即刻、朝鮮高校に〈無償化〉を! 近畿集会
子どもたちに何の関係もない
拉致を差別の理由にするな |
【大阪】エルおおさかで「即刻、朝鮮高校に〈無償化〉を!六・二三近畿集会」が集会実行委員会主催で開かれ、八六六人の市民が参加した。開始前に、映像と詩「朝鮮学校無償化除外反対アンソロジー」の朗読が行われた。続いて、主催者を代表し田渕直さん(大阪平和人権センター)があいさつをした。
田渕さんは、「同じ趣旨の集会が東京においても開催されている。無償化制度がスタートして一年三カ月が経過したが全国に一〇校ある朝鮮高校のみがいまだに制度から排除されている。加えて大阪では、今までの運動の経過の中で支給されてきた外国人学校振興補助金・生徒授業料支援補助金の支給が朝鮮高校には停止されている。橋下知事が今年度は予算計上もしていない。子どもには何の関係もない拉致問題を理由に差別して、民族教育の権利すら奪いかねない状況だ。大変憤りを覚える。橋下知事とよく似た考え方をもった知事のいる他の都県でも同じことが繰り返されている。この問題の早期決着をめざして運動を強めていくことを確認したい」と述べた。
東京集会実行委員会事務局から松野哲二さん(朝鮮学校排除に反対する連絡会)が連帯のあいさつをした。
「一一四二七筆の署名を内閣府に提出した。日頃は民族教育や朝鮮学校にかかわらないような人々の中で、朝鮮学校の子どもたちと一緒に生きていこうと思う人たちが生まれている。どんなに恥ずべき政府であろうと、この流れは変えられないし、変わらない。そのように確信している」。
続いて三人の衆院議員(稲見哲男、辻恵、服部良一の各議員)からの連帯のメッセージが紹介された。
無償化をめぐ
る一連の経過
丹羽雅雄弁護士が「朝鮮高校への高校無償化法の適用を求めて」と題して基調講演をした。「高校無償化法は、戦後初めて各種学校(外国人学校、民族学校)で学ぶ生徒に対して、一条校で学ぶ生徒と平等に就学支援金を支給するもので、法律は完全に整った。後は手続きだけだ」と述べ、昨年六月「朝鮮学校への高校授業料無償化を求める緊急集会」から一年が過ぎたが、何も変わっていない」と語り、この問題に関する現在までの流れを概括的に整理をした。
法律は「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法」という長い名前の法律だ。就学支援金の受給権者は生徒である。
二〇一〇年一月二九日に法案が国会上程されたが、中井拉致担当相が「在日朝鮮人の子弟が通う朝鮮学校への支援はすべきでない」と川端文科相に要請。同年三月には橋下知事が「北朝鮮は暴力団と同じ不法団体」などと発言。一方、人種差別撤廃委員会の日本政府の定期報告書の審査による総括所見が採択される。そこでは、朝鮮民主主義人民共和国系の学校を排除すべきとの提案をしている何人かの政治家に懸念が表明された。法案から全国の朝鮮学校を除外し、教育内容を検証するための第三者機関を設置する方針が示され、三月三一日高校無償化法が参院本会議で可決成立した。
四月一日より高校無償化法が施行され、同日、文科省令を公布。各種学校であって外国人をもっぱら対象とするもののうち、高等学校に対応する外国の学校の課程を有するもの――一四校、文科大臣が指定する民間学校団体――一七校。ここまでの合計が三一校だ。最後に、高等学校の課程に類する課程を置くものと認められるもので、文科大臣が指定するもの(朝鮮高校がここに該当するかどうかは第三者機関の審査を経て決める)。
八月三〇日、第三者機関の「高等学校等就学支援金の支給に関する検討会議」(文科省専門家会議)が報告書を提出し、三一日外国人学校の指定に関する基準も公表。そして、外交上の配慮などにより判断すべきではなく、教育上の観点から客観的に判断すべきだと指摘した。指定基準を民主党政策調査会は了承。文科省は指定の規程を公表し、申請期限を一一月三〇日としたが、朝鮮高校は一〇校すべて申請を完了した。
菅首相が文科
相に停止指示
一一月二三日延坪島事態発生。二四日菅首相は文科大臣に「指定プロセスの停止」を指示。文科省は審査を停止。二月四日「不測の事態に備え、万全の体制を整えていく必要から、指定手続きを一旦停止している」。三月二五日高木文科大臣「大震災の対応ということもあり、審査手続きについては事務的にも困難を極めている」。
大阪府:知事が一〇年度分について支給条件をつけて支給を留保した末、一一年三月八日、朝鮮初・中級学校にのみ外国人学校振興補助金を支給。一一年度の補助金は予算への計上もなし。
東京都:一〇年度分は九月に知事が凍結・見直しを表明し、一二月に当面支給中止を表明。
千葉県:整理回収機構の仮差し押さえ等を理由に一一年度当初予算への計上なし。
埼玉県:一〇年一一月支出留保を表明。
