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資料                          かけはし2010.4.5号

郵政民営化の抜本的見直しを

――私たちのめざす「郵政改革」――
郵政労働者ユニオン


 民営化の見直しを課題とした郵政改革法案をめぐって鳩山内閣内部の不一致が露呈した。自公両党やマスメディアの多くは「郵政民営化改革への逆行」「民業圧迫」という批判の論陣を張っている。今こそ民営化の矛盾を実感している地域住民、過酷な労働現場の声をベースにした運動が求められている。郵政労働者ユニオンが今年一月に発行したリーフレットを転載する。(「かけはし」編集部)

 新政権によって閣議決定された「郵政改革の基本方針」には、「国民共有の財産である」郵政事業を「全国あまねく公平に」郵便、ゆうちょ、かんぽ事業を「郵便局で一体的に利用できるようにする」とあります。
 私たちもこのような基本理念を基に、民営化によってサービスが分断され、ユニバーサルサービスが危機に陥っている事業の現状を根本から立て直す必要があると思っています。
 このリーフレットでの私たちの提言がその一助になれば幸いです。

「バラ色」とはならなかった2年間の「民営化」の問題点

 昔、「郵政民営化紙芝居」というものがありました。郵便局がコンビニのようになって、山間過疎地にも活気がよみがえるといった内容でした。
 08年、日本郵政とローソンが提携し3年以内に全国800店舗の郵便局コンビニを展開すると発表しました。現在、その「JPローソン」は都市部にわずか7店舗のみ。今後の新設予定はありません。
 山間過疎地の郵便局は統廃合され、とてもコンビニを併設する人的余裕はありませんでした。そればかりか全国400局以上の簡易郵便局が閉鎖され、地域から金融機関がなくなり、ますます過疎化に拍車をかけています。
 これまでに約100局の簡易郵便局が「復活」しましたが、そのほとんどは貯・保事業を伴わない単なる郵便販売所といったものでしかありません。
 郵政民営化は、結局は地方の切り捨てに繋がったのではないかという思いを誰もが強く持ちました。

資金の流れは「民から官へ」、さらに地方から中央へ

 官から民へ、これが小泉元首相のスローガンでした。
 郵政民営化によってお金の流れが変わるとされましたが、実際はどうだったでしょう。
 データをみれば一目瞭然です。
 かつて財政投融資制度がまだ健在だったときには流れていた民間への資金は今、膨大な量の国債の引き受けによってゆうちょ・かんぽ資金の中に止まり続けています。つまり市民から集めたお金の流れは国の借金へと集中しました。いわば「民から官へ」とお金の流れは逆流してしまったのです。
 地方債・貸付金も縮小し、地方のお金の流れも結果的に中央に集中しています。
 財政投融資は無駄な公共事業を野放しにし財政を破綻させたと言いますが、システムを運用していたのは確かに官僚ではあっても、投融資のバランスを決定するのは政治の仕事であったはずです。そしてそのときの政権党は自民党でした。
 自らの失政をシステムのせいにして地方の犠牲は変わらないどころかますます窮乏化してしまったのです。

市民と地域社会に役立ち、開かれた郵政事業に

 郵政改革の基本方針の第1項では「国民の権利」として、「国民の共有の財産」である郵便局ネットワークを「全国あまねく公平に」かつ「郵便局で一体的に利用できるように」ともあります。
 全国24700の郵便局ネットワークを高齢化社会、過疎化が進む限界集落をはじめ地域コミュニティーの再生のための生活拠点としても位置づけ活用することです。
 基本方針第2項では「通便局ネットワークを、地域や生活弱者の権利を保障し格差を是正するための拠点としても活用する」としています。
 小泉構造改革がもたらした格差社会、その改革の目玉であった「郵政民営化」改革をとおして積極的に格差社会を是正していこうというものです。そのためには地域住民の声を反映させ開かれた郵政事業に改革することが不可欠となります。その例として、郵貯ネットワークを利用しての年金業務、窓口ネットワークを活かした行政サービスの推進、集配業務を利用した介護サービス(ひまわりサービスの充実)、防災・災害時の拠点化などが考えられます。
 郵政改革の基本方針を「絵に描いた餅」にしないために、改革法案で具体的な業務展開の担保が是非必要です。

