民主労働党と進歩新党を中心とする進歩政党、進歩勢力の統合問題は混迷している。進歩新党の党大会では独自派と統合派が激しく対立し、結局は統合案が否決された。一方、民労党の党大会では統合新党への国民参与党の合流をめぐって、それを推進する主流派(党権派)と非党権派が対立し、党権派の提案が否決された。これらの背景には、民労党主流の覇権主義的党運営への批判や北朝鮮に対する立場の違いという従来からあった論点に加え、横断的に存在している国民参与党への評価と批判の問題がある。韓米FTAに賛成し、海外派兵を容認する国民参与党は到底「進歩」とは言えず、総選挙などを意識した「実利的統合」は論外だという点で批判は横断的に一致する。以下は両党大会をめぐる経過と民労党クォン・ヨンギル元代表とのインタビューだ。(「かけはし」編集部)
脱党し新たな統合を模索
チョ・スンス前・進歩新党代表が早ければ10月4日にも脱党する。チョ前代表は9月29日に〈ハンギョレ21〉と会い、「難関にぶちあたった進歩政党統合の新たな動力を作るために脱党を決心した。10月4〜6日ごろ進歩新党の前・現職市・道委員長ら20人余りとともに脱党を発表する」と語った。
彼は「多くの(統合派)党員たちが進歩新党を通じて何かをすることはできない、と判断したようだ。私は進歩の統合を責任をもって推進してきたし、今後もそうすると主張してきていたために、統合の流れを作ろうとする力がバラバラになってしまうことなく、キチンと集まる方法を求めなければならなかった」し、「今となっては進歩新党という枠組みでこれ以上、何かをしようとするかのようなメッセージを与えるのは適切ではない」とも付け加えた。
進歩政治陣営の地殻変動
ノ・フェチャン、シム・サンジョン両元代表が脱党してから10日余りにしてチョ前代表までが党職を整理するならば、進歩新党は事実上、分党の手順を踏むことになるものと見られる。この間、進歩新党では民主労働党との統合問題をめぐって独自派と統合派が対立してきた。
ところで9月4日の進歩新党臨時党大会で統合案が否決されるやいなや、統合派の党員らは脱党し始めた。特に9月25日、全国委員会で非常対策委員会の構成をめぐって両者が激昂し罵り合うなどの激しい葛藤があらわになった後、脱党者は一層増加している。このような雰囲気の中でのチョ前代表の脱党は、統合派の連鎖脱党を加速化するきっかけとなり得る。
チョ前代表の脱党は進歩政治陣営の地殻変動も予告する。彼は既に9月8日、ノ、シム両元代表をはじめとする統合派の90人と共に「進歩新党の臨時党大会の決定は進歩政治の大統合を望んでいる多くの党員たちや国民らに失望を抱かせた」とし、『新たな進歩政党建設のための統合連帯』(統合連帯)を提案した経過がある。ソウル汝矣島に統合連帯の事務所も準備した。彼は「この間の論議に基づいて『新たな統合進歩政党推進委員会』(新統推)の中で統合連帯や民主労働党、市民社会勢力が新たな進歩政党を建設という合意をするのが望ましい」とし「年末までに新しい統合進歩政党を作るのが当面の目標」だと語った。
「この間の論議」というのは5月31日の「進歩政治大統合と新たな進歩政党建設のための進歩陣営代表者連帯会議の合意文」と、それに基づいた8月28日の民主労働党と進歩新党の「新たな統合進歩政党建設のための合意文」などを指している。前の合意文は両党の統合の合意が、後の合意文は「国民参与党の参加問題について合意するために真剣な論議をするが、合意ができなかったとしても新統推に参加した個人と勢力を中心にして創党する」というのが核心だ。
両党の統合には民主労働党と統合連帯などの進歩新党統合派との間に意見の違いはない。問題は国民参与党だ。統合連帯などは国民参与党を進歩統合の対象として認めていないがゆえに、国民参与党の新統推への参加に反対する。統合連帯は既に「国民参与党の唐突な、新たな進歩政党への参加をめぐる論難は、進歩政治勢力と民衆運動勢力の分裂・混乱をもたらしている」として一線を画した。
