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米国ではなく住民の立場から
基地問題を捉える必要がある
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八重山教科書
採択問題の経過
三月八日、東京・文京区民センターで「沖縄のメディアは『沖縄』をどう伝えているのか」と題する集会が沖縄戦の史実歪曲を許さず沖縄の真実を広める首都圏の会と沖縄平和ネットワーク首都圏の会の主催で開かれ、一〇五人が参加した。
集会内容は「八重山教科書採択問題の現状」を俵義文さん(沖縄戦首都圏の会呼びかけ人)が報告し、二つの講演:〈「在京メディアと沖縄メディア」―どちらが日本の実像を照らし出しているか〉桂敬一さん(マスコミ9条の会呼びかけ人)と〈沖縄から問う―構造的沖縄差別とメディア〉松元剛さん(琉球新報社政治部長)を行った。
俵さんは「八重山教科書・公民教科書の採択は決着がついていない。新しい教科書を使う四月の新学期までになんとしてでも、歴史修正主義でない教科書を生徒たちに届けなければならない」と訴えた。
経過はこうだ。石垣市の教育長が勝手に手順を変えて育鵬社版を採択しようとした。石垣市、与那国町、竹富町でつくる協議会で、ルール違反、協議も六分間、教科書も見ていない状態で採択した。これに対して採択権は町の教育委員会にあり、今回の協議会でのやり方に問題があるとして竹富町は東京書籍版の教科書を使うことを決めた。この背景には尖閣諸島問題をめぐる中国との対立があり、育鵬社版を使って「国土防衛・愛国主義」を煽る教科書を使わせたいという勢力の動きがある。
文科省は育鵬社版を使え、東京書籍版を使いたいなら無償供与しないとの立場をあらわにしている。沖縄県教委と竹富町は東京書籍版を使おうとしているが、町の財政で買うとなると協議会での採択を認めることとなるのでこれはできない。そこで住民たちが買って寄贈するという動きが出ている。また、市民や中学生たちが石垣市と与那国町に「東京書籍版の教科書を使わせよ」という仮処分を那覇地裁に申し立てた。
「沖縄」をどう
伝えていないか
次に在京メディアが「沖縄」をどう伝えていないかを桂さんが講演した。
「二月初めに、普天間移設問題とグアムへの米海兵隊移転が分離されて実行されることが報道された。読売・産経・日経は辺野古合意の即時履行にこだわる姿勢を変えていない。朝日・毎日は辺野古の見直しは言うが、沖縄の負担軽減を言うだけ。なぜマスコミから日米安保の廃止を目指す議論が生まれてこないのか」。
「今回の案が出てきたのは米軍がイラク・アフガン戦争で膨大な戦費を使いすぎもたなくなっているからだ。米政府は国防費の長期大幅削減を打ち出した。そうした米軍再編の一環だ。日本のカネを使って戦略再編方法を考えている。グアム移転費の六割を負担。既に二〇〇九年から実行している。普天間基地の修繕費も日本に負担させる。一機九五億円もし、未だ開発中のF35戦闘機の配備を決めさせた。これは開発費を負担させるということだ。海兵隊は常時移動している部隊だ。今回四七〇〇人移転させるというが、これはごまかしだ。こうしたことが露骨にやられているのに本土のメディアがちゃんと書かないから分からない」。
「中国脅威論を煽って、軍事力強化をしようとするが、本当に米中戦争はあるのか。米中の経済依存度を見てもそんなことはない。冷戦体制下で作られた日米安保を見直すべきだ。沖縄に基地はいらない」。
対米従属報道で
好機をつぶすな
続いて、琉球新報社の松元剛さんが講演した。
