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戦争・貧困・人権破壊を生み出すAPEC横浜会議にNO! |
「いらない!APEC」横浜民衆フォーラム
全体会・分科会討論とデモで新自由主義に反撃する意思示す |
元気いっぱいに
五〇〇人のデモ
十一月十三日午前九時半から、百三十人の参加で横浜情報文化センターで「いらない!APEC」横浜民衆フォーラム全体会が開かれ、海外ゲストの三人からAPECの問題点を明らかにする提起を受けた。その後午後二時から、JR桜木町駅前広場で「APECはいらない」のアピールを行った。二万一千人の警察の厳戒態勢の下で、通行人を威嚇するように、周りは至る所に警察官がひしめいていた。それに負けじと、五百人の仲間たちがおのおの組合旗や横断幕やプラカードを出し、非常に目立つように宣伝、アピール行動を行った。
海外ゲスト三人の他に、神奈川シティユニオン、すべての基地にノー、偽装倒産と闘う韓国シチズン・JT精密支部、そして、別に実行委員会をつくってAPECと闘う仲間たち―フィリピン、台湾、インドネシア、韓国、アイヌ民族などの参加のもと代表が闘う決意を述べた。
二時半から五百人で伊勢佐木モールなど繁華街を通り、会場であるパシフィコ横浜に四百メートルまで迫るデモ行進を、鳴り物やプラカード、高い足下駄をつけ、衣装をこらしたパフォーマンスなど二時間にわたって行い抗議した。デモの途中で、外務大臣が会場の周辺では特別に静穏保持法を適用させ、拡声器の使用を禁止するという弾圧に出た。実行委はこうした悪辣な言論弾圧に対して、毅然と拡声器に負けないほどの大きな声を出し、パシフィコ会場に向けてシュプレヒコールを繰り返した。
今までの経済
システムは失敗
午前の全体会の最初に小倉利丸さん(富山大教授)がAPECの問題点を次のように指摘した。
「昨日から今日、海外ゲストが長時間にわたって入管で足止めをくい、深夜になり、すでに交通手段がなくなってからようやく許可を下ろすという事態が起きていることに抗議する」と政府の対応を批判した。
そして、APECにさきがけソウルで行われたG20で、経済が大きな問題になっているが、TPPへの参加など新自由主義政策に沿うのが日本の進むべき唯一の道のように言われている、これは本当なのかと問い、「経済とは何か。経済は社会的責任を負うものであり、人々の衣食住を満たすことができなければならない。その意味で今までの経済システムは失敗してきた」と指摘した。
また、経済成長は良いことなのか、と設問し「成長の限界を定めないのは異常だ。人類史では変化のない社会があったし、犠牲をもたらす変化はシステムに問題がある」と提起した。
「APECは一九八九年の冷戦後の構造づくりで、テロ対策、軍事、経済、人間の安全保障まで扱われるようになった。これまでの日米の主導権がゆらぎ、アメリカと中国の対立が露わになってきた。どこの国が覇権を取ろうと民衆側にとっては良いことはない。国を超えた枠組みをつくる必要がある」と指摘した。
世界女性行進が
めざすものとは
次に、海外ゲストのジーン・エンリケさん(フィリピン、世界女性行進、CATW―AP)が報告した。
「G20に対する民衆行動に参加するため韓国に向かったが入国を拒否された九人の内の一人だ。私の連れ合いも進歩的労働組合活動家だが、連行され犯罪人のように入国を拒否され退去させられた。こうしたやり方を絶対に許せない」と韓国政府を批判した。
「APECは国内農業を破綻させた。人間の安全保障・テロリストに対する闘争というが、実際は社会運動家への弾圧だ。米軍兵士がやってきて、搾取、環境破壊を行っている。自由貿易・新自由主義は男女を区別しなく、女性差別を取り上げない。女性を不安定な仕事に従事させ、国を離れて仕事にいくことを余儀なくさせている。社会保障の予算を削り、その代わりを女性にさせている。女性に対する搾取は人身売買を伴っている。観光への投資は性的搾取を伴っている。軍隊の兵士たちは性的関係を必要としている。不安定な雇用、賃金が下がっている。こうしたことは経済が持続可能でないことを現している」と指摘した。
世界女性行進は、こうした新自由主義に反対し、草の根のネットワークを作っている、とした上で、次のような政策的なスローガンを明らかにした。
