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    かけはし2012.年1月1日号

過密運航化、安全軽視の新自
由主義的航空政策の強化


次々に格安航空会社(LCC)が就航


運航回数を増す
「高回転高稼働」


 二〇一二年に次々と格安航空会社(LCC)が就航する。全日本空輸は香港の投資会社と共同出資で関西空港を拠点にピーチ・アビエーションを設立、さらにエアアジア(マレーシア)と共同出資で成田空港を拠点にエアアジア・ジャパンを設立し一二年中に就航する。日本航空もジェットスター(オーストラリア)と共同出資でジェットスタージャパンを設立した。LCCは「空の便をバス感覚で」「運賃は通常の半額から三分の一を想定」などとコマーシャルしている
 国交省と空港会社は、根拠なしに航空需要が自動的に上昇していくことを前提にして、羽田空港D滑走路供用による年間四一万回増(6万回が国際線)、成田国際空港の年間発着枠が二五万回(一一年度)、二七万回(一二年度)、三〇万回増(一四年度)と設定した。この想定をバックにして日米両政府の航空自由化(オープンスカイ)協定の締結を皮切りに中国、韓国、タイなどアジア九カ国・地域とも完全自由化への協議に入り、現在、アジア各LCCは国内九空港に就航している。「激安チケット」を売りに通常運賃の半額程度になっている。
 日本に就航する海外LCCは九社二一路線。後発として新たに全日空系、日航系LCCが三社参入するが、これまで参入してこなかったのは、客が低価格チケットに流れてしまい自社同士で客の奪い合いに入ってしまうカニバリズム(共食い)に陥る危険性があったことを理由としている。
 『週刊ダイヤモンド』(一一月一九日号)は「LCC襲来!空の『価格破壊』が始まる」というLCC特集を組んでいる。その中で「これが安さの秘密だ!」として@狭いシートピッチAサービスの有料化B高回転高稼働C柔軟な価格設定D航空機種を統一E社員のマルチタスク化(客室乗務員が機内清掃や搭乗案内を行うなど、一人の社員が何役もこなす)などのビジネスモデルを紹介している。
 「高回転高稼働」(空港での滞在時間を短くし、一機一日あたりの運航本数を多くすることで生産性を高める)でわかるように安全軽視の居直りに貫かれている。つまり、LCCは着陸から出発まで三十分〜一時間程度の短時間で航空機整備費削減による整備パターンの常態を基本にしながら、運航回数を増してコストダウンを押し進めていくというものだ。安全上のリスクを乗客に押しつけるものでしかない。

事故原因を労働
者に責任転嫁


 すでに就航している「和製LCC」と言われるスカイマークは、空港着陸から出発までの折り返し時間が三五分、一機の一日平均稼働時間は七・八時間という運行実態だ。これでは整備不良、機体故障等を発見し、修理する時間をほとんど確保していないことを前提にしている。多少の不良・欠損箇所があっても定時出発を優先し続けているのが「実績」だとしているのだ。いつ航空機事故が発生してもおかしくない強行運航は、ただちに中止するのは当然だ。
 さすがに『週刊ダイヤモンド』は、航空機事故問題について避けることができず「安全度・ユーザー評価」の頁を設定している。ところが冒頭から「技術革新とともに航空機の事故率は低下してきた」という主張を押し出し、杉浦一機(航空アナリスト)の「機体トラブルが減った代わりに乗務員の単純ミスなどヒューマンエラーが増えている」という評価を出して、LCCの安全軽視システムを労働者に責任転嫁する姿勢を擁護する。エチオピア航空機墜落事故(死者九〇人/二〇一〇年一月)、エア・インディア・エクスプレス機着陸事故(死者一五八人/一〇年五月)など九件の航空機事故で五五五人が犠牲になっている事実に触れたが、あたかも乗務員のヒューマンエラーだと言わんばかりなのだ。

