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10・10全国集会、午後6時30分〜日比谷野音に集まろう
                         
かけはし2002.10.7号より

原発トラブル隠しの合法化を許さない!

大事故をまねく「維持基準」「事後保全」の導入を阻止しよう!

 九月二十四日、「原子力安全規制法制小委員会」(委員長・近藤駿介東大教授。以下、近藤委員会。近藤は、日本を代表する原発推進の御用学者である)の開催に対し、「ストップ・ザ・もんじゅ東京」「核燃やめておいしいごはん」などの呼びかけで、経済産業省門前抗議行動が行われた。
 `小さなa損傷でも修理せずに運転を続ける「維持基準」と「事後保全」導入の結論を拙速にまとめ、早期の幕引きが予想されることから、急きょ呼びかけられたもの。参加した市民はそれぞれ持参した抗議の横断幕をつなぎ、正門から入場する委員や傍聴者などに向かって「手抜き点検の合法化は許さない」「保安院は解散せよ」などと訴えかけた。また、傍聴している仲間も配布資料を会場から門前に届け、議事の様子を報告するなど、連携しながらの行動が行われた。
 委員会には、次期東電社長となる勝俣副社長が出席し、議事開始前には委員全員と名刺交換。勝俣副社長は東電の社内調査委員会の委員長を務めている。委員からの質問に対し「現場社員の聞き取り調査の感想として、もし自分が現場の責任者だったら同じように国には報告しなかったかもしれない」と開き直りともとれる答弁。「従来から現場に目安箱を設置し、これまで五百件ほどの申告があったが、大半は下請けによる社員への不満」との発言し、社内での情報管理への自信をのぞかせた。二十四日の第二回近藤委員会は夜七時開始という異例の設定、かつ第三回は翌々日の二十六日開催という、これまた異例の進行だ。
 二十六日の第三回近藤委員会では以下の内容を再発防止策とする「中間報告案」が原子力・保安院より委員会に提案された。@電力事業者に対しては、「自主点検を法的に位置付け」「適切な品質保証体制を求める」A組織的不正には厳罰をもって臨むB国では、「抜き打ち的手法の取り入れ」「科学的・合理的な根拠に基づくルール・基準の整備」「報告徴収に係る制度運用の明確化・透明化」C申告制度による機動的な対応D説明責任の確実な遂行。
 近藤委員会はそもそも、東電の不正「行為が行われた背景を検証するとともに、再発防止のための法制度等の検討を行う」ことを名目に、原子力安全・保安院の総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会の下に設置された。同部会の下には「検査の在り方に関する検討会」(以下、検討会)が設置されており、近藤委員会の委員八名中七名が検討会委員。不正にかかわり辞任した榎本東電元副社長も検討会の特別委員として名を連ねている。
 「中間報告案」の結論は、これまで検討会の方向性の具体化を「加速させるべき」とし、十月十八日から開催される臨時国会での電気事業法などの改悪準備の一つとして位置づけられるだろう。第四回近藤委員会は十月一日に開催し、「中間報告案」を委員会決定し、意見公募、いわゆる「パブリックコメント」を十月上旬に行う。十月中下旬にも再度委員会を開催し、「中間報告」の最終取りまとめを行うという。
 一方、九月二十七日には第三回「東京電力点検記録等不正の調査過程に関する評価委員会」(委員長・原子力安全委員会の佐藤一男前委員長。以下、佐藤委員会)が開かれ、「中間報告案」(以下、案)を委員会決定した。佐藤委員会は、二年以上かかった保安院による東電不正調査の手法と結論を評価するという名目で経産大臣の研究会という位置づけでの設置だ。
 案によれば今後の改善策として、@申告処理調査の手順・方法の明確化、機能の強化、外部有識者で構成する「申告調査委員会」の早期立ち上げ、専門人材の育成・確保と体制の整備をするAJCO事故後法定化した申告者の保護をするBできる限り早く申告内容・調査結果を公表することなどを保安院に求めるC近藤委員会の検討に期待するD「行政機関ならびに事業者による国民への情報提供の在り方の見直し」をするとしている。