「基本的な生産・企業の国有化を。国内市場のために再編せよ。多国間の自由貿易協定反対。連帯を基礎とした人々の利益になる経済システムを。完全雇用の実現を。移住労働者へ社会的権利を。再生産のための労働に正当な価値を認めよ。土地を持たない農民のために土地改革を。市場のためではなく、食糧主権のための農業を。遺伝子組み換え農業反対。バイオ燃料のための農地の転用を禁止せよ。環境の保護を。カネ持ちの消費を減らせ。気候変動のためという原子力発電反対、海洋の自然改造の禁止」。
ソウルG20に
反対する闘争
続いて、カン・スンチョルさん(韓国民主労総・事務局長)がソウルであったG20に対する闘いの報告をした。
「G20は雇用なき成長で、莫大な資金を投入し、民衆に対して負担を強要している。われわれは人が優先だ、犠牲を転嫁するなと八十一団体が対抗民衆会議をつくって闘いを組んだ。十一月七日、チョン・テイル精神継承全国労働者大会に四万人が集まり、イ政権と闘っていくことを宣言した。十一月九日、G20に反対する労働者宣言を採択した。十一月十日、各国労組、民衆などによりロウソク文化祭。十一月十一日、G20開催場近くで五千人が集会・デモをして規制線を突破して闘った」。
「APECはG20と変わらない。新自由主義グローバリゼーションに対して、人が人らしく暮らせる、平等な社会をつくっていこう。夢を現実にする力がわれわれにはある。もうひとつの世界をつくるためにがんばろう」。
中国労働者の
新しいたたかい
區龍宇さん(香港、グローバリゼーションモニター編集委員)が中国の労働運動について報告した。
「中国は二〇〇八年に膨大な予算を投入して、九%の成長を維持した。しかし、成長は労働者の犠牲の上に成り立っている。農村出身者は仕事を追われ、農村に戻ることを強制された。二〇〇九年も経済対策がとられたが、労働者の生活が良くなっていないから、消費は増えていない。中国のカネは香港に流れ、不動産投機に使われている。中産階級でも二世代にわたってローンを支払うようになっている」。
「労働者たちは闘いに立ち上がっている。今年五月に中国ホンダで、二千人が十七日間にわたってストを行った。この結果三四%の賃上げを勝ちとった。この闘いは重要だ。ストの影響で四つの工場が操業できなかった。全国に拡大し、広東省だけでも百カ所以上でストが行われた。ホンダでは中華総工会(政府系御用組合)が二百人の行動隊を作りスト破りをやった。その後、公式の労組の指導部が暴力を振るったことを謝罪した。こうしたことは初めてのことだ。地方レベルでも公式の労組で、自分たちの支部の代表を選挙で選ぶことができた。ストの波は二カ月間続いた」。
「教訓は何か。新しいページが開かれた。発展はゆっくり確実に始まっている。アジアにおいて新自由主義に反対する運動が弱い。それは中国が底辺に向けた競争をさせているからだ。一九八九年天安門弾圧が深い傷を与えていたが、敗北を超えて新しい世代が登場してきた」。
この後、翌日の分科会と午後からのデモの説明が行われ、弾圧をはねのけ横浜民衆フォーラムを成功させることを確認した。 (M)
横浜民衆フォーラム分科会から(上)
課題を共有し連携強めよう
「食と農は売り物じゃない!」
TPP・貿易自由化を考える
破壊されるアジアの農業と農民
十一月十四日、かながわ県民センターで、「いらない!APEC」横浜民衆フォーラム「食と農は売り物じゃない!TPP・貿易自由化を考える」分科会が開かれた。
次の六人の講師が問題提起をした。カン・スンチョルさん(韓国民主労総事務局長)「韓国におけるFTAをめぐる動きと反対運動」、山浦康明さん(日本消費者連盟)「成長戦略とFTA、TPPを批判する」、青西靖夫さん(開発と権利のための行動センター)「農業投資が農地収奪を招く」、パキスタンのブシュラ・カリクさん(女性労働者ヘルプライン)、大野和興さん(農業ジャーナリスト)「自由貿易は日本とアジアの農民・農業に何をもたらしているのか」、天笠啓祐さん(市民バイオテクノロジー情報室)「生物多様性を破壊するグローバリゼーション」。
韓米FTAと
農民の反対運動
民主労組のカン・スンチョルさんは韓米FTAについて、次のように報告した。
「韓米FTA協定は韓国国会で来年はじめに批准されようとしている。韓米FTAでは関税がなくなり、十億ウォンを超える影響が出て、農業がなくなってしまう。農業だけでなくさまざまな分野に影響が及ぶ。他の国とのFTAでより開放的な協定が結ばれれば自動的に韓米FTAにも反映される。さらに、投資企業に不利益が生ずれば韓国政府を相手どって提訴できる、というようなひどい内容だ」。
