| 解放連帯「綱領草案」に対する評価(4) かけはし2010.9.13号 |
|
労働者階級の闘いを社会主義変革へと発展させる架け橋 |
もくじ
1、 評価に先立って
2、 革命戦略
3、 ロシア10月革命の教訓とスターリン主義国家に対する態度
4、 革命の教訓を綱領に実践的に盛りこむこと
5、 官僚主義の問題
6、 綱領の組織的側面―現場分会の思想
7、 移行綱領の問題
8、 綱領論議の道
6、綱領の組織的側面―現場分会の思想
社会主義運動内で「機会主義」が登場して以来、革命政党の綱領が含まなければならない内容は、その範囲からはるかに広がった。機会主義のかなりの傾向は、政治路線に対しては言葉では承認するものの、戦術や組織路線での機会主義路線を通じて政治路線を実践に移すのを事実上、拒否し無力化させた。これに伴い革命綱領は戦術や組織路線に関連した領域にまで、その範囲を広げないわけにはいかなかった。
戦術や組織分野でなしとげられた革命運動の実践経験の蓄積をどんな形態であれ、綱領が完全に反映すべき必要性も付け加えられた。革命運動の歴史的経験は革命的政治路線を完全に実践に移すために必要な戦術的・組織的要素が何なのかを示してくれていたのだ。既に第3インターナショナルは綱領またはそれに準じる戦術決議案、「第3インターナショナルへの加入の要件としての21の条項」などさまざまな方式によって、それを反映した。
そのうちの組織路線と関連して検討しようとするならば、「社会主義現場分会に基づいた党組織思想」が解放連帯の綱領や綱領解説から洩れ落ちている点は指摘しなければならない部分だ。この組織思想は地区党中心の議会主義政党の組織路線につり合う部分だ。階級闘争を率い、ソビエト型の労働者民主主義機構の発展に資する革命的政治綱領は「社会主義現場分会に基づいた党組織思想」を通じてのみ、はじめて完全に発揮できる。党の労働階級性が希釈されずに実現できる組織的担保物の核心も、まさにそれだ。
もちろん、解放連帯の路線は「社会主義現場分会に基づいた組織路線」を志向していると思う。だが、これまで民主労働党のような議会主義政党に身を寄せ、その中での意見グループとしての活動に集中した結果、解放連帯は過去に比べて現場の基盤が相当部分、脆弱になったと思う。民主労働党内にいた時期、解放連帯は選挙闘争と階級闘争の結合を強調したけれども、事実上、民主労働党が議会主義選挙に集中している状況は解放連帯にもある程度、否定的な刻印を残した。
民主労働党の組織的構造に従って活動を配置しなければならなかったがゆえに(よしんば、その活動が民主労働党の路線に批判的な活動であっても)解放連帯は自らも意識できない中で、地区党中心の活動に多くの力量を投入しなければならなかった。反面、現場分会を中心として現場の階級闘争を組織し、この階級闘争を通じて輩出された最上の因子たちを社会主義現場分会に組織することによって、未来の党の基礎を築く作業は、私の見るところでは充分に効果的に進められなかった。現場分会を媒介とした階級闘争の大衆的指導力を形成する作業に、これまで充分に集中してこれなかったのだ。私は、このような歴史的弱点が綱領にもはらまれており、綱領をより鋭く整える作業を通じて解放連帯が、このような弱点を、いちはやく克服しぬくことを希望する。
ブルジョア選挙
と労働者権力
さらには、このような組織思想は政治路線とも連結され明確に提示されて然るべきだと思う。プロレタリアート独裁を承認するということは、とりもなおさず、ブルジョア選挙を活用する方式によっては労働者権力を樹立することはできないということを承認する、ということと同じだ。「ブルジョア選挙を通じた執権→ブルジョア機構を活用した上からの支援→ソビエト権力の創出→社会主義革命」という図式は、プロレタリアート独裁思想と両立できない。労働者民主主義の権力は選挙の外で、ブルジョア国家機構の外で、労働者闘争を通じてのみ創出され得る。「選挙」はこの労働者闘争の促進のための宣伝・煽動手段としてのみ「補助的」に活用できるだけだ。
ここからさらに1歩進んで「選挙を通じた執権」という経路を想定する瞬間、これは議会主義にドアを開くものであり、プロレタリアート独裁の思想―ブルジョア国家機構粉砕の思想―を清算するものだ。なぜならば、これは経路を可能な1つの経路、あまつさえ主要な経路と想定する瞬間、選挙を通じて執権するための実践は極めて重要な実践として格上げされ、ブルジョア国家機構の粉砕に代わる活用が位置づけられるからだ。
