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「地球温暖化対策基本法案」を批判する          かけはし2010.4.19号

これでは「原発推進隠れみの法」

脱原発に向けた政策転換が必要だ


ねじ曲げられた
地球温暖化対策

 三月十二日、地球温暖化対策基本法案が閣議決定され今通常国会に提出された。法案は@国内排出量取引制度の創設A地球温暖化対策税の検討その他の税制全体の見直しB再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度の創設、という新制度の構築に加えC原子力発電の利用をはじめとした「エネルギー使用の合理化の促進」等を基本的施策としている。
 福島みずほ内閣府特命担当相は閣議決定後の記者会見で、経産省案・環境省・社民党案・官房長官案などがあり、核燃料サイクル推進の条文が入った経産省案に対して「随分攻防戦をやった」と述べた。また、「原子力を推進する」という条文は「安全を旨とする、国民の理解と信頼」という二つの限定を加えたことを明らかにし、「これから制度設計で攻防戦が続くので、そこで頑張っていく」と今後に向けた決意を明らかにしている。
 全国の市民・NGOが参加するMAKE the RULEキャンペーンは、「閣議決定された法案は、政権交代時のマニフェストから後退。二五%削減目標は、他の主要国が野心的な目標を設定しないと設定されないと条件付けされた」「削減のための重要な手段である、キャップ&トレード型の排出量取引制度は、原単位方式も検討するという形になり、精神を生かしきれていない(キャップ=総量削減でなく、原単位方式となると総量削減をコントロールできず排出増加をもたらし、電力会社が対象外になる可能性がある)」と失望を明らかにした。そして「この法律をもって、抜け穴を広げたり、二五%削減のためのしくみづくりを弱めたりすることは、私たち市民との約束違反」とし、国会審議を通じてしっかりとしたしくみづくりを進めることを要求している。
 原発推進側は東海村JCOの臨界事故や東電をはじめとした一連の事故隠しへの反発のため、二〇〇二年に制定されたエネルギー政策基本法の条文に「原子力」の「げ」の字も入れられなかった。地球温暖化対策基本法案に条件付きながら「原子力」が条文に入ったことは、推進側と批判側の力関係が逆転していることを率直に認めざるを得ないだろう。われわれはいっそう法案の問題点を明らかとし、抜け穴のない制度作りを要求しなければならない。

「原発推進」は「石
炭火力隠し」だ

 三月十日、緊急集会「このままでは公約違反だ!地球温暖化対策基本法」でグリーンアクションのアイリーン・スミスさんは、「一九九〇年以来日本の排出量が増えた最大の原因は電力部門の石炭利用であった。原発には巨大なバックアップ電源が必要であり、石炭がそれを果たしている」と報告した。原発は構造的なトラブルがいずれかのサイトで発生すると、同型基を次々と点検のために停止しなければならない。原発は出力調整運転ができないため、一日の需要の変化に対応するため、LNG火力や石油火力を常に待機させている。夏場では昼のピークと深夜早朝とでは、二倍程度の需要の開きがある。
 一九九九年四月の「電力供給計画の概要」では、着工・着手されていた約六千万キロワットのうち、原子力の約五百五十キロワットに対し石炭が約千五百キロワットと約三倍であった。また、国際エネルギー機構(IEA)による二〇〇八年から二〇年までの世界の電力需要予測約二十四億キロワットのうち石炭が約八・六億キロワット、三五%に対し、原子力は約一億キロワット、四%に過ぎない。
 「発電過程でCO2を排出しない」と電力産業が原子力を喧伝する最大の理由は、電力産業が製鉄と並んで「最もCO2を排出する産業」である事実を市民の目から隠すための効果を狙った一方、原子力産業界自体が追い詰められていることを体現しているだろう。
 一九七九年のスリーマイル島原発事故によって原発の新規建設が止まった影響でアメリカの原子力メーカーは単独でプラントを建設する人材や設備能力を失った。能力を維持したのは、原発建設を国策として続けてきた日・仏、そしてロシアと韓国である。米メーカーは延命策として、ウェスティングハウス社は東芝の傘下に、GEは日立との提携を行った。三菱は仏国営のアレバと提携している。推進側が「原子力ルネサンス」と喧伝する中身は、リスクの大きい巨大プラント受注に向け、生き残りをかけた寡頭競争に入っていることを意味している。