4分社化を見直し、3事業一体の経営こそ必要です

 分社化によって、郵便局の一体的な対応が損なわれ、著しいサービスダウンとなっています。
 とくに、過疎地域を中心に3事業一体で運営してきた集配特定局ではその弊害が顕著です。
 「配達途中の外務員に貯金や保険の依頼ができなくなった」「不在で受け取れなかった郵便物を最寄りの郵便局で受け取れなくなった」「集荷サービスを行ってくれない」「ゆうゆう窓口と郵便局窓口があってわかりづらい」「年賀はがきなどの販売で、二つの会社で協力していない」「苦情がたらい回しにされる」などの声が寄せられています。
 分社化によって、郵便事業会社・ゆうちょ銀行・かんぽ生命から郵便局会社に支払われる委託手数料とそれに係る消費性負担がうまれました。また、同じ建物の中にありながら「別会社」であるため局舎賃貸料負担も新たに発生しています。
 分社化によって、利用者も働く人も不便や働きづらさを著しく感じていますが、これらの弊害を解消するには、3事業一体の事業運営しかありません。

公共サービスとしての郵便事業、簡保、郵便貯金の役割り

郵便事業

 郵便事業は、生活を支える基礎的な通信・物流サービスとして重要な役割を果たしています。
 とりわけ、地方においてはなくてはならないものです。
 しかし、民営化によって「集配局の再編・統廃合」が進みサービスが後退し、企業や大口利用者が優遇されユニバーサルサービスの解体が進んでいます。
 都市部より地方、企業より個人の方はコストがかかる郵便事業はクリームスキミング(良いとこどり)を許していたのではユニバーサルサービスは守れません。
 ユニバーサルサービスを維持するためには、一定分野の独占や「ユニバーサル基金」等の制度的保障がどうしても必要です。

かんぽ生命事業

 公共サービスの「かんぽ」(簡易保険)は、社会的相互扶助制度です。「助け合い」を原点としており、「リスクの分散」としての保険とは異なります。
 何かあった時の助け合いやライフサイクルにおける病気等の不慮の出来事へ備えるための手段を提供するための公的な「共済制度」と言えます。
 民間保険との競合とは一線を画して、こうした本来の趣旨に沿った商品開発と運営が必要です。

ゆうちょ銀行事業

 「ゆうちょ」には貯蓄と同時に決済・送金手段としての役割があり、民間銀行等が地方から撤退している中にあって果たすべき役割は大きくなっています。
 決済・送金手段をユニバーサルサービスとして提供することが必要です。
 また、国民生活のセーフティーネットとしての貯蓄、地域金融や中小企業金融としての役割も重要です。
 民間銀行とは異なる役割を果たすべきであって、そのためにはユニバーサルサービスを義務づけると同時に、それが可能となるような公的保障と規制を設けるべきです。

公共サービスを担う労働者の雇用と権利、労働条件の確立

 郵政民営化は、現場労働者の労働環境を激変させています。「成果主義賃金」の導入や正社員の削減、非正規雇用が広がっています。
 現在、日本郵政で働く非正規社員は約21万6000人。民営化後の2年で正社員は6000人減らされる一方、非正規社員は1万5000人も増えています。日本郵政は、常時雇用する非正規社員17万2316人のうち64%が年収200万円以下であることを明らかにしています。営利追求のため人件費削減を進めた結果です。
 しかし、郵政サービスは、労働集約的であり、サービスの基本は労働者自身です。低賃金や不安定な雇用は、サービスの質に影響をもたらします。また、労働者どうしの競争は、公共サービスで必要な助け合いと職場のコミュニケーションを奪います。私たちは、「成果主義賃金」の見直しと人員の補充、非正規社員の正社員化や待遇改善を求めます。
 2010年1月




