一坪共有地運動
破壊策す攻撃
三里塚大地共有委員会(U)と 三里塚空港に反対する連絡会は、横堀農業研修センターで「横堀・団結小屋破壊を許さない!5・20三里塚・横堀現地集会とデモ」を行い、六〇人が参加した。
成田空港会社による三里塚闘争への敵対を忠実に代弁する東京高裁第9民事部(下田文男裁判長)は、四月二五日、横堀・団結小屋破壊裁判(建物収去土地明渡請求事件)で反対同盟に対して横堀・団結小屋撤去と土地明け渡し、原告(尾野勇喜雄(元横堀農民だが実質は空港会社)の仮執行を認める不当判決を言い渡した。
高裁は、団結小屋の所有者をなんとしてでも反対同盟のものにするために「総有」(多数の者が同一の物を共同で所有する場合の一つの形態で各自に持ち分や分割請求権もない)論を強引にあてはめ、支援によって建設・維持されてきた歴史的経緯を捻じ曲げた。空港会社にとって団結小屋が反対同盟の所有でないと提訴の前提自体が瓦解してしまうからだ。
空港会社のねらいは、大地共有委員会(U)の連絡先でもある横堀・団結小屋を破壊し、住民を追い出し、一坪共有地運動を破壊するためにある。逆に言えば、それだけ一坪共有地運動が空港会社に打撃を与え続けていることを証明している。
さらに一坪共有地を強奪するために現闘本部共有地裁判、柳川秀夫さん持分裁判、横堀共有地(鉄塔前のくぼ地)裁判の控訴審が闘われているが、木の根ペンションとプールの共有地、横堀大鉄塔と団結小屋、案山子亭、横堀研修センターなどの闘う拠点への破壊にまったく着手できないでいる。東峰地区住民への追い出しを許さず、闘う拠点を防衛し、空港会社を追い詰めていこう。
福島や沖縄に
通じる闘いだ
集会は横堀研修センター内で行われた。
横堀・団結小屋住人の山崎宏さん(労闘―労活評現闘)は、団結小屋破壊裁判の経過報告と不当判決を批判し、「三里塚闘争の初心を貫いて闘っていきたい」と発言した。
加瀬 勉さん(三里塚大地共有委員会<U>代表)は、「今日は、一九七八年五・二〇開港阻止決戦を戦った日だ。四〇年闘う決心は変わらず、闘いを進めていく。いっそうの奮闘を誓い合おう」と力強く訴え、「決意表明」(別掲)をアピールした。
清井礼司弁護士は、高裁不当判決後、上告するとともに今後の闘いの方向性を提起し、「判決で仮執行がついたので土地明け渡し、団結小屋破壊の強制執行が可能となった。原告の手続き後、裁判所の執行官がいつまでに退去せよと山崎さんに通告に来る。退去拒否状態の場合、二回目に着手する。民間業者が荷物移動などを行い、警察に警備要請する。不当弾圧が予想されるが、ともに抗議していきたい。三里塚闘争の大儀を掲げて闘っていこう。福島、沖縄に通ずる闘いだ」と強調した。
集会後、デモに移り、元辺田公会堂跡を折り返して研修センターに戻るコース。横堀一帯に「団結小屋破壊を許さない!三里塚空港粉砕!」のシュプレヒコールを響かせた。
デモ後、横堀大鉄塔に移り交流会。渡邉充春さん(関西・三里塚闘争に連帯する会、東峰団結小屋維持会)から関西新空港反対運動と一坪共有地運動の取り組みなどを報告。さらに長野から駆けつけたたじまよしおさん、木の根プロジェクト、田んぼくらぶから発言があった。 (Y)
決意表明
命の尊厳取り戻す
加瀬 勉(三里塚大地共有委員会<U>代表)
四・二五横堀団結小屋撤去東京高裁不当判決に断固として抗議する。我々は四・二五横堀団結小屋撤去の不当判決に絶対に承服できない。
事業認定取り消し訴訟に始まる三里塚空港反対闘争四〇年余の闘いのなかにおける幾多の裁判は、三権分立・司法の独立とはほど遠い政治裁判であり、階級支配の裁判であり、権力の弾圧裁判での歴史であった。今回の東京高裁の判決も同じものである。我々はこの不当判決に一度も屈することなく徹底的に戦い抜いてきた。これからも戦い抜いてゆく。これが我々の決意であり、基本的な態度である。
我々は国家の空港建設という巨大開発に先祖伝来の農地を奪われ、山野を奪われ、家を破壊され、多くの三里塚の部落は消滅し、また、多くの農民は村を追われ離散していった。我々はこの国家権力の暴力的政策に生死をかけ徹底的に抵抗してきた。いま、福島の原発事故により、東北、関東の広範な地域の人たちが三里塚の農民の運命と同じくすることとなった。
我々三里塚の農民は反原発を呼びかけ、共闘し、原子力船むつの廃船を目指して人民の船を大海に出航させ「むつ」を追跡し廃船に追い込んだ。フランス・ラアーグからの核再処理輸入阻止の行動にも立ち上がった。
以来、今日まで反原発の闘いをつづけてきたが、原発安全神話とその政策を阻止することはできなかった。福島の原発事故の悲劇を阻止できなかったことは痛恨のきわみである。我々は自己の人間としての全存在と良心の全てかけてこの悲劇を克服するために新たなる戦いに立ち上がらねばならない。
民主党政権、野田内閣は理念なき内閣であり、信念なき迷走内閣である。自民党にすりより、政権にしがみついてゆく反動的政府である。我々は彼らが言う国策である三里塚ハブ空港化を阻止した。
