「暫定的・臨時的」な運転ではない
生命と引き換えの「経済の論理」にNO |
稼働原発ゼロに
恐怖する財界
関西電力大飯原発3、4号機の再稼働に向けて事態は急展開している。五月三〇日夜に開かれた関係閣僚会合(野田首相、枝野経産相、細野原発担当相、藤村官房長官で構成、仙谷民主党政調会長代行と斎藤勁官房副長官も出席)で、野田首相が「関係自治体の一定のご理解が得られつつあると認識している」とした上で「立地自治体の判断が得られれば、最終的には四大臣会合でしっかり議論し、最終的には総理大臣である私の責任で判断する」と語ったのである。福井県安全専門委員会の審議の結論が出ず、おおい町長、福井県議会、福井県知事の了解がいまだなされていないにもかかわらずである。
四月五日、六日の関係閣僚会合で「再稼働のための安全対策」のための「暫定基準案」なるものが提示され、四月一三日の同会合では大飯原発3、4号機の再稼働が「妥当」と判断された。翌四月一四日には枝野経産相が福井入りして西川福井県知事らに「これまで基幹電源として電力供給を担ってきた原発を、今後も必要な電源として活動することが重要」と訴えた。それから、すでに一カ月半以上が経っていた。
その間、五月五日には北電の泊3号機が停止し、ついに日本で運転中の原発はゼロになっていた。原発再稼働に反対する意見は、あらゆる世論調査で過半数を大きく上回っていた。
こうした中で原子力推進派、とりわけ原発への依存率が最も高い関西電力と関西財界の資本家たちの焦りといらだちは極限にまで達していた。また福井県の側では、下駄を預けられた形で地元の合意取り付けへの責任を負わされることに対して不満がつのり、政府の明確な意思表明と近隣諸府県への働きかけを求めるようになっていた。
大飯原発再稼働に向けた関西電力・関西財界の焦りは、何よりも原発を動かさなければカネにならないという経営的動機に発したものである。さらに「原発稼働ゼロ」のままでこの夏を乗り切ることになれば、今後も原発を基幹電源とすることを方針とし、「アジアの経済成長を取りこむ」ことを成長戦略に据えた支配階級にとって、そのための重要な軸の一つになる「原発輸出」の展望に深刻な事態を引き起こすことになるからである。山場を迎えた「エネルギー基本計画」や新原子力大綱の策定にとっても、「原発ゼロ」の既成事実化は、原発依存勢力にとって致命的なマイナス要因になり、脱原発世論の勢いに拍車をかけることになるだろう。
大飯再稼働問題は、まさに「五・五」以後の最初の正念場である。
言うまでもないことだが、関西電力の「電力足りない」論には根拠がない。労働者・市民の側は、おしきせの「節電」キャンペーンではなく、超長時間労働の強制や無駄な電力浪費をカネ儲けの源泉にする社会・経済構造を変革する闘い、すなわちエネルギー浪費で成り立つ資本主義社会を変える展望をもって闘いを進めていくだろう。
福島原発事故が示すように、原発に依存するエネルギー浪費社会とは、資本の利潤のために生命と健康、民主主義と人権、環境を破壊してやまない社会である。「安全な原発」はありえないし、原発の「安全性を確保する基準」など作りようがない。交通機関の「安全基準」と原発の「安全基準」を同列に扱うことなどできない。絶対にゼロにはなりえない事故が起きた場合の影響は比較することなどできないからである。
関西広域自治体
連合の茶番劇
野田政権が五月三〇日に「再稼働への政治決断」の意向を明らかにした条件となったのは、同日鳥取県伯耆町で行われた関西広域自治体連合(二府五県と政令指定都市)の首長会議に細野原発担当相が乗り込んで「説得」したことである。細野は、四月の閣僚会合で決めた「大飯再稼働」のための「安全基準」はあくまで「暫定的」なものであり、「原子力規制庁発足後の新たな安全基準で再稼働が適正でないとされれば、原発を止めることもありうる」「経産副大臣を現地に常駐させる」などと述べ、関西広域連合の側はこの政府の説明を事実上承認する「声明」を発表した。本来ならば四月一日には発足するはずだったが、たなざらしになっていた原子力規制庁を設置する法案の審議も、大飯再稼働への煮詰まりと軌を一にして開始された。
関西広域連合の声明は、大飯3、4号機の再稼働について「暫定的な安全判断であることを前提に、限定的なものとして適切な判断をされるよう強く求める」との言い回しで、夏に向けた大飯原発再稼働を容認したのである。
大飯再稼働に異論を唱えてきた嘉田滋賀県知事は「臨時的な再稼働はやむをえない」「経済界の『夏を乗り切れない』という悲痛な声も斟酌した」と、態度転換を正当化した。再稼働反対の「急先鋒」として、「民主党政権を倒す」とまでアジっていた橋下大阪市長にいたっては「うわべや建前論ばかりいってもしょうがない、事実上の容認です」「正直、負けたと言われても仕方がない」と「民主党政権打倒」の主張をあっさりと引っ込めるほどの豹変ぶりである。
「関西広域連合」の首長たちは、大飯原発再稼働の容認は、あくまで「暫定的・一時的」なものであって「安全基準」そのものを認めたわけではなく、「秋以後も政府が原発の稼働を続けた場合は、世論に訴えかけてストップをかける」(橋下大阪市長)と弁明している。しかし、問題はかれらの「暫定的・一時的容認に過ぎない」とする立場が、明確な「脱原発」の戦略に裏打ちされたものではないことだ。
「夏だけやむを得ず容認」として原発稼働にOKを出す立場が繰り返されるのであれば、いつまで経っても「脱原発」が実現できるわけがない。それは原発依存を恒久化することにしかなりえないのである。
