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    かけはし2012.年7月2日号

ストをすれば生じる仲間の
離脱や裏切り、そして今回も

ハン・サンギュンの月はどこに昇っているのか

  先立っての陰暦4月8日(5月28日)はお釈迦さまの誕生日(韓国では祝日)だった。時あたかも月曜日で、おかげで仏さまの黄金の袈裟の色のように、3日間は黄金の連休だった。そのうえうららかな日和は多くの人々を家にばかりいさせはしなかった。山や野、そして遊園地へと外出した人が少なくなかった。ところが、この連休がうれしくない人々もいる。監獄という狭い空間にいる人々だ。監獄は連休になると閉房(運動や面会ができず、連休期間の訪問を受けいれないこと)をするために、やりきれなさが一層加重される。ソウル龍山の惨事によって、あるいは双龍自動車のストライキなどによって今なお多くの人々が監獄に捕らわれている。それぞれの月はまだ完全に満ちてはいないからだろうか。今回の(旧暦)4月8日にも特赦はなかった。獄窓越しに見ることになったであろう月が完全に満ちるまでには今なお時間がかかるのか。その月が満ちる時まで我々は今、何をしているのか。
 言論社のストが100日を越え、長期化の道へと踏み込んでいる。韓国放送、文化放送、YTN、〈国民日報〉、〈連合ニュース〉はイ・ミョンバク政府のメディア掌握に対抗して、しんどい闘争を続けている。言論労働者にとって街頭での闘いは手慣れたものであるわけがない。街頭や現場は記者たちにとって取材の空間であり、闘争の空間ではないからだ。しかも会社側や政府の無対応は日増しに彼らの肩を抑えつけている。

フリーランス・アナウンサーを投入


 さまざまな論理によってストの隊伍を離脱する人もいるけれども、むしろストに合流する言論労働者の数は増加する流れだ。それだけに今回のストの意味は大きい。闘っている労働者たちとの出会いが続けられ、激励や苦言を心おきなく通わせる関係になる姿をしばしば見ることになる。夜更けて、これらの人々も空を見ることになるだろう。輝く星や満ち欠けする月は時には想念を煽り、悩みをプレゼントしたりもする。あの月が満ちる前にケリをつけるという誓いを何回やったことだろう。だがまだ月は満ちては欠けを繰り返すばかり。
 文化放送のアナウンサーだったキム・ソンジュ氏がストライキ中にもかかわらず職場復帰を宣言した。フリーランサーは身分上、労組員ではない。そうであるがゆえに、とがめることはできないとの指摘もある。だがこれは労組員なのか、そうでないのか、という問題ではない。憲法ではスト期間に代替人力を投入できないように強制している。ストに対する最小限の保護のために、このように法によって規定しているのだ。それにもかかわらず各放送社は臨時の記者や臨時のアナウンサーを思うがままに投入した。さらに大きな問題は、このようにして選んだ人々に対して、契約の解除さえ実に事もなげにやっているというのだ。代替人力の投入に対する間違った認識を公共の電波を使って全国に拡散させている。
 そしてキム・ソンジュ元アナウンサーのような人がいる。フリーランサーを宣言した時も、あるいは再びスト中の文化放送への復帰を宣言した時もカネのためだ、という世間の評がひどすぎると本人は自信を持って言えるのだろうか。あえてカネでないと言うのであれば、他に何のためなのか到底、理解できないところだ。オリンピック中継のための「よんどころない決断」だという説明は納得どころか弁明にさえなっていない。
 公正な言論を守ろうとするかつての先輩や後輩たちの「よんどころない決断」であるストにもたれ、また自己の利益のみ図る人間と罵倒されても、然るべき弁明を見いだすことはできない。労働者のストライキが内部の何人かの裏切りによって困難さを味わい、会社の利益へと帰結する様子を少なからず見てきた。キム・ソンジュ氏の復帰は、これまで愛情をもって氏を見守ってきた人々に衝撃的なことだ。

