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    かけはし2011.10.10号

全原発を停止させる討論と行動を

再稼働を阻止し「脱原発」を実現しよう

具体的な要求で政府・電力業界
を追い詰める「工程表」づくりへ

運転中の原発
ゼロに向けて

 福島第一原発事故以降、定期点検最終段階の「調整運転中」だった北海道電力・泊3号機の「再稼動」を除き、日本国内の原発再稼動はなく、現在運転中の一一機の原発が一三カ月ごとに義務付けられている定期点検に順次入っていくと、来春にも運転中の原発はゼロとなる。
 野田佳彦首相は九月二〇日、「ウォール・ストリート・ジャーナル」などとのインタビューで、現在停止中の原子力発電所を来年夏までに再稼動していく考えを示した。藤村修官房長官はこの首相インタビューを追認するものの、二二日に森詳介・関西経済連合会会長(関西電力会長)からの要望を受け、「原発再稼働を来年二月めどに前倒し」を示唆したと報じられている。
 また野田首相は「原子力発電の安全性を最高水準に高め」、「原子力の利用を模索する国々の関心に応える」として、原発輸出を続ける姿勢を国連演説で明らかにしている。
 再稼動をめぐっては、九州電力・玄海2・3号機の運転再開の直前、日本共産党の「しんぶん赤旗」が九電のやらせを暴露し、そのやらせが古川康佐賀県知事の「指示」によることが九電内部の調査で明らかとなっている。玄海原発は推進側に「都合のよい原発」として扱われてきた。それはプルサーマルの実施順で分かる。二〇〇九年一一月に玄海3号機で、翌一〇年三月には四国電力・伊方3号機で、同年一二月には関電・高浜3号機で試験が開始され、それぞれ営業運転に入った。これらはいずれもPWR(加圧水型)で福島原発の型とは異なり、全国で二四機。現在運転中のPWRは、前記の北海道が一機、関西が四機、四国が一機、九州が二機と、合計八機。
 再稼動は地元自治体の納得が条件とされている。地元とはどの範囲までなのか。福島第一の事故による避難範囲が同心円ではなく、想定されていた範囲を広く超えたことから、各地では新たに、電力会社との安全協定を締結する動き、また「永久停止」を求める決議などが上がっている。来春に運転中の「原発ゼロ」を目指すには、北海道と関西以西の闘いが重要になってくるだろう。

BWRはいま
すぐ止めよう


 事故を起こした東京電力と同型のBWR(沸騰水型)は、東北、北陸、中部、中国の各電力と日本原電が保有し、合計三〇機。最も古いBWRは一九七〇年に大阪万博にあわせて営業運転開始した原電・敦賀1号機で、今年一月に定期点検により停止、同社のホームページによれば「来年二月の原子炉稼動・発電開始」と記されている。現在運転中のBWRは、柏崎刈羽の二機と島根の一機で計三機だ。
 東電は、三月十五日の福島第一原発2号機の爆発が、これまで考えられていた水素爆発ではないとの見解を発表した。2号機は他とは違い、原子炉建屋は吹き飛んでおらず、建屋下部の圧力抑制室からとみられる衝撃音が水素爆発と考えられてきたが、地震計の記録から推定すると水素爆発ではなく、現時点では「説明できない」衝撃であるとしている。この三月一五日の爆発がもっとも多量の核分裂生成物〜死の灰を陸側に放出したとも考えられており、運転中のBWRはいますぐ運転を停止させなければならない。
 これまでの安全基準による想定を超えた事故が発生し、大勢のふるさとを奪い、子どもたちの未来を奪った。私たちが再稼動にもっとも反対する理由は、旧来の安全基準のままで国内の原発の運転を続けられる道理を見つけられないからである。また、この夏の電力使用量は「原発なしでも大丈夫」であることが証明されたといえるだろう。
 菅から野田に政権が移り、民主党政府は「減原発」から明確に後退しだしている。一方で、菅政権時にレールを敷いた「エネルギー基本計画」と「原子力政策大綱」の見直しが、原子力に批判的な審議会メンバーを若干増やして具体的にはじまった。来夏を目標に審議するという。また、経産省から分離して環境省の外局として来年四月に発足する「原子力安全庁」のあり方を検討する顧問会議にも脱原発や環境NGOから複数が参加している。
 「エネルギー基本計画」づくりの審議会は経産省・資源エネルギー庁が事務局だ。「原子力政策大綱」をまとめる内閣府・原子力委員会の事務局は、資源エネ庁と文部科学省からの出向官僚が中心になり審議が進められるとみられる。三・一一以降、原子力委員会に寄せられた意見の大半が「脱原発」であったという。この「脱原発」の意見が推進側が多数の検討会議で通る可能性は少ないだろう。検討会議に対する市民の監視や意見の突きつけなどをはじめ、大衆的な運動で包囲していこう。