原発長寿命化と
新規建設許すな

 エネルギー政策基本法の条文には「原子力」の「げ」の字も入れられなかったが、同法の規定により三年ごとをめどに閣議決定し、国会報告されるエネルギー基本計画では明確に核燃料サイクルの推進がうたわれてきた。現在開催中の通常国会に報告するため、新たな基本計画の策定が進んでいる。
 昨年六月、経済産業省は次の六項目の「原子力発電推進強化策」をまとめた。@既設炉の高度利用A新増設・リプレースの円滑化B核燃料サイクルの推進C国民との相互理解促進D地域共生E国際動向への対応。資源エネルギー庁の原子力部会は、これらを新たな基本計画に盛り込むべく審議を進めている。
 この三月、日本原電敦賀1号が運転開始から四十年を超え、3号の運転開始を予定する二〇一六年までの運転延長を決めた。当初、廃止が予定されていたが、3・4号の着工の遅れによる延命措置だが、さらなる遅れも確実で、三〇年までの六十年間運転を想定しているという。
 一部報道で「基本計画に十四基の原発建設」という見出しが躍った。パブリックコメントに付された「概要」には具体的な原発名は明記されてはいないが、「電力供給計画」などで確認できる。東北電力では浪江・小高と東通2号の二基、東京電力では福島第一7・8号と東通1・2号の四基、中部電力の浜岡6号、中国電力の島根3号と上関1・2号の三基、五月十八日に第一次公開ヒアリングが予定されている九州電力の川内3号、電源開発の大間原発、そして日本原電の敦賀1・2号である。うち建設中は島根と大間の二基のみで新規建設は耐震問題などで容易には進んでいない。
 経産省は、二〇二五年までの国内原子力市場を約七・七兆円と試算している。同様に、東南アジア地域で八・八兆円、中近東で十一・六兆円、インドが十六・六兆円、中国が六十三・五兆円と試算している。海外受注を目指すものの、アラブ首長国連邦(UAE)とベトナムで日本は二連敗を喫した。UAEでは、李大統領が自らムハンマド皇太子と六回の電話交渉を行った結果、韓国チームが受注した。韓国政府は二〇一二年までに十基、三十年までに八十基の原発を輸出し、世界の新規原発建設市場で二〇%のシェア獲得を目指しているという。ベトナムでは、潜水艦六隻の売却等、軍事協力も含めたパッケージ提案したロシアの国営原子力企業のロスアトムが受注した。二連敗した日本は、ベトナムの二期分を受注すべく鳩山首相がグエン・タン・ズン首相に親書を二月末に送った。
 地球温暖化対策基本法案では閣内不一致で「核燃料サイクル」の記述は避けられた。原子力の記述は条文案では「安全を基本とした原子力に関連する技術」であり、「核燃料サイクル」を含むものと拡大解釈される可能性も残されたのだろう。
 『AERA』(2010・4・19)では、超党派の議員連盟「原子力政策転換議員懇談会」が「事実上、解体状態だ」と報じている。地球温暖化対策基本法案の条文は福島社民党党首の頑張りにより「原発推進」という文言は避けられたが、野党時代の民主党が議員提出した二〇〇八年法案とほぼ同一だ。現在の勢力図では、原発推進の隠れみのである法案を廃案にすることは困難だろう。六ヶ所・もんじゅ・プルサーマルや新規立地、増設に抵抗する地域の闘いを中心にし、原子力政策を転換させていかなければならない。
  (4月12日 斉藤浩二)



空港はいらない静岡県民の会
大赤字タレ流す負の遺産
断ち切り静岡空港廃港へ

数字が証明――
過大な需要予測

 四月四日、空港はいらない静岡県民の会は、静岡労政会館で「大赤字タレ流す負の遺産を断ち切り静岡空港廃港へ」のスローガンを掲げて第十五回総会を行った。
 〇九年六月に開港した静岡空港は、反対運動が批判してきたようにこの二月末までの九カ月間で国内線利用者は約三十万八千人で減少傾向が続いており過大な需要予測だったことが現実の数字で証明されてしまった。年間百六万人の利用者があるとして土地収用という強行手段で強奪した結果がこれだ。このままだと空港年間収入は県試算の三億円を下回り、一億円ほどだろう。そして空港関連支出が年十五〜十七億円、建設費借り入れ返済が二十億円だ。つまり三十五〜三十七億円という巨額な赤字を膨らませ、無駄な税金を使い込もうとしている。
 川勝平太知事は、このような現実に直面し、需要予測が「過大だった」(3・9)と認めているにもかかわらず、「悲観はしていない。百万人は目指せる。五年後の黒字化は可能だ」などと無謀な願望を表明する始末だ。すでに日航が撤退を決め、全日空も不採算の蓄積によっていつ撤退してもおかしくない状態。小型機が中心のFDA七機体制にしても空港黒字化はほど遠いのである。ただちに廃港に踏み切り、これ以上の税金の無駄遣いをストップさせなければならない。

