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    かけはし2011.8.8号

岩国基地拡大強化を許すな

愛宕山に米軍住宅はいらない

空母艦載機の移転反対裁判闘争に勝利しよう


 【大阪】七月二三日、岩国・労働者反戦交流集会実行委員会とアジア共同行動(AWC)日本連絡会議が共催し、しないさせない戦争協力関西ネットワーク協賛の岩国連帯集会が開かれ、垣沼陽輔さん(連帯労組近畿地本)と白松哲夫さん(アジア共同行動)が主催者あいさつをした。
 垣沼さんは、「東日本大震災の救援に参加した米軍の作戦を、トモダチ作戦と命名してくれと頼んだのは実は日本政府だったそうだが、福島に入った米軍は空母もろともすぐ逃げ、誰もいなくなった。人々の目が東北に集中している間の五月連休明け頃には、辺野古海岸のキャンプ・シュワブとの境界にコンクリートの壁がつくられ、中が見えなくなった。開発段階で何度も事故を起こしたことのあるMV22オスプレイが普天間基地に配備されることが決まり、いっそうの騒音被害が予想される。また鹿児島県西之表市の馬毛島に岩国の艦載機の離発着訓練を持って行く計画が進行中だ。これとの闘いを一一月岩国現地での闘いにつなげていこう」と述べた。
 また、白松さんは「震災後、がんばろう日本のスローガンが叫ばれる。日本とは何なのか。そのような言い方の下に人民の団結を破壊する、草の根右翼と一体となった帝国主義の攻撃がある」と述べた。
 
アメとムチの
攻撃に抗して
続いて、日テレのドキュメンタリー(七月一七日放映)が上映された。
 戦後岩国基地は米海兵隊基地となり、市民は戦闘機の騒音に悩まされてきた。滑走路の沖合移転問題は騒音問題解決を期待して歓迎され、埋め立て土砂のため愛宕山を削ることに住民は協力した。跡地は県の計画で住宅や福祉施設等のために開発されることになっていた。
 その後、米軍再編の一環として米軍厚木基地の空母艦載機五九機の岩国移転の話が持ち上がる。これを巡って井原市長の時に住民投票が実施され、圧倒的多数の市民は艦載機移転反対を選択した。その後国は米軍再編交付金の支払いを停止、建設中の新市庁舎の完成は中断し、市の予算は容認派多数の議会の反対で承認されなかった。井原市長は辞職し改めて市長選に立候補したが落選し、容認派の新市長に交代した。
 基地の沖合移転の方は埋め立てが終わり、沖合に新滑走路が建設されると、開発計画は赤字を理由に中止になり、二五〇億円という借金だけが残された。この借金を解消するためとの名目で、昨年防衛省は跡地を国が買い上げるための予算を付けた。法的な不備などで買い上げは実現していないが、愛宕山跡地に米軍住宅を建設するという計画は裏で進行中なのだ。
 ドキュメンタリー番組の映像は、この夏に一九九億円で買い上げるというニュースが発表されるのではないかとの感触を伝えている。

沖合への移設・
新滑走路完成
 DVD上映に続いて田村順玄さん(岩国市議)の講演があった。
 田村さんは終戦三日前に生まれ六五歳。三〇年間の市職員の生活を経て九五年四月から岩国市議として働き、現在五期目。議員生活の一六年間ずっと一人会派「リベラル岩国」でがんばってきた。原発や基地問題で他の議員と妥協できないという信念からだった。
 自分の主張してきたことは間違いではなかったと思っている。沖合移転しても騒音は変わらないと言ってきたが、実際そうだった。滑走路が二本になり、二機並行して離発着訓練が行われている。埋め立て協定の中に、完成後の夜間離発着訓練に関する合意もこっそり入れられていたことが最近明らかになっている。
 政府は岩国に的を定め、新基地建設を一気に実現しようとしている。昨年五月、二五〇〇億円もの税金を使い岩国基地沖合移設事業を完成させ、新しい滑走路を今年六月一〇日米軍に提供した。そこには七八〇万平方メートルという広大な海兵隊施設が存在し、移設前と比べ、一・四倍の広さになった。ここに、厚木基地の空母艦載機を移転させる方針のもと、着々と関連施設建設を進めている。

