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    かけはし2011.3.28号

止まらぬ危険、拡大する汚染

「予測超える事態」がつづく福島第一原発

最悪の危機は終息していない
現実を直視し脱原発の未来を


原乳・野菜に放射能汚染が

 厚生労働省は三月一七日、飲料水や農畜産物・魚介類等の暫定規制値を示し、これを上回る食品の出荷・流通を止めるよう各自治体に通知した。三月一八日から検体の収集が自治体によってはじまり、福島県の原乳、茨城・栃木・群馬県の露地物のホウレンソウ、千葉県産の春菊などから規制値を超える放射性よう素が検出された。
 文部科学省HPで閲覧できる各都道府県の環境放射能水準のグラフをみると、過去の平常値に比べ、三月一五日に水戸市や宇都宮市、さいたま市で四〇倍前後となる数値を観測している。当日の水戸で降雨はなく北東の風約四メートル、宇都宮やさいたまの風向きは主に南東方向だったが、さいたまと新宿区では一五日のグラフに二度のピークがあることから、「放射能雲」は首都圏上空で渦巻き、拡散した可能性があるだろう。「想定できる最悪の事態」を迎えなくとも広大な地域に深刻な汚染を残し拡大していることは確実だ。

冷却水の減少消失の可能性

 津波により非常用電源装置が流出した福島第一原発では、電源車と外部から持ち込んだポンプを使って原発の消火系ラインから海水を送り込んで原子炉の冷却を続けている。建設時に使用した東北電力の高圧線から新たにラインをひき、「恒久的」電源が回復する可能性が開けた。しかし、地震や津波の被害により、ポンプをはじめどれだけの機器がいつ再駆動するのかは不明だ。
 三月一四日、定期点検中で原子炉から燃料を抜き出していたため、「安全」と思われていた4号機で「想定外」の事態が進行していた。原子炉建屋最上階にある使用済み燃料プールの温度が八四度まで上昇し、蒸発によって冷却水が減少・消失する可能性が高まり、燃料が溶融し、最悪では臨界の危険性があることが判明した。
 使用済み燃料プールに水を補給するため、陸自ヘリによる散水や、機動隊の特殊放水車・自衛隊や消防庁の放水車輌・米軍高圧放水車(東電が操縦)を使い、水素爆発により建屋の上部が吹き飛んだ3号機のプールに向けて放水を続けている。この水素爆発でがれきが散乱し、限られた放水スペースでの「混成部隊」の作業を統括しているのは陸自幹部だという。がれきを除去するため、自衛隊は二〇日夜、七四式戦車二両を輸送車に載せ陸自駒門駐屯地(静岡県)を出発、陸自朝霞駐屯地で給油した後、二一日朝に現場近くに到着するという。戦車の前部に鉄板を取り付け、ブルドーザーのように作業するという。がれきやその破片には多量の放射性物質が付着している。雨が降れば太平洋に流れ込んでしまう。がれきや破片をコンクリート固化するなど、汚染拡大を防止する措置を並行して行なうべきだ。

「レベル5」への引き上げ

 三月一八日、原子力安全・保安院は、1〜3号機について、国際原子力事象評価尺度の暫定評価をスリーマイル島原発事故と同じ「レベル五」(広範囲な影響を伴う事故)に引き上げた。チェルノブイリ原発事故の「レベル七」まで進むのかどうか。これまでの事態の進み方、復旧の状況からどのような「最悪の事態」が考えられるだろうか。
 福島第一原発では地震直後に炉心に制御棒が挿入され自動停止、津波により非常用電源が流失し冷却機能を失ったのは約一時間後だ。原発の「第一の壁」である燃料ペレット(融点は約二八〇〇度)が崩壊熱により膨張。膨張により「第二の壁」であるジルコニウム(融点は約一八五〇度)製の被覆管が破裂し気体状の死の灰が放出。「第三の壁」である圧力容器と「第四の壁」である格納容器は加熱による容器の破壊を防止するため圧力を下げるために内部の水蒸気を外部に放出、水素爆発で破れた「第五の壁」は放射能を保持できない。
 現在行われている復旧作業が失敗したらどうなるか。放水ができす、冷却水が炉心からもプールからも蒸発して炉心がジルコニウムの融点まで過熱して燃料ペレットが圧力容器(プール)の底に崩れ落ちて集まり再臨界、核暴走を起して爆発、あるいは鋼鉄の圧力容器を溶かして格納容器内の水と反応して水蒸気爆発を起こすかもしれない。
 反原発の立場をとるわれわれは復旧作業の成功を望むものである。被曝労働を伴う人海戦術ながら、冷却作業が続けられ、高圧電源の回復が見込まれる復旧状況でチェルノブイリ級への事態の悪化を前提にわれわれの未来を考えたくはない。しかし、崩壊熱が一定の水準以下となり、溶融や再臨界の可能性が減少するには数週間、あるいは数カ月はかかるだろう。廃炉の手段・方法を確定するにもかなりの期間を要する。壁を失った原発からの汚染の拡大は進むだろう。