統合なのか四分五裂なのか
反面、民主労働党の事情は複雑だ。進歩新党が統合自体をめぐって内紛を味わっているとするならば、民主労働党は国民参与党のゆえに党権派と非党権派が葛藤している。イ・ジョンヒ代表を中心とする党権派は国民参与党との統合に積極的だ。
9月25日の民主労働党の党大会で票決した「今後の進歩大統合推進方案」の核心が「国民参与党が統合の対象であることを確認する」ことだったのは、このためだ。けれども激論の末に統合案は否決された。党所属の6人の国会議員の中でこの案に賛成したのはイ代表とキム・ソンドン議員の2人だけだった。反対票を投じたクォン・ヨンギル、カン・ギガプ議員やチョン・ヨンセ前議員ら前・元党代表経験者の3人は「国民参与党と統合すれば進歩(勢力)の半分を失うことになる」として党員らを説得した。
国民参与党との統合案が否決された後、イ・ジョンヒ代表は辞任の意思をほのめかしたものの党権派らが慰留したことが明らかになった。非党権の側も「イ・ジョンヒ責任論」を提起しない雰囲気だ。イ代表は9月28日に党員らに送った手紙で「党大会での否決の意味を深く胸に刻み、代議員の皆さんの意思にそって誠実に仕事をしていく。自分の意思、自分の判断は二の次にして推進していく」と語った。
けれども国民参与党という変数が消え去ったわけではない。キム・チャンヒョン民主労働党蔚山市党委員長は党大会後、自身のフェイスブックを通じて「国民参与党の進歩大統合への合流問題は、あまりにも当然のこと」であり「引き算の政治、私は良くてお前はダメだという政治こそが、我々をやせさらばえさせるのだ」と主張した。
また彼は「新統推が進めている統合は民主労働党の再創党方式になるのではなかろうかと考えられる。指導部が中央委員会を招集し、新統推で我々が果たすべき役割と当面の課題を一糸乱れずに決定する指導力と集中力とを持たなければならない」と付け加えた。新統推が国民参与党を含んだ統合を推進すべきだというものだ。党権派たちは、おおむねキム委員長の主張に共感している雰囲気だ。
これは民主労働党と統合連帯が統合論議を再開したとしても、国民参与党の問題によって、またもや激突するだろうとの展望を生み出している。チョ・スンス進歩新党前代表は「国民参与党の問題は譲歩できない。最悪の場合、『1+1』が1ではなく4になることまでも覚悟せざるをえない」と語った。2つの進歩政党の統合論議がばらけてしまい、民主労働党の党権派と非党権派、進歩新党の統合派と独自派がそれぞれの道を歩むことになったとしても、国民参与党との統合には同意できない、ということだ。統合と四分五裂の間で、ひやひやする綱渡りをしている人々は来年4月(総選挙)にどんな顔をしているのだろうか。(「ハンギョレ21」第880号、11年10月10日付、チョ・ヘジョン記者)
クォン・ヨンギル(民主労働党元代表)へのインタビュー
「新たな進歩政党をつくる
可能性はなお開かれている」
進歩政党の昨日と今日を論じる時、はずすことのできない人物がいる。クォン・ヨンギル民主労働党元代表だ。クォン元代表は〈ソウル新聞〉記者出身で言論労組の活動を経て1995年に作られた全国民主労働組合総連盟(民主労総)初代委員長を務めた。1997年の大統領選に民主労働党の前身である国民勝利21の候補として出馬した。2000年1月に創党された民主労働党の初代代表を担い10議席(地域区5席、比例代表5席)で院内進入に成功した2004年の17代総選挙まで代表を務めた。けれども2008年の分党の中心にも彼がいた。
