革命はなおも進行している
危機からの唯一可能な出口、
最も決然たる闘争の道を示す
アトールフォ・リエラ
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深まる暫定政権の弱体化
ベンアリ政権の崩壊に続く一週間を通じて、彼の党であるRCD(立憲民主党)の解散を求めるデモがますます頻繁に繰り広げられ、チュニジアのすべての都市で党事務所への侵入・徹底捜索がなされるまでに至っている。大衆の圧力の下で、同党は事実上自ら解散したが、その主要なカードルたちは依然として行政、生産、警察、そしてもちろんのこと政府のレベルで国家機構の中心的位置を保持したままである。
チュニスでのデモには、昨年一二月に反乱が始まったシジブジドを含む国内の中部から、暫定政権打倒を求めてキャラバンを組んでやってきた幾千人もの失業青年たちが加わった。
幾千人ものデモ参加者たちは夜間外出禁止令をはねのけ、恒常的に街頭を占拠している。ここにはまがうことなき時代のしるしが存在する。軍や警察の指揮官はかれらに丁重に解散を求めているが、それはムダなことである。
一月二一日の金曜日、ムハンマド・ガヌーシ首相はこうした圧力によってますます困難に陥り、選挙の後に政治の場から退くと約束したが、それはベンアリが倒される直前に行ったことと同じだった! また彼は、反テロ法や報道基準などすべての反民主主義的法律を法令集から除去すると声明した。野党は合法化された。また刑務所内での反乱に直面して幾千人もの囚人が特赦となった。しかしこれでは不十分だ。街頭の大衆は、根本的かつ即時の変革を求めている。そしてファティ・チャムキ同志が強調しているように(本紙一月二四日号掲載記事参照)、今日、正統性は街頭にあるのであって制度の中に存在しているのではない。
こうした中で暫定政権は、学校と大学の再開を一月二四日の月曜日に決定したが、小学校教員組合総連合はただちに「政府打倒」までゼネストを行う呼びかけを発した。同労組は「われわれ民衆の要求への責任の完全な履行とは、現在の政権をベンアリ体制の継続であると見なして打倒することを意味する」と再確認し、「われわれ民衆の敵を排除した暫定政権の形成」を求めている。
実際、チュニジア民衆の多数――かれらはユーモアを持って「われわれはアリババを追放したが四〇人の盗賊はまだ残っている」と昔話を思い起こしている――にとって、一つのことが明らかである。依然として要職にあるベンアリ体制の政治家を「国民統一政権」だけからではなく、完全に追放しなければならない。かれらはこの場から消え失せなければならないし、かれらの中の最も罪深い連中の犯罪を裁き、有罪判決を言い渡さなければならない。さらに事態がそこにとどまらないことは言うまでもない。大衆は深部からの変革、すなわち民主主義的変革のみならず、経済政策、国の富への統制と分配における社会的変革を求めているのだからである。
ブルジョアジーは、帝国主義、とりわけフランスとアメリカの支援を受けて模様替え作戦を絶望的に試みている。現在、西側諸国では、資本主義メディアは、みずから長きにわたってその犯罪を隠ぺいしてきた専制支配者を嘲笑している。ベンアリと彼の妻は、今や独裁体制が実業界から受けてきた支援から目をそらせるためのスケープゴートとして使われている。そしてチュニジア民衆から勝利の果実をだまし取るために、後ろ暗い策謀を弄している。こうしたやり方で、とりわけ「市場」がダンスを始めたのである。一人の独裁者に対してだけではなく彼の新自由主義政策に対して反乱するという、耐えがたいまでの大胆不敵さを持つ大衆に対して、チュニジアへの神聖不可侵の「格付け」に下方修正を施し、罰を加えようとしている。大衆の動員が続く限りこうした企ての危険性は残りつづけるし、情勢はきわめて不安定でありつづけるだろう。
労働者管理、範囲も形態も発展
一月二二日、二三日のデモの中で、聞いたこともないことが起こった。二〇〇〇人の警察官――その一部は赤い腕章をつけていた――がデモ参加者と一緒に歩き、デモに加わったのである。しかし、ここ数週間にわたる恐るべき弾圧の後では、民衆にとってそれが自己弁明と名誉回復の目論見に見えたことは明らかだった。それは政治意識の発展の真のプロセスが進んでいることのようにも見える。こうした警察官たちは労働組合の創設を求めており、そのうちの一人はちょっとの間ではあったが、「われわれも労働者だ。すべての人びとのための革命を。われわれも権利を求める。とりわけ賃上げだ」と語った。
