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    かけはし2012.年7月23日号

債務返済棚上げ要求回路に
緊縮と反改良を逆転させよ

スペイン

ダニエル・アルバラシン、ナチョ・アルバレス、
マノロ・ガリ、ビビアーナ・メディアルデア

 欧州の金融危機は少しも収まらない。欧州支配層はギリシャの選挙結果に息継ぎをする暇もなく、今度はスペインの銀行救済に奔走してきた。一つの合意が達成されある程度の安定化がなされるとの報道が盛んだが、実際のスペイン国債金利は依然高止まりしている。「救済」の本質が民衆への犠牲押しつけにある以上、問題は結局階級闘争の行方にある。支配階級はそこに確信を持てないのであり、スペインの労働者民衆は現に、犠牲を拒否する闘いに立ち上がっている。以下は、「救済」とは実のところ何であるのか、民衆は何とどう闘うべきかを提起している。(「かけはし」編集部)

「新」救済方式
の不透明な実態


 二〇一二年六月二九日、欧州評議会は、スペインの銀行に直接資本注入することを認め、国債市場に加えられている圧力を軽減する試みを行うという、そのための合意に達した。この合意は、スペインの銀行救済に向け当初設定された条件のいくつかを修正している。こうしてそれは政権によって、ブリュッセルにおける本物の成功として描かれつつある。
 民間銀行の債務と国家債務の間の悪性循環を断ち切る目的の下にこの合意は、欧州安定メカニズム(ESM)に対して、スペインのさまざまな銀行に直接資本を注入し、そうすることでこの機構によって前貸しされた資金が追加的な公的債務には含まれないようにする、そのような権限を与えている。ESMは、返済がなされないというできごとの場合には優先権のある債権者とはならない(それはスペインのリスクプレミアム〈リスクがあるとしてスペイン国債に要求される上乗せ金利・訳者〉に対する一層の圧力を妨げるだろう)、それがこの合意に関する二番目の物語だ。
 しかしながらこの合意は、不明瞭さをもつ重要な領域を示しているだけではなく、ブリュッセル(EU本部・訳者)が抱える長期にわたる治療困難な問題をも維持している。それは、暗いトンネルにろうそくを灯すことでわれわれが何らかの形でつまずく機会を省く可能性はあるとしても、その行き先を変えるためのトンネルとはならない。
 ESMは、欧州中央銀行(ECB)が欧州の銀行システムに対するただ一つの監督者という役割を引き受けるまでは、スペインの銀行に直接資金を提供することができない(メルケルがもちだした要求)。国民主権のこの新たな委譲――確実に複雑となり、ユーロ圏諸国間の難しい一致を必要とする――は、まだまだ多くの時間を必要とするかもしれない。この理由のためにスペインの銀行救済は、「古典的な」やり方で始まるだろう。欧州金融安定ファシリティー(EFSF)は、「銀行再編基金」(FOBR)に対し、一〇〇〇億ユーロまでの貸付枠を認可した。しかしそれは、スペインの公的債務のGDP比率をさらに一〇ポイントだけ引き上げることとなろう。債務に対する金利の上昇と組になったこの新たな圧力は、財政赤字が上昇しないよう、デ・グィンドス大臣が先頃それを公表したように、社会的支出のさらなる削減によって埋め合わされなければならないだろう。ECBが監視の意志に見合う全権限を身に帯びてはじめて、救済はESMに移され、銀行に対する直接的資本注入が可能となる。

