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    かけはし2012.年2月13日号

個人情報の国家一元管理やめろ

社会保障・税番号制度に反対する

民衆監視の制度
的強化をねらう


 野田首相は、施政方針演説(一月二四日)で消費税増税と社会保障削減の一体的強行とセットである民衆監視・管理のための社会保障・税番号制度導入法案を今国会に提出することを打ち出した。すでに二〇一二年度政府予算案では開発経費六七億円を計上している。一四年六月から個人と企業に番号を割り振り、一五年一月に「番号カード」を交付し、運用開始という計画だ。
 「社会保障と税の共通番号制度に関する検討会中間取りまとめ」(一〇年六月)の導入コスト試算では情報連携基盤関係のシステム開発やネットワーク費用だけで五〇〇億〜七〇〇億円、ICカード導入には二〇〇〇億〜三〇〇〇億円程度などと言っていたが、圧縮した政府試算ではシステム導入費用だけで五〇〇〇億円以上にも上るという結果も出ている(一一年一〇月)。継続した運用・改修・維持費、不正使用・漏洩対策等も含めれば最大八一〇〇億円程度に膨らむという試算もある。
 はっきりしていることは予算編成のたびに巨額な予算を計上するということだ。だがこんな巨額なカネがいったいどこにあるというのか。消費税増税と社会保障費を削減するから巨額なコスト負担は大丈夫などという居直りを許してはならない。制度は関係省庁官僚の利権・天下り先が拡大し、NTTデータ、日本IBM、日立製作所、富士通などのITゼネコンが大喜びの代物だ。民衆一人ひとりに番号を割り振りして一元的に把握し搾り取り、監視・管理を強化し、不完全なセキュリティーで個人情報流出必至の制度導入に反対していこう。

実態を知らせ
ずに情報操作


 内閣府は、制度導入キャンペーンとして「社会保障・税の番号制度に関する世論調査」結果を一月二八日に公表した(一一年一一月一〇〜二七日、全国成人男女三〇〇〇人に面接方式)。
 これまで制度導入実現のために野田首相は「国民一人ひとりが固有の番号を持つことになる社会保障・税番号制度を導入し、給付付き税額控除の導入を検討するなど、きめ細かな対策を講じます」などと施政方針で披露し、 「社会保障・税番号大綱」(一一年六月)では「所得把握の精度を向上」することによって「きめ細やかな社会保障給付」や「公平かつ公正な税制と社会保障を確立する」「国民の利便性が向上し国民の権利がより確実に守られる」などと情報操作してきた。その成果として制度を「必要だと思う」が五七・四%、「必要だと思わない」が二七・三%という結果で「うまく」誘導したつもりだろうが、なんと制度の認知度が「内容まで知っている」が一六・七%、「言葉は聞いたことがある」四一・八%、「知らない」が四一・五%という結果を見ればこの調査がとんでもないインチキなものでしかないことが明らかだ。
 制度は民衆一人ひとりに個人番号「マイナンバー」を付け、税務署や自治体などが別々に把握している所得や納税、社会保障サービスなどの状況を管理し、年金、医療、介護保険、生活保護、労働保険、税務の六分野で活用するとしている(「社会保障・税番号大綱」)。
 さらに民衆監視・管理のためにIC(登録証)カード(氏名、生年月日、性別、住所を記載し、ICチップに番号を記録する)を持たせ、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)の住民票コードを利用し、住民登録・戸籍・収入・税・健康保険・医療・福祉給付・介護保険・年金・免許・旅券・犯歴などの個人情報を一元化するとともに個人情報を確認できるインターネットサイト「マイ・ポータル」を開発し、各種の社会保障サービスが受けられるなどという宣伝に躍起だ。あげくのはてに東日本大震災についても取り上げ、災害時に共通番号によって家を失った被災者の本人確認や、避難に支援がいる要介護者の把握などができるなどと制度の「有効性」を押し出している。

