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    かけはし2011.6.6号

「君が代」起立強制条例阻止せよ

橋下大阪府知事の暴挙を止めよう!(上)

  橋下徹大阪府知事と彼の翼賛地域政党「大阪維新の会」が、「君が代」条例案を大阪府議会に提出した。大阪維新の会が府議会の過半数を制していることから、条例の成立は予断を許さない状況にある。現時点(五月二九日)では、この条例案は教育常任委員会に付託されて審議に入るという段階である。六月三日に行われる最後の本会議に向けて、条例制定反対のとりくみが強められている。全国から、「君が代」条例反対の声を大阪府議会に届けよう。

「思想・良心の自由」を破壊


 五月二五日、大阪維新の会は「君が代」条例案を議長に提出し、さらに二七日には本会議に正式に上程した。この条例案には、二つの内容が含まれている。つまり、大阪府の施設に「日の丸」を常時掲揚すること(ほぼ同じ内容の条例案は、自民党からも出されている)、および大阪府の公立学校教職員に「君が代」斉唱時の起立を義務付けることの二つである。
 この条例案によれば、条例の目的は「府民、とりわけ次代を担う子どもが伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛する意識の高揚に資するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと並びに府立学校及び府内の市町村立学校における規律の厳格化を図ること」とされている。そのために、大阪府の施設に、執務時間ないしは府民の利用する時間帯に、利用者の見やすい場所に「日の丸」を掲揚すること、そして府立学校及び府内の市町村立学校の行事において行われる「君が代」の斉唱にあたっては、教職員は起立により斉唱を行うものとすることが規定されているのである。
 当初は、府立学校の教員対象と報道されていたが、橋下知事の強い意向によって、法的には大阪府の服務監督権の及ばない政令指定都市の大阪市、堺市や市町村立学校の教職員(教員以外の事務職員なども含めて)にも適用を拡大した。しかも、橋下知事はこれに加えて、「複数回の不起立で懲戒免職」処分を行うことも含めた教職員処分条例を九月府議会に提出しようとしている。あわせて、不起立者の実名公表、所属校の公表も検討するとしているのである。まさに、あの石原慎太郎東京都知事と東京都教委ですら行いえなかった内容であり、憲法で保障された「思想・良心の自由」を公然と踏みにじる暴挙といわざるを得ない。

条例提案の経過とねらい


 橋下知事が府幹部らに送ったメールがある。やや長くなるが、五月七日に送られたメールの内容を抜粋して紹介したい。彼の発想法がよくわかるからである。
 「君が代を起立して歌うというのは、社会儀礼であり、組織のルールです。社会常識を教える場が教育現場。自分の思想で社会常識に違反することは、教育現場だからこそ許されない」。「論理的な問題ではなく、社会常識の問題ですから、最後は政治が決することです。教育の中身の問題ではないので、教育の中立性を振りかざす問題ではありません」。「何が社会常識かは、価値判断にかかわること。意見が割れたときには、最後は公選職が決めることです。組織のルールに従えないなら、教員を辞めてもらいます」。「全員に職務命令を出せば良いのです。そして、違反を積み重ねれば、それに従って懲戒の段階を上げて、最後は懲戒免職か、分限免職にすれば良い。(中略)三アウト制ぐらいにして、三回違反すれば、免職にするルールにすれば良い」。「委員の任免は知事の専権事項であり、委員の任免を通じて、民意を教育現場に注入します。ということは、府教委の命令に従わないということは、民意無視そのものです。起立して歌わない教員は、大阪府民への挑戦と捉えます」。「まずは課題校、起立しない教員の所属校、氏名の把握から始めます。至急、報告下さい」。
 さらに翌日にも府幹部らにメールを送り、この中で「これは、マネジメントできない校長を配しているのか。これは校長人事の問題です。それとも、校長が組織マネジメントできない制度となっているのか。いつも僕が言っている、校長の権限です。同時に、職務命令に従わない教員の人事です。僕はこれまで教育問題に関し繰り返し言ってきたことは、上記三点で、君が代不起立問題でもものの見事にこの三点が問題になっています」と書き、「君が代」不起立問題をテコに教育行政に自らの意思を貫徹させようという意図を露骨に表現した。一八日の記者会見では、「(教育行政に対する)問題提起のネタを探していた」と述べたことからも、「君が代」不起立問題は、常に敵を想定することでポピュリズム政治を遂行しようとする橋下知事のネタにされたことがわかる。
 橋下知事は、一九日に中西教育長ら府教委幹部と協議を行ったが、この席上で教育長は全教職員に教育長名で「起立・斉唱」を命じる職務命令を出す方針を明らかにした。この職務命令自体が果たして適法なのかどうか、きわめて多くの問題点を含むものなのだが、橋下知事は条例化の意向を撤回しなかったのである。
 橋下知事の狙いは、第一に秋のダブル首長選挙(大阪府知事選・大阪市長選)に向けて、政治的イニシアチブをとるとともに、「大阪都」構想の立場から、大阪府・大阪市・堺市・各市町村という重層的な地方自治のあり方を批判していこうとすることであり、第二には自らが大阪府知事を辞任して、大阪市長選に出馬するまでに、「お上」(橋下、ないしはその後継者)に楯突く職員を根絶しておこうとすることにある。そして第三に、「お上」に従順な教職員のもとで、子どもたちに「君が代」斉唱を強制し、日本への帰属意識と国家への服従意識を植え付けていこうというところにある。
 そのために、「君が代」のもつ歴史的、現在的問題点に一切言及することなく、意図的に「君が代」不起立問題を「社会常識」「ルール」の問題へとすり替え、「教員は社会常識が欠如している」「ルールに従わない教員は処分されて当然」という方向へ世論を誘導しようとしているのだ。