実に3年、獄窓の下で月を

 ストによって、ハン・サンギュン前・民主労総金属労組双龍車支部長は3年の刑を宣告された。労働問題としては苛酷だと言えるほどの長い時間だ。その間に彼は40代から50代へと変わり、子どもは大学生になった。ハン・サンギュン前支部長は、困難な時期に支部長として1寸の揺らぎもなく双龍自動車の整理解雇阻止闘争を率いた人にしては純朴だ。個人的欲心はなく、脇目をふることもなかった。
 支部長として当選するとともに語った言葉を最後まで守った唯一の人間でもある。「組合員だけを見て進みます」という彼の言葉の重みを、あえて私がどうこう論じることができようか。支部長として1人で決断したであろうその長い時間でも足らず、既に監獄暮らしの3年目を迎えている。この世を去っていく同志が増えるほどに、身はやつれ、青い囚衣はダブダブになった。約束したことが無力化されるのを見ながら、どれほどもどかしかったかを考えれば、支部長の思いをあれこれ推量すること自体が罪だ。
 会社を再生されるというもっともらしい口ぶりで、工場内の御用労組委員長が会社の社長と共に新型車のわきに立ってポーズを取っている姿を、彼はさらにどう感じていることだろうか。現在の双龍車御用労組委員長キム・ギュハンとその徒党はストをつぶそうとして、スト期間に労組事務所に進入してシンナーを注ぎ込むことまでやった。ことごとくに難癖をつけ、ストに突入するやいなや徹底して会社側のお先棒をかついだ。いや、かついだのではなく、もともとがその目的だった。双龍車の技術流出問題が社会的争点となっていた2007年、御用労組は結局、技術流出問題を会社と組んで、なかったことにした。その張本人が、今日の御用労組委員長なのだ。
 双龍車の工場占拠ストを扱ったドキュメンタリー映画の中に、〈あの月が満ちる前に〉(2009年)がある。この題名はスト中の組合員が「あの月が満ちるまでには終わらせなくっちゃ…」と1人ごちで通って行った、その言葉から採られた。その組合員の月は今、どのぐらい満ちたことだろうか。何度も見たその月は今、どこまで来ているのだろうか。ハン・サンギュン前支部長の月は今、どこにいるのだろうか。
 スト中のメディア労働者たちはきょう空に浮かんだ月を見ながら、どんな想いにふけっているのだろうか。放送はあるいは言論社に個別復帰している人々は心穏やかに空の月を見ているだろうか。反則と便法とによってよじ昇った座は甘い誘惑であっても、時が流れれば悪魔の誘惑であることを知るようになるだろう。多くの人々の胸に5寸釘を打ち込んで、大の字になって眠れるものだろうか。

だが道理に従って月は満ち

 生存権のための闘いが至る所で繰り広げられる。勝利する所もあれば敗北する所もある。勝敗を離れ、最も大きな痛みは同僚や同志の背信による絶望感だ。長い闘いをすれば、闘いの相手よりは、枝葉末節的な問題によりこだわるようにもなる。それによって闘いがいささかねじれる形に変わる場合も、しばしばある。だが闘いは満ち欠けする月のように、道理に従って進むのが当然だ。目の前の利益を追い行く人々よりも、遠くを見て共に歩む人がはるかに多い。個人のどん欲が大勢を変えることはできない。我々が望んでいるその月は、次第に満ちている。今この瞬間、胸を焦がしながら人生を闘っているすべての人々に、この言葉を伝えたい。「あなたの生き方と闘いとを愛しています」。(「ハンギョレ21」第914号、12年6月11日「イ・チャングンの解雇日記」より/双龍自動車・被解雇者)

統合進歩党の対北観、「太陽」が必要だ

進歩政党の「基礎体力」を壊した
北核・世襲に対する党権派の態度


 統合進歩党が、いや党権派が直接的に答えない問題。長い歳月、進歩政党の基礎体力を壊してきたこの問題について党権派は、いや統合進歩党はいかなる答えを出すのだろうか。
 「従北のフレームや規定には絶対同意できない。ただし国民が憂慮している部分は、党の一部で南北関係、韓米関係についての認識が余りにも過去にとどまっているのではないのか、硬直したものではないのか、というものだ。そういった点について変化する部分はないのかを省察しなければならない。党内に北核、北韓(北朝鮮)の人権問題について『語らないのが我々の立場』という傾向があるが、それがはたして正しいのか検討してみなければならない」。

傾倒した対北韓再定立に乗り出した
 党革新非常対策委員会の傘下機構である「統合進歩党再建特別委員会」委員長のパク・ウォンソク議員らの発言だ。答弁をしなかったり見解を明らかにしない態度を取ることによって、むしろイデオロギー的攻撃の口実となったり国民の憂慮を増幅させた、というのだ。
 パク議員は「参与連帯」の出身で比例代表経歴公薦を得て当選した。単純に国民の目線から対北問題を取り扱うべきだ、というレベルではない。南北関係や韓米関係についての認識や対応が変化した現実を受け入れて、それに対する「進歩的」見解を整理して明らかにすべきだ、という話だ。北韓が「3代世襲」を通じてキム・ジョンウン体制に変化した今日ではないか。
 パク委員長は「(党権派が)語らない理由は何なのだろうか。対北観が党の綱領や政綱政策の水準を超えて傾倒したからだと思う。言わば韓米軍事同盟が従属的なことはそうだが、韓米同盟自体を撤退すべきだと言えば国民が納得するだろうか」と語った。「再建委」が6月5日に開く「統合進歩党の新しい価値と路線」討論会は、このような論議の出発点だ。
 党のある核心関係者は「不正競選の事態の解決のきざしが見えない上に、現在は保守勢力のセッカル(アカ攻撃)論の攻勢に(党権派と)共同対応しなければならない側面があるために対北観、対北政策問題を正面から扱うことには慎重な面がある」のであり「しかし早晩『第2ラウンド』で党権派側と思想論争を行わなければならない時が来るだろう」と語った。大選(大統領選挙)を前にして対北観の論難をきれいに整理していかなければならないというのだ。
 北韓問題と関連した党内の葛藤は根が深い。毎年、論難が起きた。そのたびに自主派(NL、民族解放系列)の硬直した対北観が俎上にあがった。
 2005年2月、北韓が核武器の保有を宣言した。民主労働党最高委員会は論争の末に、これに対する批判をしないことに決定した。翌年10月、北韓が核実験を行った。「いかなる種類の核使用にも反対の立場を明確にしつつ、北の核実験に対して遺憾の意を表する」という最高委員会の特別決議文が中央委員会で否決された。2007年の大選の時はクオン・ヨンギル候補が北韓と1国家2体制で統一しようという「コリア連邦共和国」の公約を掲げた。クオン候補を押し立てた自主派は、これを大選公約のトップに押しつけようとした。キム・ソンドン事務総長(現・統合進歩党議員)はポスターに「コリア連邦共和国建設」をスローガンとして書き印刷したが、党内の反発にあって廃棄した。クオン・ヨンギル候補は、当選すれば北韓の革命烈士陵を参拝すると話した。

