| 女性国際戦犯法廷から10年国際シンポ かけはし2010.12.20号 |
「性暴力があってはならない」の
常識を確立しなければならない |
大きな期待
が寄せられた
十二月五日、「女性国際戦犯法廷から10年・国際シンポジウム 『法廷』は何を裁き、何が変わったか〜性暴力・民族差別・植民地主義」が、午前十時から午後六時まで、東京都府中市の東京外国語大学プロメテウス・ホールで開催された。実行委員会構成団体はアクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)、アジア女性資料センター、山西省・明らかにする会、「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW―NETジャパン)、台湾の元「慰安婦」裁判を支援する会、中国人「慰安婦」裁判を支援する会、ビデオ塾、フィリピン元「慰安婦」支援ネット三多摩(ロラネット)。このシンポには限定五百人の事前チケットが早々と完売となるほど、大きな期待が寄せられた。
シンポは第一部が「女性国際戦犯法廷とは何だったのか」。基調講演を行ったのは「法廷」の首席検事だったパトリシア・ピサー・セラーズさん。旧ユーゴ・ルワンダ国際刑事法廷のジェンダー犯罪法律顧問などを務めた方である。
第二部が「アジアの日本軍性暴力被害者の証言を聞く」。中国・桂林、フィリピン・ルソン島、パプア・ニューギニアの日本軍性暴力被害者サバイバーからの証言が行われた。
第三部が「法廷の判決・勧告/証言をどう引き継ぐか」。
私もかなり早くチケットを購入していたが、十年前に九段会館で行われた「女性国際戦犯法廷」の時と同様に、右翼の暴力的妨害からの「会場防衛」をホールの外で担当することになったため、シンポの内容をほとんど聞けてはいない。幸いなことに東京外大側の全面協力もあってか、右翼の側の妨害行動はなかった。
したがってここでは「警備交代」の合間を縫って聞くことができた第三部のパネルディスカッション「法廷の思想を解決につなぐ――性暴力・民族差別・植民地主義を克服するために」についてのみ報告する。
「支配と差別を
構造化する暴力」
パネルディスカッションでは最初に鄭暎恵(チョン・ヨンヘ)さんが「現在も続く性暴力連鎖を断つために」として発言。鄭さんは「十四人に一人が性暴力被害にあい、三人に一人の女性がDVにあう『性暴力大国』としての日本の現実」を変えることが必要だと強調した。
鄭さんは、日本軍性奴隷制犯罪の被害者に対する「公式陳謝」とは「誰が、誰に対し行った、いかなる行為が、どんな被害を与えたか」を明確にする必要があり、従って加害者・責任者処罰を含む立法措置、賠償を不可欠に伴うものであること、それは現行法の下では困難であるため特別法を立てる必要がある、と訴えた。
鄭さんは、「支配と差別を構造化する暴力」としての性暴力の本質をしっかりと再定義し、そのために「性暴力があってはならない」という「常識」を打ち立ててそれを立法化し、さらに加害者処罰と更生プログラム、被害経験者の回復支援、暴力・差別をなくす教育を組み合わせていくことが重要だと語った。鄭さんは「性暴力を看過する者に、平和・反差別を語る資格があるのか? 植民地支配・日米安保体制を問わない者に、性暴力根絶を語る資格があるのか? 植民地支配・帝国主義の支配を最も強化する手段が性暴力である」としめくくった。
被害女性の負
担と向き合う
宮城晴美さん(基地・軍隊を許さない行動する女たちの会)は、シンポと並行して沖縄を舞台に行われている日米合同軍事演習についてふれ、日本による植民地化、米軍の占領と安保体制の下で民族差別・女性差別に置かれてきた沖縄の現実を告発した。
米軍支配時代には米軍犯罪に関しての記録はなく、本土復帰後も「検挙」数しかない。沖縄県警の資料では復帰から二〇〇九年までの米軍兵士の検挙数は五千六百三十四件、うち強姦を含む凶悪犯罪は五百六十二件。「行動する女たちの会」の調査では未遂をふくむ強姦検挙数は百三十一件、百四十八人である。しかし事件の発生数はカウントされておらず、訴えない女性が圧倒的に多いため、その数字の背後でどれだけ多くの女性が傷ついているかははかりしれない。