馬毛島への
新拠点建設
 厚木基地から艦載機を岩国に移転しても、米軍は厚木基地を艦載機の修理・整備施設として使用する、つまり日本に返還するつもりはない。最近米軍は沖縄普天間基地にMV22オスプレイを岩国でも運用していくと表明している。また、今年七月になって、鹿児島県西之表市の沖合一二kmの馬毛島にPCLP訓練(離発着訓練)の基地として使用したいと地元に説明に入ったこともその一例だ。馬毛島を持つ西之表市には一〇年間に二五〇億円の再編交付金をばらまくと言っているようだ。岩国には一〇年間に一三四億円ぐらいだ。空母に乗るためには、PCLP訓練は必須条件なのだ。
 馬毛島は岩国から二〇〇海里の距離にあり、決して近くはない。馬毛島を新たに自衛隊の軍事訓練の拠点と位置づけて、パラシュート降下訓練やエアクッション艇の上陸作戦に使うことを、東日本大震災を経て手に入れた自衛隊歓迎ムードに乗じて実現しようという計画なのだ。
 
海・空・山で
三つの訴訟
 岩国基地は沖縄以外では国内唯一の海兵隊の航空基地だ。現在六〇機の海兵隊機と兵士その家族五〇〇〇人が住んでいる。基地内には学校や娯楽施設も完備している。基地外の市内あちこちにも約一〇〇〇人が住んでいる。昨年九月、女性軍属が自治会長をひき殺す事件が起きた。空母艦載機五九機が移転してくれば、岩国は極東最大の航空基地になる。
 なんといっても一番の迷惑は航空機の爆音で、ガード下の騒音に匹敵する爆音が昼夜問わず市民を襲う。国を被告に二年前に「爆音訴訟」を始めた。六五四名の原告のマンモス裁判だ。そのほか、国と山口県を相手に「基地埋め立て無効を求める訴訟」と「愛宕山地域開発事業の継続を求める訴訟」を闘っている。
 岩国基地には海上自衛隊の航空部隊も同居していて、約一五〇〇人の自衛官と多くの種類の航空機が配備された海上自衛隊航空機部隊だ。基地関係の日本人従業員も一〇〇〇人以上働いている。艦載機移転の伴う海軍部隊の米兵と家族の住宅を愛宕山跡地に建設し、それに隣接して市民が自由に使用できるスポーツ施設をつくるというアメの計画が進行中だ。容認派は市長と連動してこの計画実現を願っている。


 月岩国現地
行動の成功へ
 田村さんたちは、この計画を阻止するため「愛宕山を守る会」をつくり、昨年八月から一のつく日に(月三回)跡地近くの公園で座り込みをしている。愛宕山跡地には米軍住宅ではなく、東日本大震災の被災者復興支援のための用地にするよう誓願書を山口県議会と岩国市議会に提出した。被災者を自分たちの運動に利用するやり方だと批判されいずれも否決されたが、全県的に共感の声は大きく、成果はあったという。岩国は、海・山・空の三つの裁判を闘いながら、鉄条網とアメとムチに一切ひるまずがんばり続ける。
 最後に集会まとめを大野進さん(全港湾大阪支部)が行い、大阪府知事による「日の丸掲揚・君が代起立斉唱」強制条例と九月府議会に上程が予定されている処分条例案に反対する署名運動・抗議集会への協力を訴え、一一月二六〜二七日岩国現地での行動への参加を呼びかけた。 (T・T)

南スーダンに自衛隊を送るな

ジブチの基地建設・PKО
5原則見直しに反対する


的はずれな朝日
新聞社説を批判
 七月二八日、許すな!憲法改悪・市民連絡会やふぇみん婦人民主クラブなどの呼びかけで「自衛隊は南スーダンに行くべきではない PKO5原則見直し、ジブチの基地建設など海外派兵に異議あり 緊急院内集会」が衆議院第二議員会館で開催された。
 この日の集会は、東日本大震災と原発災害の裏で、ソマリア「海賊対策」や「人道支援」を名目に自衛隊の海外派兵が確実に広がっている現実に注意を喚起し、憲法九条の平和原則がますます踏みにじられていることに反対する闘いを作り上げるために準備されたものである。とりわけ自衛隊がソマリアの海賊「取り締まり」を名目に隣国ジブチに初の恒久的基地を建設したことは、資源問題や地政学的観点から東アフリカに対する先進資本主義諸国や中国からの関心が高まり、新たな構想の火種になっている中で、重大な意味を持っている。
 今年行われたスーダン南部の住民投票で圧倒的に南部の独立が支持され、七月九日にはアフリカ五四番目の国家として南スーダン共和国が発足した。その前日の七月八日には国連安保理決議1996によって八〇〇〇人規模の「南スーダンPKO活動」(UNMISS)の発足が承認された。このUNMISSは、南スーダンが「国際社会の平和と安全を脅かしかねない状況にある」との認識に立ったものである。この中で自衛隊の南スーダンへのPKO派兵も検討され始めている。朝日新聞は七月二六日の社説で「国造りを手助けしよう」との見出しで自衛隊の南スーダンPKOへの参加を主張し、「そんな国際貢献ができれば、大震災で支援と励ましを寄せてくれた国際社会に対する、何よりの恩返しになるに違いない」と結んでいる。
 東日本大震災への「返礼」としての自衛隊PKO派兵というこの「朝日」社説は、およそ的外れであるだけでなくきわめて反動的なものであり、「人道的国際貢献」を口実にしたグローバルな日米共同作戦の展開を後押しするものである。

