福島からの報告
――「早期帰還」名目に危険・搾取の強制
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効果の低さ―計画破綻
七月から楢葉町など特別除染区域において除染作業が開始されている。そこには早くも除染工事に存在する諸問題が噴出している。
第一は、効果と可能性であり、第二に安全性であり、第三には費用の経路についてである。 まず効果についてだが、高線量地区においては効果が低いことが環境省から発表されている。
環境省と日本原子力研究開発機構が六月二九日発表した除染モデル実施事業の最終報告書―事業は一二市町で行われた。最終報告書は一二年三月に発行された中間報告書後に作業が終了した大熊町夫沢、広野町、楢葉町、川内村等各地区
の結果を追加しての報告である。― は積算放射線量が年間二〇mSv以上三〇mSv未満の区域は面的除染で年間二〇mSvを下回る成果を挙げたが年間四〇mSvを超える区域では除染後も二〇mSv以下にはならなかったことを報告している〔二〇一二・六・三〇福島民友〕これは除染の効果に対する疑問のほんの一部に過ぎない。
この報告書に記された除染後の放射線量は除染作業完了直後に計測されたものであり、雨、風等による変化は計測されていない 。除染については、当初から除染後に発生する汚泥等の廃棄物処理について、仮置き場、処分場の確保や処理施設困難性が何点か指摘されていた。
汚染状況重点調査対象地域― 放射線量が一時間当たり〇・二三μSv以上の地域・福島県四〇地域 。一一年一二月一九日環境省指定―に指定されている福島県内の各地域内で住宅除染発注率が二〇%に過ぎない。(二〇一二・八・二四福島民友)
特措法―二〇一一年八月三〇日に成立した「平成二三年三月一一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」―は一日も早い帰還を目指すためとして避難指示解除準備区域及び居住制限区域を優先的に除染を実施としたが計画の破綻が早くも露呈した格好となっている。
安全性も信用できない 次に安全性についてである。安全性とは除染後にそこで生活する住民の、そして除染作業に従事する作業員の安全性も共に考えなければならない。ここにおける問題点は放射線に対する安全性だけに留まるものではない。今夏行われた除染作業は、異常気象による気温三〇°C以上の炎天下で、作業員は防塵マスクを着用して実行された。熱中症や狭心症などもまた問題になったと考える。
次に放射線についてである。先ず住民についてだが年間一mSvは長期的目標値になり下がってしまった。
また特別除先区域において労働者が積算放射線量が年間五〇mSvを超える汚染地域で労働者が五年間除染作業に携わったケースでは、五年間一〇〇mSvの法定被曝線量を超える可能性が存在することが最終報告書で明らかになった(二〇一二・六・三〇福島民友)。除染特別地域は、楢葉町、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村および飯舘村の全域、ならびに田村市、南相馬市、川俣町および川内村の区域のうち、二〇一一年一二月末時点で警戒区域または計画的避難区域であった地域であり、二〇一一年八月三〇日に成立した「平成二三年三月一一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」―以下特措法と記す―によって指定された。
除染電離則(二〇一一・
一二・二二策定)は第一条において「事業者は、除染等業務従事者その他の労働者が電離放射線を受けることをできるだけ少なくするように努めなければならない」としているが、三
条において事業者に対して除染労働者に五年間につき一〇〇mSvを超えずかつ一年間に五〇mSvの被曝労働をさせることを許可している。そして改訂除染電離則(二〇一一・七・一施行)は
除染作業に直接従事する労働者に加えて、除染や復旧に必要不可欠との理由の元除染労働者以外の労働者(土木工事、水道工事等)、農民が除染を行っていない地域における作業を除染工事と同等の放射線低減効果を見込まれる作業との条件を付け許可してしまった。
