全国でNONUKESの意思を示そう
「安全な原発」などありえない
推進勢力を追い詰める民衆行動を |
闘いは全国・
全世界に拡大 東日本大震災=地震・津波・原発災害が複合した未曾有の惨事から三カ月が経過しようとしている。「三・一一」は歴史的転換点となった。この惨害は、何よりも人びとの生活を無残に見殺しにする政治・社会のあり方に怒り、根本的な転換・変革の必要性を多くの人びとに意識させる決定的な転機となろうとしている。とりわけウソと強権、カネの力によって人びとを分断し、被曝労働に典型的な差別を拡大しつつ「国策」として推し進められてきた原発建設が引き起こした、拡大する一方の被害は、原発被災地はもとより、原発の生み出す電力による「便利さ」を享受してきた大都市住民の間でも批判的反響を呼び醒ましつつある。
大震災三カ月にあたる六月一一日、脱原発一〇〇万人アクションが全国各地で呼びかけられている。すでに北海道、青森、宮城、福島、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、静岡、愛知、岐阜、新潟、長野、三重、滋賀、大阪、島根、岡山、広島、高知、愛媛、福岡など数十カ所で当日の行動が呼びかけられており、その数はさらに拡大するだろう。すでに国内では「同時多発的」な民衆のアクションとして近年にない行動の渦が巻き起こりつつある。生まれて初めてデモに参加したという若者の姿も目立っている。海外でも台湾、韓国、フランスでこの日に反原発の行動が呼びかけられている。
六・一一脱原発一〇〇万人アクションを全国各地で成功させよう。全原発の停止・運転停止中の原発の再稼働阻止、新規建設計画の放棄、被害の全額補償、脱原発社会の実現と再生可能エネルギーに基づくエネルギー政策の全般的転換を共通の課題とする運動と世論をさらに力強く発展させよう。政治家・財界・官僚・マスコミなどの原発推進勢力を徹底的に追い詰める闘いが求められている。
さらに暴かれる
ウソと情報隠し
政府・東電は今になって運転中だった福島第一原発1号機から3号機が「三・一一」直後にすべてメルトダウンを起こしていたこと、大量の放射能が大気・土壌・海を汚染しつづけていること、福島第一原発にたまった高濃度の放射能汚染水が満杯になり処理の展望がないこと、「想定外の津波」によってではなく地震そのものによって炉心冷却緊急システムの配管が破損していたことなどを認めざるを得なかった。「安心・安全」宣伝が情報の隠ぺいと虚偽によるものであることがこの上ないほど明確になった。
地震・原発災害発生直後においても過半数を占めていた日本の世論調査でも、大きな変化がみられる。五月二六日に発表された朝日新聞の原発利用の賛否を問う世論調査では反対が四二%、賛成が三四%と初めて反対が賛成を上回った(四月一六、一七日の調査では反対三二%、賛成五〇%、五月一四、一五日の調査でも反対三六%に対して賛成四三%)。
こうした世論の変化を背景に、菅首相の運転中の浜岡原発の停止要請(防潮堤完成までという条件付きではあるが)、労働組合・連合の原発推進方針の凍結、また文科省が学校で子どもたちが受ける放射線量の「二〇ミリシーベルト基準」を「年度内に一ミリシーベルト以下をめざす」方針に変えるなどの、一連の世論に「配慮」した動きが見られる。
しかし五月二六、二七日にフランスのドービルで開催されたG8サミットでは大きな焦点となった原発問題について「情報開示」や「安全性の徹底」、IAEA(国際原子力機関)による新規建設基準作成など、菅首相の冒頭発言や原発大国・フランスのサルコジ大統領のまとめの線に沿って、「安全性を重視した原発推進」政策が確認されたことに警戒と批判を強める必要がある。
脱原発に向けた
闘いの深化を
何よりも民主党・菅政権は、一方で「再生可能な自然エネルギー」の拡大を訴えながら「脱原発」への方向性を明示することはかたくなに拒否している。菅政権は、「経済成長戦略」の大きな柱となっている原発輸出を放棄しようとしていない。政界・財界・官僚・学界・メディアを支配する原発推進勢力は、「電力危機」や「日本経済没落」論などのあの手この手を使って巻き返しを図っている。
あるいは「非常時」をあげつらいながら現憲法の「緊急事態」条項不在を口実に新たな改憲の突破口を切り開こうとする流れも活性化しつつある。それは復興のための民営化・規制緩和という新自由主義戦略と、「日本は一つ」といったナショナリズムのキャンペーンに先導された極右改憲派の戦略がからみあいながら進行している。菅政権への不信任案提出を通じて新たな大連立・挙国一致のための政界再編のアドバルーンを上げようとする「六月政局」もそうした動きと関係していることは言うまでもない。
われわれは原発推進勢力・右翼改憲勢力のこうした目論見を決して軽視することなく、脱原発の世論と運動の発展、その戦略をともに築きあげていく作業を急がなければならない。こうした闘いはラディカルな運動の発展をベースにしてこそ現実化する。われわれはその中で原発なくせ! の運動と「南」の民衆や先住民族の闘いを先頭にした公正な世界をめざす「クライメート・ジャスティス(気候正義)」の運動などを意識的に結びつけ、環境破壊と貧困、差別と戦争、民主主義と人権の破壊をもたらすグローバルな資本主義システムとの闘いを練り上げていこうとしている。
六・一一脱原発一〇〇万人集会をともに成功させよう! (純)
「20ミリシーベルト」基準撤回を
福島の親子を先頭に文科省
交渉と「人間の鎖」行動実現
子どもたちの
生命を守ろう