神奈川県:一〇年一二月以降の支出を保留してきたが、教科書記述の「改善」を理由に出した。
宮城県:一〇年度は「人道的見地」から出したが、一一年度は条件に合わないと不交付決定をする。
福岡県:産経新聞による県・市「二重取り」キャンペーンを理由に、訴訟も検討。
朝鮮学校は
歴史的な存在
戦後の在日朝鮮人は、日本国籍をあいまいにしたまま戦前の旧植民地出身者という法的地位に置かれた。民族学校が全国各地につくられていったが、四八年一月文部省局長通達により朝鮮人の子弟は日本人同様市町村立または私立の学校に就学することを義務づけ、朝鮮学校閉鎖令出し、それに反対する闘い(四・二四阪神教育闘争)が起きた。
その後も民族学校の灯は消えずに維持されたが、六五年文部省は次官通達によって、朝鮮人学校は各種学校として認可すべきでないとした。しかし、六八年東京都が朝鮮大学校を各種学校として認可したのを皮切りに、助成金給付、JR定期券の国籍条項の廃止が実現し、朝鮮高校は二〇〇〇年代にはすべての国立大学受験資格を獲得した。ところが時代の流れに逆行するように、一〇年高校無償化法の朝鮮学校への適用除外の動きになったのである。
この問題は国際的にはどのようにとらえられているか。国際人権基本条約(一九七九年批准)の自由権規約第二七条では民族的マイノリティの権利「自己の文化を享有し、自己の宗教を信仰しかつ実践し、又は自己の言語を使用する権利」がうたわれている。締約国は、その権利を尊重・保護し、保障するために必要な措置をとることを義務づけられている。そのことは、他民族・多文化の共生社会をつくることにつながる。
また国際人権基本条約の社会権規約第一三条では、教育についての権利「民族的マイノリティは、公的教育の公立制度外の制度において、彼らが望む言語によって学ぶ権利を有する」がうたわれている。そのほか、個別人権条約つまり、子どもの権利条約(一九九四年批准)、人種差別撤廃条約(一九九五年加入)などでも同様の規定がある。また、国際人権関連委員会などからはたびたび日本政府にたいする懸念事項や勧告が行われている。(〇六年)「ドウドウ・ディエン国連特別報告者の勧告「……特に朝鮮学校は……特別な歴史的状況を考慮すればなおさら、助成金その他の財政的援助を受け取れるようにすべきであり……」、人種差別撤廃委員会第三回、第六回(二〇一〇年)の懸念「朝鮮学校除外は国際人権法違反であり、民族差別である」などがある。
菅直人首相の停止指示は、政治・外交上の理由による超法規的指示であり、憲法・国際人権規約違反であるとともに、教育基本法一六条一項「教育への不当支配」に該当する。また、大阪府の「国旗掲揚・国歌斉唱の義務化条例」に象徴される自治体の国家主義化と今回の補助金中止決定は、他民族・多文化の共生社会の創造を破壊する、レイシズム的政策であり、東京での運動とともに裁判に訴え、法的対応も考えざるを得ない。
橋下府政への
抗議が拡がる
浅野健一さん(同志社大、政府に無償化適用の要請書を大学教授ら一〇〇四人連名で提出):戦後、民族教育支援に一銭も金を出してこなかったことの結果が今現れている。日本政府と日本国民の醜い姿が出ている。
李玉蓮さん(神戸朝鮮高級学校オモニ会):朝鮮学校は六〇年前、民族の言語や文化を子どもたちに教えるためつくられ、いまなお子どもたちに受け継がれている。私たちの子どもは傷つけられ悔しい思いをしている。子どもたちが国籍を問わず健やかに成長することを望みたい。
橋本治さん(日朝友好兵庫県民の会):阪神淡路大震災のとき、在神戸の朝鮮学校が東北の同胞校から送られてきた物資を地域に配給し、地域の核となり支援した。そのことで差別的だった自治会長たちが考えを変え友好的になった。この度被災地東北の朝鮮学校二校を支援物資のバスに同乗し訪問した。仙台の学校は校舎にヒビが入り半壊・地盤沈下し、校庭にも亀裂が入っていた。この学校は、学校OBや保護者が集まり、震災直後から日本人避難所に同胞からの支援物資で温かいおにぎり一日六〇〇個を配布していた。一六年前の精神が確実に受け継がれていると思う。郡山の学校は原発から五五キロ。他府県に移住する子たちもいて、仙台と同様民族教育の存続に強い危機感を感じた。民族教育の存続という課題は日本人の問題でもある。
康仙華さん(弁護士、幼稚園〜朝鮮大学校卒):在特会らが京都朝鮮学校に対して暴言を浴びせた事件が起きた。彼らの発想には、朝鮮学校は学校ではないという考えがある。政府や大阪府がそれと同じことをやっている。朝鮮という名のつくものに対する差別意識が日本社会でまかり通っている。しかし一方で朝鮮学校に対する理解が広がっているのも事実だ。
