| なくそう貧困・つながろう愛知集会 かけはし2010.3.22号 |
| 「反貧困ネットワークあいち」結成に向け共通認識を獲得 |
1年かけて
集会を準備
二月二十八日、愛知県名古屋市の中区役所ホールで「なくそう貧困、つながろう愛知集会〜反貧困ネットワークあいちに向けて〜」が開催された。この集会は昨年の二〇〇九年二月二十二日に同じ名古屋市内で行われた派遣切り抗議愛知大集会を主催した実行委員会のメンバーが中心になって準備してきた。
昨年の集会以降一年間、派遣村実行委員会や相談会、学習会を積重ねて今年五月三十日(日)全国で十九番目の「反貧困ネットワークあいち」の結成に向けられて行われた集会である。集会は会場をいっぱいにする、様々な貧困当事者や支援に携わった人々、五百七人が参加し大成功した。
人も車も大事に
しないトヨタ
オープニングでは地元名古屋の「よさこい塾・竜馬隊」の迫力ある踊りと歌で始まった
午後一時、司会者の挨拶で集会が始まった。最初に集会実行委員長の内河恵一弁護士が開会のあいさつを行った。
「昨年は百年に一度の金融危機と言われました。しかしどういう理由であろうと国は国民を貧困から脱却させる義務があると思います。貧困問題は生きるか死ぬかの問題です。今、愛知県でもトヨタのリコール問題が大きな話題になってますが、ここにも人間を大切にするかどうかの貧困問題に共通する問題が潜んでいます。下請けの労働者を苦しめ、従業員を苦しめ、あるいは解雇し切り捨てています。こういう企業の姿勢が大きな問題をかもし出していると言っても過言ではありません。多くの企業が技術を向上させるためには、まず人間を大切にしなければなりません。それをしなかったことが今回のリコール問題の背景にあるのです。国が貧困問題を解決しないのならわれわれ自らが団結し解決に乗り出さなければなりません」。
群を抜いて失
業者が多い県
続いて森弘典弁護士が基調報告を行った。
「愛知県は製造業が盛んな反面、全国で群を抜いて非正規労働者の失職者が多くて大量解雇、派遣切り、期間工切りがおこり、その背後にある貧困問題に取り組む必要に迫られました。そのような中、昨年二月二十二日「愛知派遣切り抗議大集会」を開催しました。全国から五百二十五人の失業者や生活困窮者、野宿者、労働組合などが結集して成功しました。この実行委員会のメンバーによって、この一年の間に愛知県各地で七回にわたり『反貧困・駆け込み相談会』を行いました。相談者数は多い時で百人を超え、合計五百二十五人の人たちが相談に訪れました。その中で見えてきたことは解雇とともに住居を失い、所持金も底をついて、たちまち生活に困窮する実態が明らかになりました。実行委員会はこの明らかになったことを課題として取り組まなければならないと実感し、国、地方自治体、企業に対して要請を行いました」。
「相談者の中には住む所がないため共同で一つのアパートに住んだりする人。子どもの入学金や制服代を支払えないほどの生活にひっ迫している人、また、夫から暴力を振るわれ何も持たず逃げ出して子どものおむつも買えず困っている女性。不当な理由で生活保護を打ち切られようとする人などがいました。私たちは様々な貧困に取り組む人たちと連携する必要があると思います」。
「一つに共通の課題として社会的・経済的弱者の人権を擁護する活動はそれぞれの分野で固有の課題を抱えると同時に労働・福祉・医療政策で弱者の権利や立場が弱められてきたために共通の課題を抱えています。新自由主義を背景とした経済政策、規制緩和、福祉予算の削減などにより生活保護、年金、児童扶養手当、医療、保険など社会保障が切り下げられています。これに対抗しなければなりません。そして『貧困』の問題を可視化させ『貧困』は『自己責任』ではない。それを見える形にすること。無視できないものであることを知ること、知ってもらうことが必要です。二つに個々の取り組みだけでなく、多くの個人・団体が一致団結して貧困を克服するという観点から協同が求められています。提言・要請、相談、学習、を行い、貧困の当事者を主体にして取り組んでいきます」。