それほど「目立つ」わけではないが、疑いなくもっと根本的なことがある。国営企業と省庁、中央行政機関の従業員や公務員が彼らの職場を占拠し、指導的立場にいた連中――そのほとんどが悪名高いRCD(立憲民主連合、ベンアリ与党)の党員――の、追放・解雇を要求している。幾つかの場合、この要求は全国社会保障庁、スター保険会社、BNA銀行などで成功裏に実行され、これらの事業体・企業の経営者は労働者のヤジを浴びて追放された。
労働者管理の形態も発展している。とりわけ企業の帳簿に関してであり、それはベンアリ体制と結びついていた多くの経営者の腐敗を暴露するためである。中央国税庁の従業員は管理責任者の辞職を要求し、エリートたちの脱税を調査するために帳簿を管理下に置いている。
人口の約七〇%が都市住民である国において五〇万人の組合員を擁し、デモにも多くの活動家が参加しているチュニジア労働総同盟(UGTT)の役割は、一般組合員、そして左派によって掌握されているおかげで、このプロセスにおいてますます中心的要素として現れている。旧体制と結びついていた官僚指導部は脇に追いやられ、暫定政権からUGTTの閣僚が辞任させられた後、労働組合の一般活動家は、公式に暫定政権の辞任を支持する立場を取り、この要求を支持して反対派政治勢力による「革命政権」のための連続ストを呼びかけるよう指導部に圧力をかけた。
すべての権力を革命的民衆に
職場における自主防衛、供給、労働者管理の委員会を通じて、二重権力の現象が現れており、他方、国家機構の弾圧部隊は民衆の側にいる部分を分裂させる活動を開始した。民衆委員会と密接に結びついた兵士・警察官委員会が姿を現わせば、こうした勢力を分解させることは可能である。
チュニジア情勢はレーニンが革命情勢に与えた伝統的規定に完全に一致している。上層は以前のように統治することがもはやできず、下層はもはや以前のように統治されることを望んでいない。この民衆的プロセスは、あらゆる本物の革命情勢に特有なその力学によって、公然と権力の問題を提起しており、社会主義革命へと向かう永続的発展の展望をたどっている。こうした結果はあらかじめ保障されているわけではない。しかしそれは可能なのだ。
基礎的な民主主義の要求――国家機構の一新、憲法制定議会の招集、真に民主主義的な選挙の組織化――以外にも、チュニジアの労働者が勝ち取った地位の維持、拡張、集権化/明確化が、来るべき数週間の中心的問題になるだろう。支配階級は、全力をつくして取り戻しを図るだろう。
当面――しかしほんの当面――のところ、独裁の主要な支柱だったチュニジアのブルジョアジーは信用を失っており、帝国主義が民衆的決起の広がりと深さによってバランスを失った状況の中で、不安定な状況にある。穏健派野党はきわめて弱体であり、イスラム主義者については、大衆がかれらを民主主義的プロセスに正統に組み入れられるべき政治潮流だと認めているにも関わらず、かれらイスラム主義者は真の大衆的影響力を持ってはいない。
こうした情勢の中で、現在UGTTは民衆の信頼を得ている唯一の大衆的労働者組織である。UGTTは、体制の共犯者あるいは体制に従順な存在だった官僚層を完全に排除することができれば、革命的活動家、チュニジアのラディカル左派の積極的支援を受けて、そして国際的連帯の支援を得て、決定的な役割を果たすことができるだろう。民衆委員会に基礎を置くUGTTの労働者政府という要求を提出することは、すみやかに完全な重要性を得ることになる。まさに出発したばかりのUGTT指導部を「革命政権」を構成するために引き入れることは、この方向に進むものだが、その呼びかけはブルジョア的翼をふくむすべての野党政治勢力に向けられている。したがって新たな明確化が必要なのである。
最後にフランスの反資本主義新党(NPA)マグレブ委員会の同志たちは次のように強調している。
「資本主義の世界的危機に直面したチュニジアの労働者・民衆は、われわれに唯一可能な出口、最も決然たる闘争の道を示している。この場で資本主義世界秩序ならびにその核心である帝国主義に対するオルタナティブをめざして組織し、闘うことは、かれらの闘いがわれわれへの真の励ましであるのと同様に、すべての被抑圧民衆への支援でもある」。
▼アトールフォ・リエラはベルギーのLCR―SAP(革命的共産主義者同盟―社会主義労働者党、第四インターナショナル・ベルギー支部の指導部メンバー)
(「インターナショナルビューポイント」二〇一一年一月号)
現地の労働者は語る
形成のされ方も、息吹きも、
起きていることは永続革命だ
ニザール・アマミ(通信郵便労組の組合員、労働者左翼同盟)とのインタビュー『トゥテタヌー』(二〇一一年一月二七日号、NPA機関紙)
――チュニジアの事態をなぜ革命だと言えるのでしょう?