このような政治路線は不可避に選挙を強調することとなり、党の組織路線においても影響を及ぼすこととなる。選挙に対応することに適合した方式によって党の組織的構造が組み立てられることになり、これは「現場分会に基づいた革命政党の組織路線」を軽視したり、選挙に対応する地域区組織と同一の位相ほどに現場各分会を格下げすることと結びついてしまう。けれどもブルジョア国家機構は粉砕されるだけで、活用され得ないならば、そしてこの国家機構を廃止する新たな国家機構は、ただただ議会の外の労働者闘争を通じてのみ創出され得るということを承認するならば、「選挙を通じた執権」の可能性は当然にも廃棄されて然るべきだ。ところで、このような政治路線は労働者闘争を組織するのに適合した方式の党の組織的構造を必然的に要請することとなる。まさにそれが「現場分会に基礎づけられた革命政党の思想」だ。選挙を副次的手段として「活用」することも、現場分会に基盤を置いた選挙介入を通じてのみ、はじめてキチンと遂行することができる。このような組織的原理が綱領に忠実に盛られる必要がある。
7、移行綱領の問題
解放連帯は「過渡綱領」という概念を使用している。この過渡綱領の意味が「綱領草案」解説では盛り込まれてはいない。だが「労働解放実践連帯発足宣言文」には過渡綱領の意味が提示されている。
「当面、変革の段階が社会主義変革の段階となった国で、そして資本主義が社会主義へ移行する歴史的時期が展開される共に、最大綱領対最小綱領の形式は古い形式となった。この場合、最大綱領対過渡的綱領、これに最小綱領を補充する形式が、より適切な形式となる。過渡的綱領は最大綱領ではないという点で、図式的に区分すれば広義の最小綱領だと言うことができる。だが、このような図式的区分を離れ実際的な内容で見るならば、過渡的綱領は純粋に最大綱領的なものではなかったとしても、労働者階級の闘争が社会主義変革のための闘争として発展するように最も積極的に引き渡す、架け橋的な綱領だ」(「労働解放実践連帯発足宣言文」)。
以上の言及に基づいて見る時、「過渡綱領」の問題意識は表現が異なるだけで、社労連の「大衆行動綱領」の問題意識と一致していると思う。その問題をいかなる「概念」として盛り込むのかは重要ではないと思う。我々は「移行綱領」の問題意識を「大衆行動綱領」という表現によって盛りこんだのだが、さらに適切な表現があるならば、いくらでも修正する用意がある。
ここで言及する地点は、我々とその根本において同一だと見られる解放連帯の過渡綱領の問題意識が「綱領草案」にははたして充分に盛られているか、だ。解放連帯が提出した「綱領草案」で過渡綱領に該当する部分は「資本の搾取と抑圧による肉体的、道徳的堕落から労働者階級を保護し、解放のための労働階級の能力を発展させるために党は要求する」で始まる16個の項目だ。この各項目の相当数は当然にも共感できるし、また必然的に入っていなければならない各項目だ。だが現在、韓国でし烈に展開されている階級闘争を促進し、これを「社会主義変革のための闘争によって発展するように最も積極的に引き渡す架け橋的綱領」として機能するには補完すべき部分がある。特に現場に基盤をおき展開される、し烈な階級闘争の諸要求を充分に反映できていない、という点を指摘したい。
例えば、「すべての労働者に同一労働同一賃金を支給する」という賃金関連の過渡綱領をよく見ると、現在の低賃金構造を打開し、資本の利潤の論理と所有権に挑戦することができるように導く「すべての労働者たちに生活賃金―最小限、民主労総の生計費水準の生活賃金―を支給する」という部分が抜け落ちている。
「臨時職、契約職、派遣職など、あらゆる形態の非正規職の雇用を禁止し、完全雇用を実施する。このために国家はすべての社会構成員に労働をすることができるように教育と働きの場を提供する」という雇用関連の条項にも「非正規職の契約解除をはじめとするあらゆる形態の整理解雇の禁止、非正規職の正規職化」のような、現在の資本主義を決定的に浸食するばかりではなく、現実の階級闘争と実践的にさらに緊密に連結され提起される方式によって雇用の諸問題を投げ出せないようにしている。
さらに重要なことは、「過渡綱領」は資本家政府に訴えるものではなく、労働者たちに「闘争綱領」として提起されているのだ。その点で社労連は「大衆行動綱領」という表現を採択したのだ。過渡綱領が投じられる形式は「資本家国家に要求」する形式よりは「労働者たちに提案」する方式として投じられるのが妥当だと思う。
他方で、「綱領草案」は「作業中止権の争取」、「労働者政党防衛隊構想」、「労働組合での平組合員の体系強化」、「現場のすべての労働者たちを団結させる労働組合」、「戦闘警察解体」など現在の韓国で労働者の革命的意識と革命的階級闘争能力を伸長させる重要な過渡綱領を含めていない。
