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    かけはし2011.8.1号

「日の丸・君が代」強制を正当化する最高裁の露骨な反動性

板橋高・藤田元教諭に不当判決

 七月七日、最高裁第1小法廷(桜井龍子裁判長)は、都立板橋高校卒業式弾圧事件で「威力業務妨害罪」が成立(罰金二〇万円)するとして藤田勝久さん(東京都立板橋高等学校元教諭)の上告を棄却する不当判決を言い渡した。
 最高裁は弁護側証言をことごとく排除し、誤った事実認定を採用することによって「威力業務妨害罪」だと判断した。今後の「日の丸・君が代」強制反対運動の封殺を全面的にバックアップしていくことの意志表示でもある。最高裁の反動化を許さず、七・七不当判決を厳しく批判していかなければならない。

威力業務妨害
など存在せず


 藤田さんは、「板橋高校卒業式」(〇四年三月十一日)に来賓として体育館に入り、式開始の午前十時の一八分前に保護者席で「サンデー毎日」の都教委批判記事のコピーを配布。都教委の「日の丸・君が代」強制や抗議する教員への大量処分などの異常さを訴え、「国歌斉唱時に着席をお願いします」と話した。保護者はコピーを隣の人に渡すなど協力した。ところが田中一彦教頭が近づき「やめろ、いいかげんにしろ」と叫びながら藤田さんの腕をつかみ、北爪幸夫校長が「出て行け」と恫喝していた。藤田さんは管理職からの退去要求に対して混乱を生じさせることなく指示に従った。開式一五分前(九時四五分)には退出していた。この時間帯は、来賓者が入場中であり、式の「円滑な遂行を妨げた」事実は存在していない。
 だが最高裁判決は、藤田さんが「大声で」保護者らに呼びかけ、「教頭から制止されても呼び掛けをやめず、被告人をその場から移動させようとした教頭に対し怒号するなどした」などと誇張し、「喧噪状態」さえも発生させたと主張する。しかも式前の藤田さんの保護者へのコピー配布と呼びかけそのものが、「被告人の本件行為は、その場の状況にそぐわない不相当な態様」と手前勝手に描き出し、「表現の自由」行為への敵対をエスカレートさせている。藤田さんの表現行為のいったいどこが「威力を用いて他人の業務を妨害した」というのだ。検証した形跡もなく、基準規定を提示することもなく、ほぼ主観的な判断によって「威力業務妨害罪の構成要件に該当する」と言うだけだ。
 藤田裁判の一審、二審では式に出席していた教員、保護者、OBたちが検察のストーリーを否定する証言を行っていたが、判決は「不自然だ」「矛盾している」「十分に覚えているとは言い難い」などと排除した。逆に教頭証言を「言っていることが、詳細で、一貫して具体的であるから信用するにたりうる」と不当な認定をしたのである。最高裁は、下級審の誤った事実認定をそのまま取り入れ地裁、高裁判決を支持する中味となっている。
 その一つが検察ストーリーの卒業式開始時間の「修正」についてまったく触れていないことだ。検察は、一審の初期段階で校長の開式の辞が午前一〇時だったが、五分間、式の開始を遅らせたとでっち上げてきた。しかし、指導主事が隠し録りしていたICレコーダーによって一〇時二分から開式の辞が始まっていことが発覚してしまったため、急遽、式の遅れた時間が二分間だと変更せざるをえなかった。いいかげんなストーリーが公然化したにもかかわらず、この矛盾を掘り下げず東京地裁・高裁は無視。最高裁にいたっては、この二分遅れの開式となったことを「円滑な遂行を妨げたことは明らかであるから、被告人の本件行為は、威力を用いて他人の業務を妨害したものというべきであり、威力業務妨害罪の構成要件に該当する」と強引にこじつけたのであった。

