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「3連動地震」想定した全国防災訓練          かけはし2010.9.13号

米日共同の軍事作戦を許すな

住民を動員した「有事対処」「対テロ」戦演習だ


静岡県を中心に
大規模取り組み

 九月一日、東海、東南海、南海の三地震が同時に発生する「三連動地震」を想定して全国三十五都道府県で防災訓練を行い、約六十七万八千人を強制動員した。その中で静岡県は、三十の市と町であわせて四十四万人を参加させる大規模な取り組みとなった。
 伊東市のメイン会場には、約二万三千人が参加し、災害ボランティア本部設置、救護所でのトリアージ、ライフライン復旧作業などの訓練を展開した。
 伊東港では自衛隊の掃海艇「のとじま」を使って観光施設の関係者たちを海上への避難誘導訓練。釣り船十二隻を「徴用」し避難者を乗せ、陸上自衛隊輸送艦「くにさき」まで誘導した。今後の作戦作りのために所要時間を計測する実証実験にも着手した。海自輸送艦「くにさき」に搭載されていたホバークラフト(LCAC)も避難誘導訓練の一環としてオレンジビーチ上陸を敢行した。乗船していたのは、個人情報事前チェック済みのNTT職員ら約四十五人が陸上自衛隊員と共に「救援部隊」として上陸し拠点に移動した。
 静岡空港では初めて陸上自衛隊ヘリで県外の災害派遣医療チーム(DMAT)を受け入れる搬送作業を行った。
 すでに自衛隊は、自衛隊統合防災演習(実動演習)として機能別訓練を八月二十九日から三十一日、総合訓練を八月三十一日から九月一日まで市ヶ谷、朝霞、横須賀、府中などの駐屯地・基地、静岡県各会場、周辺海空域などで展開。隊員約千六百人、車両約四百両、艦艇四隻、航空機十七機が参加した。訓練を「自衛隊の統合運用による対処要領を関係機関等と共同して実践的に演練し、自衛隊の災害対処能力の向上を図るもので、とくに関係機関との連携要領や後方補給に関わる各部隊間の連携要領に重点を置いて演練する」と位置づけた。つまり機能別訓練では独自の統合通信、統合後方補給訓練を重視する兵站作戦として行ったのである。
 獲得目標は「国民保護法制」を前提とした軍事演習である。つまり、首都防衛を優先しつつ、同時に各地拠点防衛としての部隊展開であり、「武力攻撃事態(戦時)対処」、「大規模テロ対処」を想定して軍事作戦を作り上げたのである。

米揚陸艦も
初めて参加

 さらに静岡防災訓練伊東市会場には、米軍が国際緊急援助隊などとでっち上げて米海軍揚陸艦二隻が初参加した。揚陸艦に搭載していた陸軍大型輸送車四台を陸揚げし通信機材、燃料、資材を拠点指揮所に移動し、救援物資搬入、座間基地との通信ラインを構築した。
 ただちに通信システムを立ち上げ座間基地に軍事情報の第一報を送った。米軍の力の入れ方はいつもと違っていた。防災訓練を通した日米共同実戦を狙った米軍は、初めて訓練状況を報道に開放したのだ。一大ショーの主役としてわざわざロバート・ディエソJr在日米陸軍副司令官が登場し、「友好的な同盟国である日本に 寄与することが我々 の任務です」(TBSニュース)などとリップサービスを披露した。しかも軍事作戦上もっとも重要拠点である通信キャンプのメディア撮影を許可する大サービスぶりだ。
 このように静岡防災訓練を通した米軍の後方支援は、日米安保体制の実戦的強化を本格的に着手するメッセージだと言える。すでに静岡県国民保護条例には、「自衛隊及び米軍の行動と避難経路や避難手段の調整」と明記し、災害事態でも日米共同作戦に大いに使いきることができる事前態勢の法的根拠が出来上がっているのである。
 今回、米陸軍が初参加したが、当然、座間基地の米陸軍第1軍団の司令部の作戦命令のもとに任務についている。同時に、陸上自衛隊中央即応集団司令部の米陸軍キャンプ座間に移駐予定(二〇一二年)を前提として共同訓練としても押し進めたのである。
 川勝知事は訓練後の記者会見で「伊東市などでは観光客の誘導抜きの防災はあり得ない」などと述べ、自衛隊、米軍の軍事展開を讃えた。県は、政府が三地震同時発生したケースでの救援活動計画が未設定であることを理由にして、東海地震単独発生を前提に突出したイニシアチブでシナリオを作りあげた。今回の米軍初参加をバネにして静岡防災訓練を先例に、各地で自衛隊と米軍が一体となった実戦訓練の強化につながっていく危険性がある。
 すでに石原都知事によって〇六年九月一日の防災訓練に米軍を初めて参加させて以降、米軍の「活躍」エリアが広がっていった。川勝知事は、石原に続けと意気込んでグローバル派兵大国建設の一環として防災訓練を利用して「貢献」しようとしている。