目的は債務返
済財源の確保


 他方で現時点では、国有化された部分にそのような直接的資本注入の資格があるのかどうかは明確でない。その部分に資格がない場合――そしてそここそが、まさに特別資金を必要としている部分である以上は――は、この合意はスペインにとってほとんど役に立たないと思われる。
 しかし、銀行行政と財政同盟において前進がなされ、ECBが管理監督の全権限獲得を達成した場合であってさえ、スペインの銀行救済には必然的に厳しい条件が伴うだろう。銀行への資本注入の供与はESMを通して流れ、スペイン国家は仲介者と保証人としての役割を失う。そうであるとしてもスペイン市民はこの合意と共に、彼らの銀行システムの将来に関する決定権を失うだろう。
 その上、六月二九日の欧州評議会によって公表された覚え書きで述べられているように、資本注入は「適切な諸条件に基づくこととなろう……、そしてそれは、各々の部分、各々の部門毎に、あるいは経済的広がりの規模において特殊であるべきであろう」。こうして貸し付けに結び付けられた条件は、民間部門にのみ限られるのではなく、経済の全体に広がる可能性がある。
 この合意は、ブリュッセルから強要される削減政策――それはわれわれの経済を不況へと押しやってきた――の方向を変えないだけではなく、むしろそれを深める。EFSFとESMの介在が、「安定成長協定」が求めるものを満たし、二〇一三年までに財政赤字の対GDP比三%以内を達成するというメンバー国に向けられた合意の中で下位に置かれている限りは、トロイカ(EU委員会、IMF、ECB)は、スペインの銀行システム改革だけではなく政府の経済政策をも監督するだろう。そこにある方向、すなわち、債権者に対する公私の債務返済を確実にする財源を解放するためにあらゆる方策を適用するという方向は、疑いなく維持されるだろう。

緊縮強要は早く
も強まっている


 スペインの銀行に対する「実際に存在する」救済は、二〇一三年までに財政赤字を三%以内に削減するというこの途方もない目標を達成するための、新たな調整諸方策を必要とするだろう。われわれは、VAT(付加価値税、特に最低所得層の人々を苦しめる税)のかなりの引き上げの前夜にいる。そしてこの措置は確実に、いくつかの基礎的な商品とサービスへの税を、超低減タイプ(四%)から低減税率(八%)へ、あるいは後者から基準率(一八%)へと、引き上げるだろう。予想されるもう一つの変更は、住宅購入にかかる減税の廃止となるだろう。この廃止は――住宅賃貸を活気づけると思われるが――同時に、担保付きローンの返済を前に首を締め付けられている家族層の経済状況を緊張させる可能性をはらむだろう。賃金と公共部門の雇用におけるさらなる削減――そしてまったくあり得ることとして失業――が、退職年齢の引き上げの試みと並んで追求されるだろう。
 スペインの銀行救済の結末は――直接の資本注入があろうがなかろうが――労働者にとっては、特に最低所得層の家族にとっては苦いものとなるだろう。スペインの金融機関が外国の銀行に負っている負債は、その多くが実体的な不動産ビジネスに結びついているものだが、現に稼働している手術室のさらなる閉鎖や教員の解雇、また権利の切り下げを対価として返済されるだろう。

オルタナティブ
に向けて闘いを


 しかしこれらの諸方策は、貸し付けが再度スペイン経済に流れることを保証すらしない。それらがデベロッパーや建設業者の破綻したローンや、銀行が蓄積した実体的な不動産資産、あるいはそれらの資産に対する過大評価という、こうした問題を解決するわけではないからだ。現在の不況――そこではすべての主体が彼らの負債を同時的に削減しようとしている――のような「バランスシート不況」の中での調整政策は、ただ危機を深めるだけであり、銀行資本の債務不履行を次第に増大させる。二〇一〇年以来のスペイン家計の貯蓄がしめす急激な減少――低所得、賃金切り下げ、さらに社会福祉給付の枯渇と結びついた――は、上述の傾向を示すひとつの例だ。
 さらにまたスペインの銀行救済は、他の諸国からの伝染という中期的リスクを排除するわけではない。ギリシャのエコノミストであるヤニス・ヴァロウファキスが示すように(注一)、EFSFとESMの融資が、これらの機関が負う全債務は分離可能であり、単一国家に帰属させることができるという原則に基礎を置いている以上、その継続的利用は必然的に、救済されない残りの諸国の対GDP債務比率を、それらの諸国を脆弱性増大という境遇に置くことで引き上げる。
 銀行損失のこの社会化(スペインと欧州の市民に課される)を前に、緊縮政策と雇用の反改良を逆転させることを含んだオルタナティブを押し進める必要がある。その手段は、不法な債務部分を識別しそれを取り消すために、また社会的に方向付けられ社会的に有益な活動に向けられた貸し付け――有利な融資条件における――を目標とした、厳格な規制を守らない民間銀行を収用するために、債務返済一時棚上げを要求することだ。

▼ダニエル・アルバラシンは、『アレア・デ・エコノミア・フンダシオン・1・デ・マヨ』の共編者
▼ナチョ・アルバレスとビビアーナ・メディアルデアは、エコノミストであり、『ヴィエント・スル』誌の編集メンバー
▼マノロ・ガリは『ヴィエント・スル』誌の編集メンバー
注一)「なぜイタリアが、なぜスペインが、そしてEFSFSの規模がなぜ問題にならないのか」(「インターナショナルビューポイント」二〇一二年七月号) 