フィリピン労働
者が連帯の発言
基調報告の次に当事者からの報告がされた。
まず増田さんが貧困ビジネスである無料低額宿泊所における劣悪な実態と生活保護費を月九万円も支払わなければならない実態を報告した。一年前に派遣切りにあった大窪さんは解雇から現在に至る闘いの報告を行った。
続いて名古屋に在住するフィリピン人のタピルさんが報告した。タピルさんは「フィリピン人移民は貧困のため世界二百カ国に出稼ぎに出ており日本には二十四万人が存在し、その内五〇%が女性である」ことを報告し「多くの問題を抱えながら彼、彼女らは当然の権利も守ってくれる法律も無いまま生きています。貧困問題も労働問題も民族差別も私たちが解決しなければならないと思います。日本人・フィリピン人・他の国々の人たちと団結し闘いましょう」と訴えた。今年、卒業した高校生の渡部麻衣さん(愛知高校生フェステバル第46期実行委員長)は私学高校の無償化を求めてアピールした。
社民党、民主党、公明党が来ひんあいさつを行ったが、前政権で現在の貧困を作り出す一翼を担った公明党の代表があいさつをすると激しい野次や怒号、失笑が起こるなど一時騒然とした雰囲気なった。
湯浅誠さんが貧
困の実体を報告
続いてこの集会の一つのメインとして湯浅誠さんと宇都宮健児さんから基調講演が行われた。
湯浅誠さんは次のように語った。
「昨年十月から内閣府参与になり、年末年始の失業者対策、具体的には派遣村の取り組み、生活保護の運用改善対策や住宅確保の取り組みなどをやってきた。できたこととできないことを比べるとできないことのほうが多かった」。
「昨年十一月で完全失業者は三百六十三万人だが、そのうち親と同居していない人が半数以上で、扶養している子どもがいる人が四人に一人、メンタルな面で不調の人が三六・一%だ」。
「ILOの指摘では日本の雇用保険のカバー率は二三%にすぎない。生活保護を受ける前の第二のセーフティーネットをしっかりさせなければならない。子どものの貧困も深刻で、授業料が払えず、卒業を前に高校に行けない人が一万七千人もいる」。
「二〇〇九年十月の段階で、完全失業者数は前年より三四・九%増、雇用保険受給者は四三・二%増、雇用保険切れ失業者は三八・四%、自殺者の数は一・六%増だ。日本は働いても貧困から脱け出せない現実もある。
将来未熟練労働に就くと思っている子どもの割合も五〇%と世界一だ。また住宅は権利であるという発想もない。住居の問題は一番遅れており通年的課題にしなければならない」。
宇都宮健児さんは、反貧困ネットをワークの広がりについて報告し、今後の課題として「貧困当事者とつながること」「ワーキングプア対策の強化」「セーフティネットの強化」をと訴えた。そして反貧困愛知ネットワークに期待すると語った。
多くの分野の
団体が発言
後半では、各分野の活動団体からの呼びかけでは、「愛知女性ユニオン」の坂さんが、「均等法以来、職場では女性に対するセクハラが横行し、こういう集会にも参加できない、男性のいる集まりには参加できない女性たちが多くいます。セクハラをされたのに加害者ではなく被害者が会社を辞めていくということも多くあります」と深刻な事例を報告した。
生活保護問題に取り組む「生活と健康を守る会」の高柳さんは「水際作戦」と呼ばれる生活保護適用妨害に対して派遣村の運動が広がる中で自治体の窓口に大きな変化を勝ち取る事ができたと報告。野宿者支援に取り組む笹島診療所の定森さんからは、「名古屋の野宿者は約六百四十一人。貧困は貧困に苦しむ人たちだけの、また、行政だけの問題ではない。襲撃する人や貧困を狙ったビジネスが生まれてしまう社会。障がい者を無視したり人とのつながり、絆が失われた社会。これを見たとき、地域に住む一人ひとりが貧困のおきている社会の当事者ではないだろうか?」と問題提起した。
愛知県難病団体連合会の貝沼さんは、「特定疾患治療対象となる難病は、一定医療費の保障はあるが、対象にならない多くの難病は三割自己負担となり、病気によっては月額五十万円もの支出になり借金をして治療をしている患者もいる。その借金を返すために体に無理して働き悪化を誘発しています」と報告した。
