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    かけはし2012.年10月15日号

福島・首都圏の連帯へ

9.30福島原発事故から学ぶ

怒りの封じ込めと被曝の
放置を許さない道さぐる


本音を隠さず
語り合った企画
 九月三〇日、日比谷図書館文化館コンベンションホールで「福島原発事故から学ぶ―脱原発のうねりの中で 福島・首都圏の集い―」が経産省前テントひろば主催でテントひろば一周年記念企画として行われた。
 主催者あいさつの後、上原公子さん(脱原発をめざす首長会議・事務局長)がコーディネーターを行い、福島の様々な立場の方からと反原発自治体議員・市民連盟の布施哲也さんが問題提起を行った。
 上原さんが「福島原発事故後、問題は何ら解決していない。福島を自らの問題として問わなければならない。日本の西と東では受け止め方がかなり違う。福島で発信できない人、いろんな立場の人が複雑にあり、発信がうまくいっていない状況がある。今日は本音を語ってもらいたい」と発言をうながした。

「お墓に避難」
と自死した
 福島から報告が行われた。
 佐藤幸子さん(子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク)が発言。
 「一年前の普段の生活に戻りたい。学校も行政も何もなかったように動きつつある。しかし、空間線量も減っていない。川俣町に住んでいたが避難してマンションに住んでいる。マンションの方が安全だ。しかし、外にホットスポットがある。浪江町では地上一bの所で一八・八mSvの所もある。子どもを避難させたい。内部被曝を防ぐために、西日本から食材を取り寄せている。本当は福島のものを食べさせたいのに食べさせられない。コメは放射能が一割ではなく一%、夏野菜はセシウムが入らない、ゼロでないと食べさせたくない」。
 「お母さんたちは疲れている。ここにいても大丈夫だよ、そういうふうに変わってきている。自分の子どもを山形に一年避難させたが、元の学校に戻りたいというので川俣の中学に戻した。川俣町は一八歳未満の子どもに積算線量計を持たせている。一年間で一mSv以下といっているのに、一・九mSvあっても生活させることが異常だ。避難できない人もできた人もいろんな考えがあるので支持する」。
 安斎徹さん(飯舘村住人、伊達市に避難)。
 「飯舘村は今でも四mSv超えている。家の中で五〜六mSvの所もある。避難した人の三割が仮設住宅、七割が借り上げ住宅にいる。つながりがなくバラバラにされている。居住困難地区、制限地区、警戒地区と三分割された。除染して二〇一五年に帰村させる、と村は言っている。普通の土地四〇〇uで六億円、水田三反歩に一〇〇〇万円の除染費がかかっているが、半分しか減らず、数カ月で元に戻ってしまう」。
 「事故直後なにも知らずに大量の被曝をした。線量計で計ったら鳴りっぱなし。五月一杯まで子どもたちも避難しなかった。それでも村長は放射能が恐くない人。教育委員会が呼びかけ一二〇〇人が動員させられ、杉浦ら学者を連れてきて、洗濯物、食べ物大丈夫と、講演会をやった。五月末に全村避難にしなさいとなった。私は六月二六日に避難した。六月二〇日に髪の毛がばっさり抜けた。その時、この世の終わりだと思った」。
 「『津波では大勢亡くなっているのに、原発で死んだ人いますか』と言われた。とんでもない話だ。原発事故後、五人が自死している。『お墓に避難します』という遺書を残した人もいる」。
 渡辺ミヨ子さん(田村市の借り上げ住宅住人)。
 「二〇km〜三〇km圏内に住んでいたので、三月一二日、宮城県に逃げた。そこも電気、水道が出なかったのでたいへんだった。一カ月後に田村市の避難場所に移り、今は借り上げ住宅に住んでいる。四月六日に、早くも学校が始まった。住民の命を守るために埼玉まで逃げた双葉町長の決断はよかった。いま福島県はおきざりにされているようだ」と報告した後、本が好きという渡辺さんは宇宙飛行士が書いた『地球は母なる星』の一節を読み上げ、尖閣問題でもめているが戦争は嫌だ、奪い合うのはおろかなことだと語った。

