| 宇治橋さん国公法弾圧裁判・高裁不当判決糾弾 かけはし2010.5.31号 |
政党機関紙配布
は国公法違反
五月十三日、東京高裁(出田孝一裁判長)は、元厚生労働省職員の宇治橋眞一さんが休日に「しんぶん赤旗」号外を警視庁の職員官舎で配布(05年9月)したことが国家公務員法違反(政治的行為の制限)だとする東京地裁の罰金十万円の不当判決(08年9月)を支持し、控訴棄却した。判決は、三月二十九日の堀越国公法弾圧裁判の無罪判決に対してことごとく敵対する反動判決だ。出田孝一裁判長は、高裁第六刑事部に所属し、とりわけ公安・人権侵害関係の裁判に対して階級的憎悪むきだしの訴訟指揮を強行し、不当判決を繰り返してきた札付きの裁判官だ。われわれは、国家公務員法違反を「適用するのは憲法違反」と判断した堀越高裁無罪判決の地平を防衛し、堀越・宇治橋上告審闘争勝利にむけた闘いに連帯していく決意である。
判決は、宇治橋さんの二〇〇五年総選挙の最終日の九月十日、世田谷区内の警察官官舎に「しんぶん赤旗」号外を配布に対して郵便局職員の選挙活動を違法とした「猿払事件判決」(1974年)を動員し、「公務員の政治的行為を制限する目的は、行政の中立的運営の確保」のためだとして防衛し、人事院規則の政党機関紙の配布を禁止についても「合理的で必要やむを得ない限度を超えず、(表現の自由を定めた)憲法二一条に違反しない」「政治的活動を禁止する国公法の規定は全面的に合憲」だと強引に認定した。
公務員の政治活
動禁止は違憲だ
そもそも国家公務員法にもとづいて人事院規則として制定されている政治的行為の禁止規定は、表現の自由などを保障している憲法二一条や国際自由権規約に反する違憲・違法規定である。しかも宇治橋さんの号外配布活動が業務時間外に職場と無関係の場所であり、国家公務員の外見のまったくない状況のもとでの政治活動であるから人事院規則に抵触しないことは明白だ。休日に職場と離れた場所で職務と関連のない文書を配布しており、公務とは無関係であることは動かし難い事実である。だが判決は、「休日に職場と関係ない場での活動であっても、自由に放任すれば、行政組織内に政治的対立を生じ、行政への不当な政治的介入を招く弊害を否定できない」と強調し、堀越無罪判決の「勤務時間外まで全面的に政治活動を禁止するのは、規制が不必要に広すぎる」と批判した国公法の政治活動規制の違憲性の指摘をわざわざ「社会の変化を踏まえても改めるべき点はない」と断言し否定した。つまり、これは堀越国公法弾圧裁判で中山裁判長が猿払事件の最高裁判決への踏み込みを意図した「付言」で一般公務員の刑事処罰には「より慎重な検討が必要」だと提示したうえで、「さまざまな分野でグローバル化が進む中で、世界標準という視点からもあらためてこの問題は考えられるべきだろう。公務員制度の改革が論議され、他方、公務員に対する争議権付与の問題についても政治上の課題とされている中、公務員の政治的行為も、さまざまな視点から刑事罰の対象とすることの当否、範囲などを含め、再検討され、整理されるべき時代が到来しているように思われる」と提起したことへの強烈な反論となっている。もちろん治安機構を「死守」せんとする「時代錯誤」派の司法権力の意志表明でもある。あげくのはてに「厚労省課長補佐だった被告が共産党を支持する目的で、勤務時間外に機関紙を多数配布した行為は政治的偏向の強い行為」だと決めつけ共産党敵視を押し出したのである。堀越無罪判決で批判された猿払事件の最高裁判決の再度の復活と定着をねらっていることは間違いない。
警察のデッチ
上げを許すな!
宇治橋国公法弾圧は、共産党を監視し、組織破壊を目的とした警視庁公安総務課の主導ででっち上げた事件である。そもそも警察官官舎に住む警官は、当時、自衛隊のイラク派兵と連動した治安弾圧体制の強化の一環として全国的にビラ配布弾圧を強行していたなか、反戦を訴える共産党の「しんぶん赤旗」を配布していたから通報し、住居侵入容疑で現行犯逮捕という暴挙を行ったのであった。不当逮捕であったがゆえに宇治橋さんの拘置が認められず釈放され、検察は住居侵入罪については不起訴処分とした。
ところが検察は、九月二十九日、国家公務員に対する政治弾圧を強化していくために国家公務員法違反(政治的行為)で在宅起訴したのであった。そして地裁の共産党憎しの判決構成を高裁は継承した。なぜならば堀越高裁無罪判決による治安機関の動揺の拡大を阻止し、各メディアが「国家公務員の政治的活動に対する司法判断が高裁レベルで正反対に分かれた形」などと評価されるほど高裁の「分裂」状況を隠すこともなく必死で支えぬくために「どう喝的」な不当判決を出さなければならなかった反動的司法権力の姿を浮き彫りにしたというのが実態であろう。そうであるがゆえに宇治橋・堀越国公法弾圧事件の最高裁闘争は民衆の政治闘争の前進のために重要な政治的決戦の場であることを確認し、連帯していこう。この闘いは、国公法弾圧の先兵である公安政治警察の人権侵害を許さず、解体の一環としての取り組みとしてもある。司法の攻撃性格を社会的に暴き出し、全国的なスクラムで包囲していこう。(遠山裕樹)
裁判員制度にとどめを!全国集会
スタートから1年、危機を深める司法の民衆動員
全国で高まる
反対・廃止の声
五月十八日、裁判員制度はいらない!大運動は、日比谷公会堂で「裁判員制度にとどめを!5・18全国集会」を行い、千八百人が参加した。
