おおさか社会フォーラム・ワークショップから B
ウィスコンシンの「市民蜂起」から学ぶ
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「ウィスコンシンと大阪の共通点・違っている点を見据えながら、国際連帯そしてローカルな問題をグローバルな視点から考えていきたい」と司会者あいさつ。
まず、松谷満さん(中京大学准教授)が「橋下現象を読み解く:橋下を支持する社会意識は何か』というテーマで、次のように語った。
「橋下現象というのは、単に橋下徹というすぐれた(能力のある)人物がぱっと出てきて一気に人々が押し流されたのではない」と、一九九〇年以降の脱政党化の流れ(社会党の消滅〜ポピュリズム首長の台頭)に触れ、「一般的な説明では、国民無視・有権者の政党離れ・政治不信となり、わかり易い説明だ。しかし、社会学的な説明になると、個々の政党・政治家の能力や意欲に還元できないのではないか。どこの国(先進国)でも顕在化・問題化している」からだ。
「原因は、社会が物質的な豊かさをある程度達成したことにあるのでは。なぜか、社会が豊かになると、中間集団(地域、労組など)への依存が必要なくなる。そして、自律的に選択することが可能になる。高学歴化・高情報化がこの自律性を促進し、生活目標や価値観が多様化する。そうすると、これまでのように政治が利害を集約することも難しくなり、既存の権威(偉い政治家)も失墜するようになる。このようにして、脱政党化がじょじょに進んできた。加えて、歴史的に階級・宗教・エスニシティ・地域の亀裂が相対的に弱いから、どうしても政党が必要という意識は薄い。このような日本社会の特徴も脱政党化に拍車をかけてきたのではないか」。
「社会が豊かになることによって民意が反映されにくくなると、民意が反映されやすい形を人々は模索するようになる。例えば、多数意見を押し通すリーダーに委任する(リーダー委任型)や自分たちで全部決めよう(市民参加型)である。そして、それらに共通するのは、政党や官僚が調整するものを既得権益だと言って批判する」こと。
ポピュリズムは
リーダー委任型
松谷さんは、ポピュリズムはリーダー委任型に位置づけられるとし、(自ら調査したデータを基に)従来から言われていることに反論し、分析していく。例えば、「調査によると、最もはっきりしているのは六〇代だ。若い層だけが、ということではなく中高年層もしっかり橋下を支持している。(よく左派のインテリ層が言う話だが)社会的な弱者の人たちが自分たちを傷めつける人物を支持するのはおかしい、ねじれていると。実際はそうではなく、自分は階層的に上だとか中の上ぐらいだとか、ある程度余裕のある人がしっかり・はっきりと支持している」。
「階層が高いという人たちは橋下のリーダー性を、階層が低いという人たちは公務員叩きを支持している。また、ナショナリズムや競争・格差などの価値観を肯定している人たちが橋下を支持している」と。 「トータルでみると、*ナショナリズムや新自由主義を重視する人、*公務員を信頼しない人、*リーダーを重視する人で多数派を形成していることになる。多数派がそういう意識であれば、橋下が支持されるのは当然だ」。
そして、「@現状認識を正しく持つこと。若者・弱者の問題ではなく、既存政党のしがらみから解放された中高年層・ミドルクラスの問題ではないか。同世代を説得できなければ、若者にも通じない。ナショナリズムや新自由主義を批判する時、どうすれば彼らにも伝わるのかを考えること、A橋下の(強権的な)手法だけを批判するよりも、内容で批判した方が生産的ではないだろうか。市民参加(ティーパーティも)が何でも良いのか、も考えてみること、B自分たちの声を代弁する政党を育てること、そのような発言ができるリーダー(知識人層)を養成する場を整えることが必要ではないか」と具体的に問題提起した。
大企業の資金援助
とティーパーティ
続いて、エイドリアン・パジックさん(ウィスコンシン大学院生・教育助手組合共同代表)も次のように発言。
