの「原発建設」を至上命題とする隠ぺい体質の現れだ。まさに「犯罪的」である。
 同専門家会議では石川県の北陸電力志賀原発1号機直下の断層が活断層である可能性が高いことも指摘された。専門家会議委員の今泉俊文東北大大学院教授は、「典型的な活断層が炉心の下を通っている代表的な例だ。よく審議を通ったなとあきれている」と語った(「朝日」七月一八日)。活断層が通っており、断層の連動が起きる可能性が指摘されているのは、日本原電敦賀原発、関西電力美浜原発、原研高速増殖原型炉「もんじゅ」、北電泊原発、東北電力東通原発といたるところに存在している。安全・保安院のチェックがいかにいい加減なものであって、電力資本の申請を鵜呑みにするものでしかなかったかが、ここからも明らかだ。
 しかし関西電力は調査が行われても、その期間中は大飯原発3、4号炉の運転を止めない、としている。われわれはただちに大飯3、4号炉の運転停止を要求する。

なりふり構わ
ぬ電力資本


 人びとが批判をさらに強めているのは、八月末を見据えた「新エネルギー政策」決定のための意見聴取会での「市民」の意見表明の場で、電力企業関係者が原発依存「二〇〜二五%」案に賛成する、やらせ意見を表明したことである。
 この意見聴取会は、新エネルギー政策の八月末決定に向けて、二〇三〇年の原発依存率を「〇%」「一五%」「二〇〜二五%」の三択として設定し、全国一一カ所で「意見聴取会」を行い、「国民的議論」に付すという体裁をとろうとするものだった。この三択自体がきわめて恣意的な立て方であるが、七月一四日のさいたま会場、一五日の仙台会場、一六日の名古屋会場のいずれにおいても意見表明希望者の六〜七割以上が「〇%」を支持するものだった。さまざまな世論調査から見ても「原発〇」案が六〜七割以上というこの数字は、世論の現実をほぼ正確に反映するものだったということができる。しかし政府は、「公平」を装って、三案の支持者それぞれ三人ずつ計九人を抽選で選んで発言させるという方式を取った。
 電力会社は、社員に意識的に応募させて、原発依存継続の立場を「意見聴取会」に反映させようとしたことは間違いない。一五日の仙台での意見聴取会で「二〇〜二五%支持」を「社の方針」として語ったのは東北電力企画部の幹部社員であり、もう一人の「二〇〜二五%」支持者も電力業界でつくる東北エネルギー懇談会専務理事だった。
 一六日の名古屋市での意見聴取会で「個人の立場」として発言した中部電力社員は、「三五%案や四五%案があれば、それを支持した」と言い放ち、「原発をなくせば経済や消費が落ち込み、日本が衰退する」「原発のリスクが過大視されている。福島第一原発事故での死者は一人もいない。今後五年、一〇年を取っても放射能による死者はゼロだ。それは疫学的に証明されている」などと、原発事故被災者の苦しみ、怒りをかきたてる暴言を重ねたのである。この発言に出席した市民が抗議の声を上げたことは言うまでもない。
 あわてた政府は、「電力会社としての意見表明は意見聴取会の趣旨にはそぐわない」として手直しの意向を表明している。しかし「三択」それぞれの支持意見を「公平」を装って電力会社お仕着せの「二五%案」をも一般市民の声であるかのように扱い、「真ん中」に落とし所を持ってきて原発依存の継続を演出する筋書きが、破綻したのである。人びとは、こうした政府、官僚、電力業界・大資本の思惑を見抜いているのだ。

原子力規制委
の新人事NO


 野田政権は九月に発足する原子力規制委員会のトップである委員長に田中俊一・前内閣府原子力委員長代理を据えることを決めた。田中は元日本原子力学会会長でNPO法人放射線安全フォーラムの副理事長。一九九九年九月のJCO臨界事故に際しては、原研(現・日本原子力研究開発機構)の東海研究所副所長として臨界を止める作業員の被ばく線量の計算にも携わってきたとされ、福島原発事故に際しては現地での「除染」にも取り組んできた、とされる。
 朝日新聞などは「『脱・原子力ムラ』で人選」などとして、この人事を肯定的に評価している。田中以外の委員人事は、中村佳代子・日本アイソトープ協会主査、更田豊志・日本原子力開発機構原子力基礎工学部門副部門長、大島賢三・元国連大使、島崎邦彦・地震予知連会長。
 しかしこの人事を「脱・原子力ムラ」などと評価できるのだろうか。
 eシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)とエネシフ・ジャパン有志の緊急アピール(七月二一日)は、田中俊一が「原子力事業者と一緒になって原発を推進してきた」「原子力ムラの中心人物」であるとして批判し、「これは、『原子力ムラ』の中心人物に『規制』を担当させるもので、『利用と規制の一体化』に他ならず、『中立公正』でもな」い、としてこの人事案の撤回を求めている。
 田中が副理事長になっている日本原子力開発機構は、政府の原発推進・核燃料サイクル推進の研究開発機関であり、高速増殖炉もんじゅの設置主体でもある。こうした人物が「脱・原子力ムラ」などとどうして言えるのか。
 実際彼は、昨年の原子力損害賠償紛争審査会で「政府が避難の基準としている二〇msvを揺るがすべきではない」と自主避難者への賠償方針に抵抗し、審査会で賠償方針が決まった後も「抗議文」を読み上げて福島の被災住民の怒りを買った、という前歴を持っている。
 委員となった更田豊志も「もんじゅ」を運営する日本原子力開発機構の幹部であり、福島原発事故後も原発推進を前提とした「原発の継続的改善」を主張する「原子力ムラ」の当事者だった。
 われわれはこうした「規制委員会」のあり方やマスコミ報道への批判を緩めてはならない。

民衆運動が政
治を変える時


 七月一六日の一七万人集会の前日、七月一五日に再稼働反対!全国アクション、反原発自治体議員・市民連盟、経産省前テントひろば、ストップ大飯・現地アクション、たんぽぽ舎の五団体は全国交流会を、東京・浜町区民館で開催した。同交流会には福井・大飯、愛媛・伊方、石川・志賀、茨城・東海、静岡などの原発立地の運動体をはじめとして全国から一〇〇人が参加し、今後の反原発運動について討論を行った。
 政府の大飯再稼働決定以後の運動の持続的高揚と広がりが見られる中で、原発立地の闘いを軸にした全国ネットを築き上げることの重要性が全国交流会では強調されるとともに、大飯・伊方の闘いへの取り組み、官邸前金曜日アクションと七月二九日の国会デモへの支援と結集、福島の女たちの闘いが持つ中心的意義などが確認されていった。
 いま情勢は、解散・総選挙・政界再編といった「政局」がらみの問題を含めて激動局面に入っている。そしてその中心に原発問題が大きく浮上している。
 野田政権の「再稼働強行」方針は、消費税増税問題とともに、民主党の分裂・崩壊をもたらす大きな要因となった。七月二〇日の首相官邸前金曜日行動に二年前には同じ民主党政権の首相だった鳩山由紀夫が登場し、「大飯原発再稼働反対」を訴え、自ら首相官邸に「申し入れ」を行うといった前代未聞の事態まで引き起こされた。
 「脱原発」の運動と世論は、オスプレイ配備問題とならんで、民衆の運動が政治に影響を与える可能性を切り開いている。この局面において再稼働阻止・脱原発を軸にした福島と全国、原発立地と全国をつなぐ運動を、政府・「原子力ムラ」に対して攻勢的に築き上げ、大飯の運転を停止し、一つの原発再稼働をも阻止するために全力を上げよう。 (七月二二日、純)



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