入社して二三年になるという松元さんの話には迫力があった。まず、松元さんは米兵強盗致傷事件(一九九二年)と嘉手納基地の女性レイプ事件(一九九三年)で米兵が逃亡してしまったことを明らかにし、日米地位協定の改定を訴えたスクープに対して、本土のマスコミは「お宅は書くの」と相談して書かなかったことに触れた。こうしたことは三つの呪縛(海兵隊は抑止力として必要、海兵隊は沖縄にいなければならない、沖縄は基地に出て行かれると経済的に立ちいかなくなる)と大半のメディアの思考停止、日米政府との「一体化」、「報道的差別」の助長だ、と語った。「米軍の発表を鵜呑みにしない、疑ってかかる。密約はないのか、法的根拠のしつこいまでの検証」が必要だと語った。本土のマスコミをひとくくりにするつもりはない。本土の新聞にも新たな動きが見え始めた。高知新聞、東京新聞、共同通信と沖縄県紙二紙の合同企画、毎日新聞西部の紙面に希望がある。
住民の目線から基地の弊害を問い続けるというのが沖縄基地報道の立ち位置だ。嘉手納基地爆音訴訟判決(一九九四年)があった。その時、被害者を取材した。F15が一日二〇〇回も飛び、騒音は九〇〜一〇〇デシベルだ。一歳の子どもが初めて覚えた言葉が「こわい こわい」と言い、戦闘機が飛ぶとパニックに陥るという証言を聞いてショックを受けた。
昨年の一一月二八日の「オフレコ座談会」で田中聡沖縄防衛局長の「犯す前に犯しますよと言いますか」の暴言が飛び出した。担当記者は「書かないといけない」と判断し報告してきた。「県民の尊厳を踏みにじり、女性を蔑視している」発言とし、たとえオフレコ発言であっても公共性があるとして発表した。これに対して県内読者は圧倒的に支持したが、県外は賛否半々。一部大手紙とジャーナリストが批判した。
辺野古移設に向けた環境影響評価の評価書について。国会でも論議になっていないが、米国では許されないことが沖縄でまかり通っている。米環境保護庁がハワイ・カネオヘベイ基地のオスプレイ配備で学習時間中は四五デシベル以下と海軍省に勧告した。辺野古では六四デシベルだ。米国と同じ基準なら辺野古移設は不可能だ。米政府はオスプレイを一時本土に移して訓練を行うと発表した。山口、岩国が反対しているが反対を貫いてほしい。岩国へグアム移転の海兵隊を移駐させたいという米側の意向が伝えられると、岩国市が猛反対した。日本政府はそうしたことを認めないと表明した。どうして沖縄が反対しているのに、日本政府は認めるのか、それこそが沖縄差別だ。
米国側の地殻変動が「辺野古移設」に引導を渡す可能性がある。日本側から普天間飛行場の県内移設見直しを提起する好機だ。対米従属報道でこれをつぶすな。二〇一二年は大きな正念場だ。きちんと腰をすえて報道していく。
松元さんの力強い決意を受けて、参加者がともに闘っていくことを拍手で確認した。
(M)
「日の丸・君が代」の強制はねかえす神奈川集会 橋下・維新の会の攻撃、人権侵害
公安弾圧に反対する共同の闘いを
【神奈川】二月二五日、「日の丸・君が代」の強制をはね返す神奈川集会を、横浜・技能文化会館で行った。今回は「日の丸・君が代」強制反対ホットライン大阪・学校教員の井前弘幸さんの話を聞きながら、橋下大阪維新の会が教育現場、労働組合に対しどのような攻撃を行っているかを考えた。参加者は四〇人ほど。
憲法ふみにじる
橋下の政治手法
井前さんの話に出てくる、メール「盗聴」、労働組合活動の「密告」をそそのかすアンケート用紙配布などについては、その要旨が本紙二月二七日号で、君が代条例制定後の懲戒処分と、一月一六日の最高裁判決を受けても盛り込まれた研修制度には、誓約書がないと現場に戻さないというからくりがあることなどについては、本紙二月一三、二〇日号でそれぞれ取り上げられている。
だが、マスメディアの映像を中心に橋本の動向を見聞きするのと違い、大阪で対抗する活動を続ける人の話から、橋下が特定の敵をあぶり出し、陰湿に排除しようとする手法は実際の話からしかうかがえない部分もある。
