9.16おおさか社会フォーラム・ワークショップから
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―― 平和なアジア太平洋の未来を展望
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【大阪】おおさか社会フォーラム実行委員会主催ワークショップ「基地のないもうひとつの世界は可能だ」―平和なアジア・太平洋の未来を展望する―が、フォーラム二日目の九月一六日に行われた。
前半は四人のゲストが意見を発表し、後半は意見交換と若干の質疑応答があった。
沖縄・韓国と
反基地の闘い
大湾宗則さん(京都沖縄県人会会長。高里鈴代さんは台風で参加できず)は次のように語った。
「一〇万人の九・九県民大会は、オスプレイ配備反対、普天間即時閉鎖・撤去を要求した集会だったが、集会というより戦だった。この青い海・空は沖縄の人々のもの。日本政府のいけにえとしての沖縄は自分たちの世代で終わらせたいという気持ちで、四一市町村、財界も労組も、全駐労も軍用地地主も参加した」。
「オスプレイが配備されるなら逮捕覚悟でゲート前に座り込む決意だ。米軍は住民を守らない。オスプレイは抑止力?否だ、たかだかオスプレイごときで。だが、大変な攻撃兵器だ。格差が開き、世界どこでも改革を求めて政府に要求する状況がある。オスプレイはこれを弾圧するためのもの。イラク・アフガンで配備された。オスプレイ配備反対と同時に地位協定をあらためることを一緒に考えたい」。
そして(レイプ事件関連の質問に対し、「一九五五年由美子ちゃん事件、初めて本人の告発により明らかになった一九九五年の少女暴行事件に触れ、泣き寝入りを許している日本社会・沖縄社会を変えねばならない」とつけ加えた。
李俊揆さん(イ・ジュンキュ、韓国平和ネット運営委員)。
「現在は、韓国・中国・日本で権力再編の時期。中国の力が浮上し米国のヘゲモニーが弱まった、G2の時代の到来だ。北朝鮮の核問題は、朝鮮半島の核問題のひとつと見るべきだ。韓国も米国の核の傘の下にあり、韓国にも核主権論がある。オバマ政権は、北朝鮮とイラクへの核先制攻撃政策を変えてはいない。北朝鮮が核を放棄すれば東アジアに平和は来るのか?」
「米国はヘゲモニーが弱体化した分、同盟国である韓国や日本に人的・経済的な負担をさせようとしている。韓国では、比較的民主的だったノ・ムヒョン政権の時、韓米の戦略的柔軟性を確認している。これは、駐留しなくても米軍が韓国で自由にできるということだ。
韓国の防衛は韓国でさせる。米軍基地は停戦ラインから遠く南の平沢に移し、今済州島の最南端に海軍基地を建設しようとしている。空母もイージス艦も着岸できる。こんなものがなぜ必要なのか。抑止力というより、紛争の火種だ。米国の利権のための戦争に巻き込まれるかもしれない。日本は平和国家を、韓国は南北統一平和国家をめざすべきだ」。
フィリピンと
グアムから報告
コラソン・ファビュラスさん(外国軍事基地廃止のための国際ネットワーク組織委員会)。
「 フィリピンは原発計画を進めている。二一年前に米軍に基地提供を拒否した時に、憲法に核を置かないこと(二条)、外国軍基地提供は国民投票で決める(一八条)を明記した。基地の跡地には経済特区をつくって産業を誘致し、撤去前は軍労働者が六〇〇〇人だったが、現在は約九万人の雇用が生まれている。確かに環境問題などはあるが、跡地利用は良かったと思う。ところが、最近米軍が戻ってきた。駐留ではなく共同演習などの時、民間施設や土地を米軍が使う協定ができている。必要に応じて来る方が経済的だ。これは、駐留時代より悪い状態かも? 確かに、軍事基地の撤去はもうひとつの世界への扉ではあるが」。
「中国との領土問題(南沙諸島)について少し。この問題についてはナショナリズム的な風潮もあるが、フィリピン軍の近代化の口実に利用されている。背景には軍事産業の要求がある。透明性のある外交で解決すべきだ」。
リサ・リンダ・ナティヴィダットさん(グアム平和と正義連合議長)。
「グアムの米空軍・海軍基地は米軍の戦略拠点だ。沖縄海兵隊のグアム移転のことを何も知らされなかったのは、グアムが米国の植民地である証し。グアムは世界で最も長期の植民地だ」。