規制緩和の結果
増大する事故


 二〇一二年度予算編成の重要課題を話し合う政府・与党会議(一二月九日)は、「日本再生重点化措置」を掲げ三九事業(要望総額九千億円)を優先的に盛り込んだ。この中で国交省成長戦略航空分野方針の一環として「首都圏空港の強化」項目を要求し、羽田空港の「発着容量四四・七万回の達成に必要なエプロン(駐機場)等の整備、深夜早朝時間帯の長距離国際線の輸送能力増強に必要なC滑走路延伸事業等の重点推進」、成田空港の「一一年一〇月より導入する同時平行離着陸方式の更なる効率的な運用に必要な監視装置の整備」などに一一八億円を予算化することを決めた。あいかわらずの手厚い財政措置だが、航空資本に対する大甘姿勢はこれだけではない。
 国際航空運送協会(IATA)は、当初、二〇一二年利益を四九億ドルと予測していたが、世界的同時不況、欧州金融危機、東日本大震災、福島第一原発事故と放射生物質の拡散などによって旅客・貨物需要の失速が続き最終利益が四五%減の三五億ドル(約二七〇〇億円)減益になることを明らかにした(一二月七日)。さっそく航空業界の危機は、アメリカン航空の米連邦破産法一一条の適用申請で露となった。アメリカンは、この手法をテコにして再建のために人員整理・リストラに突進していく。日本の航空資本も例外ではなく、日航の経営破たんを労働者不当解雇、組合つぶし、路線削減によって高収益を出しつつある。
 全日空、日航のLCC参入をバックアップするために国交省は、航空機の「高回転高稼働」の運用効率を上げるために乗客の搭乗中の給油禁止を解除することを決めた(一二月七日)。国交省官僚は、「安全確保に努めながら、国際競争力を強化していきたい」などと述べ、なんら安全確保の根拠を提示することもなく安全軽視を促進する立場を押し出した。かつてスカイマークの西久保社長が「日本は安全基準が高すぎる。実際には時代遅れの面が随分ある」(『週刊東洋経済』〈10・8・7〉)などと暴言を吐いていたが、国交省は航空資本の営利主義のための極限的な規制緩和を全面的に受け入れたのである。
 沖縄・那覇空港での中華航空機の爆発炎上事故(〇七年八月二〇日)の反省・教訓はどこにいったのか。中華航空機が着陸後、駐機場にむけて地上走行中、右側エンジンから燃料漏れを起こし炎上。地上整備士が発見し、機長に通報して九十秒後に乗務員・乗客全員が脱出し、間一髪のところで大惨事から逃れることができた。事故原因は整備不良のためエンジンにボルトナットが突きささり、大量の燃料が漏れ、エンジンのアイドリングの熱で発火した。乗客搭乗中の給油は、この事故と同様な事態が発生する可能性が多分にあり、爆発炎上の事故と隣合わせに追い込むということなのだ。
 中華航空は、格安航空運賃をコマーシャルしてきたが、過去に名古屋空港着陸失敗炎上事故(一九九八年二月、二六四人死亡)、インドネシアバリ島墜落事故(一九九八年二月、二百人死亡)を起こしている。いずれもパイロットの誤操縦だとしているが、乗務員の長時間過密労働、機体整備の海外委託によるコスト削減などによる組織的事故だった。LCCの激安チケット販売は、この中華航空事故の再現の危険性に踏み込んでいると言わざるをえない。

運動の中で危険
性を指摘すべき


 羽田空港に滑走路侵入防止装置が設置され、運用が始まる(一二月一五日)。頻繁に横断する二本の滑走路入り口に設置し、誤って航空機が進入しないように「STOP」と赤信号が大型パネルに表示されるという。侵入防止装置を設置しなければならないほど過密運航状態なのだ。なんと全国で先駆けて設置されたと「自慢」しているが、過密運航の危険性を自ら証明したに等しいのである。この安全軽視と「怠慢」姿勢は、航空機人災事故の複合要因としてカウントされる。すでに全国の空港で勘違いで誤進入するインシデント(重大事故)が過去三年間で一五件も発生している。だからこそこれ以上の過密運航をストップさせ、航空安全規制を強化しなければならない。
 このようにLCC就航を通した新たな航空再編は、国交省成長戦略会議の営利主義を優先した航空規制緩和、過密運航化、安全軽視、環境破壊に満ちた新自由主義的航空政策路線の強化だ。健康被害が発生する騒音限界値を越えた轟音と排気ガス・CO2のまき散らし、航空機事故の多発化に直結している。同時に、航空会社、空港間の競争激化となり、コスト削減と称する労働者合理化と過密労働が必至だ。LCC就航の危険性を反空港全国運動の中で強調していかなければならない。   (遠山裕樹)