北韓に対する批判が1行もない声明
 2008年の一心会事件によって、それまで膿んでいた対北観の葛藤は極に達した。当時、チェ・ギヨン事務副総長とイ・ジョンフン中央委員は党員数百人の身上情報や動向を北側に渡してやったことが明らかになった。当時の革新非対委(委員長シム・サンジョン)は法的処罰とは別個に、これらの人々の党を害した行為を理由として除名を推進したけれども、自主派は除名案を否決した。国家保安法の犠牲者だ、という理由だった。党が分かれた。チェ・ギヨン前・事務副総長は昨年、統合進歩党の創党過程で党政策企画室長に任命された。
 「北韓の後継の構図に関連して我が国民の目線からして理解しがたい点があるからといっても、北韓の問題は北韓が決定する問題だと考えるのが南北関係のためにも望ましいと言えるだろう」。2010年10月の北韓の3代世襲に対してウ・ウィヨン民主労働党代弁人は、このように論評した。
 2011年、民主労働党と進歩新党の進歩統合の過程でも対北観、特に3代世襲についての態度をめぐって葛藤が先鋭になったが、あいまいな形で縫合された。合意文は「新たな進歩政党は6・15精神に則り北の体制を認め、『北の権力承継問題は国民の情緒からして理解しがたいものであり、批判的立場を明らかにしなければならない』との見解を尊重する」という複雑な文章へと帰結した。民主労働党は当初、「北の権力承継問題は国民の情緒において理解しがたいながらも、6・15精神に則って北の体制を認める」という、あいまいな形の文章を書こうと主張した。進歩新党は統合案を否決し、国民参与党は以降、この合意文を承認することによって統合進歩党に参加する資格を得た。
 葛藤は縫合されたにすぎない。今年4月、北韓は長距離ロケットを発射した。党権派であるウ・ウィヨン代弁人は「北・米間の対立と韓(朝鮮)半島の緊張の局面が形成されている。米国をはじめとする国連安保理の制裁一辺倒のやり方は、韓半島の緊張緩和にとって全くプラスにならない」と論評した。進歩新党脱党派のノ・フェチャン代弁人は「現状況において米国により大きな責任があることは事実だけれども、北韓が打開策として軍事的緊張を高めたことは支持できない」と反ばくした。
 シム・サンジョン、ノ・フェチャン、チョ・スンスら平等派(PD、民衆民主系列)側の責任も少なくはない。2008年の分党当時、平等派は「従北主義」という用語を導入した。論争は生産的というよりは敵対的だった。保守メディアは、これを党全体に「従北党」という烙印が押され、「従北」の論難は、むしろ党の刷新を妨げる結果を生んだ。平等派出身のある党職者(専従者)は「当時、平等派がその単語(従北)を使ったのは誤り」だと語った。今も保守勢力の「従北」攻勢が不正競選の事態解決を阻む口実として作用している。

「北核に言及し
ないのは問題」
 党権派、いや統合進歩党の対北観に「太陽政策」が必要な時だ。大衆的進歩政党、授権政党を標榜した公党として避けることはできないし、避けようにも避けられない問題となった。パク・ウォンソク議員は大枠の見解を明らかにした。北核問題に関連して「進歩(的勢力)は核の軍事的利用はもちろん、平和的利用にも反対する。このような基本原則からだけではなく、北核が韓半島の平和に直接的脅威となる状況にあって、何の話もしないというのは問題」だと語った。
 北韓の人権については「人権問題が存在するという前提から出発しなければならない。ただし、北韓人権法の制定のようなやり方で政治的批難や圧迫を加えるやり方ではなく、実質的な人権改善を誘導する協力と支援に傍点をつけるのでなければならない」と語った。3代世襲については「大韓民国政府が代弁人の公式声明で批判したことがあるか」とし「北韓は民族的特殊関係であり、外交の対象であるのだから、外交の観点から世襲を批判せよと強要してはならない」と語った。(「ハンギョレ21」第914号、12年6月11日付、イ・ジウン記者)

 


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