深まる実戦計画
に監視と抗議を

 ちなみに東京都防災訓練で米軍は、次のように参加を拡大してきた。〇六年九月一日の防災訓練では、米軍横須賀基地所属のフリゲート艦「ゲーリー」が「帰宅困難者」 を横須賀基地に運ぶ避難訓練。米軍横田基地を輸送拠点にした米軍輸送訓練を行った。
 〇七年に石原都知事は「災害時の米軍活用」を強調し、横田基地などで広域支援物資受入訓練、重篤者災害拠点病院搬送訓練、海外支援部隊による医療搬送及び緊急物資搬送訓練を演出した。侵略作戦時での上陸作戦を担う米揚陸艦「トーテュガ」を東京湾に登場させ、搭載している上陸用ホバークラフト(LCAC)で「帰宅困難者」輸送訓練を報道に披露した。
 〇八年には米兵七百人も大量参加。米海軍強襲揚陸艦「エセックス」を葛西臨海公園沖に配備し、搭載しているホバークラフト(LCAC)に百人を乗船させ、艦と人工なぎさを輸送した。横田基地での広域応援部隊の受け入れ態勢を作り、ヘリで転進、支援物資輸送を展開。赤坂プレスセンターでも米軍ヘリによる医療搬送などを行っ た。
 〇九年も負傷者搬送訓練で米軍ヘリがフル出動だ。米軍、自衛隊、警察ヘリを使って帝京大病院(板橋)、防衛医科大(所沢)、横田基地への搬送訓練、赤坂プレスセンターを拠点とした支援物資搬送訓練も行った。
 当初、米海軍揚陸艦「デンバー」に搬送する作戦だったが、台風のため東京港臨海部待機ができなかったため中止となった。しかし米艦艇との連携作戦は定着しつつあることを示している。
 東京都防災訓練は、このように後方支援をメインとした兵站作戦を想定した日米共同軍事作戦を繰り広げてきのである。しかも防衛省は第一師団を「対テロ首都防衛集団」に改編し米軍との共同作戦のレベルアップを目指している。
 米軍が現段階で静岡防災訓練を通してどのような規模で参加を拡大していくのかわからない。しかし静岡県防災訓練での米軍の初参加は、東京都防災訓練で参加拡大してきたように同様の道を歩む危険性がある。自衛隊も米軍との共同作戦の緻密化を高めつつ、独自の部隊展開の拡大もねらっていることは今回の作戦展開で明らかだ。今後も監視活動を継続し、米軍、自衛隊が参加する戦争動員のための防災訓練に反対していこう。   (遠山裕樹)


