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    かけはし2011.3.21号

爆発・火災・炉心溶融・放射能飛散

福島第一原発で最悪の事故が起こっている。
政府・東電は隠ぺい工作をやめろ
全原発の運転を直ちに中止せよ




原子力緊急事態宣言

 三月一一日午後三時五〇分、福島県相馬沖合に置かれた気象庁検潮所で「七・三メートル以上」の最大波を観測した。巨大地震発生から一時間四分後である。最大波より前に津波はすでに福島県沿岸部に到達し、原発の周辺機器を破壊していた。
 政府の災害対策本部の発表から時系列で追ってみる。福島第一原発では一五時四二分、「全交流電源喪失」のため、東京電力は運転中の1・2・3号機に関して原子力災害対策特別措置法(原災法)により国に通報。この三分後に非常用ディーゼル発電機用と思われるオイルタンクが津波で流される。一六時三六分、1・2号機の非常用炉心冷却装置注水不能となり、国は「原子力緊急事態宣言」を発し、対策本部を設置した。近隣から、自衛隊を含めた電源車や消防のポンプ車、さらには愛知県小牧市の東芝の子会社から特殊なポンプ三台を航空自衛隊が空輸するなど、「原子炉溶融」という最悪の事態を防ぐための対応がはじまった。二二時、東電と原子力安全・保安院は最も危険視されていた2号機の次のような事故進行仮想シナリオをたてて対峙したようだ。「二二時五〇分炉心露出」「二三時五〇分燃料被覆管破損」「二四時五〇分燃料溶融」、二時間半後の「二七時二〇分原子炉格納容器から放射性物質を放出」。このシナリオは別の号機で先に現実化していた。

被害を意図的に過小想定

 一三日夜、東電の清水社長ら経営陣は地震後はじめての記者会見を行い、「今まで考えていたレベルを大きく逸脱するような津波だった」という。津波は推進側の考えていたレベルを逸脱したかもしれない。推進側のレベルは、想定できる不都合な事態を意図的に外し、あるいは過小に想定しないと原発の運転を続けられないというレベルだ。この大産業の意図は官学に浸透し、津波による被害を拡大させたと断言できるだろう。
 文部科学省が事務局である地震調査委員会は三月一三日、東日本大震災は、これまで個別に評価してきた三陸沖から房総沖にかけての七つの震源域のうち、三陸沖南部、宮城県沖、福島県沖、茨城県沖の四つにまたがるとの見解を発表。破断した断層は長さ五〇〇キロ、幅二〇〇キロ、滑り量は最大で約二〇メートルに達し、地震の規模は二〇〇四年一二月に発生したスマトラ島沖地震のマグニチュード(M)九・一に次ぐ世界での観測史上四位となるM九・〇を観測、エネルギーでは一九九五年の阪神大震災の一〇〇〇倍となる。国土地理院によれば、宮城県南三陸町・志津川の観測点は東南東に約四・四メートル移動、岩手県から福島県沿岸では最大七五センチの地盤沈下が地震発生とほぼ同時に起こり、津波の被害を広げたとみられる。三陸のリアス式海岸の湾内では、津波はゆうに一〇メートルを超えていた。
 はたして想定外だったのか。七つの震源域のうち、宮城県沖の平均発生間隔は約三七年で、一九七八年六月以来すでに三〇年以上が経過しており、政府は宮城県沖地震の「三〇年以内の発生率は九九%」としてきた。また「三陸沖から房総沖の海溝寄り」のM八・二前後の津波地震は一三三年に一回程度の頻度で発生と評価、「三〇年以内の発生率は二〇%程度」としていた。しかし、地震後の報道で複数の研究者は過去の津波地震の地層調査と文献調査により、『理科年表』等に「津波が多賀城下を襲い、溺死者一〇〇〇」と記載されている八六九年発生の被害地震が今回と類似した震源域の可能性があることを指摘している。こうした説を原発推進関係者は封じ込めようとはしなかったか。検証が必要だ。

次々に事態が悪化した

 原発は物理的な「五重の壁」によって万が一の際に放射能を環境に漏れ出すことを防いでいる。第一は燃料ペレットで、ウラン粉末を焼き固めて飛散を防ぐ。第二は燃料ペレットを詰めるジルコニウム製のさや管。第三が原子炉圧力容器、第四が格納容器、第五が外から見える建屋だ。さらに敷地境界や屋内待機や避難という「社会的」な壁により、非常時の被曝を防ごうというシステムだ。
 〇七年七月の中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発では、震動による自動停止後、遅くとも約二〇時間後に原子炉水温度は「安全」といわれる一〇〇度以下の「冷温停止」という状態になった。これと比べるだけでも福島での危機の進み方は深刻だ。
 福島第一原発1号機は今年三月二六日に運転開始から四〇年を迎えるはずだった。原子力安全・保安院はこの二月七日、耐震基準を含めてさらに一〇年の運転継続を認可したばかりだった。地震発生から二〇時間後、中越沖地震の経験では「冷温停止」になっている時間に、核燃料の一部が水面上に露出した。地震発生から二五時間後に「直下型の大きな揺れが発生し、1号機と2号機の間で大きな爆発があり、白煙が発生」という、あたかも余震の影響で爆発が起こったような奇妙な発表が行なわれた。この爆発により、原子炉や格納容器内の圧力が下がり、外部からの注水が可能になったようだ。注水されたのは海水や中性子を吸収し核分裂を抑制するホウ酸水など。不純物を含み、鋼鉄を劣化させる海水を注入したことで廃炉は確実だ。地震から九〇時間経過したが、「冷温停止」との発表はない。
 地震から六八時間後、3号機の建屋の上部が1号機と同様に水素爆発で吹き飛んだ。3号機は昨年八月六日に福島県が受け入れ、九月二三日にプルサーマル燃料による発電が行なわれていた。
 2号機ではさらに深刻な爆発が起こった。地震から四日目の一五日午前六時一〇分、こんどはさらに原子炉に近い格納容器で爆発が起こり、容器内の圧力を調整する機能をもつサブレッション・チェンバーが破損した恐れがあるという。