クォン元代表は9月26日に開かれた民主労働党の党代議員大会でイ・ジョンヒ代表ら主流が提出した国民参与党との統合案件を否決した。反対の討論者として乗り出し、大会に先立って代議員らを積極的に説得した。9月28日、国会議員会館で会ったクォン元代表は「進歩政党が消滅する道に進むのをそのまま見ていることはできなかった」「進歩新党と統合するほどではないけれども、依然として新たな統合進歩政党を作る可能性は、なお開かれている」と語った。
参与党問題に
片寄った討論
――国民参与党との統合案件が否決された。けれども参与党との統合に賛成する代議員が3分の2に肉薄した。
統合に賛成する党員も反対する党員も、共に目指す点は同じだ。進歩政党を通じて平等な社会を作ろう、ということだ。経済的民主主義を実現しようということであり、平和と統一、生態と環境問題を進歩政党を通じて解決しようということだ。2012年の総選挙で勝利し、大統領選挙で政権を交替するのに有利な地平を作ろうということも一緒だ。進歩政治の成果と限界を党員たちが、そして進歩陣営全体が深みをもって論議する機会だったのだが、参与党との統合問題によって狭められた事案に没入してしまった。そうして党員たちが賛成・反対に分かれて激しく対立した。早々に収拾し、進歩政党へと踏み出さなければならない。
――経過がどうであったにせよ、望んでいた結果が出てきたのではないのか。
残念だ。そして胸が痛む。統合進歩政党を作る理由が来年の総選挙のためのものであるならば、2008年の18代総選挙での敗北の原因が何だったのかを正確に診断しなければならない。進歩政治の10年は失敗したのか。国民から無視されているのか。そうではない。
――2004年の全盛期に比べれば、みすぼらしくなったのは明らかであり、統合の論議が遅々として進まないのを見て市民らの関心も遠ざかっている。2008年の敗北についてどう診断するのか。
党の分裂だ。分党に起因する。分党しなかったならば院内交渉団体(20議席)を獲得できたか、あるいはそれに近い当選者を出すことができただろう。そのような成績をあげていたならば敗北、進歩政治の縮小と言うことができるだろうか。歴史的脈絡を探ってみても、そうだ。進歩の諸課題、例えば無償給食や無償保育、富裕税などはすべて民主労働党の看板のような政策だった。普遍的福祉は、この時代の合い言葉になれなかった。
民主労働党が具体的な政策を作り、一貫性をもって発展させてきたならば、今日のような状況とは違ってどうなっていただろうか。国民参与党と統合するという方々の大前提は「民主労働党は失敗した」「参与党と統合することによって総選挙に有利な条件を作らなければならない」というものだが、同意することはできなかった。
労働は進歩政治の
海であり大地だ
――代議員大会で「参与党と統合すれば進歩政党は消滅するだろうし、野圏(既成制度圏外)との連帯も難しくなるだろう」と主張した。その根拠は何か。
実際に進歩政党の消滅、清算へと向かう危険がある。労働の存在しない進歩政治はありえない。労働は進歩政治の海であり大地だ。海なしに魚は生きられるか、大地がなくて木が育つことができるか。民主労総は民主労働党の根幹だ。そうなれば民主労働党に対する排他的支持も消える。1つの隊伍である民主労総が、民主労働党の労組、進歩新党の労組、社会党の労組、はなはだしきに至ってはハンナラ党の労組へと分かれかねない。民主労働党のもう1つの根幹である全国農民会総連盟(全農)も同様だ。実際のところ、参与党との統合問題が起こるとともに民主労総や全農内部の対立も深刻なレベルとなった。
さらに、民主労働党が参与党と統合して新たな政党を作ることになれば、非民主労働党・国民参与党の性格を持ったまた別の進歩政党が生じるということもあり得る。この政党は独自性が一層強く、野圏の連帯にははなから関心を持たないだろう。その上、いくつかの進歩諸政党が誰が本物か偽者かをめぐって葛藤し競争することになれば、進歩政治が消滅するのではないか。