 @にある「申告調査委員会」は陣容がすでに拙速に固まったようで、九名の有識者で構成するという。その有識者のうち、なんと八人が佐藤委員会もしくは近藤委員会の委員だ。この間、矢継ぎ早に原子力事業者自らが過去の事故隠しを公表しているのに、このような面子で拙速に立ち上げる必要があるのだろうか。
 Dの見直しとは、「小さな損傷を発表すると運転を停止しなければならないので国に報告しなかった」ので、今後は電気事業法や細則を改悪し、「安全な範囲の損傷だから運転を止めない」という発表が行われるということだろう。
 「おわりに」の中で、「保安院や原子力事業者に対して、改めて猛省を求める」とした中味と現実は、同日に発表された佐々木保安院院長の戒告をはじめとする訓告と厳重注意の計六名の処分と、東電に対する三十日の電気事業法違反などでの刑事告発と行政処分の見送りの決定というものだ。
 こちらも十月上旬で「パブリックコメント」を行い、十月中下旬にも再度委員会を開催し、「中間報告」の最終取りまとめを行うという。
 九月十九日、佐藤知事が会長を務める「福島県エネルギー政策検討会」が提言的な「中間とりまとめ」を行った。福島県のホームページによれば、「我が国最大の発電県としてその発電量は全国の約一割、東京電力株の約四分の一」を占める福島県にとって、「国策として一旦決めた方針は、国民や立地地域の住民の意向がどうあれ、国家的な見地から一切変えないとする一方で、自らの都合により、いとも簡単に計画を変更するといった、国や事業者のブルドーザーが突進するような進め方は、本県のような電源地域にとって、地域の存在を左右するほど大きな影響を与えかねない」という経過で発足した。「国策に従い、共存・共栄してきた」原発立地自治体としては異例の認識で検討会は設置されている。
 東電不正発覚により急きょ書き加えられた章では、「事業者が定期検査期間を短縮し、稼働率を上げようとしたことが一因であるとも言われている。今後、電力自由化の進展によっては、今回のような問題をさらに引きおこすことにならないか」、「現在、国において、事後保全、維持基準などの新たな考え方に基づく検査制度の導入が検討されているが、それらは今回のような問題の再発防止に本当に効果があるのか、原子力発電所の安全性・信頼性向上に結びつくのか疑問が残る」と、率直な疑問を投げかけている。
 「とりわけ、核燃料サイクルについては、一旦、立ち止まり、全量再処理と直接処分等他のオプションとの比較を行うなど適切な情報公開を進めながら、今後のあり方を国民に問うべきではないか」、「後に、国は、我々の意見に謙虚に耳を傾け、自らの責任と権限のもと、我々の示した疑問点等について国民に説明責任を果たしながら、これまでの流れにとらわれない、新しい原子力政策の具体像を国民の前に明らかにし、国民の理解・信頼さらには安全・安心に裏打ちされた原子力行政を進めるよう期待する」とまとめている。
 この「中間取りまとめ」に対するパブリックコメントを福島県は行うという。二十六日には佐藤知事が県議会でプルサーマル計画受け入れの事前了解について「前提条件は消滅した」と述べ、白紙撤回する方針を新潟県に続き正式に表明している。福島から大きな波風がたっている。
 九月二十日深夜、浜岡三号機が停止し、これですべての東海地震震源域の真上に建つ浜岡原発ですべてのタービンが停止した。炉内の核燃料余熱によるメルトダウンの危険性は数カ月残るものの、浜岡原発周辺に「安心して眠れる夜」が訪れた。同時期に東北電力女川一号機と東電の新たなウソも発表された。東京電力管内では、十月中旬までに原発十七機中八機の運転が止まることになり、およそ一七三〇KWのうち、八一三KWが停止、稼働率では五三%となる。これだけ原発が止まっても電力は安定供給され、停電は発生していない。
 プルサーマルをめぐっては、コストアップになり進めたくはないという本音をもつ電力各社と、国策としてどうしても進めたい経産省との確執が推測される。新潟や福島でのプルサーマルの白紙化、立地市町村やその周辺自治体で採決されているさまざまな`決議aなどによって、国や原子力事業者、あるいは木村守男青森県知事などに表現される交付金中毒症状の利権屋たちが包囲されている。まさに脱原発・反原発派にとって千載一遇のチャンスが訪れている。しかし、推進側の巻き返し開始はさほど時間がかかるわけではない。