「輪番停電」という欺瞞

 すでに避難中の多くの住民が被曝、冷却作業中の自衛隊員らも被爆した。1から3号機まですべて「冷温停止」している女川原発で福島からの放射能をキャッチしている。仙台沖に展開している米海軍は独自のモニタリングを行い、放射能が観測された海域を避けて救援活動をしているという。
 放射能が飛散しているということは、すでに五重の壁すべてに、程度の差はあれなんらかの損傷が生じている。燃料が水面上に露出したことで冷却水が崩壊熱を奪えず、東電や国が認めたように「燃料が溶融」したことは確実だろう。だが、東電や国はこれのIAEAの事故尺度「4」までのシナリオしか発表していない。だが、すでに論じられ、報道されているように、事故尺度「5」のスリーマイル島事故のような炉心が溶融し圧力容器を溶かす事態。炉心の死の灰の多くを排出し、広大な土地を居住できなくさせ多くの人々の命を奪う「7」のチェルノブイリ級の事故に進むのかは現時点で予断を許さないだろう。現時点で、首相官邸で「安全」を宣伝する中、チェルノブイリ同様、兵士や消防士が必至の作業を行なっている。
 政府は放射能の放出を認めても、社会的な「壁」により影響のないレベルの放出と強がる。技術的に、常に危機と背中合わせの原発に、強気は全く通用しない。現在、政府の強気は住民に対する「輪番停電」をはじめ強権発動として現れているだろう。地震が頻発する土地に、それではなくとも危険な原発を利益誘導で林立させ、それをプラントメーカーの蜜月をつくり原発輸出にまい進する民主党政権にとって、ウソと強気によって危機を「打開」しようとする手段しか残ってはいないのだろうか。
 「われわれ」が原発震災へとつながる日本列島最大規模の地震としてきた東海地震ですら想定を「M8・4」としてきた。柏崎刈羽原発は、今回の「東日本大地震」の余震とも考えられる強震に襲われたが、首都機能を支えるためか、停止させていない。「安全・安心」を口にするなら、政府・東電はすべての原発を即時停止させるべきだ。
(二〇一一年三月一五日午前九時 斉藤浩二)

上関原発を止めよう緊急院内集会
中電の工事強行を許すな
豊かな海を守りぬこう

中電側の暴行で
住民が負傷した
 三月四日、衆院第一議員会館で「緊急院内集会 中国電力による上関原発の工事強行を止めるために」が開催された。主催は「上関どうするネット」などからなる実行委員会。平日の午前一一時開始にもかかわらず三〇〇人が参加した。
 さる二月二一日、中国電力は未明から四〇〇人の社員・作業員を動員し、山口県・上関原発建設工事再開を強行した。陸と海からの工事強行に対して建設予定地の田ノ浦対岸の祝島島民を中心に、抗議の闘いが展開され、実質的な工事は進まなかった。しかし中国電力の現地責任者は、日中の作業が終わった段階で反対派住民に対し、トラメガで住民の「退居」を居丈高に命令するという挑発的態度に出ている。二月二三日には、抗議行動をしていた住民を警備員が暴行し負傷するという事態も起きた。
 さらに中国電力は、住民の抗議活動を禁止する仮処分を申請し、昨年一月に山口地裁岩国支部は、海の埋め立て工事が完了するまで妨害行為の禁止を決定し、三月には妨害をした場合反対派に一日あたり五〇〇万円の支払いを命じる決定をしたのである。こうした中国電力・裁判所一体となった露骨な住民運動潰しを許してはならない。

抗議行動に罰金
一日五〇〇万円
 この日の院内集会では最初に原子力資料情報室の共同代表・伴秀幸さんが「上関原発の建設計画概要と問題点」と題して報告。伴さんは、国立公園の海域指定内で海を埋め立てて原発建設をすることの問題点を指摘するとともに、環境影響評価書が「駆け込み調査」によるきわめて不十分なものであり、温排水の漁業への影響や放射能の環境への影響についてまともな調査が行われていないことを批判した。
 映画監督の鎌仲ひとみさん、そしてらんぼうさんがビデオ映像で工事強行への抗議行動の模様を報告した後、現地とUストリームでつなぎ祝島島民の会の山戸孝さんや漁民が現地の模様を語った。山戸さんはヒジキ漁にとって決定的に重要な大潮の夜をねらって工事強行に踏み出した中電の暴挙を糾弾した。
 国会議員からは服部良一衆院議員(社民党)石田三示衆院議員(民主党)、吉泉秀男衆院議員(社民党)、櫛淵真理衆院議員(民主党)、稲見哲男衆院議員(民主党)が発言。「地震大国日本に原発はいらない」「田ノ浦の貴重な生物資源を守れ」と訴えた。服部さんは上関原発反対の新年デモに参加したことを語った。
 続いて山下博由さん(貝類多様性研究所所長)が四五種もの希少生物の宝庫である上関の海が原発建設によって絶滅の危機に瀕することを訴えた。弁護士の日隅一雄さんは中国電力の意向を受けた山口地裁判決を批判。公に意見を述べている人びとを狙い撃ちにした政府・自治体・公的団体などからの民事訴訟は、まさに民事訴訟権の乱用である、と厳しく批判した。(K)


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