| 希望のグローバル化を かけはし2002.10.14号より |
ATTACの仲間たちを中心に、フランス農民連盟代表のジョゼ・ボベさんを迎えた交流・集会に向けた取り組みが全国で進んでいる。農民団体、労働組合、消費者団体、市民グループ、NGO活動家、学生など広範な人々が、熱い期待を寄せている。
ラルザック基地拡張反対闘争、太平洋でのフランス核実験に対する闘い、反グローバリゼーションの運動のシンボルとなった「マクドナルド解体」の闘争、遺伝子組換えトウモロコシの実力伐採の闘いなどを通じて、ボベさんは課題と世代を超えて広範な人々の運動を結びつけるラディカルなメッセージを送りつづけてきた。また、ボベさんが力を注いできた農民の国際的連帯運動、「ビア・カンペシーノ」(農民の道)は、ATTACなどの国際ネットワークと共に、二〇〇一、〇二年の世界社会フォーラムの中心的な推進力となった。
「地球は売り物ではない」、「もう一つの世界は可能だ」というラディカルなメッセージを日本の多くの人々に伝えること\\これがジョゼ・ボベさんの招請の最大の目的であり、目標である。
今回のジョゼ・ボベさんの来日は、フランスにおける右翼政権の成立と社会運動への弾圧の強化という情勢変化と、フランス農民連盟の困難な状況の中で、直前に大幅な日程短縮を余儀なくされた。とはいえ、すでに歓迎イベントの準備を進めてきていた首都圏をはじめ、各地の仲間たちの熱意と「招く会」の尽力によって、来日が実現することになり、各地のこれまでの努力を最大限に生かす方向で日程の調整が行われたことは、それ自体として大きな成果である。
フランスにおける反グローバリゼーションの運動への弾圧の強化という新しい情勢の中で、この困難をともにはね返し、運動のいっそうの発展を目指すことが、今回の来日と交流の重要な課題となっている。「マクドナルド解体」の闘争の裁判に全世界から注目が集まったのと同様に、当面のジョゼ・ボベさんとフランス農民連盟に対するフランス政府の動向に注目し、効果的な連帯行動を日本からも展開しよう。
ATTACの運動は、一九九八年にフランスで始まり、ヨーロッパを中心に全世界に広がっている。この運動は、それまでNGOを中心として展開されてきた反グローバリゼーションの運動に、広範な社会団体(労働組合、農民団体、反失業運動、市民運動、地域運動など)が合流したことが大きな特徴である。それは、シアトルのWTO閣僚会議反対のデモから昨年のジェノバにおけるG8に対する闘いへ到る運動の高揚を特徴づけている、NGO・市民運動と労働組合の共闘という新しい構造とも対応している。
ATTACの中心的課題である通貨取引税(「トービン税」)の導入は、国境を超越することで国家による規制を無力化し、一切の民主主義的な参加と意志決定を許さない多国籍資本の活動(とくに投機活動)やIMF・世界銀行などの国際機関に対して、民衆の側から突きつけられている対案である。いまでは、通貨取引税は国際的な貧困解消や第三世界における環境問題への対処のための資金として注目を集めている。
こうした国際的な流れに合流するべく、日本でも昨年、首都圏と関西でATTACが結成された。その後、よりローカルな運動としての発展を目指して、ATTAC京都が結成された。日本におけるATTACの運動は、昨年の郵政全労協によるフランスSUDとの交流、ATTACフランスのカッセン代表の来日と要請、日本におけるWTOに対する闘いの継続をベースとして準備された。
まだ小さな運動体ではあるが、第二回世界社会フォーラム(二〇〇二年ポルトアレグレ)への代表派遣、世界の運動と最新情報を紹介する週刊ニュースレターの発行など、日本の運動の立ち遅れを克服するための意識的な取り組みが続けられてきた。
今回のボベさんの来日と各地での交流・歓迎集会は、ATTACの運動と組織を広げ、強化するための決定的なチャンスである。とりわけ、地域におけるさまざまな階層、世代を結集した新しいイニシアチブの形成が求められている。それは通貨取引税をはじめとする課題をめぐって持続的に宣伝し、学習し、地域における課題や人々の日常的関心と意識的に結び付けていくイニシアチブである。そのようなねばり強い、計画的な運動を通じてこそ、日本における新自由主義的グローバリゼーションに反対する運動の立ち遅れを少しづつ克服していくことができる。
ATTACの運動は、通貨取引税の導入を共通のテーマとしながら、新自由主義的グローバリゼーションに対するあらゆる抵抗を結合して、「新しい世界」、「もう一つの世界」に向けた大きな流れを国際的に形成することをめざしている。
それはグローバル資本主義への民主的統制、あるいは国際機関の改革とNGOの関与を目指す人々から、エコロジスト、社会主義を目指す政治潮流、アナーキストまでを含む(もちろん、このどれにも分類されない人々が圧倒的多数である)新自由主義的グローバリゼーション反対の共同戦線あるいはネットワークである。
この運動は、当然にも、新自由主義的グローバリゼーションによって排除され、周辺化され、阻害されている社会的層の人々に開かれていなければならない。女性、失業者、社会的底辺層の人々の参加の度合いが、この運動の普遍性のバロメーターになる。
残念ながら、日本におけるATTACの運動は、まだそのような人々に届いていない。ボベさん歓迎の各地における取り組みを通じて、この側面においても運動の発展を目指していかなければならない。
ボベさんの来日に当初からもっとも積極的な反応を示しているのは農民団体と消費者団体である。三里塚の農民・支援者たちは、八一〜八二年のラルザックと三里塚の交流以来、ボベさんたちの闘いとの絆を保ってきた。農民団体、とりわけ地域に根ざした農業を目指してきた有機農業の生産者たちは、ボベさんとの交流に、互いの連帯の確認以上の具体的な成果を求めている。