東京都総合防災訓練に抗議
住民には「自己責任」強制した
大規模「都市型テロ」対処作戦

小中高生らを
むりやり動員

 八月二十九日、東京都・文京区は、対テロ戦争型軍事演習である合同総合防災訓練を警視庁、自衛隊、米軍、自治体労働者、地元住民・民間、中高生など百五十機関、約一万四千人を参加させ、文京区会場、横田基地会場、臨海部会場、東京都庁及び文京区役所会場で強行した。しかも東京大学、東洋大学、京北学園キャンパス、都立小石川高・中学を拠点に自衛隊の展開を軸に住民、小中高生が動員された。地域のボーイスカウト・ガールスカウトは優先的に演習人員に組み込まれ、小中高生は「奉仕時間」「ボランティア」などと称して無理矢理に参加させた。
 自衛隊は陸上(142人、車両30台、ヘリコプター2機)、航空(31人、車両4台)、海上(1機)が参加。小石川高校会場では、消防庁、警視庁などともにトリアージ訓練(被弾・被曝した軍事兵員のリサイクルが可能か否かのために安否確認し検視・検案・身元確認訓練)をメインに担架搬送訓練、医療処置訓練、病院搬送訓練を行った。
 都営地下鉄白山駅会場では、自衛隊員二十二人(搬送、医師、看護士など)が参加し大規模救出救助訓練(ホーム上の負傷者を担架で地上まで搬送する)を行った。負傷者役として高校生を五人を動員。さらに白山通り会場で道路上障害物除去訓練、救出救助訓練、病院搬送訓練に参加。東洋大会場では、自衛隊の炊きだしとともに、もっぱら自衛隊ポスター配布、迷彩服を着て記念撮影などという宣伝活動だった。
 米軍は、陸軍(5人、ヘリ1機)、海軍(400人、ヘリ1機、船舶2)、空軍(5人、ヘリ1機)が参加。七月に完成した「有明の丘基幹的広域防災拠点」にした緊急支援物資の集積拠点の訓練を展開。具体的には、海軍が有明の丘防災拠点を活用した舟艇及びヘリによる支援物資輸送訓練。
 輸送揚陸艦(デンバー)による医療救護訓練は、東京・晴海ふ頭に寄港しての訓練を予定していたが艦内故障のため中止し、横須賀基地内医療施設を使った。陸・空軍が横田基地・有明の丘を活用したヘリによる支援物資輸送を行った。
 訓練テーマの「連携」のメインが陸・海自へり、警視庁ヘリ、東京消防庁ヘリ、米陸空海軍ヘリの「連携」と称する戦時負傷者搬送を想定した軍事演習だ。座間基地〜横田基地〜東京臨界広域防災拠点のコース、順天堂大学〜横須賀基地コース、東京大学〜東洋大学〜武蔵野赤十字コースなどの飛行を展開した。全貌ははっきりしないが、航空管制指揮は、自衛隊が握ったもようだ。
 「自助・共助」「連携」などと訓練テーマとして掲げたが、その実態は、自衛隊、米軍の参加、横田基地使用にみられるように基地防衛、首都中枢機能機関の維持から訓練作戦を練り上げ、展開したのである。つまり国民保護計画(「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」(04年)、「国民の保護に関する基本指針」(05年)に基づいた「武力攻撃事態対処」「大規模テロ対処」にむけた「軍事演習」であり、警察、行政、防犯・防災組織、自衛隊、米軍が一体となった防災訓練が戦争のための治安訓練の性格をますます濃くしたのである。民衆に役に立たない戦争動員のための防災訓練を糾弾しよう。

群がる警察の
弾圧はねのけ

 午前に強行された防災訓練に抗議して米軍・自衛隊参加の東京都総合防災訓練に反対する実行委員会2010は、早朝から各訓練会場への監視行動を行った。白山会場を中心に公安政治警察が大量に配備され、実行委の仲間たちに対する不当なピケット、入場阻止、嫌がらせを行ってきた。治安訓練の一環として公安は、演習作戦に基づいて監視行動に対する不当弾圧を行ってきたのである。監視行動は、不当排除を許さず、監視・抗議行動を貫徹した。
 文京区勤労福祉会館から文京区一帯にむけて抗議デモ。大量の公安がつきまとい、機動隊による規制を強行してきた。超炎天下、仲間たちは、「防災訓練反対!自衛隊・米軍は参加するな!官民労働者、住民、生徒、児童を強制動員するな!」とシュプレヒコール、アピールが繰り返された。
 会館で集会(デモ参加者含めてのべ100人)が行われ、白山通り会場、東洋大会場、東大会場、白山駅会場、駒本小学校、臨海公園会場の監視行動の報告が次々と行われた。
 連帯アピールがAPECはいらない!神奈川の会、米軍・自衛隊参加の東京都総合防災訓練に反対する荒川・墨田・山谷&足立実行委、10・24朝霞自衛隊中央観閲式反対闘争実、パトリオットミサイルはいらない!習志野基地行動実、靖国弾圧、全都反弾圧実から行われた。
 池田五律さん(戦争に協力しない!させない!練馬アクション)は、防災訓練を総括し、自衛隊・米軍の「提携」による都市型テロ対処訓練の性格を強めつつ、「自助・共助」のテーマを掲げたように住民たちは自己責任で生き延びろということを前面に押し出したことを強調した。
 郵政労働者ユニオン北西支部からのメッセージが紹介された。最後にシュプレヒコールを力強く行い闘争貫徹を確認した。  (Y)


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