東電、国と闘
い原発廃炉へ
 特別参加の井戸川克隆さん(双葉町町長)がさまざまな角度から発言した。
 「テントひろばに顔を出さないといけないと思っていた。活動に感謝している。放射能は闘う相手ではなく、闘ってはいけない。事故直後、県外に町民を逃がした。町民の家系の継承が大事だと思ったからだ。原発に対して事故前まで安心教育をしてしまった。それは加害だと思っている。情報を後出しにされ、ウソをつかれる。避難指示は政府しか出せない。今後子どもたちが安心して過ごせるために時間を費やしたい」。
 「当分帰らない。それで良いと思う。これ程危険な所に住まわせるのは加害者だ。命の大切を判断基準にして、遠くに避難したのは間違いではなかった。国は反論してきている。一〇〇mSvから二〇mSvの低い方をとったのだ。それを正当化する人たちがいる。その人たちにあなた方が住みなさいと言っているがまったく無責任で住もうとしない。これからが闘いだ。事故後東電はベント作業をして空気中に放射能を撒き散らしたので、双葉町に高い線量が残っている。加害者は東電であり人災だ」。
 浪江町の避難地区で牧場をやっている吉沢正巳さん(希望の牧場代表)。
 「事故後も現地に留まった。浪江の町民九〇〇〇人、猛烈な被曝をした。三三〇頭の牛がいる。牛の出荷を断れた。このままでは牧場の意味がない。三月一八日、東電に出向いて『なぜ逃げるんだ、制御できないのか』と抗議した。そして一週間かけて、農水省、原子力安全委員会、首相官邸に行き『枝野に会わせろ』と要求した」。
 「三月二三日から、夏まで地獄だった。牛がつながれて餓死していく。ウジがたかり、ミイラ化していった。六月末に線量計を持ち、計ったら一五〜六mSvあった。七〇軒の農家がつぶされ、一五〇〇頭の牛が餓死し、一〇〇〇頭の牛が殺処分された。一〇〇頭の牛を今も飼っているが国は処分しろと圧力をかけてくる。牛は証人だ。記録して生き残させる。殺してはいけない」。
 「県議会で福島原発廃炉の決議がされてもむなしい。チェルノブイリになってしまった。死の町、絶望の町だ。生きる意味がない、死んでしまいたい。墓は倒れ、住職は避難している。原発から六qの所にある。牛は逃げなかった。人生をかけて、放射能、東電、国と闘い原発をなくす。浪江に留まり、がんばりたい」。
 椎名千恵子さん(原発いらない福島の女たち)が「商工会会長が『福島第一原発の1〜4号機は廃炉にし、あとは動かそう』と発言している。絶望を組織化させられている。去年の秋から、女たちは怒っている。テントに入り行動をやってきた。体をもって闘っていくしかない。かんしょ踊りをやった。アメリカやパリ、ドイツにも闘いは知られるようになっている」と報告した。