極右の土屋都議
との出来レース


 そもそも「喧噪状態」を作り出したのは、管理職たちだったが、さらに役者がもう一人いた。「日の丸・君が代」強制教育の押し付けを推進してきた土屋敬之都議が来賓として出席していたが、卒業生の多くが「君が代」斉唱に起立しなかったことに驚き、あわてふためき、大声で「起立しなさい」などとわめきちらしたのだ。土屋の立ち振る舞いも一審、二審で明らかとなっていたが、学校行事への不当な介入・業務妨害を強行したことは一切取り上げなかった。
 藤田弾圧の下手人の一人である土屋は、卒業式でほとんどの生徒が着席したままだった現実に直撃され、その報復として「産経新聞」と結託して「卒業式攪乱」と騒ぎ、「板橋高校事件」としてでっち上げた。
 土屋は、都議会で取り上げ、横山都教育長(当時)に「校長などの制止にかかわらずコピーを保護者席に配布し、この卒業式は異常であるなどと大声で叫んだことは、卒業式に対する重大な業務妨害行為である」「法的措置をとる」と答弁させた。土屋と一体となって横山教育長、校長が警視庁に藤田さんを「建造物侵入」「威力業務妨害」で被害届を出し、弾圧を手引きしたのだ。
 権力は五月二一日、藤田さん宅を家宅捜索したが、結局、検察はズサンなでっち上げであり、刑事罰にするほどでもない事案だったことがみえみえだったため在宅起訴しかできなかったのが実態だ。

表現の自由への
規制強化にNO


 最高裁は、「日の丸・君が代」強制のための10・23通達の徹底をめざす都教委・板橋高管理職、推進派の土屋敬之都議らと結託した検察・公安政治警察による「卒業式攪乱」ストーリーを全面的に追認した。藤田弾圧(〇四年一二月起訴)は、小泉政権による自衛隊のイラク侵略戦争参戦を通したグローバルな派兵大国作りとセットである治安弾圧体制の構築のためにデッチ上げられた事件である。同時期、国家権力は立川反戦ビラ入れ弾圧(〇四年二月)、国公法弾圧・堀越事件(三月)、葛飾マンションビラ配布弾圧事件(一二月二三日)も同様の政治性格で強行した。しかも藤田弾圧の担当検事は、立川ビラ・葛飾ビラ配布弾圧事件を担当した崎坂誠司だ。検察公安部は、政治表現の自由への抑圧という支配階級が要求する意志を体現する任務に基づいて連続的な起訴攻撃を行ったのである。
 この間、最高裁は、10・23通達「合憲」判断の意志一致を終了し、立て続けに不当判決を乱発している。さらに板橋高校卒業式弾圧判決で明白となったことは、「表現の自由は特に重要な権利として尊重されるべきだが、憲法も絶対無制限には保障しておらず、公共の福祉のために必要で合理的な制限は認められる」と規定することによって「日の丸・君が代」強制反対運動、「表現の自由」への公然たる敵対、萎縮効果をねらい、その定着化をも意図した政治判決を押し出してきたということなのだ。
 裁判官の一人である宮川光治は、補足意見で10・23通達に対して「憲法一九条(思想及び良心の自由)に違反する可能性があると考えるが」などとポーズをとりつつも、藤田さんの表現行為を「威力業務妨害罪を適用しても憲法二一条(表現の自由)に違反するものではない」と述べ、わざわざ「本件は、場所、時を選ばずなされた行為の態様が問題なのであるから正当行為及び正当防衛の主張に理由がないことは明らかである」と争点をずらし、恣意的に矮小化して批判する。この論理の延長には、卒業式での反対表現および「君が代・日の丸」不起立そのものが処罰対象可能へとたどりつく危険な主張なのだ。最高裁六・六採用拒否事件不当判決で反対意見を出した宮川だが、反対表現行為に対する敵対を明らかにするほど最高裁の反動化の傾斜の深まりが現れている。
 このように司法権力機構は、国家統治力の危機を再建するために「表現の自由」規制の判例にもとづいて今後、下級審への統制を強め、憲法改悪の先取りとしてイニシアチブを取っていくことを改めて決意し、選択したのである。「表現の自由」規制強化、違憲である「10・23通達」をはね返していく陣形を強化していこう。    (遠山裕樹)

都教委包囲・首都圏ネット集会

「君が代」最高裁判決糾弾大阪「起立条例」の撤廃へ

  七月二四日、石原・大原都教委の暴走をとめよう!都教委包囲・首都圏ネットは、「『君が代』最高裁判決糾弾!大阪府『君が代起立』条例撤廃!7・24集会」を行い、一六〇人が参加した。
 ネットは、集会の柱として@10・23通達撤回・処分撤回!「日の丸・君が代」強制反対!A大阪府「君が代起立」条例撤廃!B「つくる会」系教科書採択阻止!C原発反対!子どもを放射能から守れ!D石原・橋下は知事をやめろ!――を掲げた。