山本勝生さん(大阪府教職員組合): 大阪で生まれ育ち、大阪が好きだったが、最近の無償化除外のこと、府の補助金支給停止、日の丸掲揚・君が代起立斉唱義務化条例で、好きになれなくなった。好きだと言えるよう運動をひろげていこう。
李榮輔さん・文幸平さん(今春朝鮮高級学校卒業生):適用除外のことを聞き勉強したが、やっぱりわからなかった。私たちなりに何かできることがないかと思い、駅頭ビラ配り・署名活動に参加した。一〇年三月橋下知事が視察に来た。知事は民族舞踊・クラブ活動などをみた。授業は二,三〇分ほど見てから「みんな頑張ってね」と一言言って出て行った。何を頑張って!と言ったのかわからない。知事の卑劣なやり方に言葉に表せないほどの怒りを感じる。
民主党の政権公約の一つである高校授業料無償化。法律上は各種学校である朝鮮高校も適用されるべきだが、拉致問題や国交のないことを理由に朝鮮高校を除外する。教育上の観点から客観的に判断すべきだというのが政府の見解だったはずだ。
井関要さん(一%の低力で朝鮮学校の民族教育を支える会):先日なにわの翼訪朝団で北朝鮮に行って、地に足のついた北朝鮮の発展ぶりをみてきた。あの国に対して戦争など仕掛けられない。朝鮮学校の民族教育を守ろう。それが平和を守る道だ。
この後、政府への要請文を採択し、有本幹明さん(日朝国交正常化の早期実現を求める市民連帯・大阪)のあいさつで閉会した。(T・T)
「須賀川特養エルピス」不当解雇撤回裁判
福島地裁の不当判決を許さない
私は闘い続けます。
原告 介護職員 関根たつ子
昨年三月、福島県須賀川市の特別養護老人ホーム「エルピス」を不当解雇された関根たつ子さんは全国一般ふくしま連帯ユニオンに加盟して団体交渉を行ってきたが、エルピスが解雇の正統性をかたくなに主張してきたために昨年八月に地位保全と未払い賃金の支払いを求めて福島地裁郡山支部に提訴した(本紙昨年一〇月二五日号参照)。しかしさる六月二九日、正規労働者と非正規労働者を区別し、非正規に対しては事実上雇用主の裁量権を大幅に認める不当判決を出した。関根さんの抗議声明を掲載する。(編集部)
六月二九日、福島地裁郡山支部(清水響裁判長)は「解雇権の濫用法理が類推適用される」としながらも、正規労働者と非正規労働者の判断基準が事案の内容によっては違うこともありうる(非正規労働者に対しては雇用主の裁量権を大幅に認容)との信じがたい判決を出しました。つまり、非正規労働者である関根たつ子の契約更新拒絶は「合理的なものである」として不当判決を言い渡したのです。これは非正規労働者への差別的扱いを司法が容認した許しがたい判決です。到底納得できるものではありません。
このことが許されるとなれば、介護労働者のみならず全産業の非正規労働者の労働環境はますます過酷なものとなることは必至です。
福島地裁郡山支部の判断は、「真面目に介護業務に取り組んでいたことは認められるがそれだけでは足りない。被告が契約の更新拒絶をしたことについては合理的な理由及び社会相当性がある」としたのです。五回の弁論準備で出された書類と話し合いは何だったのかと愕然としました。
エルピスは、裁判になると次々と後出しデーターを提出し、裁判官も「これは後出しですね」と言うほどのなりふり構わずという態度でした。最も卑劣なやり方は、職場の同僚に書かせた「関根さんとは一緒に仕事をしたくない」という恣意的なアンケートと称した陳述書でした。証人尋問にも証人として法廷に立たせています。この証人尋問の時に「関根さんにも何かいいところはあるでしょう」との裁判長の問いに対し「関根さんは利用者とのコミュニケーションをとるのが上手でした」と、職場のリーダー(被告側証人)は介護労働者として最も大事なことを証言台で述べていたのです。しかし、原告側の証拠は何一つ採用されず、被告側の証拠のみを全面的に採用した判決となりました。
介護の現状は施設側の効率第一主義が優先されています。私は利用者に「寄り添う介護」、「利用者の安心、安全、自立、尊厳」を忘れずに、理念を実現させたいと働いてきました。そのことを五回の弁論準備と話し合いの場で訴えてきましたが、裁判官の心には届いていなかったことがとても悔しいです。
多くの介護労働者は、正規であっても低い労働条件に抑えられております。ましてや非正規はなお更です。問題があっても我慢している状況です。こうした労働者の献身的忍耐によって介護は支えられています。
私は、ふくしま連帯労組と私を支援してくださる多くの皆さんとともに、非正規労働者全体の権利を向上させる闘いでもあると再確認し、闘いを継続することとしました。
何としてもこの不当判決を覆し、解雇撤回と職場復帰を求めていきますので、今後も皆様のご理解とご支援をよろしくお願いします。
二〇一一年七月一日
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