ロシア

国際行動デー(7・26)への呼びかけ

プーチン政権反対への暴虐な
抑圧をはねのける国際連帯を

 昨年秋以降、ロシア大統領選に向け権力のたらい回しを明らかにしたプーチンに対し、民衆の怒りが爆発した。プーチンの大統領当選を経てもこの怒りは静まっていない。五月六日のモスクワでの大規模なデモがそれを明らかにした。これに対し体制側は、「デモの際の加害行為」に対する破格の罰金制定など、抑圧姿勢を露骨に強めようとしている。この抑圧に対する国際連帯行動が呼びかけられている。以下にその呼びかけを紹介する。(「かけはし」編集部)
 今年五月六日モスクワで起きたデモは、この係争に満ちた時期の始まり以来見られたものの中では、もっとも大衆的かつ戦闘的のものの一つだった。三月の大統領選挙におけるウラジミール・プーチンの勝利に続いた志気の後退、そして当局が加えた圧力にもかかわらず、数万人もの人びとは首都に入り込んだ。五月六日の行動は、昨年一二月に始まった抗議の波は弱まってなどいない、ということを示した。それはむしろ新しい始まりを経験中であり、より急進的かつ断固とした路線を取りつつある。
 モスクワの警察は彼らの上官の命令の下に、特に秘密捜査官を使用することで、深刻な紛争を引き起こした。この平和的で許可を受けたデモの中で、五〇〇人以上の人々が逮捕され、もっと多くの人々が殴られた。
 膨大な数の写真、ビデオ映像、そして目撃者の報告と診断書は、警察の行動は不法なものだったということを確証している。しかしながら、多くの市民と人権擁護活動家がロシア検察総局と調査委員会に苦情を提出したにもかかわらず、警察部隊構成員の力の乱用、並びに許可を受けた大衆行動への妨害行為に対しては、いかなる告訴もなされなかった。
 当局は、反政権派に対する前例のない犯罪視と抑圧キャンペーンを始めるために、五月六日のできごとを何不自由なく利用できた。五月と六月、一二人が「公共の秩序の紊乱」という罪状で告訴され、他に二人が取り調べられた。すべての告訴は、刑法二一二条(「公共の秩序の紊乱」)の下でか、はなはだしくは三一八条(「治安部隊代表に対する力の使用」)の下に行われている。
 ロシアの反対派の二人の著名な人物であるセルゲイ・ウダルツォフとアレクセイ・ナヴァルニイを含む 多くの活動家が、目撃者の立場で尋問を受けるよう出頭を命じられた(そしてロシアの警察手法がわれわれに教えてきたように、人はまったく容易に、先の類型から被告訴人類型へと移されることが可能だ)。
 当局は、近年ではもっとも重要な政治的対応を準備中だ。もはやこのことには何の疑いもない。検事総局調査委員会から得られた情報によれば、一六〇人の目撃者が尋問に呼び出され、一二五〇人以上がすでに、告訴を目的に尋問された。多数の個人が逮捕されたか、あるいは、ある評価によれば、そうなりそうな人も数百人に上る可能性がある。
 世界中の数千人の支持者を巻き込んだ連帯だけが、そのような展開に対抗する助けとなることができる。
 モスクワでは、五月六日委員会がすでにその努力を始めた。それは、このような恥知らずな告訴と抑圧に終止符を打つことを要求する市民による働きかけだ。五月六日委員会の活動メンバー――政治組織、市民組織、人権擁護組織などのさまざまな組織を代表している――は、被告訴者の弁護人との恒常的な連絡を維持し、広報キャンペーンを行い、警察の抑圧に反対する行動を組織している。われわれは、世界中の政治組織、人権組織に向けアピールを発している。あなた方の連帯と行動意志にかかっているものは、すでにあるいはまもなく獄中に入る無実のデモ参加者数十人の運命だけではない。ロシアにおける対抗運動の未来もまた、当局の抑圧的猛攻を退けるわれわれの能力にかかっている。
 われわれの強さは連帯の中にある!
(「インターナショナルビューポイント」二〇一二年七月号)


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