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                          かけはし2002.12.2号より

バリ島爆弾テロはスハルト体制による暴力の産物だ!

アジア大平洋連帯行動(ASAP)

 以下に掲載するのは、オーストラリアのアジア太平洋連帯行動(ASAP)が十月十二日深夜(現地時間)に起こったバリ島爆弾事件に関して発した声明の抜粋である。

 アジア太平洋連帯行動(ASAP)は、十月十三日にバリ島で起こり、少なくとも二百人にのぼるバリ、インドネシア、オーストラリア、そして世界中の人びとの生命を奪った残忍な爆弾事件を率直に非難する。これは、無防備な人びとに対する大量殺人行為だった。ASAPは、すべての殺され、傷ついた人びとの家族に同情と連帯を差し伸べる。
 またASAPはこうした事件が再び起こらないことを願う。しかしこうした暴力を終わらせることは、基本的に治安問題ではなく、政治的・社会的問題である。その解決策は、国家的弾圧の拡大を正当化する恐怖の気運を促すことにあるのではなく、根本的原因を指し示すことにある。政治における暴力の行使は、全世界の政府機構やエリートたちによって担われてきたのである。
 スハルトの「新秩序」体制は、インドネシアと東ティモールを支配するために数十年にわたってテロを行使してきた。この数十年間にわたって、オーストラリア政府は、労働党と自由党の双方ともに、このテロリスト体制を全面的に支持した。スハルトは、インドネシア軍と警察、そして非公式武装集団を使って、民主化運動や独立運動に対する殺人とテロの秘密作戦を行ってきた。
 国家、ならびにもともと国家が創設した集団の双方が遂行したテロは、西側が支援するスハルト体制の下でのインドネシアの政治生活の日常茶飯事となった。スハルトが弾圧のためにテロを行使するただなかで、かつてジョン・ハワード豪首相はスハルトを「思いやりのある繊細な」指導者と呼んだことがある。
 いまや、オーストラリア人と他の外国人は、スハルト時代にバリ人をふくむ数十万人のインドネシア人の生命を奪ったのと同じ暴力の犠牲となった。西側と地域のエリートたちの特権と利害を主張し、防衛するための手段として国家暴力が行使し続けられる中で、この地域でこうした暴力が増加しているのである。オーストラリアをふくむ西側の承認の下で、殺人と拷問がアチェ、パプア、西パプアで続いている。
 これまたオーストラリアの承認の下で、インドネシアの全域で労働者、農民、学生の平和的抗議を弾圧するために暴力が行使されている。国家的弾圧の結果として、インドネシアでは多くの活動家がいまだに牢獄に囚われている。その中でオーストラリア政府は、ジャカルタの抑圧的機構との軍事的結びつきの拡大を示唆している。
 インドネシア、アチェ、パプアの人びとに対する国家的テロと、こうした国家的テロへの西側の支援が、不処罰のまま継続する中で、あらゆる種類のグループと個人によってあらゆる種類の暴力がもくろまれているかもしれないのである。一九九七年に始まり、いまではIMFの監視の下でのインドネシア社会・経済の略奪の加速化によって悪化している経済危機の結果として、インドネシアの社会は分解の過程にある。貧困、苦悩、不安定が増大するとともに、絶望、不満、不合理性とならんでエリートの間の陰謀や密計も増大する。
 これこそ、スハルトの「新秩序」が作りだし、とりわけ偽善者のジョン・ハワードを先頭にする政府をふくむオーストラリア政府によって護られ、正当化され、支援された社会なのである。この状況が変化した時にのみ暴力は終わりをつげるだろう。(「IV誌」02年11月号)                     


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