われわれは、こうした首長たちの危ういパフォーマンスに依拠するのではなく、確実に「脱原発」をめざす労働者・市民・住民の運動の力で自治体を作り変えていく力を蓄積・発揮していこうとする。 現地と結び政府
の暴挙STOP
この間、おおい町では「再稼働反対」のテントが張られ、地元住民への説明会では反対や不安を語る意見も続出し、さらに「福島の女たち」も駆けつけた反対運動の側からの「説明会」にも多くの町民が参加して耳を傾けるなど、「賛成一色」であるかのように報じられてきた状況に変化のきざしが見えつつある。
「五・五」以来ストップしている日本の原発を再び動かすことで、反原発・脱原発の流れを押し戻すことが危機に直面する原発推進勢力の至上命題であり、国策としての原発にしがみついてきた権力ブロックにとって退くことのできない生命線である。
七月一六日の「一〇万人大集会」を成功させ、「脱原発」の趨勢を決定的なものにするためにも、当面する大飯再稼働阻止の闘いに力を注ごう。
(六月四日 純)
5.27 あかんで大飯・伊方の再稼働
脱原発への逆流を止めろ
二五〇〇人で関電にデモ
【大阪】三月の爆発後、「補強」で辛うじて支えられている福島第一原発4号機の燃料プール。次の大きな地震(日本は地震列島!)で倒壊すれば水が抜け、大火災、大爆発という大惨事の悪夢が現実ともなる。「再稼働なんてとんでもない、プールの方を早くなんとかしろ、夏の電力云々どころじゃない」と多くの人々(日本だけじゃない)が今、思っている。
五月二七日、「あかんで!大飯・伊方の再稼動5・27関西行動」(同実行委員会主催)が扇町公園で開かれた。
福島・福井から
連帯のアピール
最初に、主催者を代表して小林圭二さん(元京都大学教員)が次のようにあいさつした。
「細野大臣は福島第一原発4号機を視察して、『これで地震がきても大丈夫』と言ったそうだが、何の気休めにもならない。避難住民の生活支援や賠償も全く進んでいない。再稼働はとんでもないことだ。周辺自治体は反対しているので、政府は立地自治体だけを頼りに再稼働しようとしている」。
「その大飯町では、町民は原発経済でがんじがらめになって、物も言えない状況にあった。だが、昨日〈もう一つの住民説明会〉を行ったところ、昼・夜合わせて六〇人の町民が参加してくれた。一昨日、関電本社で交渉が行われ、東電福島第一の原発にはあった、そして助けになった様々な安全装置が、大飯3・4号機には全くないということも分かった。再稼働は絶対に許すわけにはいかない。政府は大飯を突破口にして、全国の原発を再稼働しようとしている。大飯と、もう一つ心配なのが伊方だ。ここで六月一〇日、全国に呼びかけて大集会をやるので参加してほしい。再稼働は許さないぞ、という大きな声と行動を示そう」。
続いて、椎名千恵子さん(子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク)が詩を紹介した後、「大人の五倍も感受性が高い子どもたちだけでなく、大人でさえ実害が目に見えてきている。もう再びフクシマを繰り返してはならない。今ここで大飯を止めなければ、伊方に移り、全国の原発が再稼働という事態になってしまう。フクシマから学んでほしい。体をはって再稼働を阻止しよう」と力強いアピール。
また、山崎隆敏さん(サヨナラ原発福井ネットワーク)も次のように訴えた。
「福井県では、県議会で全協(全員協議会)が開かれれば、それが議会の意思となり、知事が表明することになる。ところが、知事は近畿圏の首長の動向や福井県民の世論(四割反対、三割賛成)を窺っている。ここで知事選をやれば、落選するからだ。六月二〇日から県議会が始まるが、それまで全協をくい止めることができれば、夏は突破できると思っている」。
「私たち自身の力を信じたい。福井の原発の半分以上が三〇年以上の寿命を超えている。福島の事故がなくても、もっと早く脱原発を見越したプロジェクトを立ち上げるべきだった。大飯町の財政を調べると、借金は少なく、他の自治体と比べても三倍ぐらい預金を持っている。これを当面の経済再生の基金とすべきだ。原発に依存していてはこれからもずっと自立できない。関西の皆さんと一緒にがんばっていきたい」。
勇気を出して
発言しよう
メッセージ(原発サヨナラ四国ネットワーク)の紹介の後、多田悦子さん(WBA女子世界ミニマム級チャンピオン)が「福島の人たちもがんばっているし、ここで止めなければならないと思う。子どもの笑顔が大人の活力になるし、大人の笑顔が子どもの活力になる。放射能をなくそう。勇気を出して、止めようと言おう」とアピール。
また、集会に駆けつけた服部良一さん(社民党・衆議院議員)が「SPEEDIのデータ提出を求めている滋賀県知事に対し、文科省は拒否している。再稼働はするが情報は出さないというのは許し難い。国会では、来週から『規制庁』のあり方や『四〇年炉』をめぐっての審議が始まる。しかし、原子力委員会の秘密会議が明らかになった。また、伊方裁判(二〇〇六年)にからんで、原子力安全・保安委員が原子力安全委員会に対して、古い基準のままでも大丈夫だという通達を出すように圧力をかけていたことも判明した。こんな連中が『規制庁』に行って何をするのか。日本のエネルギー政策を脱原発に転換させなければならない。大飯原発の再稼動を阻止しよう」と語った。
Kayoさん、脱原発レンジャー隊の唄があり、最後は集会決議。夏を思わせるような暑い日だったが、関電本社前を通って西梅田まで元気なデモが続い (努)
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