「この協定批准に対して、韓国では農民団体、全野党や市民団体が大規模な反対運動を繰り広げている。十二月に農民大会があるので、ぜひ参加してともに新自由主義的投資協定に反対していこう」。
日消連の山浦さんはAPECの歴史を概括し、今回のAPEC首脳宣言「横浜ビジョン」を批判した。その上で、二国間のFTAを批判し、今回浮上したTPPの問題点を明らかにした。
山浦さんは「FTA/EPAは強い産業、輸出型産業だけが生き残り、国内の中小企業の淘汰を招いた。さらに農業への悪影響もあった。TPPは例外措置を認めない関税撤廃をめざすことにその特徴がある。政府の試算によれば、日本の食料自給率は現在の四〇%から一四%に大幅に落ち込み、経済的損失は四兆一千億円になる」と指摘し、「BSE安全基準、遺伝子組み換え、クローン禁止、ポストハーベストなどの安全基準がアメリカ基準に引き下げられ、危険な作物や農薬が使われた物が輸入されることになる」と批判した。
青西さんは、行き場を失った投機的資金が土地に流れ込み、世界各地で大規模な農地収奪が広がっているアフリカやマレーシア、カンボジアの例を示しながら分かりやすく説明した。そして、先住民族の土地の収奪となり、先住民たちの土地や文化を奪うと批判した。また、こうしたことは日本国内でも起こりつつあると警告した。
パキスタンと
メコンデルタ
パキスタンのブシュラ・カリクさんは土地収奪の例を紹介した。「サウジアラビアの企業が国有地をリースしている。政府は補助金をつけている。そこで働く農業労働者には労働法の適用もない。また、パンジャブ地方では軍が共有で使っていた土地を勝手に企業に貸し出している。これに対して農民たちが十年前から闘争しているが、十一人が殺され、数百人が逮捕されている。激しい弾圧にもかかわらず、闘争を続けている」。
大野さんはここ数年にわたり、メコンデルタを下り農民と交流しながら、農業の変化について調査している。今回はカンボジアを訪れた。「カンボジアでは土地の登記をやっていないので、政府が一方的に外国資本に貸し出してしまう。中国、ベトナム、タイ資本が入ってきている。リース契約は何と九十九年だ。こうした企業は食べ物ではなく、ゴム、パーム油、キャッサバなど輸出産物を作っている。農民は土地を奪われ、出稼ぎ農民となり農園で働いている。バッタンバンでは、日本人が経営するコメのプランテーションを見た。中東に輸出するためだという。十万ドル投資しても二年で回収できる、もうかってしようがないと言った」。
そして、「日本では米価が今年は三割も暴落して、個別所得補償があってもやってゆけなくなり、どんどん農業をやめていっている。農地の売買では値段がつかない程安くなっている。多国籍的土地所有に対して、水と田んぼは公のものだ。市民的土地所有へ。価格補償制度の導入を」と呼びかけた。
天笠さんは、食料危機の構造、モンサント社による種子支配・食料支配、GM作物はいかに生物多様性と食の安全を奪ってきたかを、具体例を示しながら明らかにした。そして、名古屋で開かれたCOP10の問題点を、@遺伝子的作物の被害について、先進国に言い分が認められ、過去に戻って認められなかったA生物多様性保護の国際的数値目標が決められたが、低いものになってしまった、と指摘した。
会議のまとめとして、@日本およびアジアの農業・食料を破壊するTPPへの参加をやめろA農民から水と土地をはぎとる農業破壊を阻止し、農民の未来の権利をとり戻そうB遺伝子組み換えなど生物多様性をおびやかすグローバリズムに反対しよう、を確認した。
(M)
私たちにとって「安全保障」とは
沖縄の闘いは「民衆の安全」を作る闘いだ
人間の安全保障
と「対テロ」戦争
「いらない!APEC」横浜民衆フォーラムの分科会「私たちにとって『安全保障』とは何か?」は、十一月十四日午前九時半からかながわ県民センターホールで開催された。分科会の担当はピープルズプラン研究所と反安保実行委員会。 APECの基本テーマとして「人間の安全保障」が前面に押し出され、とりわけ二〇〇一年の「9・11」以後、それが「テロの脅威」から「自由貿易・自由な投資」を守る、というところに特化している現実を批判する角度から、分科会が設定された。二万一千人もの警察官を全国から動員し横浜・首都圏を厳戒態勢において人権・民主主義を侵害する「テロ警備」のあり方に、資本にとっての「自由」のために民衆の「自由」を踏みにじるAPECの本質が浮き彫りにされている。
