かけはし重要記事

frame01b.html

もどる

                         かけはし2002.11.11号より

三里塚・暫定滑走路はいらない!
11・17東峰現地集会に結集しよう

午後1時〜東峰出荷場 主催 三里塚・暫定滑走路に反対する連絡会

 空港公団・黒野総裁は、七月の就任時にあたって、「現行計画で決まっている範囲で、二千五百メートル平行滑走路の完成を目指したい。しかし、本来の形でできない場合、北に延長(三百メートル)して二千五百メートルにする時が来るかもしれないが、それは選択肢の一つだ」と公言した。これはジャンボジェット機が離発着できる二千五百メートル滑走路を建設し、東峰住民に対してこれまで以上の轟音で叩き出してやるぞという脅迫であった。
 すでに四月十八日の暫定滑走路供与強行によって連日連夜、頭上四十メートルに中型ジェット機が約五十回も飛行し、九〇デシベル以上の轟音と排気ガスによって人権・生活・環境破壊を繰り返しているにもかかわらず、さらにジャンボジェット機を飛ばし百デシベルを越える轟音をまき散らそうというのだ。
 東峰住民は、このような非人道的な脅迫を、東峰神社裁判への取り組みをはじめ土地と生活に根ざした闘いを武器にはね返し続けている。「七・一四成田空港・暫定滑走路廃止を求めるシンポジウム」で石井紀子さんは、「ジャンボが飛んだら、いまの騒音どころではない。だけどここで農業を続けていきたい」ときっぱりと闘う決意を明らかにしている。また、紀子さんは、父の武さんが病床の身にありながらも、「命のあるかぎり公団には負けない」と闘いぬいていることも報告した。
 東峰住民の断固とした反撃に対して北側延長派は、八月に入ると来年度予算の概算要求で平行滑走路完成に向けた予算増額を引き出すために北側延長キャンペーンを強めていった。黒野は、「(用地交渉が)できなかったら『もう一年』と悠長なことは言えない」などとあらためて東峰住民を追い出そうとする圧力を強化していくことを明らかにした。
 東峰住民に対する公団の包囲を前提にして、扇大臣は「本来の平行滑走路がベストだが、反対派との和解が難しく困難ならば、北延ばしでもいいから早期に二千五百メートルの滑走路を作ってもらいたい」と援護した。そして、空港周辺の財界・利権屋集団で作る「成田空港早期完成促進協議会」は、「平行滑走路の早期実現のため、用地交渉の期限を決め、交渉が不調ならば北側に滑走路を延長して整備するように求める」などと公団によるヤラセの要望決議まで行った。
 そもそも北側に延長するとすれば、ジャンボジェット機の離発着を行うための平行誘導路が必要であるにもかかわらず、現在のカーブ状誘導路がジャンボ機が使える基準以下であるため使用不可能であり、さらに東峰神社、東峰部落の開拓道路、反対派の土地が存在することによって、そもそも建設ができない「計画案」なのだ。このような事実について沈黙しながら北側延長を叫ぶ連中の主張を暴露し、東峰住民とともに反撃していかなければならない。
 北側延長派の動きに対して成田市久住地区は、延長反対署名運動を開始した。また小川成田市長、可瀬力下総町長、相川芝山町長らは、「用地問題を解決しないまま北側延伸すると、対立が続いてきた空港問題が積み残される」などと批判している。だが、その本音は安易に北側延長に力を注ぐのではなく、東峰住民の追い出しにもっと集中せよというものであり、自己の権益が減ることに危機感をあらわにし、利権の引っ張り合いを行っているにすぎない。
 このようなドタバタをやりあいながら、国土交通省と公団は八月二十八日、成田空港整備に関する来年度予算の概算要求を行った。建設事業費が千八十九億円で前年度比五八%増という優遇配分を要求した。そのうち平行滑走路等整備費として七十三億円、周辺対策である共生事業費が百四十八億円であった。
 公団は、整備費について「本来の南側を目指したものであり、用地問題が解決した際に必要となる予算。誠心誠意話し合いをして解決することが前提」などと東峰住民の存在を否定した暴言を平気で行った。北側延長派の今後の策動に注意しつつ、いずれにしても東峰住民に対する追い出し攻撃を強化し東峰住民の人権・生活・環境を破壊するこのような連中を絶対に許してはならない。
 米ブッシュ政権によるグローバル戦争の一環であるイラク侵略戦争の準備が加速化している。小泉政権は、アフガニスタン侵略戦争に海上自衛艦を出兵させ、さらにブッシュの戦争政策に参画するための対イラク戦争支援法の準備、有事立法の制定など「戦争のできる国家体制」を強化する策動を強めている。
 すでに三里塚空港は、自衛隊のPKO派兵のための出撃空港として使われている。日米地位協定に基づいて米軍機が国内の民間空港に着陸した回数は、〇〇年一年間に二十四空港で計八百三十二回。自衛隊機は七十二空港で計三万五二四二回にのぼっている。戦争時には、当然、三里塚空港も使用対象となる。有事法制の制定によって、さらに深く戦争システムに組み込まれることになるなかで、イラク侵略戦争が切迫している。反戦闘争と三里塚闘争を結びつけながら闘おう。
 反グローバル運動の活動家であるフランス農民連盟のジョゼ・ボベさんが、ATTACジャパンなどの招待で十月二十七日、来日した。ボベさんは、三里塚反対同盟との交流会を皮切りに大阪、京都、東京、新潟、福岡と走りぬき、グローバリゼーションと新自由主義の象徴的存在であるWTOへの反対を呼びかけ、遺伝子組み換え作物を押しつける多国籍企業への闘いを力強く訴えた。
 反対同盟にとっては一九八二年、南フランス・ラルザック反基地闘争集会への参加以来の再会であった。またそれはボベさんらの「農民の農業」と三里塚農民の「農的価値」の合流、すなわち生産力至上主義・大量生産・大量消費社会システムに反対する世界的なうねりの表現でもある。農民連盟の闘うスローガンである「希望をグローバル化するために 闘いをグローバル化しよう!」をわれわれが自身が体現するような運動めざして、暫定空港反対闘争を広げていこう。
 さらに全国各地の乱開発・環境破壊・住民排除の公共事業に反対する戦線、反空港戦線と結びつきを強めていく必要がある。すでに「七・一四成田空港・暫定滑走路廃止を求めるシンポジウム」で諌早湾干拓事業住民運動、愛知万博反対闘争、静岡空港反対闘争との交流に引き続き、十一月二十三日〜二十四日に、反空港全国集会が静岡空港反対闘争の現地で開かれる。このような流れと結びつき、その成果を三里塚現地に還流させていこう。
 公団の攻撃は、平行滑走完成と同時に横風用滑走路の完成もねらっている。すでに横堀部落に対する騒音攻撃、工事車両の増加による生活・環境破壊が強まっている。横堀反対同盟と連帯し、インター横堀団結小屋維持会が呼びかける交流会や団結小屋強化の取り組みに参加しよう。十一月十六日〜十七日、三里塚現地行動に駆けつけよう。(遠山裕樹)

もどる

Back