さらに「地位協定」の下で起訴前の米軍人・軍属被疑者の身柄拘束ができないという大きな壁にぶつかっている。宮城さんはまた戦争中に多くの「慰安所」が沖縄に作られ、そこに多くの朝鮮人軍隊「慰安婦」が強制連行されてきたこと、この差別構造をなくしていくために女性国際戦犯法廷の成果に学び、国際的ネットワークを作っていくことが必要だ、と語った。
村上麻衣さん(旧日本軍性奴隷問題の解決を求める全国同時企画・京都実行委員会)は、「ポスト女性国際戦犯法廷」世代。二〇〇四年に韓国「ナヌムの家」を訪れた若者を中心に活動を始めた。この日は、夫とともに今年生まれた子ども連れで参加したという。
村上さんは、韓国、フィリピン、台湾から被害者を招いた「証言集会」を各地で開催し、持続的な活動を続けてきた。しかし「もう日本に行って話したくない」というサバイバーの発言でショックを受け、どうすれば被害者たちの負担をなくすかを真剣に考え、「楽しかった」と言ってもらう企画ができた経過を語った。
「私たちは被害女性と直接出会える最後の世代。『解決』を目指して歩んで行く中で、少しでも肯定的なものを生み出していくこと、被害女性の残された限りある人生にひとつでも『幸せ』を生み出すこと、そのような積み重ねが未来へつながっていくと信じている」。
判決を無視させ
るものは何か
尹美香(ユン・ミヒャン)さん(韓国挺身隊問題対策協議会常任代表)は、二〇〇〇年の「法廷」以後、百二人の被害女性が亡くなったことを冒頭に語った。そして被害者とともに進もうとする運動が、挺対協へのデマを含めて直面した厳しい状況について報告した。その中で「慰安婦」に代表される戦時性暴力の問題を国際的な文脈の中で捉え、米国、カナダ、オランダ、EUでの日本軍「慰安婦」問題の公正な解決を求める決議の採択など国際的な連帯が拡大している状況について語った。
池田恵理子さん(wam館長)は、「国家に消された記憶と記憶を取り戻す闘い」と題して報告。
池田さんは「なぜ『法廷』の判決が日本に受け入れられなかったのか、なぜ私たちの主張が伝わらないのか」と問題を投げかけ、「慰安婦」問題が日本社会にとっての脅威であるからだと鋭くえぐりだした。「性暴力犯罪の記録や記憶を確立する作業は、それ自体ラディカルな運動であり、思想を変える運動だ。謝罪と補償の立法という政治運動と意識を変える運動の双方を推進していくことが大事だ。自分たちの加害性について語ることは、自分たちを見つめ直すことであり、その作業は加害・被害の当事者が亡くなっても消えることはない」。
池田さんは、wamの運動が加害国も被害国も変革していくものになっていかなければならない、と訴えた。
報告に続く討論の中では、「非暴力教育」を日本の中に作り出し、サバイバーの証言の負担をなくし、一人ひとりが自分たちの言葉で伝えていくことの重要性などが提起された。
法廷の意義は
いっそう切実
「女性国際戦犯法廷」から十年、この間、世界各国議会での「謝罪・公正な解決」を求める決議採択、宝塚市を皮切りに広がっている自治体議会決議、さらにNHK「女性国際戦犯法廷」番組改ざんに対する法廷闘争などを通じて、運動は深みと広がりを増してきた。しかし日本政府はいまだ明確な謝罪と補償のための立法措置を行わず、その間にも多くの被害者が怒りと無念を抱いて亡くなっている。
そればかりではない。教科書からの「慰安婦」記述の削除、民族的差別・女性差別をあらわにした極右勢力のキャンペーンが勢いを増し、韓国・朝鮮人、中国人に暴力的に襲いかかっている。
「性暴力・民族差別・植民地主義」が国家・社会の軍事化と一体化しつつ、人々の意識の中に、それを正当化するかたちで浸透する状況に私たちは直面している。「法廷」の意義を私たち自身のものとして発展させていくことがいっそう切実な課題なのだ。(K)
国鉄闘争大阪集会
政府に責任をとらせた!