「労働綱領」と
「政治、社会綱領」
次に、解放連帯「綱領草案」の〔U〕の項目は2つの部分に区分して提示されている。この2つの部分は「労働綱領」と「政治・社会綱領」に分けて提起されている。ここでは共産主義の最大綱領に対比するとき、過渡綱領のカテゴリーに含められ得るが、「革命以前の準備期」と「権力掌握直後」に対比される過渡綱領の2つの水準が明確な境界線なしに混在している、という感じだ。従って綱領を手にする労働者たちにとって、「権力の掌握を通じて実現しなければならない社会主義革命の諸要求」と「権力掌握のための階級闘争の能力を鼓舞するために、すぐにも提起しなければならない部分的諸要求」を区分できなくする危険性がある。これは体系の精巧化と解説を通じて充分に解決できる性格の問題ではあるけれども、ともあれこのような弱点を補完することが必要だと思う。
例えば「銀行と独占資本の没収、社会化、労働者統制の実施、企業の運営と関連した経営情報の完全な公開。公共部門の私有化停止、公共部門における労働者統制と社会的統制の実施」は「綱領草案」の〔U〕番項目の最初の部分に含まれている。ところで、この最初の部分の1から4番の項目はソビエト型労働者権力の樹立に対応する政治的、社会的諸項目(例えば常備軍の解体と労働者民兵隊への代替)では割愛されている。つまり労働者権力の樹立を通じてのみ獲得できる革命的諸項目を扱っている。ところが「経営情報の完全な公開要求、公共部門の私有化中止要求」は、それとは異なる性格の要求だ。これは革命以前の準備期に労働者の階級闘争能力を向上させる次元で提起される過渡的諸要求であり、それ自体としては純粋に革命的な要求―すなわち革命を通じてのみ達成できる要求―ではない。
「食糧自給率を高める」という項目も社会主義革命綱領の国際主義的な性格を考慮する時、そして現在到達した全世界的レベルの生産力を考慮する時、革命以前であれ以降であれ、過渡綱領としても不適切だと思う。「無分別な輸入開放反対」も、社会主義革命綱領に盛り込むには意味があいまいであり、解釈も多様な不適切な部分だと思う。
最後に、プロレタリアート独裁の思想を綱領のすべての項目で一貫して、かつ明白な方式で盛り込まなければならないという側面と関連しても不分明な部分が見いだせる。
例えば「綱領草案」は「労働者、民衆の権利を最もよく保障し、社会主義への最も苦痛への少ない移行を可能にする政治体系のために闘争するものだ」と主張しつつ、ソビエト型の労働者権力樹立を通じてのみ獲得できる政治・社会体制を〔U〕番の項目で提示している。これは、いささかあいまいだ。ソビエト型の政治体制は「社会主義への最も苦痛の少ない移行」を可能とする政治体制ではない。それは「社会主義への移行」を可能にする「唯一の」政治体制だ。またこの政治体制は「革命」を通じることなしでは資本主義社会で、資本家権力の下では絶対に実現することのできない政治体制だ。従って、資本家権力の下で、この政治体制を部分的にでも獲得するために努力することは、我々の仕事ではない。それゆえに「労働者民衆の権利を最もよく保障し、社会主義への移行を可能にする唯一の政治体制である次の政治体制のために、わが党は闘争する。これは、ただただ社会主義労働者革命を通じてのみ実現できる」という規定が、より明確な規定だと考える。
次に解放連帯「綱領草案」の〔U〕番項目のうち1から4番項目について綱領解説は「この各項はコミューンとソビエトなどとして現れた新しいパターンの国家である労働者国家を、要求の形式によって提示したものだ」と説明している。ところでソビエト労働者権力の核心は「工場と事務室、各地域から選出される労働者と、そのほかの被搾取勤労人民の代表者機関を国家の最高としてうち立てる」ということだ。反面「綱領草案」は「(1)すべての公職者は民衆が選出し、選出者たちの多数の決定によって、いつでも召還(リコール)する。(4)立法と執行の議会主義的分離ではなく、その統一を実現し、国家運営への労働者民衆の参加を絶えず実現していく」とだけ扱っている。ところで1番の項目は、このソビエト型の代表者機関が公職者を選出・統制することにおいて適用される原理を扱っているだけであり、(4)番の項目は、この代表者機関を媒介として労働者国家が踏み出さなければならない方向に該当するものだ。結局「ブルジョア国家権力を粉砕し、ソビエト型の労働者民衆の代表者機関が権力を接収する」という核心項目を見落としているのだ。 (つづく)
|