五月二三日、東京・霞が関の文部科学省前に、福島から大型バス二台でかけつけた七〇人以上の親子を先頭に、「子ども二〇ミリシーベルトを撤回せよ! 福島の子どもたちを守れ!」文科省包囲・要請行動が、支援の人びとを含め六五〇人以上の参加で行われた。
さる四月一九日、文科省は原子力安全委員会の承認を得て、各学校での屋外活動を行う基準として放射線量年間二〇ミリシーベルト(毎時三・八マイクロシーベルト)の暫定基準を通知した。この「暫定基準」について文科省は「できるだけ放射線を受けないようにするため」と言い訳している。しかし、多くの専門家も指摘するように「年間二〇ミリシーベルト」とは被曝量としてきわめて高い数値であり、とりわけ子どもたちの健康・生命にとっては極めて危険なものである。そして現に福島県の教育現場では、「基準以下」を理由にして屋外活動、運動会などが実施されており、子どもたちの被曝量を高めている。
この「二〇ミリシーベルト」問題については、本紙五月一六日号でふれたように、小佐古敏荘・東大大学院教授が「とんでもなく高い数値であり、それを容認したら私の学者生命は終わりだ。自分の子どもをそんな目に遭わせるのは絶対に嫌だ」と述べて、内閣官房参与を辞任したほどの基準である。小佐古はかつて石橋克彦・神戸大名誉教授が「原発震災」の危険性を訴えたことに対して「国内の原発は防護対策がなされているので、多量な放射能の外部放出は全く起こり得ない」と一蹴した経歴を持つ原発推進派である(『世界』二〇一一年五月号、石橋論文参照)。その彼をして辞任させるほどの「二〇ミリシーベルト」基準の強制を撤回させるために、福島の親たちは高木文科相など政務三役(大臣・副大臣・政務官)との面会を求めてきた。しかしこの面会の求めに対して菅政権・文科省は「対応しない」という拒否の姿勢に終始したのである。
午後一時、福島からの代表団の到着を待って六五〇人以上の参加者は文科省を取り巻く「人間の鎖」を成功させた。参加者たちは一人ひとりマイクを手にして「二〇ミリシーベルト基準即時撤回」を訴えた。「三・一一」まで原子炉メーカーの開発部門で働いていたという技術者の男性も、「退職して子どもを守る活動に加わっている」と語った。
続いて文科省入口のテラスで雨にうたれながら福島現地の親たちや支援の人びと三五〇人以上が取り巻いて、文科省の渡辺格(いたる)科学技術・学術政策局次長と交渉。この交渉には福島みずほ社民党党首、民主党の川内博史、森ゆうこ両衆院議員も加わった。交渉は予定を大きくオーバーして二時間にわたり、親たちの怒りの声が渦巻く「大衆団交」をほうふつさせるものになった。
交渉の中で、ついに渡辺次長は「@二〇ミリシーベルトまでは安全だとする基準の撤回をめざすA年間一ミリシーベルト以下をめざすことを文科省通知として出すB現地の放射線量について、あらゆる低減措置を取るとともに、自治体が先行して行っている除染をふくむあらゆる低減措置について、国の予算で行う」との三項目を「政務三役に伝える」と回答した。しかし渡辺次長はついにその期限については言及しなかった。
なお五月二十七日、文科省は、放射性物質に汚染された校庭の土壌処理経費を国が負担し、屋外活動を制限する放射線量の目安について「年間一ミリシーベルト以下」を目ざす、との考えを明らかにした。文科省は「二〇ミリシーベルト基準」を撤回したわけではないが、それは運動がひき出した「成果」でもある。 (K)
要請文 文部科学大臣 高木義明様
子どもたちを放射能から守る
福島ネットワーク
代表 中手聖一
福島の子どもたちの被ばく最小化のための行動を直ちに執るよう要請します
私たちは、自分たちの子どもを放射能から守りたい。ただただその一心で集まった福島の親たちをはじめとする市民団体です。私たちの苦悩と悲しみがどれほどのものか。大臣はお分かりでしょうか。
貴省が4月19日に通知した「3・8μSv/h(1時間あたり3・8マイクロシーベルト)=年間20ミリシーベルト」の基準は、いわゆる安全基準として一人歩きし、私たちの愛しい子どもたちは、部活や体育などで、校庭へグランドへと駆り出されています。校庭には毎時数十〜数百マイクロシーベルトという、恐ろしいほどの放射線を放つ場所が、何の管理もされずに放置されています。校舎内の放射能汚染は日に日に進み、子どもたちは毎日毎日被ばくさせられています。
全国全世界から福島に集まっている関係者は、みな線量計で被ばくを管理しながら働き、その傍らで子どもたちは無防備のまま生活しています。このような異常な状態を作りだしたのは、大臣、貴省が出した“子ども20ミリシーベルト基準”によるのです。
私たちの我慢ももう限界です。のんびりとモニタリングをしているときではありません。
高木大臣、以下の被ばく低減策を直ちに行うことを決断してください。
一、 今すぐ、“子ども20ミリシーベルト基準”通知を撤回し、あらゆる被ばく低減策を、国が行ってください。
二、 そのために、授業停止やいわゆる学童疎開・避難が必要なところは、躊躇なく行ってください。また、自主的に避難や疎開を行う者への経済支援を行ってください。
三、 校庭削土をはじめとする除染作業、高放射線区域の隔離等を急いで行ってください。その際に集められた放射能は、国と東京電力が引き取ってください。
四、 マスク・手洗い等の励行はもちろん、給食食材の配慮など内部被ばく防護策を徹底してください。
五、 これらにかかった費用は、国が責任を持って負担し、東京電力に請求してください。
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