全10基の廃炉と
被害全額補償を
四月三日、東京・御茶ノ水の総評会館で「緊急報告『福島原発震災―“いわき”からの報告』」が開催された。主催は原子力資料情報室。日曜日の夜、しかも緊急の開催だったにもかかわらず総評会館の大会議室は満席となった。メインの報告者は翌日の経産省申し入れをかねて、この日上京したいわき市議会議員の佐藤和良さん。佐藤さんは脱原発福島ネットワークの世話人でもある。
最初に司会をつとめた原子力資料情報室の沢井正子さんが、大震災・津波に直撃された福島第一原発の事故状況の概要と現状を報告した。つづいて佐藤和良いわき市議の報告に移った。
「明日、経産省に福島第一、第二原発一〇基すべての廃炉と被害の全額補償を求めて申し入れを行う」と切り出した佐藤さんは、自分のおばさんも行方不明だという。「事故を起こさないために二〇年以上にわたって脱原発福島ネットワークの活動を行ってきたが、ついにこんなことになってしまった。私たちの非力さを自覚し、皆さんにお詫びしなければならない」と語った佐藤さんは悲痛な表情を浮かべた。
被曝を日常と
して生きぬく
「いわきの放射線線量は一・二〜一・三マイクロシーベルトで、東京の一〇〇倍に達する。いわき市の沿岸部は空襲を受けたような惨状だ。いわき市三四万人の市民のうち約三分の一が自主的に避難したのではないか。私の住む町内でも、夜間に電気のついている家はまばらだ。原発爆発・放射能漏れの後、マスコミも一斉にいわきから逃げてしまった。社会機能はマヒし、市内は一〇〇%断水した。水が届き始めたのは三月一八日以後だ。この非常事態の中でこそ地域力が問われる。つね日ごろの地域活動が機能しているところが頑張れるということが明らかになった」。
「避難所に二万人が生活しているが、物資が届かない。対策本部と地域の現実がかみあっていない。避難所にはプライバシーがなく、いさかいも生じている。私の生まれた第二原発立地の楢葉町の人びとは、もう戻れないと思いつめている。いま第一原発は冷却機能の回復以前のところでさまざまな障害が発生しており、事態は長期化するだろう。放射線量の高い数値もあって日常的に住民のストレスが強まっている」。
「四月七日に、新学期で学校が再開することになるが私の属する市議会の会派では二カ月間の休校を提案している。教育委員会に市議会会派として休校措置と各学校への放射線量測定器の導入を求めたが、学校は予定通り再開する、線量測定器の導入は検討するが各校長の『裁量』に委ねるという回答だった。いつもは教育委員会が何でも自分たちで決め、各学校の裁量など認めないのに、こういうことに関しては無責任だ」。
市民の三分の一
が「自主避難」か
このように語った佐藤さんは、「三・一一前とその後ではまったく異なる新しい世界に入った。それは現実としての廃炉の中で被曝に日常として向き合わねばならないということだ。そこから逃れることはできない。海洋汚染も含めて絶望の中でどう生きていくか、ということなのだ」と訴えた。
「第一原発立地の双葉町は戦争中に陸軍飛行場のあったところだ。その土地を西武の堤一族が買い占め、原発用地として売り渡した。こうして国策につき従っていった時の犠牲の大きさを今実感している」「福島原発で作られる電気はすべて首都圏に送られ、福島県内では一切使用されない。首都圏の人びとは福島からの電力はあてにしてはならない。これから電力利用はすべて地域分散型で行うことが必要だ。東京電力はこの期に及んで福島原発7・8号基の建設計画を提出している。なんということか」。
佐藤さんは最後に、「『福島第一・第二原発の一〇基をすべて廃炉に。原発をなくせ』と要求して首相官邸を一〇万人で包囲するような闘いが必要だ。いま全原発を止めずしていつ止めるのか」と呼びかけた。
放射能被害に心身・生活を日々脅かされている原爆震災被災地からのこの痛切なアピールを受け止め、行動に移していくことが私たちの緊急の課題である。
(K) 浜岡原発すぐ止めて集会とデモ
二五〇〇人が経産省・東電
に怒りの意思を叩きつけた
四月一〇日、東京港区の芝公園で「浜岡原発すぐ止めて! 市民集会とデモ」が開催された。主催は浜岡原発すぐ止めて!実行委員会。
東日本大震災によって深刻極まる原発災害が引き起こされてから一カ月、被害がさらに拡大し、多くの住民が避難を余儀なくされ、放射能汚染が人びとの健康・生活・生命を脅かすものであることが衝撃的に明らかにされた。それは原発建設をウソとごまかし、脅しによって進めてきた歴代政府、東電などの電力企業、御用学者、マスコミなどの犯罪性が人びとに明らかにされていく過程でもあった。
この日の集会・デモは三月二七日のデモを倍する二五〇〇人が参加し、政府や東電の責任を厳しく追及した。
東海地震の震源
に位置する浜岡
東海地震の震源域の真上に位置する静岡県御前崎市の浜岡原発は、東日本大地震によって、今も制御不能による「チェルノブイリ」に匹敵する危機が進行している福島第一原発と同様の、あるいはそれ以上の危険性が指摘されている。二〇〇七年九月には約一〇〇〇年に一度の周期でマグニチュード9の超巨大地震が発生していることが学術調査で確認されている。しかし中部電力の計算はM8・5以上の地震は起こり得ないという想定に基づいている。
東海地震、東南海地震、南海地震の三連動型地震の可能性も指摘される中で、もし東海地震が起きた場合、津波による原子炉破壊、放射能飛散による被害は福島第一原発事故よりもさらに大きなものになると警告されている。集会では、浜岡原発の即時停止、原発によらないエネルギー政策への転換が強く訴えられ、さらに東日本大震災被災者への支援が呼びかけられた。ドイツ文学翻訳家の池田香代子さんとともに菜の花を手に登壇した、大学に入ったばかりの若者も同級生とともに原発を今すぐやめさせようと行動している、と語った。
デモは、経済産業省、中部電力東京支社前、東電本社前で「原発やめろ!」の声を上げ、歴代政府、電力企業の原発推進政策を厳しく糾弾した。四月二四日にはチェルノブイリ原発事故二五年にあたって「くり返すな!原発事故 つくろう!脱原発社会」集会とデモが、同じ芝公園23号地で開催される、さらにこの日を倍する結集をかちとろう! (K)
なおこの日、東京・高円寺で行われた反原発デモには、若者たちを先頭に一万五〇〇〇人が大結集し、高円寺の町が反原発の声によって席巻される画期的な闘いとなった。
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