開会あいさつを呼びかけ人である今井亮一さん(交通ジャーナリスト)が行い、「あと三日で裁判員制度のスタートで一年です。私たちは、全国各地の裁判所前でチラシ配布、大小の市民集会を取り組んできた。裁判員制度はいらない、廃止せよという声が高まっていることを実感している。しかも裁判所職員たちは、制度導入によってこれまで以上の多忙に追い込まれ悲鳴があがっている。職員たちの反対や抗議の川柳が大運動に寄せられている。最高裁のアンケートで明らかになったが国民の四分の一が『義務でも裁判員にならない』と表明している。消極派も含めて反対派は広がっている。国民の手で廃止に追い込んでいこう」と批判した。
国民総動員の
治安国家体制
斉藤文男さん(九州大学名誉教授)が「何をねらう、この国をどう考える〜『市民参加』の裏にあるものは〜」というテーマで講演した。斉藤さんは、「裁判員は、国家のための傭兵だ。日雇いの民兵なんですよ。国家の合法的な殺人を民間人に請け負わせることなのだ。現代の治安国家は、国民総動員の治安国家なのだ。裁判員制度のねらいは、こうした下からの治安国家づくりにある。いまの刑事裁判がこのままではよいと思っていない。しかし、改革されるべきは司法の官僚化であり、裁判官の権力寄りの体質だろう。これを是正するには、法曹一元化しかあるまい。つまり職業裁判官をなくし、在野の弁護士から裁判官を選任することだ。裁判員制度は憲法に違反する。そして、国民総動員の治安国家を招来する。裁判員制度は即刻廃止すべきだ」と結論づけた。
特別アピールが元千葉地裁松戸支部の裁判官だった遠藤きみ弁護士から行われ、「ただでさえ多忙な裁判業務の中で連日開廷する裁判員制度を押しつけられたらパンクすることが必至であると判断し、反対の意志表示した。私が指摘した問題が現実に発生している。裁判員対象事件の起訴数が千六百六十二件で判決が四百四十四件だった。それに対して最高裁長官は『審理に入るために時間がかかりすぎるのが問題だ』と言った。迅速な審理ができる余裕はない。裁判官は過労死で死んでしまいます。このままではだめだ」と厳しく批判した。
「草の根」からの
「目立つ」運動を
呼びかけ人の蛭子能収さん(漫画家)、福島貴和さん(善光寺玄証院住職)、崔洋一さん(映画監督)、大分哲昭さん(浄土真宗本願寺派福岡時対協会長)から裁判員制度反対と今後も継続して制度廃止にむけた各自の決意を力強く発言した。
続いて、裁判員経験者の白木章さんから「ビデオアピール」、裁判員候補者、各地の反対運動からの報告。最後に高山俊吉弁護士から「まとめ」の発言があり、裁判員制度の危機的状況を明らかにし、草の根で一人ひとりの「目立つ」運動によってさらに追撃していこうと強調した。(Y)
声明
改憲手続き法の凍結解除に抗議し、
ひきつづき憲法審査会の始動に反対する
許すな!憲法改悪・市民連絡会
内閣総理大臣 鳩山由紀夫様
総務大臣 原口一博様
許すな!憲法改悪・市民連絡会
2010年5月18日、政府は改憲手続き法施行令を強行し、従来実行されてきた同法の凍結を解除した。これによって、今後、法的には国会で改憲原案の議論や改憲案の作成ができることになった。憲法第9条をはじめとする平和憲法など、憲法3原則の擁護と実現のために活動してきた私たちはこれに厳重に抗議する。
3年前に強行採決された改憲手続き法は、安倍内閣が憲法改正を焦って、強行採決を繰り返して成立させたものである。それはいくつもの重要問題を「附則」にし、18項目もの「附帯決議」
を付けた欠陥法だった。この時に憲法改正案の審議や国民投票の実施可能な時期も3年間凍結した。その3年目が本日、5月18日であった。しかし、この間に選挙で与党は大敗し、「政権交代」
が起きた。この3年、憲法審査会は国会に設置されず、附則や附帯決議などの議論も全く進まなかった。当時、附帯決議などで指摘された改憲手続き法の問題点は(1)
投票権者問題(18歳投票権の公職選挙法や民法との整合性)、(2) 国民投票の対象(憲法だけでなく、国政の重要問題についての国民投票の可否)、(3)
広報や広告など、メディアの在り方(議席数で広報の分量を決めてよいか、有料広告を認めると資金能力で宣伝に差ができる)、(4)
国民投票運動の自由に関する問題(公務員や教育関係者の政治活動の制限などによって、自由な活動が制限される)、(5) 投票成立の要件問題(「過半数」の分母問題や成立に必要な最低投票率規定の有無)などなど数多くあった。
また施行のための準備が全くできていないもとで、強行するということは、同法制定当時に憲法調査特別委員会で議論された立法趣旨からしてもあってはならないことである。憲法審査会の設置など、法施行のための条件整備がほとんどされていないのだから、今後、同法を執行することも事実上不可能である。今回、これらの問題を全く無視して政府が施行を強行したことは、従来の民主党など与党各党の見解や立場からも完全に逸脱し、自民党など、明文改憲をめざす勢力を喜ばせ、その策動の場を与えるだけである。
この間、改憲手続き法の条件整備ができなかったことには理由がある。その最大の原因は国民世論がいま改憲を望んでいないからである。今回の施行強行はこの国民の意思に逆行するものであり、悔いを千載に残すものとなる可能性がある。
今回の事態を受けて、私たちはあらためて憲法審査会の始動に反対し、改憲手続き法の廃法を強く要求して闘う決意を新たにするものである。
2010年5月18日
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