然るに三〇万回発着。格安航空便によって野望を成し遂げんとしている。一坪共有地の金銭買収、あるいは横堀団結小屋強制撤去等の強権政治を四〇年一日の如くおこなっている。三里塚空港建設の失敗を省みず、福島の原発事故の悲劇を教訓とすることができず、原発の技術の輸出、原発の再稼働など亡国の政策を推進せんとしている。我々は、この野田内閣の亡国政策に対決し、その政策を廃棄させなければならない。
二〇世紀の科学文明は侵略戦争と広島、長崎の原爆の悲劇をもたらした。二一世紀の科学文明の始まりは、福島の原発事故の悲劇をもたらした。広島、長崎、第五福竜丸の被爆、チェルノブイリ、スリーマイル、福島の悲劇を教訓として巨大開発や大資本の暴走を阻止し、人間の命の尊厳を護り取り戻し解放するために、その崇高な歴史的使命と責任を果たしてゆかなければならない。三里塚一坪共有者一一一〇〇名。大地共有委員会は、その先頭に立って戦うことをここに表明する。
5.16共通番号法と人権を考える院内集会
社会保障の給付抑制と盗聴
監視社会化の狙いを暴こう
五月一六日、反住基ネットが主催して「共通番号法と人権を考える院内集会」が衆院第一議員会館で開催された。この日の集会は「社会保障と税の一体改革」と一体となって提出された「共通番号法案」の審議強行に反対するため。
この法案は住民のさまざまな個人データを生涯変わらない一つの識別番号(マイナンバー)で管理しようとするもの。これによって、国と地方自治体が所管ごとに収集してきた市民一人ひとりの税や社会保障に関する個人情報を住基ネットをベースに一元的に管理することが可能となり、言論・表現の自由への萎縮につながることが危惧されている。それは個々人のプライバシー権の侵害と監視社会化、民間業者や公安警察による個人情報の利用につながるものだ。この法案に対しては日本弁護士連合会や主婦連、日本ペンクラブからも反対の声明が出され、批判の声は社会的広がりを見せている。
反住基ネットの宮崎俊郎さんから法案をめぐる状況が報告された後、白石孝さん(荒川区職労)が三〇年間の闘いを振り返りながら「共通番号の持っている意味の大きさがまだ十分に知らされていない。批判の声をさらに社会的に広げて廃案に追い込もう」と訴えた。
国会議員からは佐藤夕子(減税日本)、塩川鉄也(共産党)、服部良一(社民党)各衆院議員が発言。塩川議員は「秘密保全法案と共通番号法案は両方とも内閣委員会付託となった。有識者会議での議論の下敷きは外務省、防衛省、警察庁などが担当していることにもこの法案の性格が透けて見える。実際に提供される住民サービスは現行のもので対応できるのであり、被災者支援にもなんで番号が必要なのか。初動だけで六〇〇〇億円も要する共通番号制に税金を使う必要などない」と語った。服部議員は「税と社会保障の一体改革」を理由にした「共通番号制」について「国民からいかに税金を取り、国民をいかに管理するかというものだ」と批判した。
外国人と共生
する社会へ!
自由人権協会の旗手(はたて)明さんは移住連入管対策会議として発言。
「今年七月九日には改定入管法が施行され外国人登録法が廃止されて、入管法に一本化される。共通番号制は日本人だけでなく外国人にも適用される。この間、『テロとの闘い』を名目に、二〇〇二年には『オーバーステイ』の者を五年間で半減させることが打ち出され、二〇〇五年にはアメリカに続き外国人入国者の顔写真撮影制度が強行された。出入国管理と在留管理が一体的に強化された」。
「住基ネットの最高裁判決は、個人情報のデータマッチングがなされないから合憲というものだった。しかし改定入管法では外国人のすべての情報はデータマッチングの対象だ。外国人は潜在的犯罪者という考え方がここに示されている。人びとをカテゴリーに分けて別々の管理方式を取ることで権力は利益を得る。外国人でも特別在留者、労働ビザの取得者、在留資格のない人といった区分がなされる。労働ビザ所持者には在留カードで徹底管理し、在留資格のない人は厳しい排除の対象となる。雇用した経営者にも不法就労助長罪が適用される。われわれは『いかに外国人と共生する社会を作るのか』という選択と『もっぱらセキュリティーを重視するのか』という選択が突きつけられている。これは外国人だけの問題ではない。外国人への共通番号制の影響についてぜひ議論してほしい。監視社会はマージナル(周縁的)な人びとを追いつめるのだから」。
さらに「なくそう婚外子差別、つくれ住民票」訴訟の菅原和之さん、神奈川保険医協会、日本ペンクラブの篠田博之さん、日弁連、盗聴法に反対する市民連絡会の角田富夫さんからの発言を受けた。
神奈川保険医協会の方は「共通番号制は新自由主義的な社会保障の給付抑制と一体的なもの」と批判し、角田さんは「自民党案では『なりすまし』排除のためと称して写真・指紋をカードに添えることを主張しており、さらに民間利用も認めるようにしている。共通番号制は盗聴・監視社会化の一挙的推進であり、国民総番号制そのものの実現であり、憲法改悪と一体の攻撃だ」と警鐘を乱打した。
(K)
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