もどる

        かけはし2010.3.29号

生きる権利をストでかちとれ

電通労組などが統一ストライキ
NTTは社会的責任を果たせ
ゼロ回答に怒りをぶつける

社会的連帯の
構築めざして

 二〇一〇けんり春闘第二波集中行動日の三月十八日、けんり春闘の一環として、電通労組首都圏支部、東日本NTT関連合同労組(以下N関労)、全国一般全国協東京労組NTT関連合同分会が共に時限ストライキに立ち上がり、NTT東日本本社前で共同のストライキ集会を行った。電通労組は、青森、宮城、福島各県支部が前日に行った時限ストを引き継ぐ全組合員のストライキ行動だ。
 各労組の賃金引き上げ、非正規の正規化、産別最賃などの春闘要求に対しNTT東日本は、NTT内最大労組NTT労組の闘争放棄・資本迎合姿勢を支えに、ゼロ回答で応えていた。今回の行動はこのようなNTT資本への怒りの反撃だが、もちろんそれだけではない。それ以上に大きなものは、この大不況の中でも巨額な内部留保を積みます一方で社会的責任を顧みない「最優良企業」というあり方、その社会的責任を内部から鋭く問い詰める決起だった。
 三労組を代表して開会挨拶に立った日野電通労組書記長はまず、NTT内ではこの日のストライキが通信労組を含む四労組共同の行動であることを報告した。その上で、十一万人リストラなど労働者に過酷な犠牲を強いつつグループとして九兆五千億円もの内部留保を抱えたNTTが今年三月期も一兆一千億円もの営業利益を計上していることを明らかにし、その一方今も、子会社テルウェルを舞台に雇用形態替えという卑劣な手段で非正規労働者の処遇引き下げ強要に率先して手を染め、あるいは、N関労の保阪さんに見られるような介護を不可能とする勤務の押しつけなど、社会的責任など意に介しない経営に終始していることを鋭く糾弾した。そして、断固とした闘いによってそのような経営に対峙し大企業に社会的責任を果たさせる闘いの必要性を強調し、派遣法抜本改正の実現をはじめとして、幅広い連帯を追求しつつそのような闘いの先頭に共に立つことを呼びかけた。
 N関労の保阪さんも挨拶した。難病に苦しむパートナーの介護が必要な保阪さんは、それが不可能な長距離通勤を強制され、今介護可能な転勤を求め闘っている。その苦しみを訴えつつ、仕事と介護を両立させることは今や社会が企業に要請するものであり、それに応えることが企業の責任、最優良大企業であるのであればNTTには見本的企業となる責任がある、と強調した。

中小・非正規の
闘いをアピール

 支援にかけつけた労働者からは、全労協事務局長の中岡さん、全国一般全国協書記長の遠藤さん、全国一般全国協東京労組書記長の野中さんをはじめ、練馬全労協、保阪さんを転勤させる会、ピースサイクル全国ネットの各代表が連帯発言。生活保護の急増や非正規労働者の過酷な現実に応える課題が訴えられると共に、雇用調整助成金を受けながらも敢然とストライキに立ち上がっている中小労組の闘いが紹介されストライキで闘う意義が確認された。また、大企業の社会的責任を果たさせる闘いが等しく力説された。
 集会場所は交通量の多い交差点間近。集会中も多くの人が傍らを通り過ぎたが、これらの人たちも明らかに集会に関心を示す。チラシに手を伸ばし、信号待ちの時間にチラシに目をやり集会に視線を注ぐ人も今年はまれではなくなっていた。実際用意されたチラシも今回はなくなった。
 なお通信労組のストライキ集会は持ち株会社前。九時半に集会を終えた三労組の代表団は通信労組の集会に移動し、連帯挨拶を行いエールを交換した。電通労組の代表団はさらに足を伸ばし、先のテルウェルの非正規労働者の問題をも課題としていた神奈川県共闘の春闘行動に加わった。(谷)