「人道的貢献」
名目に軍事作戦
 院内集会では、主催者を代表して高田健さんがこの日の集会を緊急に呼びかけた問題意識を紹介した。国会議員からは社民党の福島みずほ党首、糸数慶子参院議員(無所属)、共産党の赤嶺政賢衆院議員があいさつした。福島さんは、ソマリアの「海賊」として日本に連行された人びとが「通訳が見つからない」として裁判のメドもたたないままに勾留されている事態を批判。糸数さんと赤嶺さんは、自衛隊の南西諸島配備や、鹿児島県馬毛島に自衛隊が海外作戦のための出撃基地を建設しようとしていることを批判し、「人道支援」という名目での派兵拡大に反対しよう、と訴えた。
 続いて千葉大教授の栗田禎子さん(スーダン現代史)が、スーダン内戦の背景、PKO派兵の問題点について講演した(報告:別掲)。 (K)

栗田禎子さんの講演から

民主化・和解の可能性
を閉ざした国際的介入

南北対立に単
純化できない
 自衛隊の南スーダン派兵は、海外派兵の実績づくりのためであり、私もこれに反対だが今日はスーダン内戦の経過と今後という問題に絞ってお話ししたい。
 一九八九年の軍事クーデターで成立したスーダンのバシール政権は、「スマートなタリバン」とでも言うべきイスラム原理主義を特徴としており、スーダン全域に対する強権政治、低開発地域への弾圧を強行してきた。ここで南北間の内戦が始まる。一般的には「北」のムスリム、「南」のキリスト教徒という区別が強調されているが、当初は北部の民主化勢力と南の低開発地域の闘いを主導したSPLM(スーダン人民解放運動)の共闘による「新しいスーダンの建設」というビジョンもあった。それは民主化と南北格差の是正をめざしたものであり、決して南北対立に単純化できるものではない。北部でも南コルドファーン、青ナイル、大虐殺でクローズアップされたダルフールなどの見捨てられた地域があった。
 しかしこうした現実は国際的に受け入れられることなく、アメリカの介入により「南北対立」に単純化されることになったという側面がある。
 二〇〇二年以来、「南北和平」プロセスが始まった。この中で南部分離の方向が明確になり二〇〇五年の包括和平協定(CPA)を経て、今年の南部住民投票と独立にいたった。しかし「北」のバシール政権と「南」間の和平は、「南」の独立と引き換えにバシール政権を温存する役割をも果たした。
 もちろん南部の人びとの自決権の行使、独立の選択という判断は厳粛に受け止められるべきだが。

紛争を促進
する危険性
 南北「二つのスーダン」の抱える問題は何か。南部の石油資源については二〇〇五年から二〇一一年まで、南北でその利益を折半していた。石油は南部で産出するが、精油所は北にあった。さらにナイル川の水利問題もある。はじめからけんか別れ、敵対的な関係として二国間関係がスタートすることにより石油や水の配分についての信頼調整は進まない。さらに南北間で帰属が未確定のアビエイ問題がある。
 北部スーダン内部の低開発地域である南コルドファーン、青ナイルはSPLMの基盤でもあり、ダルフールとも連動して一触即発、たえず戦闘から戦争につながる危機をふくんでいる。
 南スーダン自身の内部矛盾も見逃せない。SPLMは基本的に軍事組織であり、それが党へ、さらに政府へ脱皮できるかという課題を抱えている。また石油の利権が腐敗の温床となり、部族対立とからんで北からの干渉を引き出す危険性もある。
 国連の「南スーダンPKO活動」は、「国づくりの応援」のためとされているが、同時に南北国境の監視、アビエイ問題への対処、ダルフールの国連部隊との連携活動も行われ、さらに南部の反乱勢力への対処と武装解除、ウガンダの反乱勢力対策にも関わり軍事的色彩が強まっていくことも無視できない。
 こうした中での自衛隊の南スーダンPKOへの参加は、資源・地政学的関心からの東アフリカに対する先進諸国の関心の高まりを背景にしており、海賊対処法案によるソマリア沖派兵やジブチへの基地建設の動きと連動する可能性も指摘できる。
 (講演要旨:文責編集部)

 


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