「日本に来て、大阪の橋下市長とウィスコンシンのウォーカー知事がやっていることは非常によく似ていると思った。ティーパーティ(社会運動)は、アメリカの共和党の中の最も右翼的な運動だ。この共和党の保守派が、二〇一〇年の中間選挙で大きく勝利をおさめて、上院の多数を占め、多くの州で共和党右派知事が勝利した」。
「ティーパーティはポピュリスト(大衆主義)の運動だと自称しているが、実際は大衆とは関係なく、大企業・富裕層から資金が与えられ支持されている運動だ。ティーパーティの主張で、特に強調しているのは財政の管理の失敗が危機を生み出しているということだ。だから、大きな政府・社会的なプログラム政策のすべてに対して攻撃している。教育予算・保健医療予算・社会的サービス予算を削ろうとしている。これらは伝統的に民主党が支えてきた政策、民主党の支持基盤となっている政策だ。彼らは財政を何とかしなければと言っているが、自分たちの階級利害に関わることでは全く逆のことを行っている。金持ち減税、金のかかる戦争、金融危機があったら莫大な金をつぎ込むことなどだ」。
「残念ながら、稼ぐ以上には使ってはならない≠ニいう(家庭での節約とだぶらせた)宣伝は多くの人たちに支持されている」と指摘した。
そして、ティーパーティが支持されているもう一つの理由として「白人の復権・復活を掲げていることだ。これまで裕福だった白人層が貧しくなっていることにショックを受けたのだ。大学教育を受けていない男性の労働者が特にそうだ。アメリカでも世論調査の結果は、女性・非白人層の民主党支持率は他の層と比べて高い。
そして、彼らはティーパーティを支持することが、自分たちの復権につながると思っている。それは一九五〇年代に戻りたいという幻想もあったからだろう」。
「ウォーカーは、そのようなティーパーティのブームに乗って当選した知事だ」と。この知事が就任すると、さっそく労働者の権利を奪うための攻撃を行ってきた。それに対するウィスコンシンの労働者・市民の闘いの経過はよく知られている。
「この『市民蜂起』を成功させたのは、反動に対する地域全体の団結した闘いがあったからだ。この後のリコール運動では、結果的には知事を追放できなかったが、州の二人の共和党上院議員を失職させることが出来た。結果、上院の力関係が変わって、知事の政策に一定の歯止めをかけられる状況になった」。
「このリコール運動が、成功だったか・失敗だったかは議論がある。一〇〇万人以上の署名を集めることができ、運動が続いていることを示した点では成功だった。しかし、六月の再選挙では負けてしまった。その原因は、ウォーカーにもう一度投票した人たちは、例え政策が間違っていたとしても任期途中のリコール運動するのは不当であると思ったこと。また、本来の目的であった団交権を含む労働組合の権利剥奪に対して闘うということが、選挙の中で重きを置かれなかったからだ、という意見もある」。
「しかし、選挙結果や世論の動向を分析すると、労働組合員の家族でさえウォーカーを支持した人が三〇%いた。だから、それらだけでは説明できない。選挙は、要求実現のためのいくつかある方法の、その一つに過ぎない。労働組合の必要性・重要性を、私たちのコミュニティに説明・理解させることが大切だ。この点が弱かった。もっと資金・エネルギーを注ぐべきだったと思う」と、明日につながる「総括」を語った。
橋下の登場と
「市役所体制」
さらに、コメンテーターとして参加した広原盛明さん(元京都府立大学学長)は次のように発言。
「今回の橋下選挙は、大阪市役所一家とそれに対する批判の対決だったと思う。大阪市役所体制とは、市労連・地域振興会・市当局の、三位一体の強固な利益共同体だ。それに解同という接着剤が付いている強固な体制だ。同じような体質は名古屋や神戸にもあるが、大阪は特に強固だ。それを壊したいと橋下が登場すると、反『市役所体制』派は一気に乗った。それらには学歴も、社会的にも、年齢も色々な層がいた。基本的には苦々しく思っていたから≠ニいうのが対立点だった」。
「友人たちは毒をもって毒を制す≠ニ言って、橋下に票を投じていた。市役所は腐っていると思った人たちが、旧左翼の中に多くいた。そして、平松を支持したのは市労連・地域振興会プラス途中からの共産党と追随した旧左翼だった」と。
