| 「改憲へ走る憲法調査会」 かけはし2002.10.21号より |
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憲法調査会市民監視センターのシンポジウムで活発な討論 |
十月五日、「改憲へ走る憲法調査会」と題するシンポジウムが開かれた。主催は「憲法調査会市民監視センター」。会場の文京区民センターには、約七十人の市民が集まった。
憲法調査会は「日本国憲法について広範かつ総合的に調査を行なう」との目的で、衆参両院に設けられた。これが「改憲への布石となる」との批判に対して、会長の中山太郎らは「改憲をめざすのではなくて論憲のための機関だ。議論すること自体に反対するのか」と反論してきた。設置から二年半が過ぎ、来る十一月三日には中間報告が出される。研究者、法律家、市民などで調査会を監視してきた同センターが、この中間報告を前に本シンポジウムを呼びかけた。
演壇には司会の内田雅敏さん、高田健さん(センター事務局)、新垣勉さん(日弁連)、山内敏弘さん(憲法学者)の四人が座り一人ずつ提起した。
最初は高田さん。タカ派と知られる石破が防衛長官に起用されたように、今回の小泉改造内閣は有事シフトである。国会ではまともな論議もせずに「改憲か護憲か」で進み、「論憲」ではない。鳩山民主党も公明党も改憲。この勢力分布で改憲が実体化している。
新垣さんは日弁連有事法制問題対策本部の副本部長。日弁連内部での議論を紹介した。日弁連は「有事法制反対」を圧倒的多数で採択した。「これは私たちが常に事実を重視し、それを憲法との関係で徹底的に検証するという手法に則って行われた。私たちは冷静に議論を練り上げ、まとめる技術を持っている」。
有事法制は@国家を個人に優先させるA武力依存、という二つの思想で支えられている。有事法は、外部からの攻撃を想定している。これには国内「テロ集団」も含まれる。しかし、例えば銃社会アメリカで最も多いのは、口論が発展して銃を持ち殺人を犯すケース。いきなりやってきた強盗に銃を向けるわけではない。国家優先の思想は、国家機密法へと道を開く。そして有事に向けた国民の訓練も行なわれるだろう。
山内さんは、「先日防衛庁のHPを見てがく然とした。こんなくだりがあった。自衛隊は相手国民はもとより、日本国民を殺すことも戦闘行為の一環として違法ではない、というのだ。さらにその武力行使で受けた損害も、賠償する必要はない。これは驚くべきことだ。自衛隊はいつからそんな特権的な存在になったのか。こんな法案は廃案にするしかない」。
質疑応答で多様な
意見と積極的討論
本シンポでは、会場の参加者との質疑応答や討論に多くの時間がとられた。
「Q―ガイドライン法案や周辺事態法で、すでに『改憲状況』になっているのではないか」「平和憲法が無傷だったとは言えないが、まだ最後の一線を踏み越えてはいない(山内)」「『法規範の変更』が境界ポイントだ。既成事実と法規範の問題を明確に区別して考えている。まだコーナーを回っていない(新垣)」。
「Q―有事をめぐる問題をマスコミはなかなか取り上げないが、左派的な憲法学者がいないからではないか」「調査会にはいろんな憲法学者がでているが、学者自らマスコミに取り上げられようとしないし、メディアの側も呼ばないという体質がある。学者を右か左かと色分けはできないが、私の学会(約四百四十人)では護憲を掲げている。これは全国の憲法学者の過半数だ。改憲派の学者は出席していないと思う(山内)」「憲法学者としてではなく作家として出ている場合もある。護憲派が調査会に出るべきかどうかの判断は、難しい。出れば改憲派に『両派で論議した』という口実を与えてしまうし、出なければそれも右派が攻撃する材料になってしまう(高田)」。
「Q―調査会は市民の意見をどう反映しているのか。今まで行なわれた地方公聴会では改憲反対が圧倒的な声だ。この民意を調査会はどう捉えているのか」「問題は運動のあり方だ。沖縄の公聴会はまさにセレモニーだった。公聴会で意見を言うだけではセレモニーで終わるのだ。それを取り囲む運動が必要だ(新垣)」。
「Q―調査会には傍聴者もかなりいるが圧倒的に護憲派が多い。生活者の声が反映されることが大切だ。なんとかしてこの調査会での論議を広めたい。山内先生は学会(の代表)として市民の集まりに出てきてほしい」「護憲派が公聴会に出ることは大切。しかし、学者がそこで発言する意味は何なのか。公聴会のみに依存したり期待したりすることは、私にはできない。私は外部から批判していきたい。内部に止まる人は、それはそれで役割を持っている(山内)」。
討論はさらに進んだ。公聴会がセレモニーに過ぎないのなら、それを踏まえた上での改憲を阻止する闘い方や、ドイツやフランスと日本の有事法の違いなどについて語られた。まとめとして、公聴会を包囲する運動の発展、「お互いに手を取り合う個人主義」を根づかせることが重要だと結論した。 (S)
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