2008年に民主労働党が、なぜ民主労働党と進歩新党に分かれたのかを一言で説明するのは難しい。党の路線や運営方式の違いによって葛藤が内在してきていたし、2007年のクォン元代表の大統領選への出馬と、振るわなかった得票以後、爆発した。彼は6月、民主労働党との統合を決定する進歩新党の代議員大会を前にして、「来年の総選挙には出馬せず、進歩政党統合のための縁の下の力、肥やしになりたい」「過去の過誤についてはすべて私に問うてくれ」と語りもした。
――クォン元代表の訴えが進歩新党の党員らを説得するまでには至らなかったようだ。
そうではない。進歩新党独自派の相当数が統合に賛成する方向へと戻った。私に直接連絡してきた代議員も少なくなかった。ところが民主労働党で参与党との統合問題が明らかになると、再び背を向けた人がかなりいる。
――進歩新党の代議員大会の結果を見ると、進歩新党内に民主労働党との統合を望む意見が多数だったが、案件通過に必要な3分の2を超えられなかった。進歩新党との統合がなくなってしまっただけに、参与党との統合を通じてであっても、予想される野圏連帯の過程で交渉力を高めるために身の丈を大きくしようとしていたのではないのか。
進歩新党の代議員大会の結果は本当に残念だ。けれども新たな統合進歩政党は進歩新党だけを対象にしたわけではなかった。かつて国民勝利21には参加したけれども民主労働党には合流しなかったさまざまな団体や諸個人がいる。進歩新党代議員大会の結論があのようになったけれども、依然として統合に同意する党員が多い。
統合派の結集
を軸に進める
――統合に同意したとしても、党の進路に関連して代議員大会で決定が下された時に、さらに動く名分がないのではないのか。
チョ・スンス代表を含め、統合に同意する進歩新党の党員らが遠からず党職を整理して統合連帯に合流する予定だ。
――ノ・フェチャン、シム・サンジョン元代表のように、進歩新党を脱党するということか。
そうだ。民主労働党の外の、新たな統合進歩政党を望んでいる諸勢力も統合連帯に合流し、準政党の性格を持つようになれば民主労働党と統合する手続きを踏むことができる。チョン・テイル烈士を称えて毎年、開かれている労働者大会(11月13日)で新たな統合進歩政党の発足を告げることができることを期待する。
クォン・ヨンギル元代表は〈ハンギョレ21〉とのインタビューで初めてチョ・スンス進歩新党代表の脱党と新たな統合進歩政党発足の時期や方式などについて具体的に明らかにした。民主労働党の代議員大会を2日後に控えた9月23日、「大衆的な統合進歩政党建設にまい進するために、進歩新党を脱党したノ・フェチャン、シム・サンジョン元代表はもちろん、チョ・スンス現代表ともしょっちゅう会って意見を交わしてきた」と付け加えた。
――チョ代表を含め統合に賛成する進歩新党党員らの脱党が決定されたが。
来週半ばに確定する。何度も会い、意見を交わした。
――統合連帯が準政党の性格を帯びるに至ったとしても党対党の合意は大変なのではないのか。
あえて、選挙管理委員会が認定する式の政党である必要はないと思う。我々が政党として待遇すればよい。進歩新党の代議員大会以前に新たに進歩政党の党名はどうするのか、党運営はどう行うのかなどを決定しておいた方案がある。これを準用すればよい。(「ハンギョレ21」第880号、11年10月10日付、聞き手、キム・ボヒョプ記者)
【訂正】前々号(10月17日号)7面下から4段目、【8面からつづく】の右から6行目の「大統領級の市民」の後に「「運動家だ」と言った。そのパク・ウォンスン」を挿入。同じ項の下から2段目の右から10行目の「アン・チョルス」の後に、「に会って、「(統一の)単一化」に合意した。アン・チョルスは」を挿入。
前号(10月24日号)2面の「さようなら原発1000人集会・関西」記事の下から5段目、右から7行目の「酒井ひろゆきさん(豊中市議)」を「酒井浩二さん(さようなら原発1000人万アクション兵庫県実行委員会)」に訂正します。
|