個人情報保護
はまやかしだ


 だが大綱でさえも不正アクセス、番号の不正利用、個人情報流出、プライバシーの侵害事件が次々と発生している深刻な現実を無視することができず導入に対する「懸念」を取り上げざるをえなかった。
 それは@国家管理への懸念―個人情報の国家の一元管理の民衆の根深い不安・不信A個人情報の追跡・突合に対する懸念―本人が意図しない形の個人像が構築されたり、特定の個人が選別されて差別的に取り扱われたりするのではないかといった懸念B財産その他の被害への懸念―他人の番号を盗用する「成りすまし」などの不正の横行などを並べていた。
 対策措置として個人情報保護のために@目的外利用などに罰則強化A第三者機関を設置し行政や医療機関を監督するB自分の情報へのアクセス記録を本人が確認できる仕組み、医療分野の病歴などの個人情報保護のための特別法をつくると提示している。
 しかし現段階においても具体的なプライバシー侵害対策法案を示すこともなく、しかも自己の個人情報をコントロールする権利、個人情報の開示請求権、違法な情報利用の中止請求権、不服申し立て制度の確立などについて真面目に論議している形跡が全くない。ガードシステム開発が完成したという報告も聞いたことはない。公正な「第三者機関」と称して「番号情報保護委員会」(一三年)を新設すると言っている、巨大なネットワークをどれだけ監視・監督することができるのか。
 関連機関には大量の人員配置が予想されるが、それだけでも大幅な追加予算が必要となってくる。そもそもガードシステムが不完全なままであるにもかかわらず、どうやって監督・監視するというのだ。こんな欠陥だらけの制度の全貌を正直に説明してきたのか。内閣府の制度導入調査結果が、導入強行ありきで押し進め、いい加減であることを証明している。
 この間、各地で政府主催の「共通番号シンポジウム」を行っている。ほとんどお得意の「やらせ」シンポだが、それでさえも「情報漏えいのリスクも高くなる」「国家による情報の一元管理は恐ろしい」「国民へ十分な説明が必要」などの意見続出で関係官僚があわてて「説得」することを繰り返しているのが実情だ。
 民間レベルの個人情報流出事故は限りなく続出し、名簿業者によって個人情報の商品化が拡大している。守秘義務があっても、個人情報漏洩事件・秘密データ漏洩、犯罪歴・病歴の漏洩が続出している。現在の「技術水準」では個人情報流出事故は、阻止できないのである。制度導入は、無駄な予算配分で浪費でしかないし、人権・生活破壊に直結だ。導入中止しかないのである。

社会保障充実
こそが必要だ

 野田は、消費税増税の交換条件として「給付付き税額控除の導入」を掲げ、そのためにも所得が正確に分かる必要があるから制度の導入を行うのだと言う。「給付つき税額控除」するには申告・申請が必要であり、それを証明する関係書類がなければ対象外となる可能性がある代物だ。しかも低所得者向けの「給付措置」が、なんら根拠、基準を示さずに一人一万円だという。消費税増税によって低所得者ほど負担が重くなる「逆進性」の緩和がたったの一万円だというのだからふざけているではないか。
 さらに大綱では共通番号制度導入の「有効性」として「低所得者対策」のための「総合合算制度」を提示している。これは「社会保障の各制度単位ではなく家計全体をトータルに捉えて医療・介護・保育・障害に関する自己負担の合計額に上限を設定」するから「自己負担額」が軽減するというのだ。しかしその「上限」額、財源を示すこともなく、他方では年金支給開始年齢引き上げ、年金支給額削減、医療費の自己負担割合引き上げを打ち出しているにもかかわらず、いったいどこが「低所得者対策」などというのだ。
 生活保護予算が削減され、いまだに自治体の生活保護の窓口で申請受理しない「水際作戦」が続いている。制度に巨額なカネをつかうよりも社会保障関連に使うべきであり、資本・富裕層優遇税制の抜本改正が必要なのだ。結局、制度導入は社会保障費・各種行政サービス費用の削減のために「威力」を発揮させ、民衆の自己負担の増額にあることははっきりしている。

資本にとっての
ビッグチャンス

 制度は、「住民基本台帳ネットワーク」を活用して各省庁、自治体、税務署、年金機構、社会保険事務所、社会保険報酬支払基金、職業安定所、医療など諸機関を横断的につなぐという国家による民衆情報の一元的管理だ。「省庁自治体間のデータ連携」は、警察庁とリンクすることによってグローバル派兵国家構築のための治安弾圧システムへと積み上げていくことも準備している。
 この統治能力の強化は、従来の政権・支配層にとって長年の願望でもあった。日本経済団体連合会は、「社会保障と税の共通番号制度について」(二〇一〇年二月一八日)で制度導入の早期実現を求め、しかも「民間での活用を前提とした発展性を持った制度とする」と強く迫り、制度を通して新たなビッグビジネスチャンスとして金儲けに利用とすることもねらっているのである。
 国家による個人情報の一元管理体制である共通番号制度導入を許さない!         (遠山裕樹)