疲れにつけ込む
封じ込め圧力も
 柳原敏夫さん(ふくしま集団疎開裁判の会)が一審で敗訴し、現在仙台高裁にかかっていると裁判の報告をした。布施哲也さん(反原発地方自治体市民連盟)の発言の後、再度福島からの発言が行われた。何人かの発言を紹介する。
 佐藤さん。「一番困っているのは現地の人が避難してしまって、活動できる人が少なくなってしまっていることだ。対応が遅いと怒られるが、みんな疲れてしまっている。助成金は復興事業だと出るがボランティア活動には出ない。カンパもボランティアの人件費として使えない悩みがある。海外援助だとそうしたことがないので、海外へ支援を訴えている」。
 安斎さん。「旧自民党政権が五四基の原発を作ったのに自民党総裁選では知らんぷりだ。東電、自民党、経団連、文科省は人間ではない。東電からは仮払金の一〇五万円がでただけ。三〇人が賠償の裁判を起こしている。都民にもっと声をあげてほしい。飯舘村に来て現地を見て欲しい」。
 渡辺さん。「二〇km圏内は固定資産税なし、三〇km圏内は半分。こんなひどい話はない。文句を言う人が疎外されている。田村の野菜だけは学校給食に使わないと言われた。放射能ゼロの野菜を作り食べさせない。東電への賠償相手にされなかった」。
 井戸川さん。「宣伝合戦がある。言動を封じ込める流れがある。被害は終わった、今は復興だ。ほとんどの首長がそうだ。避難区域の見直しで損害が出る人には差額を町が負担する。加害責任を町がやることになるという批判もあるが。国は地方に肩代わりをさせようとする。今は放射能から逃げるしかない。隠蔽が恐い。セシウム濃度はシーベルトではなく、ベクレルに直さないとあいまいになる。トリチウムの話が出ていないがやっかいなものだ」。
 「賠償問題について。中間指針を作って封じ込めに入っている。@加害者のシナリオに納得しないと払わないA前例をつくるのを恐れている。それでなんとか安くあげようとしている。除染について。議員立法で特措法をつくった。この法律には関係事業者に東電の名前は消え、協力しなければならない。国民は努めなければならないと義務になっている。二本松のゴルフ場が放射能でゴルフが開催できなかった損賠訴訟で、放射能は東電のものではないとして、敗訴とした。チッソ裁判ではチッソの責任が認められた。恐ろしいことが法曹界で起きている。ダメはダメと声を大にしたい。国とは片手で握手して、片手で闘っている。本当の電力需要予測をだせば原発がいらないことが明らかになる」。

効果の上がら
ない除染作業
 この後、会場から意見・質問が行われた。@原水禁・原水協の対立ではなく、全国的統一センターのようなものが必要ではないか。A除染作業がスーパーゼネコンのもうけ先になっているのではないか。B飯舘村村長選が一〇月二一日にあるが対応は。C被曝労働問題について行政はどう対応しているのか。
 井戸川さん。「双葉町は除染ではなく除去でないとやらせない。田村市の例だと日当八〇〇〇円。被曝する。除染した物は集めれば集める程高レベルになる。除染は大量の水を使い流すだけ。建物をそのままではだめだ。下流域どうするのか、被曝問題をどうするのか。行政としてはかかわっていないが、職場を守るために体を犠牲にしている。被曝させるな、生涯補償をしろ」。
 渡辺さん。「仕事がないので、除染作業したいという人がいる。日当は一万円。除染では一%しか減らない。川内村では五cm土をはがして、きれいに除染している。そこを天皇が見学するという」。
 安斎さん。「国にものを言わないからカネが出ると言われている。対抗馬を立てるのはなかなか難しい。来年村議会選挙があるのでここが勝負か。飯舘村は山林が七五%だ。除染費用として三二二〇億円が下りている。村役場はていねいな除染をしたが山林が多いので三日で元に戻ってしまった。一七〇〇戸を村外に移転させて欲しいという要望がある。これにかかる費用は除染費用の半額ですむ」。
 吉沢さん。「牛を殺さないために、募金を集めている。牛は増えているがこれをコントロールするのが難しい。地元の農家の生計がなりたたなくなっているため、首吊り自殺をする人もいる。東電職員並みに生活できる補償をしろ。農作物の転換を模索している。仕事をしなくては生きていけない」。
 福島原発原告団・関東から、全国訴訟への参加の訴えがあり、最後にテントひろばの仲間がテントひろば運動の重要性について語り締めくくった。   (M)

