| 新防衛大綱に向けた民主党の暴走を止めろ! かけはし2010.11.29号 |
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武器輸出の解禁から派兵恒久法、自衛隊の南西諸島実戦配備まで |
「憲法制約」の
意識的突破路線
民主党・菅政権の安保・防衛政策は、自公政権以上に憲法上の制約を踏み越えてグローバルな「日米同盟」、恒常的な海外派兵の方向にシフトしている。年末に策定される「新防衛大綱」にむけた民主党外交安保調査会(会長・中川正春衆院議員、事務局長・長島昭久衆院議員)の「提言」は、米国務省や国防総省の意図をそのまま体現したようなタカ派色まるだしのしろものだ。
本紙は、八月二十七日に提出された菅首相の私的諮問機関「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」(新安保懇・佐藤茂雄座長)の報告書について批判した(本紙9月13日号、20日号)。民主党外交安保調査会の「提言」は、この「新安保懇」報告の内容を引き継ぐとともに、さらにそれを国家・社会の軍事化にむけて推し進めるものとなっている。明文改憲なき解釈改憲が極限にまで拡大され、それを既成事実にして明文改憲へと踏み込む路線が、はっきりと姿を現しているのである。
「提言」の第一は「武器輸出三原則」を見直し、一九七〇年代の三木政権以来の「武器輸出の原則禁止」政策(これも実際にはミサイル防衛をはじめ米国との関係で例外を設け、骨抜きになっているのだが)を転換し、「輸出禁止対象国」を絞ることで、欧米諸国・オーストラリア・韓国などとの武器の共同開発・生産を可能にし、共同開発の相手国から第三国への技術移転も認める内容である。
「新安保懇」報告は、「日本だけが武器輸出を禁止することが世界平和に貢献するという考えは一面的であり、適切な防衛装備の協力や援助の効果を認識すべきである」「装備品の有効な供与によって相手国との紛争は比較的発生しにくくなり、むしろ友好関係が増進される」などと「平和のための武器輸出」の詭弁をもてあそんでいた。ここには経済危機の中で軍事産業の役割を高めようとする財界の意向が強く反映されていることは言うまでもない。民主党外交安保調査会の提言は、「武器輸出大国」の道にゴーサインを出したのである。
「提言」の第二は、国連平和維持活動(PKO)の参加五原則を見直し、停戦合意がない場合でも国連安保理の要請があれば、自衛隊派兵が可能になると明記していることである。これも「新安保懇」報告が「国際平和協力業務」への自衛隊参加について「原則として国連安保理決議のマンデート(委任・保証)があることが望ましいが、常にそれを前提条件とする必要はない。必要に応じて、地域的枠組みや特定国との協力で効果的かつ適切に取り組めるものがあれば、そうした活動にも参加すべきである」としていることに対応している。これは特措法方式ではない「海外派兵恒久法」制定を意味しており、文字通り米軍に従属的に一体化したグローバル派兵国家への道に他ならない。
対中国にシフト
する日米安保
民主党外交安保調査会「提言」の第三は、中国の「軍事的脅威」を強調し、九州・沖縄の陸上自衛隊や潜水艦勢力を増強せよ、というものである。具体的には沖縄本島以外の宮古・石垣・与那国など先島諸島をふくむ南西諸島に陸自部隊を「国境警備」の第一線部隊として配置し、潜水艦戦力の増強などによる海空自衛隊の「抑止力」や警戒監視能力を高め、北海道の陸自部隊を機動展開する高速輸送艦を増強し、日米共同訓練の拡充や九州・沖縄の米軍基地の自衛隊との共同使用を拡充する、としている。防衛省ではすでに現在二千人の沖縄への陸自配備を、南西諸島全体で二万人へと十倍化する構想も検討している、
「尖閣諸島」での中国漁船と海保巡視船との「衝突」事件は、中国を「仮想敵」とする沖縄への自衛隊の実戦展開の具体化のために意識的に利用されており、中国の「尖閣侵攻」というシナリオに基づく日米共同軍事演習、宮古島への米艦寄港も強行されている。
「提言」は特定地域に大部隊を配置する「静的抑止力」と決別し、「中国の動きをにらみ、自衛隊のパトロールや統合実動演習などによる牽制、危機の際の即応・機動力に重点を置く『動的抑止力』の充実を求めている」(朝日新聞、11月18日夕刊)と報じられている。「日米同盟の深化」という名の下に、辺野古新基地建設と自衛隊との共同使用、沖縄での自衛隊配備の飛躍的強化と日米共同実戦態勢の構築をねらうこの流れに反対することは、沖縄の反基地闘争とともに歩もうとする「ヤマト」の労働者・市民の課題でもある。
「提言」は第四に、首相官邸の情報収集能力の向上のため、日本版の米国安全保障会議(NSC)というべき「国家安全保障室」の創設を明記し、官邸に情報・安保担当の官房副長官か首相補佐官を中心とする二十人規模の専属スタッフを置くべき、としている。こうして軍事情報・指令機能を官邸に置くことによって、平時からの「有事対応・戦争指導」体制を確立することが目論まれているのだ。
「天皇の軍隊」
を再建する?