これは文字通りの意味で革命ですが、新しいシェーマに沿った革命なのです。この運動の形成のされ方という点でも、運動が継続のために見出した息吹という点でも、そうです。チュニジアで起こっていることは二一世紀の最初の革命なのです。目標として、それは社会・経済の問題に応える真の民主主義を確立することができる新しい社会と憲法制定議会を目指しています。
運動のこの発展力学は大衆的で民主主義的な要求が達成されるまで継続するでしょう。これは、独裁体制が行った封鎖をかいくぐるために利用されたフェイスブックや携帯電話などの技術的手段だけでなく、労働の権利や尊厳ある生活の権利から、自由と真の民主主義を求める願望に至るその要求からすると、古典的革命ではありません。この革命は同時に、地域におけるゼネスト、至るところでのデモや討論サークルに見られるように最も古典的な形態をも用いています。しかし、この運動は、現在に至るまで、軍が虐殺に加わらないという事態を活用しており、このことによって、この民衆の運動の波が自らを表現することが可能になっているのです。これは、その行動様式の点からも要求の点からも、永続革命です。当初、行動は日中に組織されていましたが、その後、夜間に動いていた政治警察に直面すると、行動は夜間になりました。こうすることによって、警察に対抗し、現地の地区と街区を知っているという点で有利な立場に立つことができたのでした。独裁体制の崩壊後、旧体制によって送り込まれた武装した徒党による略奪に対して、自衛委員会が設立されました。
今日、地区権力の空白に直面して、これらの自衛委員会が、一部の都市や地方自治体(県)の業務を行うために、与党RCD(立憲民主連合)の地区事務所を管理しています。こうすることによって、自衛委員会は、革命過程の次の段階の道を示し、その概要を描いているのです。
これらの自衛委員会は、ありとあらゆる形態とともにあり、さまざまな行動方式を取りながら、この革命の成果を防衛しています。委員会は、「民衆はこの政府の解体を望んでいる」というスローガンが示しているように、自分たちのすべての要求が達成されるまで立ち止まる気はありません。
――労働組合運動はどのような役割を果たしているのでしょうか?
民衆の諸団体と並んで、チュニジアの労働組合ナショナルセンターのUGTT(チュニジア労働総同盟)書記局に対して自分たちの路線を求めて圧力をかけている労働組合員や一部の労働組合組織が第一線に立っています。UGTTの労働組合左派、その一部の連合や地区や地域の組合組織が今では、革命過程の中核にいます。
これは偶然ではありません。すでにここ数年来、これらの連合組織は、UGTT書記局の合意を得ることなくゼネストを訴えてきたからです。これらの労働組合組織は、いくつかのケースでは、闘いの方向や自己組織のやり方についての道を指し示しています。こうしたことはたとえば、三年前のガフサ油田の地区組合の場合がそうでした。
民衆の大衆動員のおかげで、UGTTの左派は、このナショナルセンターの書記局が抱く旧体制の救済という路線を打ち破ることに成功しました。このことは、一部の地域で組織され、ベンアリ体制を崩壊させる役割を果たしたゼネストをUGTTの執行局が支持したことに表れています。
デモの最初から、UGTTの小学校・中学校の教育連合、一部医療部門、PTT(郵便・電信電話局)の組合活動家、卒業後も失業状態にある学生が、弁護士やチュニジア学生総連合(UGET)の学生と連合してきました。組合活動家は、デモの組織化や指揮において、主要ではないにしても重要な役割を果たしてきました。労働組合運動のこの役割を示す証拠のひとつは、多くのデモがUGTTの地区組合事務所から出発しているという点です。労働組合員はまた、地区での討論や委員会の組織においても、一月二二日からの首都に向けた民衆の行進においても大きな役割を果たしています。
――「一月一四日戦線」とは何なのでしょうか?
「一月一四日戦線」は、チュニジア反政府勢力の重要な一翼を占めています。それは、この数日の出来事と独裁者の逃亡とによって結成されました。それは、多くの左翼とアラブ民族主義派の結集を可能にする政治的枠組みです。それは、チュニスでも他の地域でもデモに参加し、要求を急進化させることに貢献しています。
それは、現在の革命的過程に応えるものであって、デモ参加者によって打ち出されているスローガンを具体的に実現するためのものです。その目的は、反革命勢力に対して民衆の、労働者の、進歩的、革命的オールターナティブを提案することです。今日までに提起されている要求項目をより明確にし、深める必要があります。討論と情勢の進展が「一月一四日戦線」の前進を促進することでしょう。
この戦線は、失業、不安定雇用、社会の全面的な窮乏化といった諸問題に真剣に取り組むために、支配的な経済・社会体制との決別を可能にする提案を行う勢力になることを望んでいます。それは今日、平等を尊重する形の選挙で選ばれる憲法制定議会の結成を呼びかけています。この憲法制定議会は、民衆の運動から生まれたすべての政治勢力、団体、労働組合を含まなければなりません。それは、市民が実現すべき国家の性格を決定することを可能にする新しい憲法を準備しなければなりません。
聞き手:ワシム・アズレグ
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