集会当日直近の動向としては、MBSテレビのVOICEという番組でアメリカの教育改革を扱った放送(二月一七日放映)が紹介された。ブッシュ政権下で非寛容を打ち出す落ちこぼれゼロ法(NCLB)が成立し、ワシントン州では任命された教育長のもと学力テストに基づいた成果主義で二〇〇人以上の教員が解雇されたというものだ。その帰結は子どもの学力向上ではなく人件費削減だったという話である。もちろん橋下はこの番組に対してもツイッターサイト内でしつこく攻撃したらしい
またアンケートの配布において、自治体労働者がはじめから「犯罪者」であるかのような表現が見られ、従う者は拾い上げてやるという手法も目立つが、井前さんは「橋下は常に労働者、人の尊厳を奪う、つまり相手をやり込めて、そこから話し始めるというやり方をする。これまで彼の動きについていけていない部分もあったが、アンケートは特に憲法違反の思想調査であり不当労働行為であるので、ここから私たちの反撃が始まる」と力強く述べた。
神奈川県下の
闘いを共有し
そして、神奈川を中心にアピールが続いた。不起立教員の氏名収集に関する個人情報保護裁判原告である外山喜久男さんからは現状の説明がされた。横浜地裁で二〇一一年八月三一日の不当判決を経て、東京高裁で最終となるだろう、二回目の口頭弁論が三月二三日に予定されている。その傍聴が呼びかけられた。
横浜教科書採択連絡会の石下直子さんから横浜などで二〇一一年に相次いでされた育鵬社版教科書の採択の経緯と一一万を超える署名活動、声明文送付の様子などがていねいに報告された。
原子力教育を考える会の根岸富男さんからは、三・一一震災の直前に原発震災を記したページを更新して相当なアクセス数を記録したこと、原発再稼働に向けて「原子力ムラ」の「被ばくはたいしたことないよ」というキャンペーンを紹介した上で、横浜市なども率先して配っている「放射線副読本」の内容を批判し、ねらわれているのは学校だと強調した。内部被ばくがもたらす新たな被害と原発推進者の隠ぺいを監視し続けることが私たちの任務だ。
木元茂夫さん(すべての基地にNOを!ファイト神奈川)は、横須賀での原子力艦船の補修と放射線測定の状況報告と、兵力でも十倍ほど違う米軍、自衛隊間の格差の中で、野田政権が海外派遣を推進すれば、イラクのときと同じ自殺等の死者が続出し、いじめを含めて隊員の人権は守れないという訴えがあった。他に空軍基地の拡張が続く岩国、住宅建設にからんで混乱する池子の状況などの報告があった。
女性と天皇制研究会の首藤久美子さんからは、「女性宮家」創設などまやかしに満ちた天皇制延命を批判するビラの文章が読み上げられ、大逆事件の弾圧を生きた女性(金子文子)を扱う学習会の宣伝もあった。
二月に江東区・竪川で行政代執行の被害を受け、一名の被弾圧者が釈放されていない中で、支援の仲間が駆けつけて、救援を訴えた。江東区長、江東区土木部・水辺と緑の課の約束違反と、公権力を用いた暴力を許すわけにはいかない。
伊勢佐木町モールなどを通過するデモ行進では、「憲法を守ろう。主権者は私達」、「警察は不当な弾圧をやめろ」などのコールをあげて大通り公園で解散した。この日は、大阪から離れた場所で橋下市長の横暴をどう食い止めるかという認識を深めると共に、学校現場での思想・信条の自由を侵害する処分、公務員等労働組合、労働者の切り捨て攻撃、公安弾圧などがすべてつながっていることを確認するために、格好の集会だった。
(海田)
投書 がん患者とその家族に
も希望が持てる社会を