ホットラインの取り組み


 五月一四日の朝日新聞朝刊で「君が代」条例の動きが報じられると、「日の丸・君が代」強制反対ホットライン大阪(以下、ホットライン)は同日開かれた集会の場で、反対行動への結集を呼びかけた。ホットラインは、大阪教育合同労働組合や日教組系教組内の活動家、各地域の「日の丸・君が代」強制に反対する活動家、大阪社会文化法律センターや労働者弁護団の弁護士などが参加して、二〇〇〇年以降毎年、相談活動や教育委員会、学校への申し入れ活動などを展開してきたネットワークである。今年も、ファックス・メールによる「日の丸・君が代」強制についての相談活動、二月一一日の集会開催、大阪市教委との交渉などを行ってきた。
 ホットラインは、自体の重大性、緊急性を踏まえて、五月二六日に緊急反対集会を開くとともに、反対アピールの発表と賛同呼びかけ、記者会見によるマスコミへの訴え、ネットを活用した反対運動の拡大、議会各会派・議員への働きかけなどを確認し、ただちにとりくみを開始した。二三日に発表した反対アピール(別掲)には、二九日現在で約六〇〇人、三九団体の賛同が寄せられた。府議会各会派の事務所には山のようにファックスやメールが届けられ始めた。そして、二六日の緊急反対集会には、「在特会」系右翼の妨害活動をはねのけて三〇〇人が結集し、府庁に向けてシュプレヒコールを叩きつけ、さらなる反対運動の拡大を確認しあったのである。
 また、ホットラインに参加する弁護士らの働きかけもあって、日本弁護士連合会や大阪弁護士会の会長声明、労働者弁護団や大阪社会文化法律センターの反対声明・意見書が出された。マスコミでも、珍しく朝日新聞が条例化反対の論陣を張っている。二六日には社説を含む五面にわたって、批判的に「君が代」条例をとりあげた。
 このように、短期間のうちに急速に反対運動は拡がりを見せているが、橋下知事と大阪維新の会は依然として条例化に固執し、府議会最終日での採決と維新の会単独での可決をねらっている(二九日現在)。引き続き、条例化反対の闘いを拡げていくとともに、たとえ条例化を許したとしても、条例の撤回、教職員処分条例の上程阻止、実名公表阻止に向けて、闘いを作り出していかなければならない。    (つづく)(大森敏三)

アピール

「君が代」起立条例に反対しよう!