またボランティアについても実効線量1年間一mSvを超えない、平均空間線量二・五μSv/h場所年間数十回(日)との条件 を付け作業を許可している。しかしこの除線電離則において規定する線量管理は問題点が数多く到底信頼するには値しない代物である。それは第一に点在するホットスポットの存在でありそして測定方法について代表者計則等の計測方法についての諸問題の存在である。
労働者へのピンハネ構造
最後に先に提起した経費の経路について考えるとさらに問題点は深刻である。経費の経路とは業務の多重下請け講造の問題であり賃金のピンハネ講造である。原発におけるこの構造はそのまま除染業務に移行した。除染特別地域の除染作業は田村市において開始された。環境省はこの地域における除染工事に係わる設計労務単価を決定し六月二〇日福島環境事務所に通知、二〇一二年六月二一日から実施するとしている。この文書は労務単価について普通除染作業員が一万一七〇〇円(八時間あたり)+特殊勤務手当一万円(一日)としている。
しかし今日私たちが見かけることの出来る朝刊等の求人折り込みを見る時一日の賃金は一万三〇〇〇円と記してあり、特殊勤務手当についての記述を発見することは出来ない。日給の総額=一万(特殊勤務手当)+一万一二〇〇(日当)=二万一二〇〇円から一日八二〇〇円もピンハネしていることは明かである。さらに特殊勤務手当一万円が直接本人に支給する性質のものであることを考えるならば先に募集広告の賃金について考えると、日当は一万三〇〇〇マイナス一万=三〇〇〇(円)であり福島県における一般労働者の最低賃金五二一二円にも達しない結果となる。除染工事に存在する労働者住民を危険に曝し多重に賃金をピンハネする構造を持続させてはならない。
(海原)
9.16再稼働反対アクションがシンポ 「原子力ムラの責任を問う」
田原牧さんと石丸小四郎さんが報告
規制委員会人事
と「ムラ」の論理
九月一六日、再稼働反対!全国アクションは、東京・文京区民センターでシンポジウム「原子力ムラの責任を問う」を開催した。集会には一八〇人を超える人びとが参加した。この日の集会は、九月一一日に行われた「経産省・規制委員会包囲アクション」(本紙前号参照)とセットの企画として準備されたものである。
最初に主催者を代表して天野恵一さんがあいさつ。「原子力ムラのメンバーを中心にした新しい規制委員会の人事こそ、事故の責任を取らず居直りつづけている彼らの本質を浮かび上がらせている。われわれは原発推進を前提とした規制委員会ではなく、廃炉のための委員会こそ必要だと主張するが、そこへ向かうためにも、このデタラメ人事を批判し続けなければならない」と訴えた。
「安全神話」から
「安心神話」へ
最初に東京新聞特報部デスクで、鋭い原子力行政批判を続けている田原牧さんが講演した。田原さんは「原子力規制委人事についての覚書」というメモに基づいて報告。「原子力は『人間の限界を越える』が、ムラは人が制御できる」と切り出し、七月二六日に政府が出した規制委員会人事案は、規制委員会設置法第七条第七項三号に抵触しており、そうであるからこそ民主党内でも批判が広がり、首相権限での任命とせざるを得なかった、と批判した。
田原さんは、田中俊一新規制委員長に連なる人脈は、旧科学技術庁人脈が中軸となり、主流だった経産省プラス電力会社連合の影響が後退し、「原子力安全神話」ではなく「放射能安全集落」「除染ビジネス」を前面に押し出した「安心神話」が前面に出ることになるだろうと指摘。それは東電の経営負担の重荷を削減し、損害賠償を切り、総じて避難者の「帰還」を促進し、「事故はたいしたことはなかった」という意識を浸透させて、原発を推進してきた日本の支配構造を救い出すものとなる、と語った。
田原さんは、その上で賠償・移転支援を進め、除染から廃炉の道筋をどう描くかが私たちに問われることになるだろう、と語った。
切り裂かれる
被災者の生活
武藤類子さんが福島原発告訴団への参加を呼びかけた後、四〇年間にわたって福島原発反対運動に取り組んできた双葉地方原発反対同盟で活動してきた石丸小四郎さんが講演した。