「決死のヒーロー」を作るな

 福島第一原発に残った五〇人の東電や協力会社の職員を、海外で「Fukushima50」という名をつけヒーロー扱いをしているという。マスコミも自衛隊の兵士や東京消防庁の職員もヒーロー扱いする。九一年に日本ではじめて「被曝死」が労災認定された労働者が働いた原発がこの福島第一だ。旧式でもっとも被曝労働を強いてきた原発の廃炉が遅かったから今回の事故に至ったのだ。
 「ウォールストリート・ジャーナル」日本語HPでは「資産保護」優先で海水注入遅れる≠ニ、東電が早い段階に海水注入を検討したがちゅうちょし、政府関係者が「東電は初期対応を誤った。十円玉を拾おうとして百円玉を落としてしまったようだ」と述べたことを紹介している。
 政府は二〇日午後、防衛大学校安全保障・危機管理教育センター長の山口昇らを内閣官房参与に任命した。「自衛隊等における勤務を通じて、危機管理等の分野において優れた見識」を有していることを山口の任命理由としている。菅首相は同日午前、首都圏の大学が卒業式を軒並み中止した中で、防衛大の卒業式に出席して「死力をつくす隊員は誇り」などとの訓示を行った。だれのせいで死力をつくす結果となったのか。住民の期待を裏切り、老朽原発さえ延命させようとした結果としてではないか。
 兵士や消防士をヒーロー扱いするのは、団結する権利と自由を奪い取っている事実を覆い隠すためである。兵士や消防士がお互いに、また外部と連絡する自由や「従事者委員会」などの結成の権利を要求しなければならないだろう。

原子力政策の根本的変更へ

 現在進行中の「原発震災」により、現在建設中、計画中の原発で変化が現れている。山口県知事は上関原発の埋め立て工事中断を求め、中国電力が応じた。東京電力は青森県の東通1号機の建設工事を中断するという。福島県内でも、郡山市長をはじめ福島第一原発の廃炉を前提とした対応を求める声が上がっている。枝野官房長官は会見で「政府として明言できない」としながら、「福島第一原発の運転再開を認めるのか」という記者の質問に「ありえない」と述べている。自民党からも「現状どおりにはいかない」とする姿勢と報じられているが、「脱原発」に進むのだろうか。
 スリーマイル島事故後、アメリカでは新規原発の発注が止まり原子力産業は新設からメンテナンスによる寿命延長と稼働率アップへと移行した。チェルノブイリ事故もひとつの契機となりソ連邦は解体したが、ウクライナは電力不足のため新規に原発を建設、ロシアも原発輸出に熱心でフランス・日本・韓国と競合してきた。トルコは日本の免震技術に期待して原発の導入を行なおうとしてきた。日本がロシアのように「逆コース」に進まないという保証はない。「津波は想定外」「マグニチュード九・〇に機器は耐えた技術」だと、誇って原発輸出にまい進するのではないか。
 日本の反・脱原発運動はチェルノブイリ事故二周年の八八年以降、動員が減少してきた。立地地域で闘い続ける団体を除き、グループ間の意見の食い違いをみて運動から離れた市民は少なくはない。「活動家」が「専門家」化した感もある。事故が起きるたびに「運動が再生するのではないか」と期待し、これまで事故がなければ次の事故を期待するような発言を数多く聞いてきた。現在、少数化したグループに市民・住民から大きな注目と期待が集まっている。オルタナティブな活動を広げてきた仲間からも期待と注目を集めている。少数化した運動やグループが同心円的に広がるだけでなく、新たな人びとによってこれまでにない要求と目標をもった新たな運動がつくられるだろう。日本の原子力政策の変更と脱原発の実現のために幅広くふところの深いネットワークが求められている。
 (三月二一日、斉藤浩二)


新潟市議選・中山均さん支援を
 四月一日公示、一〇日投票の新潟市議選で西区から中山均さんが立候補する。環境・平和・人権などを広い分野で市民運動を担ってきた中山さんへの支援を呼びかける。
                                 (編集部)

「人にやさしい政治」
を地域から

 新潟市は政令指定都市になり、国政では「政権交代」が実現――しかし、暮らしや地域の未来に、いまだ光は見えません。
 この新潟市においても、介護が必要な人や高齢者だけでなく、社会を支える現役世代や若者たちの生活基盤はぐらつき、教育や子育ての現場でも、多くの当事者が不安と孤立感を感じています。
 今こそ、市民の切実な声に耳を傾け、暮らしに寄り添う、本当の「政治」が必要です。
 私は、政治や医療、地域の現場で積んだ経験や知識を活かし、この新潟から、「人にやさしい政治」を創り出すため全力を尽くします。
 ぜひあなたの力をお貸しください。
        中山 均
?プロフィール
1959年黒崎町大野(:現新潟市)の中山金物次男として生まれる。黒崎中学・新潟高校・新潟大学歯学部卒。歯科医・歯学博士。学生時代から市民活動に参加。新潟大学・北海道大学などで癌の診断・治療や医療情報分野でも重要な仕事を展開。
?環境・平和・人権・医療などさまざまな分野で市民活動に参加。厚生労働省プロジェクトの作業委員(2002〜2005)なども務める。
?西区(おもに旧西新潟と旧黒崎町地域)のお知り合いをはがき・メール・FAXでご紹介下さい!
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