派遣法抜本改正めざす共同行動・大阪結成集会
後退は許されない!抜本改正で
企業に雇用責任を果たさせるぞ

 【大阪】エルおおさかで三月十二日、労働者派遣法の抜本改正をめざす共同行動・大阪の結成集会が開かれ、二百人の労働者が参加した。
 大橋直人さん(派遣パートユニオン・関西)の司会で進められ、田中徹さん(北地域労組おおさか)が開会のあいさつをした。田中さんは、「労政審答申に基づいた現在の改正案は、昨年六月国会に提出された改正案(野党3党合意に基づく)と比べ大きく後退しているので、立場としては派遣法の廃止しかないと思うが、東京の共同行動と歩調を合わせて抜本改正をめざすことにし、七回の相談会を経て結成にこぎ着けた」と述べた。
続いて、西谷敏さん(近畿大学法科大学院教授)が「労働者派遣法改正の焦点」と題して講演をした(要旨別掲)。
 講演の後、稲見哲夫衆議院議員(民主党、大阪5区)のアピールと服部良一衆議院議員のメッセージが紹介された。稲見さんは、「出発時点で労政審を作り直すべきだった。政府案は納得のいくものではない。大企業の抵抗はあるが、中小企業で労働者確保は大丈夫かという不安もあるのでは。事前面接では女性に人事担当が、差別的発言を繰り返すなど、大きな問題がある。共に闘っていく」と述べた。

3月29日から
連続行動計画

主催者から、三月五の日上京・陳情行動の報告があり、派遣切りのような状況は日本でしか起きていないこと、日本は雇用破壊の先頭を走っていること、企業に雇用責任を果たさせる闘いの必要性が強調された。そして、共同行動・大阪として三月二十九日から四月十一日まで街頭行動を計画していることが報告された。
 最後に、派遣の現場から三人の労働者(北地域労組、ユニオン大阪、なにわユニオン)から、派遣に入ると貧困の泥沼にはまって出られない、違法派遣で指導勧告を受けた会社により八年間働いてきたのに解雇された、働いたものがきちんと報われる社会を!のアピールがあった。「派遣法改正コール」というイラストムービーの上映で集会を終えた。      (T・T)


西谷敏さんの講演から
抜け穴温存を許さず全労働者の闘争課題へ

尊敬するある法律学者が、非正規労働者のほとんどが派遣労働者だと言っているのを聞いて驚いた。派遣労働は意外と知られていない。政府の統計では労働者全体の三四・一%が非正規で、派遣労働者はその非正規の内の五・九%だ。派遣労働者は比率から言うと非常に少ないが、間接雇用であるということで、ひどい状態に置かれている。間接雇用とは、労働者を雇用するものは使用しないし、労働者を使用するものは雇用しないということ。
 派遣労働の問題点は次のように五点あげられる。@派遣元による中間搾取 A使い捨てによる雇用不安定 B労働者間の差別(正社員と同じ仕事をしていても労働条件が極端に悪い)C使用者責任の不明確性 D団結の基礎の破壊、である。
常用雇用型と登録型

派遣労働には常用雇用型と登録型がある。登録型派遣とは、労働契約の期間と派遣の期間が基本的に一致していて、仕事のあるときだけ雇って派遣する。つまり、職業紹介して、多額の手数料を取るという形で中間搾取する。常用雇用型とは、派遣元が労働者を常用雇用し、派遣しない期間でも賃金は保障される。本来は期間の限定のない雇用で、期間を限定して派遣する。
 派遣法ができた一九八五年当時の派遣労働は、コンピュターシスティムエンジニアとか設計とか高度な技術の関係が多かった。ところが常用雇用型の業務に事務仕事や製造業などが増えてきて、現在製造業の派遣労働者五十五万人のうちの六三%が常用雇用型である。本来のものとは違う派遣が常用雇用型と呼ばれるようになった。これには厚労省に大きな責任がある。何回か契約を繰り返し契約期間が一年以上の場合、あるいは今後一年を超えて雇用される見通しがあればそれも常用雇用型と見なした。
 これまでは区別を明確にしなくてもあまり不都合はなかった。現行法制度では、常用雇用型の派遣のみを行う特定派遣事業は届出制であり、問題の多い登録型派遣も行う一般派遣事業は許可制であるが、現在この両者の違いがあいまいになっている。最近マツダで派遣切りにあった労働者の話を聞いたが、彼らのなかには常用雇用型と登録型のどちらの雇用だったか自分でもよく分からないという人もいた。実態はそういうものなんだろうと思った。
 戦後労働法の出発点は、直接雇用の原則である。憲法には直接の規定はないが、憲法二七条1項(勤労の権利)の帰結は、労基法六条(中間搾取の禁止)と職安法四四条(労働者供給事業の禁止)のかたちに帰結している。ところが、一九八五年、例外的に派遣労働を認める派遣法が成立した。この点は現在でも法律上は変わっていない。