静岡・清水で市民が救援集会

無実の死刑囚袴田巌さんの
即時再審開始をかちとろう


 【静岡】袴田さんは無実だ! 一日も早い再審開始を訴える集会が、一月二二日静岡市清水区で開かれ一〇〇余人が参加した。主催した袴田巌さんを救援する清水・静岡の会代表、梅田さんが「一二月二二日、弁護側、検察側がそれぞれ提出したDNA鑑定はマスコミによって相反するとの報道があったが分析矛盾があるとまでは言えない。明日(一月二三日)三者協議があるので、そこで結果判断がされるだろう。旧証拠の見直しや新証拠の発掘を進めて大きなヤマ場にさしかかった無実の証明を果したい」と経過報告をした。その後、袴田事件弁護団長の西嶋弁護士による「袴田事件第二次再審の現段階」と題する報告が行われた。

検察の証拠捏
造は明らかだ
 報告の核心は検察による五点の衣類のねつ造が明らかだという点にあった。また検察はこれまで、確定判決で引用している事物さえ開示してこなかったが、他の再審事例などで裁判所が開示方向へ一歩進んだことが背景にあって、静岡地裁もその姿勢を見せて検察にたいして開示を求めるようになり、弁護側請求の「五点の衣類発見時の鮮明なカラー写真こそ、ねつ造を逆に証明」し、さらに検察が言ってきた「ズボンのタグにある『B』は型であるというのは間違いで、実は色別を示すもの」ということが判明した上、「三二通の自白調書と取調べテープが開示されたが「実はこれが起訴後のものであり、これもねつ造を如実に示すものであることが分かった」というのである。
 さて、そこでDNA鑑定結果とその分析評価の問題であるが第一次再審ではDNA鑑定を出せなかったが、今日の技術では可能であるとして、双方が鑑定を行った。その結果が示したことは先に挙げた「五点の衣類のねつ造」の新事実だったのである。まず弁護側の鑑定では「核の中のDNAを抽出」して血液由来の鑑定であり、有効と判断できる結果が出た。
 つまり「味噌漬け資料と現場資料のDNA型の関係については同じ血液型として判定されたものについても、同一のプロファイルを判断できるものは一つも存在せず、双方にわたって同一由来の血液は確認できない」ということになり、「遺伝子部位によっては七種の型が出現していることから血縁関係のない少なくとも千人以上の血液が分布している可能性が高い」と判断できるというのである。
 これにたいして、検察側の鑑定では「血液型を検討しておらず、検出されたDNAが血液由来かどうかの可能性が不明」であり、事実上「鑑定不能と言っているに等しい結果」と見るべきと評価した。
 これらの結果から、次に問題となるDNA鑑定――それは袴田さんから採取したDNAと味噌漬けの白半袖シャツ及び緑色パンツのB型血痕からのDNAの異同――によるダメ押しがされるなら、一〇〇%の無実が証明されると語った。
 こうして、「再審開始決定の機は熟してきた」として、以下の課題を指摘した。それは@「ねつ造」を完全に詰め切り、検察の抵抗を排し、裁判所に決断させるA最終意見書をいつでも提出できるようにするBキズと刃物との関係などの検証のために証拠調べへの対処Cズボンのタグ『B』の間違いにあるように、検察意見書への反論、である。


袴田さんの健康
は極度に悪化
 西嶋弁護士は最後に「再審開始決定前に袴田さんを釈放させることの重要性」を強く訴えた。事件が起きたのは一九六〇年、虚偽の自白を迫られ、起訴された公判中に、事件のあった工場内の味噌タンクの中から「五点の衣類」が発見されたという――ねつ造の結果――ことをもって、一九八〇年上告が棄却されて死刑確定という経過をたどり、一九八一年、静岡地裁に再審を申立て、この第一次再審が二〇〇八年に特別上告棄却の後、二〇〇八年四月第二次再審請求を行って今日に至っている。袴田さんの健康状態は極端に悪化しており、少なくとも外部の精神科医療機関での治療が急がれている。
 この集会にはゲストとして、東電OL事件で無実のゴビンダさんを支える会からの報告もあった。 (S)


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