大間・上関原発

人々を見下す推進派の攻勢
巨万の意志の突きつけを

言語道断な大間
原発の工事再開

 「二〇三〇年代中の原発ゼロ」を宣伝文句にした野田政権の「革新的エネルギー・環境戦略」の閣議決定が米国や大資本の強力な圧力によって事実上反故にされ、大間、東通、島根原発3号機の建設再開・完成にもゴーサインが出されて以後、原発推進派の攻勢が日増しに勢いを増している。
 第一は、Jパワー(電源開発)が青森県・下北半島の大間原発建設再開を決定し、一〇月一日に大間町議会で工事再開を説明したことだ。大間原発は使用する燃料のすべてが、使用済み核燃料再処理でできたプルトニウムとウランを混合して作られたMOX燃料という、世界初の「フルMOX原発」だ。
 「プルサーマル(普通の軽水炉でプルトニウム燃料を燃やす)では炉心の三分の一しかプルトニウムを含んだ燃料を装荷できないのに対してフルMOX炉である大間原発では全炉心にプルトニウム燃料を装荷することになりますので、その点でも危険性は増大します。なぜ一方的に危険が増加するフルMOX炉などを動かさねばならなくなったのかといえば、有り余って厄介者になっているプルトニウムを燃やしてなくすためです」(小出裕章『隠される原子力 核の真実』創史社刊)。
 しかも大間原発の建設予定地や津軽海峡には活断層がある可能性が専門家によって指摘されており、旧原子力安全・保安院でさえ、下北半島全域について「今後速やかに広域的な地質・地質構造調査が必要」としているのである。地元大間町をはじめとする自治体は「大間原発建設工事再開」を歓迎していると報じられているが、大間原発から最短で二三キロしか離れていない対岸の北海道・函館市は明確な反対の意向を示し、建設差し止め訴訟をも検討している、と表明し、地域住民の反対の声も高まっている。
 大間原発建設再開は、核燃料サイクルの推進と一体であり、現地住民と結びながら反対の声を上げていくことが必要である。

脱原発の声せせ
ら笑う中国電力


 第二は、一〇月七日午前〇時に期間が切れる山口県上関原発予定地周辺海域の埋め立て免許更新申請を、中国電力が行ったことである。二〇〇九年一〇月に始まった海域埋め立て工事は、祝島の漁民たちをはじめとする住民の強力な反対運動によっていったんは止まっていた。しかし二〇一一年二月中国電力は六〇〇人の作業員を動員し、陸と海から暴力的に工事再開を強行した。この工事再開は、山口地裁岩国支部の「工事妨害をした者に一日あたり五〇〇万円の支払いを命じる」という露骨な反対運動潰しの決定と結びついたものだった。この時、支援の若者たちは山口県庁前ハンストやカヌーを駆使した海上抗議行動などで闘った。
 中国電力の工事強行は、二〇一一年三月一一日の東日本大震災・福島原発事故によって中止に追い込まれた。今回の中国電力の「埋め立て免許申請更新」に対して山本山口県知事は、「今の時点では認められない」と拒否し、枝野経産相も「原発の新増設をしない原則の適用対象」と語っている。
 しかし今、この段階で中国電力が申請を行ったこと自体、民主党政権の混乱・政権交代による原発推進方針への転換を見込んだ、反転攻勢と見なすことができる。
 原発推進勢力は、このような揺さぶりをかけることで、反原発運動の高揚・多数派となった脱原発世論の伸長への巻き返しを図っているのだ。

巻き返し策動を
はね返す行動へ


 国会での人事案への承認を得られないまま発足した原子力規制委員会は、来年七月を目標にした「新安全基準」策定を通じて、「再稼働」の条件整備を図っている。現在野田政権と規制委員会の間では、「再稼働の判断は最終的に政権が行う」とする規制委員会と「政府は再稼働の判断に関与しない」という政府との「責任のなすりあい」が続いている。
 こうした綱引き状況の中で、責任の所在を不明確にしたまま「再稼働」が進められる危険性も報じられている(朝日新聞、一〇月四日)。
 一〇月五日の首相官邸前金曜日行動では、下北の漁民から大間原発建設再開に反対する訴えが行われた。「再稼働阻止・大飯を止める」闘いとともに、大間をはじめとする工事中の原発建設再開を現地住民の闘いと連帯し、福島の被災住民、避難した住民の訴えに応える行動を政府・電力資本に向けて広げよう。
 一一月一一日に東京で予定されている「一〇〇万人デモ」を成功させ、政府・大資本の「巻き返し」「巻き戻し」を阻止しよう。官邸・霞が関周辺を埋め尽くす大結集で「脱原発」の流れを確固たるものにしよう。決してあきらめない人々の「数の力」が今こそ決定的要因なのである。(K)


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