一千万人署名
成功のために


 どのような「脱原発」をわれわれの脱原発として具体的に主張するのか。さまざまな運動を媒体につながってきたNGOは、野田政権内の審議会でどのような主張を展開するのか。それはわれわれが求める再稼動反対と調和できるのか。
 原発震災をもっとも強く主張し続けてきた地震学者の石橋克彦さんは、原子力安全委員会・耐震指針検討分科会「審議の在り方と指針改訂の最終案に到底納得することができず、委員として国民に対する責を果たせないと考えたので、会合途中で専門委員と分科会委員を辞する意を表明し、途中退席」する形で異議申し立てを行なった。古くは、湯川秀樹が原子力委員会の参与を辞任するなど、有識者も身をもって抗議の姿勢を貫いた。民主党政府の「減原発」に与するのか、原発現地や市民とともに手を取り合って「脱原発」を進めるのかを判断する機会もあるだろう。
 「さようなら原発全国集会」は誰の目にも盛会であったが、来年三月二四日の「一〇〇〇万人アクション」の集約集会に何を持ち寄るのか。言い換えれば、「一〇〇〇万人署名」を成功させるために、どのような具体的要求をもった脱原発運動をともにつくろうと人々に呼びかけるのか。環境NGOなどが加わり、「政府案」が練られはじめた。われわれの政策、原発にさようならするための工程表づくりにむけた幅広い議論をはじめていこう。

12年度から脱
原発予算へ!


 三〇日、国会原発事故調法案が可決、成立した。委員会は民間有識者一〇人で構成。衆参各一〇人の国会議員でつくる「両院議院運営委員会合同協議会」とともに次期臨時国会中に発足するという。政権が菅から野田に変わり、菅による「脱原発解散」がなくなり、自公内の原発論議が冷めたといわれる中で、国会に対する監視と要求のつきつけも具体化していかなければならない。
 原子力研究開発機構を管轄する文科省は、今年度中の高速増殖原型炉もんじゅ試験運転の再開を断念し、来夏以降に判断するという。また文科省は、二〇一二年度の高速増殖炉研究予算を七割減とする概算要求方針であると報じられている。だが、もんじゅ関連予算は、今年度の二一六億円からほぼ横ばいの二一五億円。原子力機構は、研究炉の廃炉の経験があることから、除染の技術研究を行ってきており、研究者の多くが福島をはじめとした生活圏の除染にかかわっている。もんじゅを廃炉にし、前記の関連予算を除染をはじめとした福島の復興の費用とすべきである。
 南相馬市と浪江町は、東北電力浪江・小高原発の立地を拒否する姿勢で、建設計画に伴う電源三法交付金の申請を見送る方針を決めた。この際、電源三法交付金の廃止を含めた大胆な見直しをするべきだろう。
 原発建設時には地元雇用が増え、資材用運搬用の道路建設等で地元業者が潤う一方、原発機器は大手メーカーの独占であり、建設が終わるとメンテナンスを除き、地元雇用が失われる。そのため、文化会館や体育館などのハコモノ建設で地元業者が潤うよう電源交付金が設けられた。原発再稼動をやめ、すべての原発を運転停止し、廃炉になった施設の管理を通じた雇用も必要となるだろう。それは地元の雇用ばかりではなく、原発の新規建設や輸出をストップさせても雇用は確保できる政策もつくれるだろう。また、高い汚染のためにいつ戻れるかの見通しがつかない、福島第一原発周辺の地域より容易に、原発城下町から持続可能な地域への脱却が実現するだろう。
 福島の教訓を共有化し、再稼動を阻止しよう!
 大胆に論議し、脱原発を実現させていこう!
       (斉藤浩二)



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