 まず、近藤・佐藤両委員会のパブリックコメントが拙速にまとめられ、臨時国会での電気事業法改悪、そして細則や通達による手抜き検査とトラブル放置の合法化へ進もうとする、国会と霞ヶ関での攻防である。両委員会への傍聴の大半は原子力事業者が占めている。「維持基準」と「事後保全」の考えを先に明らかにした「検査の在り方に関する検討会」のパブリックコメントの大多数が原子力事業者や御用学者からのものであった。
 運動内部ではこうした政府の意見公募に応募すること自体を批判する考えがあることも承知している。だが、法改悪を阻止する一つの戦術として、経産省ホームページなどをこまめにチェックし、反対派が多数の意見を集中することが必要だろう。ボディブロウとして効いてくるはずだ。国会内では野党の超党派で構成する「原子力安全規制の確立を求める議員の会」(会長は小林守衆議院議員、民主党)が七月に発足しており、すでに決算委員会などでの論戦を開始しており、ここでの政策策定にも影響するだろう。
 ここで脱原発派が多数となるため、的確な戦術の組み立てが求められるだろう。「維持基準」とは、一方で手抜きの検査基準となるが、他方ではそのままでは運転が続けられない「停止基準」ともなる。アメリカ機械学会の基準を見習おうとしているが、アメリカの原発立地基準で日本の原発を評価すれば、地震の多さや人口の過密さで、そもそも建設ができない。御用学者と官僚の言う「科学的・合理的基準」に対する批判に終始せず、防災面や地域の合意の有無、発電原価や再処理費用、あるいは廃棄物処理問題など、さまざまな「停止基準」を、言いかえれば「廃炉基準」を突きつけるべきである。都心で新聞を広げ政策全般の批判を言うのはたやすいが、原発を一つずつでも止める困難さを理解しなければすべての原発を止めることはできないだろう。
 さらに、浜岡をはじめ、現在停止している原発を再稼動させない闘いである。電力事業者にとっても、夏の需要ピークを過ぎた時期に「発覚」したことは、「偶然」による幸運であったに違いない。いま、新聞各社は電力会社による広告収入の減少に悩んでいる。その傾向が朝日新聞などでは顕著に現れているし、週刊誌やワイドショーでの取り上げは皆無と言って良い状況だ。言論に対し兵糧攻めをするということは、膨大な広告宣伝費を留保すること。この資金が慎重姿勢の地方議員などに「手打ち」のために還流していないとも限らない。議会や議員への働きかけ、あるいは監視も重要だろう。また、刈羽の住民が行ったように、あるいは浜岡で東海地震と原発災害をつなげわかりやすく原発の危険性を訴えているように、「わかりやすくていねいな」活動の積み重ねも必要だ。
 九七年五月から一年以上かけて行われた福島第一原発三号炉のシュラウド交換には「約三〇〇〇人が携わり、うち約一〇〇〇人が炉内での作業を行っている。その総被曝線量は一一・五人シーベルト、〜中略〜同炉での過去五回の定期点検での総被曝線量の平均が四・二人シーベルトであることを比べると、いかに高い被曝量であるかがわかる」(七つ森書館『知ればなっとく脱原発』より)。
 福島と同型の沸騰水型炉は日本に三十基、このすべてでシュラウド交換をすると仮定すると、単純計算で総被曝線量はおよそ一二六人シーベルト。アメリカの反原発派の科学者・ゴフマン博士の数値「一〇〇〇〇人シーベルトの被曝で四〇〇〇人がガンや白血病で死亡する可能性」で評価すると四十数人もの命が奪われることになる。
 われわれは傷つきボロボロになった原発の運転も、修理による運転継続も拒否する。
 「原発で働く、あるいは働かされている労働者のみなさん。損傷の発覚により停止した原発での被曝作業や補修作業を拒否しようではありませんか。事故隠しの当事者が責任をとらぬまま、さらに現場に被曝作業を強要することを許しません」
 「都会で暮らす労働者、学生、すべてのみなさん。工場で、オフィスで、学園や自宅で、こまめにプラグを抜き、不要なスイッチを切りましょう。まだたくさんのコンセントが被曝労働とつながっています」
 いますぐ脱原発の実行を。わかりやすくていねいな表現のプラカードや横断幕を用意し、一〇・一〇日比谷野音へ結集しよう。 
  (9月30日、斉藤浩二)

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