不当処分受けた
仲間たちが報告
 集会は、四月の入学式に10・23通達に抗議する不起立闘争を行い、都教委から不当処分を受けた仲間からの報告で始まった。
 藤田勝久さん(東京都立板橋高等学校元教諭)は、最高裁第1小法廷が都立板橋高校卒業式弾圧事件について「威力業務妨害罪」が成立(罰金二〇万円)とする不当判決(七月七日)を出したことを糾弾。さらに「最高裁には被告席がない。あるのは頭上高くの判事席とそれを仰ぎ見る弁護士、検察官席。憲法三七条の被告人の公平かつ迅速な裁判を受ける権利は画餅となっている」と批判した。
 次に、最高裁の10・23通達を合憲とする不当判決を受けた仲間たちから発言。
 申谷雄二さん(南葛定時制嘱託採用拒否裁判/五月三〇日、最高裁第二小法廷・不当判決)は、「裁判所は一方的に裁く権利を思っているかもしれないが、裁く側もまた裁かれることに気づくべきだ。判決の日は、滑稽さだけが残った」と裁判官たちを批判した。
 「日の丸・君が代」強制反対、嘱託採用拒否撤回を求める会(六月六日、最高裁第一小法廷・不当判決)は、「最高裁は職務命令が個人の思想・良心を『間接的に制約する』と認めながら、式典の円滑な進行を図るには『制約は必要で合理性がある』とし『憲法の番人』という役割を自ら放棄した。最高裁判決に負けず、処分取消や他の裁判でも反対意見を力に諦めず闘っていきます」とアピール。
 「日の丸・君が代」不当解雇撤回を求める被解雇者の会(七月一四日、最高裁第一小法廷・不当判決)は、「最高裁は、約一ヶ月半の間に一一件の不当判決を出した。法廷が異なるにもかかわらず主文や判決理由はみな同じであり、最高裁全裁判官による根回し、合意なしにはありえず、実質的な『大法廷判決』だ。このまま引き下がれない」と決意表明した。
 「君が代最高裁判決批判」というテーマで金子潔さん(解雇裁判・予防訴訟原告)が提起した。とりわけ「憲法一九条は戦前の反省に基づく日本の独自性強い規範だが、最高裁は『日の丸・君が代』裁判で一九条合憲とした。初めて『思想・良心の自由』権の制約する新たな判例となってしまった。今後はバラバラな裁判闘争から全体的な共同体制の確立。『腐った雰囲気』の醸成を許さない市民社会への働きかけが重要だ」と強調した。

「つくる会」教科書
採択させるな
 教科書問題の報告が横浜学校労働者組合副委員長の茂呂秀宏さんから行われ、「横浜市教育委員(六人)だけで市立中学校の歴史教科書を天皇制賛美の「つくる会」系を全市一括採択しようと策動している。全市一括採択に反対し、学校現場からの教科書採択を目指していきたい」と訴えた。
 「日の丸・君が代」強制反対ホットライン大阪は、大阪府「君が代起立」条例撤廃と「君が代処分」条例阻止にむけてアピール。九月二四日の「『君が代』を起立して歌え!立たないとクビ!? 『君が代』強制大阪府条例はいらん!全国集会」(九月二四日<土>午後1時/サーティホール<JR新大阪駅>)への参加を呼びかけた。
 特別アピールとして福島県教職員組合郡山支部書記長の鈴木浩行さんから東電福島原発事故後の組合の放射能調査活動、「わたしたちは忘れない!」を合言葉に連絡・集会を草の根で取り組んでいることなどを報告し、子どもを放射能から守る闘いに支援・連帯を呼びかけた。
 都教委包囲ネットの見城ア樹さんから基調報告が行われ、「石原と都教委を糾弾し都庁を包囲してきた闘いを継続し、大阪府『君が代条例』反対、不当処分撤回、最高裁判決糾弾、反原発を闘っていこう」と確認した。
 最後に集会決議し、シュプレヒコールを行いスクラムを打ちかめた。  (Y)

 


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