父が、胃がんになり、入院した。去年の三月から、父は、入退院を繰り返している。病院は、検査をして、開腹して、手術を試みた。だが、手術は中止された。医師は、開腹前に、がんを小さくするために、抗がん剤治療を行なった。開腹後も、抗がん剤治療を試みた。だが、父は、開腹後、体の具合が悪くなり、黄疸になってしまった。別の病院で、おなかにステント(金属の管)を入れたら、黄疸は落ち着いた。落ち着いているらしい。父は、好きでもない梅干しを食べながら、食事をとったりしていた。その後、父は、病院で出されたものを、ほとんど食べることが出来ない状態になってしまった。父は、「食べ物の味がしない」と言っていた。「吐き気がする」と言うこともあった。今は、父には食事は出ていない。父は、点滴をうっていて、ときどき痛み止めの頓服薬を飲むだけだ。体力があり、半日は体を起していられる状態でないと、抗がん剤治療は出来ない。というわけで、父には、今は、抗がん剤治療は、行なわれていない。父のおなかには、いくつかしこりが出来ている。
父への面会には、一日交代で、母と私が行っていた。母には、糖尿病と高血圧の持病がある。母は、「腰が悪い」ので、電車だけではなくタクシーも使っていた。だが、最近、疲れがたまっていたのか、母は、細菌性の肺炎になってしまった。母も、入院することになってしまった。母は病院になかなか行きたがらなかったために、判断に迷ったが、医師に相談し、私が救急車を呼び、母は救急車で運ばれて入院した。医師の話によれば、病院に行くのが後一日遅れたら、厄介なことになっていたそうだ。「二週間ぐらいで治ります。でも、退院した後が心配です」。「お母さんには、ご自分の体も大事にして下さい、と言いました」。「でも、お母さんに、お父さんの面会に行くな、と言うことは出来ません」。私の解釈が正しければ、医師は、それらのことを言っていた。
私は無職で、私には「障害」がある。
私は、父のことも母のことも、お金や生活のことも、心配だ。「ツレがうつになりまして。」という映画(佐々部清監督作品/2011年/日本映画)を観たことがある。うつ病の予防薬があったら、私は飲みたいぐらいだ。これで私がうつ病を併発でもしたら、私の家族は、どうなってしまうのかも、私は心配だ。
医学的なことや専門的なことは、分からない。だが、私はこんなことも考えている。副作用のない抗がん剤というものは、存在しないのだろうか。日本にも外国にも存在しないのだろうか。がん患者のための食欲が出る薬というものは、存在しないのだろうか。あるいは、「抗がん剤が使えない人のための、誰でも利用出来る治療法」というものは、存在しないのだろうか。存在しないとしても、早く開発出来ないのだろうか。がんの患者は、初期がんの人だけが助かれば良いのだろうか。初期がんではない人は、あきらめるしかないのだろうか、病気が重い人を救ってこその医療なのではないのだろうか。
健康診断を無料にして義務制にすることは出来ないのだろうか。弱者(病人とその家族・「腰が悪い」人・高齢者など)のタクシー料金や電車賃は、無料にするか大きく割引することは出来ないのだろうか。がん患者などの医療費を無料にするか大きく割引することは出来ないのだろうか。がん患者などの家族も、必要な場合、病院で、無料かとても安い料金で、暮らせるようにすることは出来ないのだろうか。がん患者とその家族が使う場合、携帯電話などの料金も、無料にするか大きく割引することは出来ないのだろうか。「糖尿病と高血圧の持病を持っていて『腰が悪い』高齢者が、背筋を伸ばして、しっかりと歩けるようになるような治療法」は、存在しないのだろうか。存在しないとしても、早く開発出来ないのだろうか。軍事費がすべて医学の研究などのために使われれば、多くの人たちが救われるのではないだろうか。
キューバでは医療費は無料だ、と聞く。日本でも、医療費そのものを、無料にすることは出来ないのだろうか。患者の家族も、必要な場合、病院で、無料で、暮らせるようにすることは出来ないのだろうか。
何とか、「決して初期ではない、がんの患者とその家族にも、希望が持てる世界」になってほしい。そういう世界を作りたい。私は、それを願っている。
(2012年2月4日)
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