また、食品をめぐる相次ぐスキャンダルの中で、企業への不信と食品の安全への関心がかつてなく高まっている。「食の見直し」という機運を地域の生産者の連帯と結びつけることを通じて、グローバル資本主義に対する抵抗につなげていく広大な可能性が開かれている。すでに日本でも愛知県の農業総合試験場がモンサントと共同で、遺伝子組換えイネの育成についての研究を始めており、これに対する反対運動が広がりつつある。ボベさんとの交流の第一のテーマは、当然にも「食と農」である。
ボベさんの来日とラディカルな反グローバリゼーションのメッセージに、労働組合や労働者活動家からも大きな期待が寄せられていることも非常に重要な特徴である。自治労を除けば大きな労働組合の関心は概して低いといわざるをえないが、この間の規制緩和・リストラの中で闘いつづけてきた労働組合の中では、ヨーロッパを中心とする反グローバリゼーションの運動の高まりと労働組合の広範な参加、それをも一つの契機とした各国における大規模なストライキ闘争の復活に対する関心が高まっている。
ボベさんが表現するフランス社会運動の息吹は、この関心に十分に応えてくれるだろう。とくにATTACフランスでは、公共サービスの防衛、GATS(サービス一般貿易協定)反対を最重要課題の一つとして位置付け、労働組合と他の社会的諸団体の共闘を確立しつつある。
ボベさんとの交流の第二のテーマ、そして交流の成果の上に日本におけるATTAC運動が意識的に取り組んでいくべきテーマは、公共サービスの民営化と規制緩和である。
ボベさんが直接の闘争課題を超え、世代を超えた共感を得ているのは、高校生時代の兵役拒否に始まるラディカルな平和運動の活動家としてである。ブッシュの対イラク攻撃の危険が迫り、米国・英国でかつてない規模で戦争反対の声が高まっている中で、パレスチナ、中東をはじめとする全世界の平和を目指す運動の発展が、ボベさんとの交流のもう一つの重要テーマとなることは言うまでもない。
このように、ボベさんの来日と全国での交流は、日本におけるATTACの運動だけでなく、日本における新自由主義的グローバリゼーション反対の運動の飛躍のチャンスである。とりわけ、行動力と創意的な取り組みで多くの若者を結集してきたNGOの活動家たちと、労働組合や農民団体、市民団体が力を合わせて、シアトルからジェノバへと発展してきた国際的な運動に合流する日本における新たなイニシアチブを築き上げ、また、新しい「反グローバリゼーション」の活動家世代の形成をも射程に入れて運動を拡大することに全力を上げよう。(小林秀史)
ジョゼ・ボベさん来日の日程変更についてのおわびとお願い
ATTAC Japan事務局からの緊急のお知らせです。これまでフランス農民連盟のジョゼ・ボベさんの来日日程を10月22日から31日までの10日間とお知らせしていましたが、大幅に短縮されることになりました。これは、来日を予定していた10月22日に、モンサント社の遺伝子組み換え作物の引っこ抜き事件に関して急きょ判決が言い渡されることになり、ボベさんが国内に居なければならなくなったからです。また、現在フランスではシラク政権のもとで反グローバリゼーションを担う社会運動団体に対して攻撃が加えられており、とくにボベさんの件が先のマクドナルド事件判決にも見られるように「見せしめ」的に狙われています。これをはね返していくために、ボベさんたち農民連盟を軸に緊急にフランス国内で司法攻撃と闘う運動を作っていく必要性が出てきました。これは、ATTACフランスを初めとするフランス国内のあらゆる社会運動団体と協議した結果とのことです。そのため、来日の日程変更をせざるを得なくなりました。
従いまして、当初予定していた地域集会の日程や会場を一部変更または中止せざるを得なくなりました。すでに集会参加を決め、チケットを購入していた方々には大変申し訳ありませんが、以上のような事情をご理解くださり、変更後の集会にもぜひ参加くださるようお願い致します。
変更後の地域集会は以下の通りです。
★大阪集会
b10月28日(月)午後6時開場/場所:エルシアター[エルおおさかホール](地下鉄・京阪「天満橋」駅徒歩5分)/問い合わせ:スペースAK 電話;06\4801\8844
★京都集会
b10月29日(火)午前10時/パート1・キャンパスプラザ2階ホール(JR京都駅ビル駐車場西側)/パート2・法然院(市バス「浄土寺」バス停下車10分)/申込制/問い合わせ:電話/FAX/ハガキで氏名をお知らせ下さい。〒606-8588京都市左京区岩倉木野町137
京都精華大学 Tel:075-702-5100 実行委
bove_in_kyoto@yahoo.co.jp
★東京集会
b10月29日(火)午後5時30分開場/文京区民センター3-A(地下鉄「春日」駅徒歩0分、「後楽園」駅徒歩3分、JR「水道橋」駅徒歩10分)/問い合わせ先:ATTAC
Japan 電話;03\3813\6492
★新潟集会
b10月30日(水)午前9時30分開場/ミナミプラザホテル(新潟市万代3\1\1 電話025-241-3730)/問い合わせ:実行会 全農林新潟・間(はざま)さん 電話;025\228\5211 大野和興 電話;0494\25\4781
★福岡集会
b10月30日(水)午後6時開場/農民会館(西鉄福岡・地下鉄「天神」駅下車)
/問い合わせ:福岡ボヴェラーズ(ボヴェ福岡講演会実行委員会)電話;092\473\1222
◆中止:仙台集会、長崎集会
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