未来はない――
転換策も検討を

 総会は、共同代表の島野房巳さんの開会あいさつから始まり、「狭い国土に九十八空港も乱造し、地方空港の不合理性が明らかになりつつある。政官業癒着のもとに作った空港の後に残されたものは大きな財政赤字というツケだけだ。静岡空港はその最たる赤字空港となることが必至である。潜在需要が全く希薄であるにもかかわらず川勝知事はいまだに幻想をふりまいている。空港を造れば需要があるというのはバブルの発想でしかない。将来にわたって増便の可能性は全くない。利用者が激減し続けている。『あっても便利じゃない。なくても不便じゃない』と主張してきたが、まさに立証されつつある。静岡空港は廃止して、県民の利益のために太陽光発電、災害対策基地などに転用すべきだ。空港経営の透明化を求め、赤字の実態を明らかにさせる必要がある。静岡空港は廃港しかない」と宣言した。
 桜井建男さん(事務局長)から次のような活動報告が行われた。
 第一は、「前代未聞!開港延期そして暫定開港」というテーマから反対地権者の大井寿生さんの「立木」により暫定開港に追い込んだことや、県による「過分収用」という土地強奪を取り上げ、「土地収用のデタラメを表すだけでなく、空港建設の全過程にある官僚主義行政の隠蔽・無責任体質そのものであり、知事石川の辞職は当然だった。県政の根本改革が問われている」と厳しく批判した。
 第二は、日航の撤退をはじめ空港経営大赤字問題に触れ、「JALの撤退後、観光客が一巡して需要が今年度より伸びなくなればどうなるか。航空会社は生き残りをかけてムダな不採算地方空港路線の切り捨てに舵を切り始めた。静岡空港に将来はない」と断定し、「空港廃絶と新たな用地転用策を含めて大胆な闘いに挑戦していこう」と呼びかけた。
 反対地権者の大井さんから「立木問題」「過分収用」についての補足説明が行われ、「デタラメな県のやり方が明らかになった。すでに空港の終わりは始まっていると言える」と厳しく批判した。
 続いて反対地権者の松本吉彦さんは、〇九年二月、空港建設の関連で県によって無断伐採されたことに抗議し、県に対して伐採費用を当時の知事や関係職員に請求すること、職員の処分を求めてきたことについて報告。結局、県は確約したが、いい加減な県を糾弾した。

「4つの大罪」
徹底的追及を

 阿部浩弁護士は「事業認定取消訴訟判決」などの裁判状況について報告し、「静岡地裁は、三月十八日、請求棄却の判断を行った。需要予測が過大だったにもかかわらず、事業認定が行われた当時の予測としては合理的だったと国の判断を防衛。立ち木問題についても『空港の総面積と比較すると、土地収用を誤った範囲は極めて限定的』などと切り捨てた。地権者との交渉について誠実に行っていくという『確約書』があるにもかかわらず、不誠実対応のうえで土地収用を強行したことについても『土地を取得する努力を続けており、確約書に反したとは言えない』と認定した。このようにことごとく国側の立場からわれわれの主張を排除した。控訴審でも過大な需要予測、『確約書』問題について新証拠も準備して闘っていきたい」と提起した。
 さらに収用訴訟の取り組みについても報告し、静岡地裁が証人として大井さん(5月21日)、元空港建設事務所長(7月9日)、県収用委員会会長(9月10日)を採用したことを報告。
 富田原告団事務局長から各種訴訟の経過報告、取り組み強化が呼びかけられた。
 桜井さんは「二〇一〇年度の情勢と活動方針」を提起し、「静岡空港四つの大罪」として@県民合意が全く欠落していることA強権による独断専行・官僚的無責任行政で強行したことB大々的な自然環境破壊を行ったことC大赤字タレ流しで後世に巨大なツケを残したことを指摘し、「この四つの大罪とその矛盾を徹底的に追及していこう。さらに川勝の『空港しがみつき』自滅路線の追及。裁判闘争の勝利。空港転用の議論を積極的に開始していこう。そしてきっぱりと廃港の選択を!」と強調した。
 全体論議後、共同代表の佐藤慶子さんが閉会あいさつを行い、新たな闘いに踏み出していくことを全体で確認した。    (Y)


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