雇用にも道筋をつけよう
【大阪】大阪国労会館で十一月二十日、集会実行委員会主催による国鉄闘争報告集会が開かれた。
主催者を代表して、垣沼陽輔さん(おおさかユニオンネットワーク代表)があいさつし、「二十三年に及ぶ国鉄闘争が今回一定の解決をみた。ここまで闘いが続けられたことの成果だが、政権交代によることが大きい。また、国交省の中でこの問題の担当であった辻元清美副大臣の尽力もあった。しかし、雇用問題がまだ解決をみていないから、闘いは続いている」と述べ、雇用問題の解決に向けさらなる支援を訴えた。
来賓として田上豊彦さん(辻元清美衆議院議員秘書)があいさつをした。国労出身の田上さんは、JR新会社の発足を前にして行われた一九八六年の進路希望調査の時が一番つらかったとのべ、自身は一九八七年二月十六日に採用通知をもらったが、採用されなかった多くの仲間のことを語った。そして、「中曽根元首相が国鉄民営化の目的は国労(そして総評・社会党)をつぶすことだったといったが、国労は残った。このことは非常に大きい」と述べた。
藤原さん(国労大阪地区本部執行委員)がJR職場の実態を報告。藤原さんは民営化前は運転手の職場だったが、民営化後は事業部に配置換えになり、うどん屋、喫茶店、ホームの釜飯、観葉植物販売、駐車場の整理などを十年やらされ、ようやく本来の職場に戻されたが駅職場だった。それから数年後ようやく現職に復帰できたことを述べ、「闘わない限り何事も解決しないことを痛感した」と語った。
復帰しJRの
中での闘いを
続いて、国鉄闘争の成果と課題について、佐久間誠さん(原告団中央協議会事務局長)が報告した。
「中曽根元首相が国鉄民営化の目的は国労つぶしだったと初めて語ったのは一九九六年十二月発行の『アエラ』紙上だった。民営化によって二十二万四千人の国労は四万四千人になり、現在は一万人ほどの組織になった。一九八六年から八七年の間に九万千人もの国労組合員が組合を脱退した。民営化の過程で二百人の労働者が自殺をし、新会社に雇用されなかった千四十七人のうち六十六人が解決を見ずに死亡した」。
「今現在六千三百万人の労働者のうち四人に一人が非正規労働者という状況だが、国鉄闘争の成果はと問われたら、あまり大きなことは言えない。現在の労働者を取り巻く状況に対して、一矢報いた程度の闘いだった。今回の解決は、二十三年間の間のワンチャンスだった。六月二十八日の和解交渉で、和解文書に雇用問題が一行もなければ和解を蹴って帰ってくることになっていた。事実一行もなかったが、『雇用問題については政府として努力する』をなんとか押し込んだ。解決金の額は、当初の額より何度かけずられ二千二百万円になった」。
「雇用問題は四党が国交大臣に要請を上げ、国交大臣がJR各社を呼び採用について要請をする。JR各社は一カ月ほどの検討期間を置く。国労としては二〇一一年四月一日、遅くとも六月一日までに採用することを希望している。しかし、予断は許されない。JR幹部の中には、雇用問題についてはJRに責任がない、今回採用すれば、新規就職希望者との間で公平さを欠くという者もいる。しかし、JR九州とJR北海道は株式上場していないから、会社は政府の下にある。雇用問題が解決しなかった場合のために、来年六月株主総会での代表訴訟、五十七億円賠償金の闘いを組む準備をしている。でも、そうならないようにしたい。私は五十五歳を超えているのでJR復帰はかなわないが、若い人には是非復帰しJRの中で闘ってほしい」。
今後の闘いについて、野坂昭生さん(1047名の不当解雇撤回、国鉄闘争に勝利する共闘会議常任幹事)が発言し、「二百九十七人が四党合意に反対し立ち上がり、鉄建公団訴訟が提起されたとき、国労はカンパを停止し、統制処分した。そのような困難を乗り越え闘ってきた。現在国労の現場を見ると、勝った勝った、闘いは終わったという雰囲気が漂っている。こういうことはJR側も見ている。採用問題をクリアーしなければ勝利ではない」と警鐘を鳴らした。
今は成人した
息子からカツ
最後に、牛島時彦さん(国労熊本闘争団団長)がお礼を述べ、熊本闘争団では十三人が復帰を勝ち取ることで意思統一していることを述べた。また野田ユミさん(国労熊本闘争団家族会)は、「夫が不採用になったときは夫を恨んだが、オルグに来た人の話を聞いて闘う方向が間違っていたと気づいた。当時一歳八カ月だった息子が、今年の四月によかったね、後は雇用だねと言ってくれ、カツを入れられた」と語った。
今回の報告会は大阪で行われた、国労大阪地区本部・新幹線地区本部・近畿地区本部の報告会についで最後の四番目のもので、闘争団の報告会であった。ここまでが一部で、この後二部のレセプションに続いた。 (T・T)
市民による「事業仕分け」集会
思いやり予算・自衛隊「南西諸島」配備・MDを斬る!