「マーシャル諸島での米国核実験では、グアムは危険水域の円の中心にすっぽり入っていて、実験後の降雨で放射能に汚染されたが、はじめは何も知らされなかった。ガンの死亡率はとても高い。米軍基地は島の三分の一を占める。北部地区での実弾演習計画に反対し、裁判で勝訴して止めた。本国からの交付金は本国の州の七分の一で、グアムの経済的自立が阻まれている。グアム移転費として日本から支払われる一〇〇億ドルの中から上下水道整備に使うといわれているが、病院や教育に使ってほしい。米軍事予算は削減されたから、グアム移転は早くは実現しないだろう」。
平和構築を
めぐる討論
大湾さん
「オスプレイ反対の根拠のひとつは、危険であるということ。防衛省作成の宣伝パンフには、オスプレイはエンジン停止後はゆっくりとグライダーのように滑降して降りる、また、オートローテーション機能もあると書いてある。これはすべてでたらめだ。重いオスプレイは、エンジンを止めたらドスンと落ちる。DH46ヘリの四倍の重量を持ち上げるため大きなプロペラが必要で、そのため、プロペラは水平に倒せない。倒したら地面にぶつかる」。
「オスプレイ反対にはもうひとつの根拠がある。ベトナム戦争で米軍ヘリが多数撃ち落とされた反省から、すぐ行って攻撃しさっと引き上げるためのヘリの開発が求められた。それがオスプレイだ。オートローテーションはついていないから、空港では使えなかった。九・一一後この条件が削除され、〇七年初めてイラクに実戦配備された。オスプレイの開発費は二兆円、その部品は全米で生産していてる。だから危険だからではやめないのだ。日本もアジアに守る権益をもっている」。
リサさん
「グアムの場合、植民地下で基地の問題が起きた。私たちは、基地撤去というより植民地からの脱却をめざしている。もうひとつは、基地のためには土地をもうこれ以上奪わせないことだ。将来についての私見は、ミクロネシア(独立しているが、米国に依存)と完全独立の中間だ。私たちは国連の非植民地委員会に通っているが、沖縄の人も来ていた」。
「チャモロ人は初めは九〇%だったが、現在は四〇%ぐらいだ。外国からの流入が増えている。チャモロの人口比を減らす政策もある。一方、グアムから米本土に移る人も多い」。
領土紛争を
どう見るか
李さん
「韓国の米軍基地は数の上では確かに減少してきているが、米軍の存在意義は減っていない。米国と合意された戦略的柔軟性は、北が有事のとき米軍がすぐ介入できることにつながる。韓国ではソウル市内の米軍基地移転からはじめて韓米の戦略的同盟(軍事のみならず、価値観・市場経済・自由主義など)関係に合意した。日本は橋本政権の時、新ガイドラインで合意してから、全体計画をつくった。済州島海軍基地は海洋紛争に迅速に対応するための米韓互いの利益のための基地だ」。
「領土問題では、客観化するのはむずかしい。独島は竹島といわれているが、独島に竹は生えていない。竹が生えているのは鬱陵島だ。韓国から見ると、領土問題としてあるのは独島だけだから、熱もこもる。独島は一九〇五年に島根県に編入されたが、当時朝鮮には外交権はなかった。李明博大統領の独島についての主張は支持されているが、歴史問題で日本に譲歩した彼がなぜ突然独島に行ったのかには疑問を持つ人が多い」。
コラソンさん
「フィリピン軍と米軍の共同演習はそれぞれ七〇〇〇人規模。上陸演習やレインジャー演習を、ミンダナオ島などで対テロ戦争訓練としてやっている。また、特殊部隊が目的はわからないが、土質や水・鉱物資源の探査をやっているし、住民にコンピュータの使い方を教えたり医療援助もやっている。これは住民には魅力的だ。スービックやクラークをもう一度使いたいと米国が申し出ているようだ。グアム移転の規模縮小で浮いた四〇〇〇人の海兵隊のうちの二〇〇〇人をフィリピンに移すという計画があり、政府は憲法の見直しを考えている」。
大湾さん
「沖縄県議会は、尖閣諸島は我々のものだといっている。南西諸島に自衛隊が出てくるという話もある。九・九県民集会にぶつけて『オスプレイは必要、尖閣守れ』で幸福実現党が集会をした。県民には漠然とした不安感がある」。
