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                         かけはし2002.10.28号より

米朝交渉早期再開を! 北朝鮮は「核兵器開発」をもてあそぶな

アメリカは「悪の枢軸」規定を撤回せよ

 米国務省は十月十六日、今月初旬の米朝協議の場で北朝鮮が高濃縮ウラン施設建設などの核兵器開発を認め、九四年の米朝核枠組み合意は無効であることを表明したことを明らかにした。
 この事態を受けてブッシュは当面の外交的手段による打開と韓国、日本、中国、ロシアとの連携による国際的圧力形成の方針を明確にした。一方北朝鮮は同協議の場でブッシュ米大統領による「悪の枢軸」規定によってクリントン政権時代に米朝間で確認した「双方が敵対的意見を持たない」とする共同コミュニケが実質的に破棄されたことを激しく批判し協議は決裂した。そして日本政府は北朝鮮の核開発計画が先のピョンヤン宣言に違反するとして国交交渉の場で問題化する方針を明らかにしている。
 この二年間の度重なる米朝協議を通じて、核開発疑惑とミサイル開発については「徹底的に論議」(00年11月訪朝時のオルブライト元米国務長官の声明)されることはあっても合意に至る局面は皆無だった。北朝鮮による「核兵器開発の自認」は米朝間のこの対立の構造をより明確にし、今年一月以降の「悪の枢軸」規定によるアメリカの攻撃的外交方針に対し転換を迫ろうとするものである。
 だが自国による核兵器開発の独占(包括的核実験禁止条約の未批准等)を当然のようにして外交的に振る舞うアメリカはもちろん、目には目を核には核をの対抗論理で振る舞うことが「民族自主」的であり「反帝」的であるかのような錯誤を演出し続ける北朝鮮もともに、アジアの平和と安定を願う人民の利益に根本的に背いていることを指摘しなければならない。
 とりわけ北朝鮮は、この間の韓国との南北交流の増進、中国、ロシアとの協同の模索、日朝国交交渉への着手など、アジアの国際舞台に進出しようとしている。すなわち、中東やアフガンで軍事力行使をほしいままにし、東アジア一帯に軍事力を展開するアメリカ帝国主義に対する各国人民の反戦・反米闘争を自ら呼びかける格好の立場にあるにもかかわらず、その道を放棄し、核には核をという最も危険で反人民的な手段に訴えるというポーズを取っているのである。またここには、ベトナム反戦闘争以来の国際的な人民の反帝闘争の後退という現実が反映されていることも主体的に自覚されなければならない。
 すでに米朝間では九〇年代を通して核開発疑惑をめぐり何度も「危機的」局面を迎え、日本ではそのつど根拠薄弱な北朝鮮の軍事的暴発論、朝鮮半島危機説によって反北朝鮮感情のみがあおられた。九四年の米朝枠組み合意以降もアメリカによって北朝鮮の核開発疑惑が指摘されてきたが、その様相は危機説があおられるにしては不可解なものとなった。
 九九年に米国が偵察衛星写真などを根拠にして北朝鮮国内山間部の核施設存在の疑惑を声高に主張した。しかし米国調査団が北朝鮮国内の当該疑惑現場に乗り込んで現認したのは、山間部をくりぬいて造成された巨大な空のトンネルだけだった。この茶番じみた事態の際に本紙では「米朝合作の疑惑事件ねつ造」の可能性を指摘したほどだ。
 その後の米ペリー報告(北朝鮮の現体制を承認するとした)、二〇〇〇年十月北朝鮮の国防第一副委員長趙明禄訪米、米朝共同コミュニケ、オルブライト訪朝へと当時の米朝関係が進展した局面を振り返れば、米朝間の交渉プロセスの中で対立や疑惑が鮮明化・極大化する事態はむしろその後に妥結の突破口が控えている可能性の方が大きい。
 北朝鮮の「核兵器開発」が明らかにされたこの局面でアメリカは外交的手段による事態の打開を明確にし、対イラク武力侵略方針とは対照的な方針の違いを際立たせている。二正面作戦を回避したと言うよりは、すでに経済的破綻に直面して国力が底をつき始めている北朝鮮の現状を見極めながらの外交攻勢に出ようとしているのである。
 またその後の報道では協議の場で北朝鮮は米国に対し、平和条約締結、対北朝鮮先制攻撃放棄、経済制裁解除を核兵器開発放棄の条件として米国側に提示したが、拒否された結果として交渉が決裂したことが明らかになっている。また、国連代表部を通した米朝間の対話チャンネルが確保されていることも米国側が認めている。使い古された朝鮮半島危機説に安易に便乗すると、大転換の可能性を秘めた米朝間の交渉局面を見誤ることになるだろう。
 北朝鮮にとっても、九四年米朝枠組み合意以降に切り開かれてきた〇〇年六月十五日南北首脳会談と南北交流増進、欧州連合(EU)各国との国交樹立と交流、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)事業の進展、中国・ ロシアとの交流拡大、日朝国交交渉の開始という歴史的局面を逆転させて無に帰してしまう意図は毛頭なく、米国による脅迫的な北朝鮮敵視政策(悪の枢軸規定)の撤回という米朝国交交渉での当然の要求を貫くために「核開発疑惑を演出」しているとみるべきだろう。
 去る六月の南北艦艇による砲撃戦は双方に多数の死傷者を出し軍事的緊張を高めたが、その後に到来したのは南北閣僚級会談の再開という南北交流の大きな前進局面だった。今日の北朝鮮にとって対米交渉とは「実利と打算」のための先軍政治なのであり、金正日による軍事と外交のもてあそび策もそろそろ尽きはじめようとしている。
 対米交渉という歴史的課題を前にして北朝鮮は国家の体面と自尊心に拘泥するあまり自縛の状態にあり、それを解きほぐすための価値観を共有できるのはやはり民族を同じくする韓国と韓国人民以外にない。米朝国交交渉の先には南北統一という朝鮮民族の悲願があるのであり、ポスト金正日、ポスト金大中を見すえつつ、米朝交渉の早期再開を求めよう。
 アメリカは北朝鮮に対する「悪の枢軸」規定を即時撤回せよ! 北朝鮮は「核兵器開発」をもてあそぶな! 米朝は朝鮮半島の双方軍事力削減のためにこそ交渉を行え! (荒沢 峻)

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