6.14〜16万余の市民が首相官邸に怒りの抗議
原発ゼロまでもう後には退かない |
事態の急転回と
政府の最終決定
前号で報じた六月八日の野田首相の「再稼働すべし」という記者会見以後、事態は急速に動いた。六月一〇日には福井県原子力安全専門委員会で「安全を確保できる」とする報告書案が了承され、一一日には県専門委が西川福井県知事に報告書を提出した。翌一二日の西川知事の大飯原発視察を経て、六月一四日には時岡おおい町長が再稼働に同意し、福井県議会全員協議会が西川知事に態度決定を一任した。
そしてついに六月一六日午前、西川知事が首相官邸を訪問して大飯原発3、4号炉再稼働に同意し、続いて行われた関係閣僚会合で野田首相が再稼働を正式に決めたのである。
「自民党は二
つもいらない」
この間六月一一日から、首相官邸前では連日の抗議・要請行動が繰り広げられた。
六月一四日には「再稼働反対!全国アクション」が緊急に呼びかけた官邸前行動には三〇〇人が集まった。郡山市の森園かずえさんが怒りと悲しみに声を震わせながら、放射能被害で家族を引き離され、暮らしを破壊された福島の悲しみをおおい町の人びとに押し付けてはならない、と訴えた。
この日、参院の委員会では被災者支援法が全会一致で採択された。その報告のために駆けつけた民主党の谷岡郁子参院議員は、野田政権の原発再稼働方針に強く抗議するとともに、被災者支援法案の審議傍聴のために上京した「大熊町の明日を考える女性の会」の木幡ますみさんを紹介。木幡さんは全町避難を強制された福島第一原発立地の大熊町の町民の生活、第一原発で被ばく労働に従事する町民の家族の現実を切々と語りかけるとともに、一切責任を取ろうとしない政府や、東電を厳しく糾弾し、「安全性」について何の保証もないままに原発を再稼働することなど許せない、と訴えた。
さらにこの日、朝一番の新幹線に飛び乗って福井県庁に出向き、大飯再稼働を認めるべきでないと訴えた三宅雪子衆院議員も抗議行動参加者を激励するアピールを行った。三宅さんは「大飯再稼働」に慎重な姿勢を取るべきとする訴えに署名した国会議員が一〇〇人を超えたことを報告し、消費税増税でも自民党に全面屈服した野田政権を批判して「自民党は二つもいらない」と語った。
参加した人々からの訴えや、シュプレヒコールが行われる中で、一人一人の思いを伝える野田首相への申し入れ文が、内閣府の係官を通じて手渡された。
再び官邸周辺
ウォークで抗議
六月一五日には、首都圏反原発連合が定例的に毎週金曜日に行っている官邸前行動にはツイッターやフェイスブックなどを通して、実に一万一〇〇〇人が首相省官邸前の路上をうずめ、「大飯再稼働を許すな」の声で満ち溢れた。
そしてついに関係閣僚会議を通じた大飯再稼働正式決定の日の六月一六日。この日は、関係閣僚会合の開始時間に合わせて、午後に予定していた行動を前日になって急きょ時間を早め、午前九時からの行動にしたのだが、降りしきる雨をついて六〇〇人が参加した。
福島の女性たちも急を聞いて、官邸前に朝早くから結集した。午前一〇時から西川福井県知事が首相官邸で大飯原発再稼働についての県としての「了解」を伝えることになっている。官邸前行動の参加者たちの約半数は、六月九日の「官邸ウォーク」と同様に、首相官邸を一周するアクションをその場で決めた。首相官邸の前と裏から同時に抗議の声を叩きつけるのだ。約一時間かけたウォークは事実上、官邸を包囲するアクションとして成功した。
つづいて野田首相への「大飯原発再稼働をするな」という申し入れ文(別掲)が、内閣府の係官に手渡され、一二時過ぎまで参加者からの怒りの発言、シュプレヒコールなどが続いた、野田政権の焦りと危機感に駆られた、ひとかけらの正当性もない「大飯再稼働」にもかかわらず、「原発運転ゼロへ」「脱原発へ」の世論と運動は決して衰えを見せてはいない。馬脚を現し、追いつめられているのは原発推進勢力の方だ。
七月一六日の代々木公園一〇万人大集会を成功させ、歴史を変える闘いに打って出よう。原発は止められる! (K)
野田佳彦内閣総理大臣への申し入れ
絶対に大飯原発3、4号機の
再稼働を決定しないでください 野田総理大臣、本日の関係閣僚会合であなたは大飯原発3、4号機の再稼働を決定するとのことですね。私たちは、この決定に心の底から怒り、抗議します。
あなたが6月8日に行った記者会見の内容は本当にひどいものです。メチャクチャです。