政府の派遣労働法改正案
(法律案要綱)の内容

 国会に上程されようとしている法律案要綱の特徴としては、次の点が上げられる。@製造業派遣を原則禁止するが、常用雇用型は認める A登録型派遣を原則禁止するが、専門二十六業務に限って認める B違法派遣がなされた場合、派遣先が労働者に雇用を申し込んだものと見なす(大きな前進) C事前面接の解禁などの改悪も。 
 派遣労働の規制緩和の結果、あまりにもひどい実態が明らかになったので、要綱は規制の方向に戻ろうとしている。しかし、要綱の基になった労政審では、政権交代が十分に審議に反映していず、審議の出発点は自公政権の時の「改正案」であり、それに派遣切りなどで浮上した問題点を付け加えるという経過をたどったため、自公政権の改正案にあった事前面接などがそのまま残ってしまった。また偽装常用、偽装専門業務、違反に罰則なしなど多くの抜け穴がある。格差社会に対する批判が高まったが、大企業や大労組は派遣規制に反対しているという政治的な背景がある。

常用雇用型の
意味を明確に!

 現行法の改正では登録型と常用雇用型の峻別が必要だ。厚労省は常用雇用型の定義を変えないと言っている。ここに大きな問題がある。常用雇用型と言っても半数は有期雇用、一年以下の雇用契約が全体の四三%、期間の定めのないのはわずかに二・三%、これが現状だ。
 しかも、常用雇用型は決して安定雇用ではないことが派遣切りの中ではっきりした。派遣切りの七五%が常用雇用型だ。派遣先から派遣契約を中途解約された常用雇用型派遣労働者の七六・七%が失職している。常用雇用だから派遣元は責任を持って雇用するはずなのに。常用とは名前だけだ。厚労省の定義をあらため、常用雇用型は期間の定めのない雇用だと言うことを明確にする必要がある。

専門業務の明確な定義を!

 期間の制限なしに働かすことができる二十六専門業務とは何か。これは実にあいまいだ。例えばその一つ事務用機器操作。派遣労働者の百万人が二十六業種で働いていて、そのうち四十五万人が事務用機器操作だ。パソコンを使った事務はすべてここに含まれる。ファイリングという専門業務。書類整理はすべてここに入る。これをどう規制するのかが大きな問題だ。

見なし雇用の抜け
穴に歯止めを!

 大きな前進だが、派遣先が違法派遣を知らなかったと言えば、見なし雇用から免れるという問題がある。これにどういう歯止めをかけるか。

事前面接NO!

 要綱では期間の定めのない労働者については認めるという限定があるが、現行法で禁止されている事前面接は非常に多い。どういう労働者が派遣されるか分からないから、派遣には本来リスクがあるものだ。しかし事前面接できるとなると派遣がどんどん広がっていき、リスクは派遣元に押しつけることができる。

驚き!改正法の施行期日

 製造業派遣や登録型派遣の原則禁止は施行を三年先にする。しかも、一部の専門業務での登録型派遣の場合は原則禁止を五年先とする。これほど変化の激しいこの時代にだ。

労働運動の課題

 労働者派遣を完全に禁止することができなくても、これを一時的なもの、専門的なものに限定していく必要がある。それ以外は企業が直接雇用すべきだ。いま、派遣法改正をめぐっては企業の思惑とぶつかっている。しかし、もっと生々しい問題がある。政党にとって派遣問題の取り組みが票になるかということ。それと関係して、国民、つまり正社員と公務員やその家族、派遣以外の非正規労働者のどれだけが派遣法改正を重要だと思い、自分の問題だと考えているのかが非常に重要だ。未組織の派遣以外の非正規労働者への理解を広げることが大切だ。
 企業は派遣法が改正された場合の対策を考えている。直接雇用は有期雇用で、派遣労働ではなく請負労働を上手に増やす、個人の請負を利用するなどだ。派遣問題の解決の次は有期雇用に対する規制をどうするかだ。均等待遇原則と並んで、有期ではなく期間の定めのない雇用に向けて問題解決の展望をたてる、そのときに、問題は非正規労働者全体の問題となり、解決の第一歩となる。(発言要旨、文責編集部)


もどる

Back