反安保実連続学習会第1回
塩川喜信さん、加藤克子さん
60年安保闘争の教訓を語る


権力は盤石では
ないという意識

 三月十三日、新しい反安保行動をつくる実行委員会(反安保実)は、「60年安保から50年 もうやめよう!日米安保条約」――反安保実連続学習会の第一回目として「60年安保闘争の経験から」をテーマにした学習集会を開催した。講師は、一九五八年から五九年にかけて全学連委員長だった塩川喜信さん(ちきゅう座)と、一九六〇年六月十五日の闘争で虐殺された樺美智子さんの東大でのクラスメートだった加藤克子さん(立川自衛隊監視テント村)。約四十人が集まった。
 塩川さんは、日米安保体制からグローバルな「日米同盟」への移行が、「密約と密議の上に築かれた戦後の日本政治と日米関係」を背景にしたものであることを旧安保と六〇年の改定された新安保との条文比較や、一九六〇年にいたる戦後政治史、経済史の詳細なレジュメやグラフに基づいて説明した。開戦時の東条内閣の閣僚でA級戦犯容疑者・岸信介内閣の登場による民主主義の破壊と「戦前の復活」への危機意識が学生の間で広範に広がっていたことを背景に、学生運動の戦闘的発展が作り出されていったことを塩川さんは説明した。そして塩川さんの属していた革共同(第四インター)とブント(共産主義者同盟)の間の戦略・戦術の相違についてもふれた。
 立川で育った加藤さんは、一九五六年以来の砂川闘争、勤評反対闘争、警職法反対闘争から安保闘争へと上り詰める経過、ブントの結成にいたる経過と自分の関わりについて語るとともに、ブントの「日本帝国主義復活論」と共産党の「従属論」にふれ、その後の経過から見れば、実際には「復活」と「従属」の関係は重層的なものであり、その把握はどちらも浅かったと評価した。また「戦後民主主義の欺瞞批判にもかかわらず、全体としての安保闘争は戦後民主主義の発展であった」と述べるとともに、「権力は盤石のものではなく、倒すことができるものだという意識がかなり広い人びとの間に共有されたこと」の意味についてもふれた。加藤さんは、その後のテント村の活動へと引き続く闘いの中で、「教訓や希望を紡ぐいろいろあるうちの一つの源泉、メルクマール」として六〇年安保経験があったと振り返った。

意識されなかった
沖縄のたたかい

 六〇年当時、沖縄の闘争がどのように意識されていたかという質問に対し、塩川さんは「砂川の闘争と沖縄の現実を重ね合わせて、砂川の現場に駆けつけた在京の沖縄出身者もいたし、一九五六年のプライス勧告反対の島ぐるみ闘争について知っていたにも関わらず、六〇年安保闘争の活動家の中で沖縄の問題はほとんど意識されることはなかった」と指摘した。また当時、暴力・非暴力の問題についてどのように考えていたかという質問に、塩川さんは「非暴力」を主張することはなかったが、現実の闘争は全体として非暴力的なものだった、と語った。加藤さんからは、当時の全学連のデモでの大学別・学部別の「序列」などのエピソードも紹介された。
 学習会の二回目は、芦澤礼子さんを報告者として「日米地位協定」の問題をテーマに四月三日(土)に行われる(午後6時、文京区民センター3C)。反安保実は四月二十八日に沖縄から新崎盛暉さんを講師に招いて集会を行い、六月十九日の二〇一〇安保連絡会の集会・デモにつなげていこうとしている。 (K)

反安保実連続学習会、今後の予定
b5月1日(土)第3回「日米安保体制と違憲判決」/報告:山口響
b5月29日(土)第4回「反安保の論理を検証する」/天野恵一+国富建治
 いずれも文京区民センター3C、午後6時半開始


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