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    かけはし2012.年2月6日号

原発推進・消費税増税
沖縄の切り捨てを許すな

野田首相の施政方針演説批判

あらゆる場から野田政権との闘いを

自民との連合のみが民主の活路?
橋下旋風に対決する変革の極を


目標は自公政権
と同じと公言


 一月二四日、通常国会(第一八〇国会)が始まった。同日に行われた野田首相としての初の施政方針演説は、「大震災からの復旧・復興、原発事故との戦い、日本経済の再生」を最重点課題として掲げ、四年前の福田首相の施政方針演説(信頼関係に基づく与野党の話し合い)、三年前の麻生首相の施政方針演説(持続可能な社会保障に必要な負担と消費税を含む税制改革)を取り上げて、「私が目指すものも同じ」と訴えた。
 三年前の総選挙で、民主党が厳しく批判してその打倒を訴えた対象であり、圧倒的な支持を集めてついに「政権交代」を実現した相手である自民党に向かって「目指すものは同じ」とすりよる姿勢に、野田政権の性格とその苦境が端的な形で示されている。野田民主党は、その基本性格において自民党と寸分も違わぬことを自ら表明したのだ。
 日米同盟の「深化」のための沖縄への基地押しつけ、武器輸出三原則見直し強行と海外派兵の恒常化、消費税の大幅増税と企業減税、そして社会保障切り捨てと公共サービス民営化・規制緩和、TPP推進など「震災復興」を名目にした新自由主義路線のいっそうの推進、そして何よりも「三・一一」の福島原発災害で危機に陥った原発推進政策のための巻き返しが、野田政権の「使命」として掲げられている。
 二〇〇八年のリーマンショックを引き金にした有期雇用労働者の「雇い止め」、貧困・格差問題の顕在化の中での新自由主義「改革」への批判と抵抗の拡大や、沖縄の反基地闘争の発展をバネに実現した二〇〇九年の「政権交代」への期待感は、いまや完全に失われた。相次ぐ首相のすげ代えと民主党内抗争の激化は、東日本大震災と福島第一原発事故に対する対応能力の欠如ともあいまって、二〇〇九年マニフェストをゴミ箱に放り込まなければならない状況を作り出してしまった。鳩山から菅へ、菅から野田へ、民主党政権はそのたびごとに米国、経団連と官僚、そして自民党の顔色をうかがいながらでなければ政策を立てられない状況に陥った。
 欧州の債務危機に代表されるグローバル金融資本主義の歴史的危機は、そうしたあり方をさらに促進している。

反省も謝罪も
ない原発政策


 野田首相は昨年一二月一六日の福島第一原発の「冷温停止状態」と「事故自体の収束」、そして「工程表ステップ2」の完了を宣言した。しかしこのインチキきわまる「宣言」は、原発推進派だった福島県知事や双葉町の町長など地元自治体の首長からも「実態を見ていない」として猛反発を受けている。一月二九日にも燃料プールや原子炉の冷却装置で計一四件もの水漏れが起きた。広範囲にわたる放射性物質の拡散は続いているのである。
 野田首相は施政方針演説の中で確かに「昨年末の『ステップ2』の完了は、廃炉に至るまでの長く続く工程の一里塚に過ぎません」と断ったうえで、「子どもや妊婦を放射線障害から守るため、生活空間の徹底した除染、住民の皆様の健康管理、食の安全への信頼回復に取り組むとともに、被災者の目線に立った公正で円滑な賠償に最善を尽くします」とは語っている。しかし彼の演説の中には、取り返しのつかない深刻な災害をもたらした政官財学、そしてマスコミも一体となった原発推進政策への謝罪の言葉はない。
 彼は、「経済再生」のために「エネルギー政策の再構築が欠かせません」と述べる。そのためには「国民の安心・安全を確保することを大前提としつつ、経済への影響、環境保護、安全保障などを複眼的に見る視点が必要」と語り、「化石燃料が高騰する中で、足元の電力需給の逼迫を回避しながら、温室効果ガスの排出を削減し、中長期的に原子力への依存度を最大限に低減させる、という極めて複雑な方程式を解いていかなければなりません」と述べた。
 もってまわったこの言い方は、財界・官僚など「原子力ムラ」の強力な圧力の下で、「脱原発」のうねりを抑え込み、「電力危機」「経済成長戦略」を口実に停止原発の再稼働と原発輸出にはずみをつけようとするねらいを示すものである。この動きを押し返し、被災地の住民をはじめとする民衆の多数派の共同意思として政府・資本に「脱原発」を強制するために全力を上げよう。
 三・一一の一周年にあたって開催される「福島県民大集会」とそれと結んだ全国の行動の成功、さようなら原発一〇〇〇万人署名の達成、停止原発「再稼働」の阻止と脱原発を基軸にしたエネルギー政策の根本的転換、避難の権利の保障とあらゆる被害の無条件全面補償のために、大きな運動のうねりを作り出していくことは、日本の労働者民衆の国際的責務でもある。