2011年5月23日

 橋下徹大阪府知事と大阪維新の会は、開会中の大阪府議会に「君が代」起立条例を提出し、卒業式・入学式において教職員に「君が代」斉唱時の起立を義務化しようとしています。さらに、9月府議会には「複数回の不起立で懲戒免職」を含むと言われている教職員処分条例を提出し、大阪維新の会の多数の力で、強引に成立させようとしています。加えて、不起立者の氏名、所属校を公表することも検討するとしています。
 「起立条例」や「処分条例」は、あの石原都政や東京都教委ですら行っていない暴挙であり、何としてもやめさせなければなりません。
 こうした動きの直接のきっかけは、入学式での不起立教員2名に対して、職務命令違反であるとして5月6日に戒告処分が出され、その新聞報道の中で不起立者のいる府立高校は他に26校あると報じられたことにあると言われています。橋下知事は、「君が代」斉唱時に起立しない教職員を自分に対する反逆であるととらえ、我慢ならなかったのでしょう。
 橋下知事は、5月7日と8日に府幹部などに出したメールの中で、「論理的な問題ではなく、社会常識の問題ですから、最後は政治が決することです、(中略)何が社会常識かは、価値判断にかかわること。意見が割れたときには、最後は公選職が決めることです。組織のルールに従えないなら、教員を辞めてもらいます。」などと述べて、起立強制の条例と処分のルールつくりを打ち出しました。
 橋下知事は、「起立は社会常識」「ルール違反」などと問題をすり替え、「君が代」強制の歴史的、現代的問題点を一切捨象して、何が何でも教職員に起立を強制しようとしているのです。そこには、悩みながらも不起立を選択せざるを得なかった教職員の心情はあえて無視し、ひたすら自分に逆らっている者へのあからさまな敵意があるだけです。
 そもそも「君が代」斉唱は、侵略戦争を担ってきたその役割や信仰上の理由などから、きわめて個人の思想・良心の自由にかかわる問題です。教職員への起立強制は、子どもたちが社会には多様な価値観が存在することを知り、自己の人格を自由に形成するのを阻害するものです。
 今回の動きの背景には、「大阪都構想」をめぐる橋下知事の政治的戦略があるとする新聞報道もありました。実際に、記者会見では「(教育行政についての)問題提起のネタを探していた」と発言しています。
 大阪、そして全国の人々に訴えます。このまま条例の制定を許してしまうならば、将来にわたって大きな禍根を残すことになります。橋下知事によるこの歴史的な暴挙に対して、今こそ反対の声を上げていこうではありませんか。

呼びかけ:「日の丸・君が代」強制反対ホットライン大阪
(編集部註)
 なお、賛同は、
hinokimiosk@yahoo.co.jp までメールで連絡して下さい。
 賛同者については、ホットラインのHP 
http://www7a.biglobe.ne.jp/~hotline-osk/ で見ることができます

緊急声明(要旨)

浜岡原発を考える静岡ネットワーク
浜岡原発差止め訴訟現地原告団

2011年5月10日

 五月六日、菅総理は迫り来る東海地震に安全が保証されていない中部電力・浜岡原発の全機停止を要請しました。これは極めて適切な措置であり、自公政権ではなしえなかったであろう英断と歓迎します。
 しかし、この要請が津波対策の完成までという期限付きのものであることには大きな危惧を持たざるをえません。私たちは『東海地震の前に浜岡原発をすぐ止めよ』という市民運動で、さらには『浜岡原発差止め訴訟』において、以下の主張を展開してきました。
 東海地震が原発直下を震源とするM8級以上の巨大地震である可能性、その地震は不均一で広範な地盤隆起を伴い、M7級の直下型余震の連発が避けられないこと、しかも中部電力と国が「死断層」とし無視してきた原発敷地内を縦横に走る「H断層」が活断層として東海地震に連動する可能性が想定できること、津波がなくても浜岡原発全機はこの激震に耐え得る強度はなく、地震即電源喪失、配管破談、制御不能、冷却不能になり、ガス爆発、燃料溶融、水蒸気爆発を引き起こし、一機広島原発一〇〇〇発分の放射能物質(死の灰)を日本中に世界中に拡散することは避けられない。という極めて科学的、具体的な提言が電力会社からの手厚い研究費などと無縁で著名な地震学者、原子力工学科学者、設計技術者の裁判での証言を得て確信を強めてきました。
 国や中部電力がそれを「想定外」として退けてきた根拠が、あの原子力安全
委員会斑目会長の被告中部電力側の証人として静岡地裁で証言した「そんなことまで想定したら原子力発電などできない。見切りが必要なんだ」という有名になった言葉が、中部電力や国の「想定外の中身」であることは余りにも有名になりました。
 いま今発表された限りでは不毛とも言うべき津波対策に何百億円という巨費を浪費するより、完全停止した上で、電力会社と原子力安全・保安院および原子力安全委員会の電力業界との癒着疑惑を払拭した上で日本のエネルーギー政策を根本から見直すことこそ菅総理と政府に問われていると思います。

 


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