元気な日本特別
枠で「A評価」
十二月九日、東京・飯田橋の富士見区民館で「市民による『事業仕分け』 二〇一一年度防衛予算を斬る!」と題した企画が行われた。今回で二回目となるこの企画は、二〇一一年度予算政府案が決定する以前に、市民の側から防衛予算の検証を行い、軍事化の動きに歯止めをかける世論を喚起するためのもの。反安保実行委員会、核とミサイル防衛にNO!キャンペーン、ピープルズ・プラン研究所の三者による実行委員会が主催した。
第一報告は池田五律さん(戦争に協力しない!させない!練馬アクション)による「思いやり予算」(在日米軍駐留経費負担)の検証。
今年度の「思いやり予算」は千八百八十一億円、うち「冷房付けっぱなし」などのムダが指摘されていた米軍住宅などの光熱費負担は二百四十九億円に達する。来年度の要望額は十一月十三日の日米合意を経て千八百五十九億円と、ほぼ同額になった。「元気な日本復活特別枠」を決める評価会議では、「A評価」となりほぼ全額が認められることになるだろう。周辺情勢の緊張と日米安保の重要性、そして米軍駐留の必要性がその理由だ。
民主党政権は昨年の「事業仕分け」ではかなりの議論をしたが、「仕分け」の対象となった項目は「駐留軍労働者の給与水準」だった。池田さんは、「思いやり予算」の論議は何よりも六千億円以上に上る米軍駐留経費全体の問題と合わせて「基地のない平和な経済社会をどのように構築するか」という観点からなされなければならないことを訴えた。
国境軍備増強は
対抗措置引き出す
第二報告は木元茂夫さん(すべての基地にNO!をファイト神奈川)。木元さんは、自衛隊の与那国島配備・南西諸島を重視した防衛戦略について、「国境の軍備増強は必ずや相手国の対抗措置を引き出す」という観点から批判。「尖閣」問題に関しては、「排他的経済水域」を拡大しようとする中国政府の姿勢を批判しつつも、歴史的事実として「一九七八年の日中平和条約の締結交渉において尖閣諸島問題を棚上げすることで『合意』し、台湾からの抗議船を海上保安庁は強硬に排除してきたが、それに対して中国政府からの強い抗議はこれまでなかった」ことを指摘。自民党内閣時代にも逮捕しても強制送還で決着をつけていたにもかかわらず、今回の菅政権の逮捕・勾留がこれまでの日本政府の姿勢を、根本的に変更するものだと中国政府に受け取られている、と語った。
木元さんは、さらに「離島を中国が占領するなどということは考えられない。尖閣諸島は無人島であるので、本来話し合いによって解決しやすい問題のはずだ」と述べ、「日本が何をやってきたかの検証ぬきに中国だけが一方的に軍拡を進めている、と問題を立てることは誤りだ」と語り、NHKのドキュメント番組でも「自衛隊の配備がかえって緊張をもたらすのではないか」という危惧が紹介されていることを付言した。
市民から寄せ
られた反対意見
最後に杉原浩司さんが(核とミサイル防衛にNO!キャンペーン)が、ミサイル防衛予算をはじめとする来年度の防衛予算請求と業務計画について批判した。
「ミサイル防衛経費は千百六十億円。BMD用能力向上型ミサイルの日米共同開発の継続、PAC3の追加配備=沖縄の第五高射群のうち一個高射隊を新たにPAC3化、PAC3ミサイルの展開用機材(機動展開車両、通信機材等)の取得、パトリオットシステムの改修・定期修理などだ。今回の市場最大と言われる日米(韓)共同統合演習の最大の柱がミサイル防衛訓練だ」。
同時に杉原さんは、「政策コンテスト」は茶番に過ぎないが、パブリックコメント(意見募集)を見れば、思いやり予算の是非については反対論が多数を占め、ミサイル防衛についても反対派が健闘した、と評価し、市民の側からの監視と発信を強める必要性について訴えた。また最大の紛争当事国である米国への武器技術供与と共同開発という「三原則」の大穴をふさぐこと、「無人機の眼」画像ジャイロの日米共同技術研究も「三原則違反」であるとして「仕分け」するよう主張した。 (K)
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