さらに注目すべきは、「提言」が、憲法の下での「専守防衛」「戦力ではない自衛力」という建前に対応した「普通科」という用語を「歩兵」に変更するなど、「憲法の制約」を最後的に取り払おうとしていることである。さらに「提言」が用語の変更として例示しているのは、「一佐、二佐」という階級呼称を「大佐、中佐」に、「陸将、海将」などを「大将、中将、少将」など旧帝国軍隊の呼称に戻す、ということだ。
それだけではない。陸海空各自衛隊トップの幕僚長や統合幕僚長を天皇の認証官ポストにすることも提言されている。自衛隊からの強い要望によるとされているこの中身は、まさに自衛隊の「皇軍」化そのものである。民主党タカ派による「シビリアン・コントロール」の内実はこのようなものであり、「シビリアン」の「田母神化」といっても過言ではない。「憲法九条の制約」にとらわれない「能動的平和創造国家」の主張は、こうしたところに行きついてしまうのだ。
さすがに民主党外交安保調査会「提言」のウルトラ軍国主義的暴走に対しては、少なからぬ民主党議員が危機感を表明し、「提言」路線に対する批判を行っている。「尖閣」問題を口実にした極右排外主義の風潮に対決し、新防衛計画大綱阻止の声を広めよう。この闘いは沖縄の基地撤去、安保破棄の訴えを「東アジアの平和」の国際的展望の中で発していくことと一体のものなのである。(11月21日、純)
憲法集会実が院内集会
参院憲法調査会の「規程」策定 許すな!新防衛大綱に抗議を
十一月十六日、衆院第一議員会館で「参議員憲法調査会『規程』の策定反対」院内集会が、5・3憲法集会実行委員会の主催で開催された。「普天間基地撤去!辺野古新基地建設反対!」「国会の比例定数削減反対!」「9条の解釈突破をめざす防衛大綱反対」をサブスローガンに掲げたこの日の院内集会には六十二人が参加した。
冒頭、主催者あいさつを行った高田健さん(許すな!憲法改悪・市民連絡会)は、二〇〇六年の改憲手続き法の強行成立以後も始動していなかった憲法調査会がさる通常国会で衆院の「規程」が策定されたのに続き、民主・自民の国会対策委員長会議で今国会中に参院でも「規程」づくりが合意されたことを批判し、「そうしたことは普通は議院運営委員会で決めるものだが、敢えて国対でやったのは国会をうまく乗り切るための材料として憲法調査会の『規程』づくりを利用したのではないか、と危惧する」と語った。高田さんはさらに「民主党も昨年までは憲法調査会を規程を作成して始動させることに反対だった。私たちはこうした運営のやり方に異議を提起し、あくまで両院憲法調査会の始動に反対するとともに、『武器輸出』三原則見直しなど新防衛大綱策定による解釈改憲突破路線に反対しよう」と呼びかけた。
つづいて社民党の吉田忠智参院議員、福島みずほ党首・参院議員、共産党の赤嶺政賢衆院議員、穀田恵二衆院議員が、激戦に突入している沖縄県知事選の情勢を紹介し伊波洋一さんの当選を勝ち取ろうと訴えた。
赤嶺さんは「伊波さんが『普天間の辺野古移設反対』と主張していることに対し自公陣営は『危険な普天間の移設に反対している』などと批判している。守屋元防衛事務次官は著書の中で『沖国大に米軍ヘリが落ちたのは、普天間の辺野古移設に反対した県民のせい』などと言っている。しかし仲井真候補は『県内移設断念』とは言っていない」と論戦の一端を紹介した。
参加団体からは宗教者平和ネット、女性の憲法年連絡会、憲法会議、憲法を生かす会、キリスト者平和ネット、許すな!憲法改悪・市民連絡会が発言し、「新安保懇報告」、新防衛計画大綱による解釈改憲突破路線を許さない運動を広げよう、と呼びかけた。 (K)
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