あなたは「福島を襲ったような地震・津波が起こっても、事故を防止できる体制は整っている。すべての電源が失われるような事態でも、炉心損傷にいたらないことが確認されている」と言います。どうしてそんなことが言えるのですか。福島原発事故の原因さえまだ明らかになっておらず、新しい「安全基準」さえできていないのですよ。その一方であなたは「実質的に安全は確保されているものの、政府の安全基準は暫定的なものである」ことを認めています。矛盾しているとは思いませんか。「暫定的な安全」などというものはありません。それはつまり「安全」ではないということです。「炉心損傷にいたらないことが確認されている」ですって? そんな確認など誰もできないはずです。なぜあなたはそんな断言ができるのですか。無責任の極みです。
あなたは「国民生活を守る」「日常生活への悪影響を避けなければならない」「電力価格が高騰すれば、中小企業や家庭に影響が及び、空洞化が加速して雇用が失われる」と私たちを脅しています。ちょっと待ってください。中小企業の経営危機・倒産、雇用の喪失・失業は「電力不足」のせいだったのですか。倒産・失業・貧困の拡大の原因はまったく別のところにあります。それは民主党が批判していた小泉型「構造改革」政策のためだったのではないでしょうか。
あなたは「私たちは大都市における豊かで人間らしい暮らしを電力供給地に頼って実現してきた。私たちは立地自治体への敬意と感謝の念をあらたにしなければならない」と言います。大都市の経済成長を支えるために過疎とされた地に原発を押し付け、「交付金」でがんじがらめにし、農漁業の基盤を破壊し、地域を分断して原発ぬきでは生活できない状況を作り出し、ついには福島原発事故で住民の暮らし、健康・命を奪った上に、原発立地の人びとに「感謝と敬意」を払えですって? それこそ欺瞞に満ちた差別の固定化です。あなたは「感謝と敬意」を代償に、今後も不安に満ちた暮らし、放射能による健康と命の破壊を原発立地の住民や原発で働く労働者に押しつけ続けようというのですね。
もうたくさんです。あなたには福島の原発被災者の苦しみが見えていません。「いのちよりもカネ儲けが大事」なのですね。私たちはあなたに多くを望むつもりはありません。大飯原発再稼働の意思を撤回し、原発を一つも動かすな、ということだけです。
再稼働反対! 全国アクション
2012年6月16日
6.17福井市で大飯再稼働反対集会
2200人が原発止めろの意思表示
いのちが大事福井でつながろう
六月一七日、福井市の福井中央公園で「いのちが大事 今なぜ再稼働? 福井でつながろう」集会が同実行委員会主催で開催された。前日の野田政権「関係閣僚会合」による大飯原発3、4号機再稼働正式決定への怒りをみなぎらせて福井をはじめ、関西、東海、関東、福島、そして次の再稼働候補に上がっている伊方原発のある愛媛からも労働者・市民・学生たちが参加し、二二〇〇人以上の集会・デモが行われた。
東京からは「経産省前テントひろば」が呼びかけて、二五〇人が夜行貸切バス六台で福井現地に向かった。東京からの参加者たちは午前九時から福井市社会福祉会館で「原発再稼働を許すな! 決定を撤回せよ 関西電力は再稼働をやめよ 福島・福井・伊方・東京圏他の交流集会」を開催。
福井からは「サヨナラ原発福井ネットワーク」、伊方から「原発さようなら四国ネットワーク」、福島から「原発いらない福島の女たち」などが発言。東京からは「経産省前テントひろば」、たんぽぽ舎、反原発首都圏連合、反原発自治体議員・市民連盟、再稼働反対!全国アクションがそれぞれの活動を報告した。また鎌田慧さんも「論理も理由もない再稼働はいずれ墓穴を掘ったことが明らかになる。そのことを明らかにするのが民衆の力でありその力をさらに積み上げていくことが必要だ。かつての運動は波が引いていったが、三・一一の福島を経験した脱原発の運動は過去を繰り返さない。七・一六集会の大成功で、そうした新しい運動の次元を切り開こう」と強調した。
一二時から福井市中央公園で開催された「福井でつながろう集会」では中島哲演さん、鎌田慧さんや小林圭二さん(元京大原子炉実験所講師)が発言。さらに参加者が一分間アピール。その数は八〇人に及んだ。
集会終了後、福井県庁を通り福井城跡を一周するデモを行った。なお東京からの参加者の一部は、翌日朝の現地抗議行動のためおおい町に向かった。
(詳報次号 K)
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