石丸さんは人口が激減し、避難者の数が自主避難者を含めて一七万人に達し、震災関連死が一一二一人、面積の三分の二が放射線管理区域に属するという福島県の現実を紹介。さらに一八歳以下の甲状腺検査で、三六%にも上る一万三六四六人に結節、のう胞などが見られた、という衝撃的事実を語った。
石丸さんはさらに、原子炉の定期検査期間の三カ月から一カ月への短縮、傷があっても運転可能にする「維持基準」の導入、定期検査の間隔の一三カ月から二四カ月への延長、原発寿命の六〇年への延長など、「火事場泥棒」的に安全基準をないがしろにしてきた東電の利益本位の体質を厳しく批判した。
石丸さんは、被ばく労働の問題についても触れ、「労働者の使い捨ては、廃炉に向けた収束作業の放棄につながる」と述べ、今後の課題として「地震多発国の日本にそもそも原発があってはならない」ことの確認、国・東電・学者など原発を推進してきた人びとの責任追及、「被ばく手帳交付、医療費無料化、健康診断」などを含む被災者支援の特別立法、そして原発事故を風化させない運動を提起した。
また質問に答えて、石丸さんは「昨年一二月の野田首相による事故収束宣言以後、福島県内の状況は悪化している。『危険は去った』という口実で収束作業に従事する労働者の賃金も減らされている。収束したからという理由で原子炉はむき出しになっている。帰郷願望は強まっており、地域がバラバラにされて借り上げ住宅に住む家族では、まず男がダメになっていく。除染は進まず、先の展望が見えない中で、人びとは四分五裂の状態だ」と厳しい現実を訴えた。
こうした情勢を見据えながら、福島の被災者と向き合い、脱原発のための厳しい攻防を持続的に闘っていくことを改めて確認したシンポジウムだった。 (K)
9.16東電前アクション!が抗議行動 柏崎刈羽再稼働をやめろ
郡山・いわきの仲間も訴える
東電は責任を
取る気がない
九月一六日、午後三時から「東電前アクション!」が東京の東電本社前で五〇人が参加して開催された。この日の行動に原発被災地の福島県郡山市から三人、いわき市から一人が参加し、フクシマの人びとの思いを切実に訴え、加害者である東京電力の責任を厳しく追及した。
緑の党全国運営委員でもある郡山市議の蛇石郁子さん(虹とみどりの会)は、「原発事故によってどれだけの人の生命が奪われたのか、東電は自分たちの責任についてどれだけ確認したのか」と批判し、自分たちのような苦しみを二度と味わうことがないようにと結成された「福島原発事故告訴団」に多くの人が参加するよう呼びかけた。
安全・安心アクションin郡山の宮崎さんは、「家族がバラバラになってしまう状況の中で東電や原発に反対の声を上げることのむずかしさ」につい訴え、それでも「おかしいことはおかしいと言わなければならない」と語った。いわき市の「ひまわりさん」も、二万人以上に上る双葉郡などからの避難者を含めて住民が分断されている現状を語った。
すべてはカネ
もうけのため
こうした原発被災者の窮状に何の責任も取らない東電は、役員報酬には三億円もつぎ込む一方で、経営難を理由に家庭用電気料金を値上げし、北茨城市からの自主避難者への補償を認めず、障がい者の症状が重くなったことは事故とは関係ない、として賠償を拒否するなど、許しがたい対応に終始している。またトラブル続きの柏崎刈羽原発を来年にも再稼働させることをもくろんでいる。すべてはカネのためだ。
参加者たちは東電への怒りをこめてシュプレヒコールを幾度も繰り返した。なおこの日は、日比谷公園からのデモも予定されていたが、日比谷公園管理事務所はデモの出発点に霞門、中幸門を使うことを以前は認めていたにもかかわらず、公園内の施設(公会堂、野外音楽堂など)の利用者以外は認めない、との対応に出ているためやむなく中止せざるをえなかったこと、その方針変更は丸の内著の指示によるものであることが紹介された。こうした不当なデモ規制に抗議した。
なお九月二五日に横須賀で開かれる米原子力空母ジョージ・ワシントンの母港化撤回を求めるデモと呼応し、東電前アクション!として「東京湾に浮かぶ原子炉」ジョージ・ワシントンの配備に抗議するデモを同日夜に米大使館に向けて行うことが呼びかけられた。 (K)
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