そして、@選挙の結果について「乗せられたのは都市部の高学歴・高所得層のホワイトカラーや経営者などで、周辺部に住んでいる人々は彼の本質を見抜いていたようだ。投票には底辺層はあまり行かなくて、(反市役所派の)若い人たちが多く行った」ということ。Aまた、ウィスコンシンと比べて「日本では、保守系無所属の首長との対決はあっても、橋下やウォーカーのような首長とは対決した経験がない。ウィスコンシンのリコール運動は、労働運動・市民運動の結晶だ。(一周遅れているが)大阪でも、次の選挙(リコール運動)の準備として、同じように運動の準備をしていくべきだ」と語った。
この後、会場の参加者も交え討論があり、最後に三人は次のようにコメントした。
政治は投票
だけではない
広原さん:「公明党は現世利益を重んじるから、どんな自治体でも与党になりたいと考えている」「橋下が『市役所一家』を壊したことは評価できる。これで当たり前の市民社会の基礎ができたのだから、(憲法に基づいて)まともなことをまともな形で提起できるかどうかを次の政治勢力が握っている」。
松谷さん:「ウィスコンシンには歴史的伝統がある。大阪でも伝えるべき『市民蜂起』の歴史をつくっておく必要がある」「橋下の『次』を、党派を越えて準備すること」「(元長野県知事だった田中康夫を例に挙げ)大阪の人たちは、橋下の国会進出をなぜ許すのだろうか」。
パジックさん:「ウィスコンシンでも、このような知事は初めてだった。闘うことを通じて学んでいった」「とりあえず行動する、とりあえず発言する、行くべき所に行く、から始まった」「運動は一つ一つ違っているが、共通する点もある。それは、政治は投票だけではない、デモ・集会・ティーチインなど様々な活動があるということだ」「そのような政治活動は、六〇年代の反戦・公民権運動の世代とは違って、私たちには初めての経験だった。そして、経験することで自分たちの力を、新しい世界は可能だということを知った」 。 (勉)
9.25東電前アクションが米大使館前行動
原子力空母もオスプレイも帰れ
東電前アクションは「原子力空母ジョージ・ワシントンは帰れ!9・25米大使館前アクション」と題して行動を行った。この日はジョージ・ワシントンが横須賀に拠点港として入港して四周年の日である。横須賀ではこれに対する抗議デモが取り組まれる中、横須賀現地にいけない仲間もアメリカ大使館に集まろうという趣旨だ。
主催者の仲間からアピールがあり、福島第一原発の事故以来さまざまな行動を起こしてきたが、原子力空母もオスプレイもその危険性、アメリカ政府と日本政府がごり押ししている姿において共通の性格を持っている。しかしわたしたちはただ危険だから反対しているわけではない。空母もヘリも人殺しのためだけに存在しているということが許せないのだ」と米大使館前をアクションの場所として選んだ思いをぶつけた。
栗原学さんからは、二〇〇〇年には米軍基地反対の行動で大使館前の芝生に座り込んで徹夜で抗議したこともあった。現在JTビルの前から先を通さないと警察は不当に規制しているが、この二〇〇メートルの距離を埋めるべく抗議の意思をぶつけていこうと気勢をあげ、原子力空母即時撤去、オスプレイ配備断念などを盛り込んだ申入書を読み上げた。
その後、参加者からの発言として、オスプレイ墜落の「人為的ミス」を繰り返し事件を繰り返す米兵はいらない、という訴えなどが続いた。中には白幕に核事故をデザインした美術学生も参加しており作った意図を説明してくれた。壁画のようでもあり、広島・長崎以後綿々と続く核被害のおどろおどろしさを一望できる図だった。
園良太さんからは、福島からの避難体制を組まない現状で子供たちを人体実験の材料にするなと訴え、福島疎開裁判の支援呼びかけがあった。同時に、領土ナショナリズム扇動もあり沖縄配備が迫る中でオスプレイ阻止のため普天間基地ゲートで座り込む沖縄の人に連帯していこうという呼びかけがあった。参加者は「ジョージ・ワシントンは帰れ」、「オスプレイを沖縄にもっていくな」、「アメリカ政府は核事故被害者の人体実験をするな」などシュプレヒコールと喚声をあげ、行動を終了した。 (U)
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