「県人会でも論議している。尖閣問題はいい、しかし領土問題というとらえ方は間違いだ。日本は、一九〇四年九月に清国北洋艦隊を破り、日清戦争の終戦直前の一九〇五年一月に領有を閣議決定したが、万国公法にはのせなかった。万国公法では実効支配があるかどうかが基準だが、閣議決定を根拠にすると沖縄琉球処分の事実を無視することになる」。
女性への暴力
と植民地支配
以下質問に応えて。
コラソンさん
「フィリピン軍の装備には米国の許可が必要だし、装備展示は米国の利益になる。共同軍事訓練でフィリピンに米軍費用の負担はない。共同訓練は武器取引のビジネスチャンスでもある。相互運用性というのは武器を買わせるということだ。米西戦争と独立闘争では五〇〇万人中一五〇万人が死亡したが、第二次大戦で米軍に解放されたという意識が強いので、この歴史は教科書に記載されていない。日本との戦争による戦争犯罪・被害については教科書に出ている。日本軍に慰安婦にされた数百人の女性に対する謝罪はない。米軍基地のあった頃のレイプ事件は、申告罪であるため一件をのぞいてなかった。その一件は、被害者が告発したが、犯人は大使館に逃げ処罰されなかった」。
李さん
「韓国の問題は戦後処理というより、植民地問題だ。日韓併合条約の法的地位について、日韓条約締結のときは曖昧にされた。だから、もう一度リセットされるべきだ。韓国の慰安婦問題については、解決の努力をしていない政府の責任を裁判所が指摘している。アジアの非核地帯構想については、六カ国協議を踏まえ、日本が提起すれば韓国も北朝鮮も反対はないはずだ。今までやってきたことに何の成果もなかったことを考えればわかるはずだ」。(T・T) コラム
「弁護士と良心」
『朝日新聞』に連載されている「プロメテウスの罠―脱原発の攻防I」を読んで浜岡原発差し止め訴訟の弁護団長をつとめる河合弘之がどのような経過で脱原発運動に加わることになったのか初めて知った。
「河合の仕事先の経営者が、匿名で高木の活動を支援したいとして、高額の寄付金を河合に託した。『それを渡すために高木さんに会った。話を聞くうち、原発をなくすことが大切だと思うようになった』…『会うたびに、心が洗われる気がしたんです。それで、仲間に入れてくださいと頼みました』。(こうして)弁護士として、全国の原発訴訟に関わることになった」。そして今年三月、河合弘之は東電の経営者・幹部を相手取って五兆五〇〇〇億円にのぼる賠償支払いを求める株主代表訴訟の原告側弁護団長を引き受け、福島原発告訴団にも名前を連ね、NPO法人「原子力資料情報室」にも理事として参加している。
だが私がさらに驚いたのは河合弘之は「ビジネス弁護士」として名をはせていたという事実である。先日車中で手にした雑誌の記事によると国際航空事件や平和相互銀行事件を手がけ、秀和対いなげや・忠実屋訴訟・第三者割り当て増資阻止の訴訟ではひとりで勝訴を勝ち取ったと書かれている。「ビジネスの弁護士」として三五人もの弁護士を抱えている弁護士事務所のオーナーでありながら、ほとんどの裁判が「手弁当」の反原発訴訟に身を投じたのである。
周囲の協力があったとは思うが、一から原発・核問題について勉強し、電力会社、メーカー、ゼネコンなどから多額の寄付金や弁護料をもらっている「原子力ムラ」の学者、弁護士と孤立無援的情況の中で対峙してきたのである。彼は語らないが、政治的経済的圧力が加わったことは想像に難くない。あまり知られていないが、彼は同じように「手弁当」で中国残留孤児の日本国籍取得のための弁護を引き受けてきた。その結果、国籍を取得した人はすでに一三〇〇人を超えているという。
彼は浜岡訴訟では「日本のような地震国では原子力発電所は無用どころか自国に向けられた核兵器」と叫び続け、昨年福島でそれが現実化した。株主代表訴訟では「…原発ムラの集団的無責任体制を是正しよう」と呼びかけ続けている。弁護士として期する所が伝わってくる。
弁護士時代は「反原発」を主張し、国会議員になると「原発は必要だ」と転換・沈黙する者が多い。中でも権力の座を射止めると大飯原発の再稼働のために音頭を取り、大間建設再開に道を開く者も現れる。弁護士がすべて「正義の味方」とは思わないが、両者を分けるのは何か聞きたい気もしてくる今日この頃である。
(武)
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