三里塚空港に反対する東峰現地行動

事故を多発させる発着回数の
三〇万回増枠計画を中止せよ

 
横堀十字路を閉
鎖し鉄板で囲む
 一二月四日、三里塚空港に反対する連絡会は、東峰共同出荷場で三里塚・東峰現地行動を取り組み、六〇人が参加した。
 空港会社は、新自由主義的航空政策の忠実な担い手として離着陸回数三〇万回増とLCC(格安航空会社)の参入、拠点化に向けた機能拡張工事を次々と強行している。平行(B)滑走路の「く」の字型に曲がった天神峰地区の誘導路を直線化するために、機動隊を大量動員して天神峰現闘本部(北原派)を破壊した(八・六)。横堀地区では横堀大鉄塔・案山子亭に向かう道路にあった横堀十字路を閉鎖し、五メートル以上もある鉄板フェンスを張り巡らした。地下トンネルも二倍以上に延長し、闘う拠点を暴力的に孤立させようとしている。
 発着回数は、二〇一一年度中 に二五万回、一二年度中に二七万回、一四年度中に三〇万回の増枠計画だ。また、空港処理能力拡大のためにA・B滑走路の同時平行離着方式の導入を強行した(一〇・二〇)。これまで航空機離陸後の接触事故を回避するために離陸時間差、一五度以上の開きを確保する安全ルールさえも取っ払ってしまった。国交省は、「新たな監視担当管制官を常時一人置くから安全だ」などと安全軽視に満ちた発言を行っている。
 こんな発着枠増加は、過密ダイヤの拡大による管制業務疲労、ニアミス・接触、滑走路離発着事故の多発化であり、CO2排出量減少運航の否定だ。東峰地区などの飛行コース直下に轟音を叩きつけ、生活・環境破壊、追い出し攻撃の強化でしかない。つまり、政府・成田空港会社による「国策」として空港建設を暴力とカネのバラマキによって押し進めてきた路線は全く変わっていないのだ。千葉地裁による一坪共有地と横堀・団結小屋破壊裁判での相次ぐ不当判決でもその姿勢がストレートに現われている。
 このような政府・空港会社に対して連絡会は、「成田空港三〇万回発着を中止せよ! 航空機騒音拡大・環境破壊を許さない! 東峰住民の追い出しをやめろ! 一坪共有地・団結小屋裁判の控訴審闘争勝利! すべての原発を停止せよ! TPPに反対する!」を掲げ東峰行動を取り組んだ。

土地強奪の不当
判決に激しく抗議
 集会は、湯村一美さん(東水労青年女性部)の司会あいさつで始まり、次々と発言が続いた。
 石井紀子さん(東峰地区)は、「東峰団結小屋は、裁判の結果、和解で上物はなくなったが、土地は残った。苗木を植えて東峰の憩いの場にする。騒音防壁に囲まわれて殺風景な東峰だが、その中でも季節ごとに花が咲くようになる。私は、この地があるかぎり、魂はここにある。私の故郷です。都会育ちの皆さんも、ここを故郷だと思って気軽に訪れてください」と述べた。
 渡邉充春さん(関西・三里塚闘争に連帯する会、東峰団結小屋維持会)は、「一月に加瀬勉さんを招き一坪共有地を守り抜くための意思一致をした。関西新空港と伊丹空港を統合した新会社が設立された。LCCを導入して黒字化させ、膨大な赤字を消すと言っているが、未知数だ。厳しく監視していく。反空港全国連絡会でも国交省交渉などの取組みを追求しいきたい」。
 さらに「東峰団結小屋があった土地は、一八分の一七が空港会社、一八分の一が石井恒二さんの共有地所有だった。裁判の過程で千葉地裁が@小屋の撤去A石井さんの共有地を認めるB石井さんが土地を管理するという和解案を提示してきた。小屋の住人の同意を得て、和解に合意した。跡地は公園になる。闘いを継続するために一つの選択をした」と報告した。
 山崎宏さん(横堀地区・労活評現闘)は、「九月に現闘本部共有地裁判、柳川秀夫さん持分裁判、横堀共有地(鉄塔前のくぼ地)裁判の不当判決、一〇月に横堀・団結小屋裁判の不当判決が出た。いずれも空港会社の土地強奪の主張を認める反動判決だった。国・会社の立場にたった司法の姿勢が明らかとなった。控訴審でも闘っていく。一一月二一日、横田基地に向かう米軍のチャーター機が燃料補給を口実に成田空港に着陸した。空港の軍事利用の一環として実行したのだろう。米軍再編による空港利用の再構築を許してはならない」と呼びかけた。
 集会を中断して、B滑走路全体を見渡すことができる開拓道路に向けてデモに移った。滑走路に向けて「三〇万回発着をやめろ! 東峰住民の追い出しを許さないぞ!」とシュプレヒコールを行った。
 デモは東峰出荷場に到着し、集会を再開。
 大森武徳さん(続・木の根物語プロジェクト)は「七月一七日木の根プールが二〇年ぶりで復活した。その後も多くの仲間たちに利用され、福島の南相馬市の中学生たちも参加した。来年は、防水処置も含めて絵画を描こうと計画している。人々の思いを伝えていきたい。ペンション利用など参加してください」と呼びかけた。
 さらに横堀団結小屋維持会、成田プロジェクト、安保終了を通告する会、東水労青年女性部からアピール。
 最後に二〇一二年一月一五日に反対同盟旗開きが開催されることが紹介され、「団結頑張ろう」を行い再会することを確認した。        (Y)

 


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