報告は武者小路公秀さん(大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター所長)と沖縄からこの日のために駆けつけた高里鈴代さん(基地・軍隊を許さない行動する女たちの会・共同代表)。
司会の天野恵一さん(反安保実)が「国家を主体とした安全保障」から、沖縄の闘いに触発されて「民衆の安全保障」という視点で論議を進めてきた運動の経過を紹介して、分科会がスタートした。
武者小路さんは、「民衆の安全保障」という概念が、一九八〇年代のラテンアメリカにおける軍事独裁体制との闘いの中から生み出されてきたことを紹介し、その論議をも取り込む形で一九九〇年代に国連やOECDからも「人間の安全保障」という考え方が生まれてきた、と語った。しかしその中から新自由主義的グローバル化の深化とともに「資本の安全保障」へと進む流れが全面化し、いまや「人間の安全保障」は「民衆の安全保障」と「資本の安全保障」の二つの対立する概念に分岐している。
武者小路さんは、二〇〇八年の洞爺湖サミットに対抗する市民の運動では「G8サミットそのものを否定する流れ」と「サミットに出席する大国の代表にその政策をただすことを求める流れ」があった、と捉え、その双方がともに必要であると指摘した。
さらに武者小路さんは、APECが掲げる「人間の安全保障」における「危機管理・危機からの回復」の概念が「何が危機を引き起こすのか」を見ることなく「悪者を作り出して悪者をやっつける」ことになっている、と批判。それは「不安定の根本要因を考えずに、軍と警察こそが貧しい人たちの安全を守るという考え方」に傾斜しており、その背景には「経済の軍事化」「軍事の経済化」のつながりがあると指摘した。
APECと日米
安保は不可分だ
高里鈴代さんは冒頭に、「すでに沖縄県知事選が本番に突入している中で、こういう所に来ている場合ではないとも思ったが、ここで話すこと自体が伊波候補当選の闘いの一部であると考えた」と語った。
高里さんは大阪でAPECが開かれた一九九五年十一月に、本来は当時のクリントン大統領が来日し、村山首相との会談で「日米安保共同宣言」を発表する予定だったが、おりから沖縄で米軍兵士による少女レイプ事件への「島ぐるみ」の闘いが発展していたためにクリントンの訪日が取りやめになった経過を指摘し、「APECは当時も今も日米安保と深く関係している」と強調した。
さらに高里さんは、二〇〇〇年の沖縄サミットにあたり「女性国際サミット」が開催されたこと、またNGO側が「人間の安全保障」の観点から「軍事費を五%削減し、浮いた分を福祉に回す」よう訴えたことにも言及した。しかしサミット参加諸国はそうした要請を受け入れず、「対テロ」を前面化して「人間の安全保障」概念を変質させてしまったのである。高里さんは、米国の在沖縄総領事館の代表は「米軍の存在がアジアの経済発展に空気を送り込んでいる」と言いきっていることを紹介した。
また一九九七年十二月二十一日から二十三日に開催された「人間の安全保障」国際会議の閉幕が名護の市民投票と重なり、新基地受け入れを拒否した市民の選択が「この会議の趣旨を体現したもの」とまとめられたことも思い起こしながら、「二〇一〇年の今、APEC首脳会議に対する民衆の回答が沖縄県知事選での伊波洋一さんの勝利となるよう全力を上げよう」と熱く訴えた。
討論の中で武者小路さんはラテンアメリカ諸国が提起した「ピープルの平和に関する権利」の宣言に日本政府が反対していることを批判するとともに、「市民的防衛」の核心が「市民の非暴力抵抗」にあることを提起し、沖縄の闘いがまさに「市民的防衛」を体現するものである、と語った。
高里さんは、国連人権理事会で沖縄の人びとを「先住民族」と確認し、十月に名古屋で行われたCOP10に際して市民の側が行った「先住民族会議」で沖縄からも発言したことを紹介した。高里さんは、沖縄でも「平和主義的独立論」が提起されていることについて触れながら、ヤマトの側から「沖縄は独立したらどうですか」という声がかかることについては「全く傍観者的考え方ではないか」と批判した。
時間の制約でより突っ込んだ討論はできなかったが、「危機管理・対『テロ』安全保障」に対して、沖縄の闘いこそが民衆にとっての「安全」を指し示すものであることを強く印象づける論議となった。 (K)
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