反資本主義勢力
の推進軸形成へ

 野田政権は消費税率の一〇%への引き上げを中心にした「税と社会保障の一体改革」に関連する諸法案の成立のために、自民・公明両党をはじめとする野党に協議と協力を促している。しかし自公両党は、この「申し出」に容易に応じようとはしていない。予算成立後、民主党の大分裂をふくめて衆院解散・総選挙が急速に日程に上ることになるだろう。民主党の単独政権はもはや不可能である。総選挙が民主党の大敗に帰結することは避けられない。
 同時に自公両党の政権再獲得も不可能な情勢である。そうすれば民主・自民・公明の「大連立」となるのか。民主党と自公両党の間の政策的相違はほとんどなくなっている。日米同盟をはじめとする軍事・外交政策、経済成長戦略、消費税率の一〇%への引き上げをベースにした「税と社会保障の一体改革」をめぐって、対立は民主・自民両党を貫いて存在している。「大連立」は同時に、それぞれの党の「大分裂」と政界再編に向かう力学を内包して存在している。この結末は、旧来の議会政治システムと「安定した統治」の枠組みが人びとの不信を買い、機能不全に陥っている現状を表現している。その背景には、金融資本が主導するグローバル資本主義の歴史的危機という土台がある。
 昨年一一月の大阪府知事選・市長選での橋下・維新の会の圧勝は、自民党から共産党まですべての既成政党に向こうにまわして、右翼ポピュリストのデマゴギー政治が席巻する今日の状況を示すものだった。
 今や「国政への参戦」を公言する橋下「維新の会」を台風の目としながら、「維新の会」と大村愛知県知事・河村名古屋市長らの「減税日本」やみんなの党との連携、石原・亀井新党の立ち上げなどの動きが注目を集め始めている。
 排外主義的右翼ポピュリズム勢力が「政界再編」の中心に躍り出ようとする局面において、この危機に対決するオルタナティブな政治勢力こそが求められている。社民党、共産党の現状は、戦後日本政治における「革新」ブロックのいっそうの衰退をあらためて示している。「みどりの党」が、この局面における一つの政治的挑戦として提示されている。
 反資本主義左翼をめざす新しいオルタナティブ的極の形成を志向してきたわれわれは、このきわめて困難な主体的局面の中で、抵抗の運動を基礎にした新たな選択のための積極的な討論と行動に踏み込んでいかなければならない。
       (平井純一)

5・3集会実が院内集会

改憲策動反対 今こそ
憲法を震災復興に生かせ


 一月二四日、第一八〇国会の冒頭にあたり、2012年5・3憲法集会実行委員会は衆院第2議員会館で「憲法審査会での改憲策動反対、9条守れ いまこそ憲法を震災復興に生かせ! 緊急院内集会」を開催した。毎年五月三日の憲法集会を東京の日比谷公会堂で行ってきた実行委員会は、この間、国会会期の冒頭に院内集会を開催している。
 主催者を代表してあいさつした高田健さん(実行委員会事務局)は、「昨年秋の臨時国会でついに始動した憲法審査会は衆参それぞれで二回開催されたが、その中で自民党議員らは、今回の震災対応の不備は憲法に緊急事態条項がないためだ、と述べ改憲の必要性を訴えている。民主党の中でもそれに同調する委員もいる。自民党は今年の四月二八日にも、党としての新憲法草案改訂版をまとめることになっている。こうした動きに反撃しよう」と訴えた。

衆院比例定数
の削減に反対
 出席した国会議員からは党を代表して社民党の福島みずほ党首・参院議員と共産党の笠井亮衆院議員が発言した。
 福島社民党党首は「憲法審査会の委員の中では、憲法を変える必要がないと言う人は圧倒的少数だ。この間、審査会が動かなかったのは九条の会などに示される運動の力だ。審査会の論議は、以前の憲法調査会よりも乱暴であり『押しつけ憲法無効論』が氾濫している。改憲発議に必要な議員数を三分の二から二分の一に変えようという意見も目立つ。大震災・原発事故で今こそ憲法価値の実現が求められている」と訴えた。
 共産党の笠井衆院議員は、憲法二五条の生存権を奪う消費税増税、平和原則を踏みにじる沖縄米軍基地建設や海外派兵に反対するとともに、衆院比例定数削減案に反対し民主主義を実現しよう、と強調した。


沖縄に軍事基地
を押しつけるな
 出席した国会議員(共産党の赤嶺政賢衆院議員、宮本岳志衆院議員、井上哲士参院議員、山下芳生参院議員、紙智子参院議員、社民党の照屋寛徳衆院議員、服部良一衆院議員、吉田忠智衆院議員)も発言した。
 照屋寛徳議員は「原発被災地の福島県双葉町長は野田首相に『私たちは日本人ですか』と問いただした。私たちウチナンチューも日本人だとは見なされていない」と、沖縄への基地押しつけを批判した。
 子どもと教科書全国ネット21の俵義文さんは、この間の中学教科書採択で伸びた育鵬社版の教科書が、巧妙な形で改憲を子どもたちに刷り込ませるものだと批判し、近く俵さんと高島伸欣さんが「つくる会」系の下村博文(自民党国会議員)と「公開討論会」を行うことになった、と紹介し、注目するよう呼びかけた。
 その後、憲法集会実行委員会参加の各団体からのアピールも行われた。 (K)


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