さらに障がい者団体「NPOわっぱの会」、「日本居住福祉学会」、「愛知県商業団体連合会」、「愛知県高教組」、「愛知民医連」、「かけこみ女性センターあいち」、自殺問題に取り組む「愛知いのちの電話事務局」、多重債務と貸付について「東海労働金庫」から、それぞれの報告を行った。
5月30日の結成
総会に結集を
集会宣言が読み上げられ、名古屋大学教授の和田さんから「反貧困ネットワークあいち」の結成が呼びかけられた。「私たちは五月三十日(日)に愛知県司法書士会館において午後一時半より『反貧困ネットワークあいち』の結成総会を行います。このネットワークは貧困の当事者と、それを支え支援している個人や団体、専門家のネットワークです。まず貧困の声をすくい上げ、エンパワメントをしていくために学習を行っていく。そして『自立』やセーフティーネットについてどのように考えればいいのかをみんなで考えていきます。税金や福祉についてもそのあり方に声をあげていき、そのために力をつけていかなければならないと思います」。
最後に愛知派遣村実行委員長の藤井さんが「お互いに率直な批判や意見を出しながら、お互いに認め合いながらやっていけるネットワークを作りたいと思います。もっと多くの人、様々な分野の人と一緒にやっていこうではありませんか」と閉会のあいさつを行った。
集会のすべてのプログラムを終了し、参加者は名古屋市内のデモ行進に元気よく出発し沿道の人々に反貧困を訴えた。この集会の呼びかけに応え五月三十日結成総会を成功させ愛知県の地から反貧困の大きなうねりを作り出していこう。(越中)
マーチ・イン・マーチ2010
ともに移住労働者への攻撃をはねかえそう
三月七日、日比谷小音楽堂で「奏でよう♪移住労働者の声を♪ マーチ・イン・マーチ2010」が行われ、四百人が集まった。
朝から冷たい雨がふり、午後からは雪になるかもしれないというあいにくの天気の中、神奈川シティユニオン、全統一労組や全国一般なんぶなど移住労働者が多く参加する組合旗が会場になびき、ラテンアメリカ、南アジア、アフリカ、欧米の労働者が集まった。
二〇〇八年九月のリーマンショックによる世界大不況の中で、派遣切りなど解雇があいついだ。中でも、外国人労働者の多くが首切りにあい、名古屋、浜松、長野県や群馬県などで移住労働者が本国に帰らざるを得ず、街自体が深刻な打撃を受けた。こうした状態は依然として改善されることなく、移住労働者の権利は奪われている。こうした移住労働者への攻撃を日本人労働者がともに闘いはねかえそうと今回の集いは企画された。
最初に解雇され
る外国人労働者
けんり春闘共同行動代表の開会のあいさつと福島みずほ消費者担当相が来ひんのあいさつを行った後、いよいよ移住労働者による音楽が披露された。プンムル、ノレの会(韓国)、アリソン・オパオン(フィリピン)、打楽器(セネガル)、アイヌ舞踊・レラの会、研修生合唱団(中国)、シティユニオン合唱団(ペルー)、エイサー「月桃の花」歌舞団(沖縄)、サンバ、パーカッション(ブラジル)、労働合唱団(日本)。プロ級のソロや陽気なサンバ、アフリカの迫力ある打楽器、そしてアイヌの踊りと多彩で自然と体が動き、連帯を実感するすばらしいものであった。
音楽の間にスピーチが行われた。全国一般なんぶの労働者が「天気は最低だが、こんなに人が集まってくれて気分は最高だ。権利のために闘うのは当然だ。移住労働者と共生のために闘うのは当然だ。組合活動は当然だ」と訴えた。群馬の交通ユニオンが「太田、大泉、伊勢崎でブラジル人労働者が首をどんどん切られ、減っているという。肌の色や民族を超えて下からの連帯を作り出そう」と語った。全統一の仲間が「『世界は広く、みんな多様性を持っている。いっしょにがんばろう』というスローガンで闘ってきた。今回の集いを成功させ、ともに生きていける世の中をつくろう」と提起。
神奈川シティユニオンのペルー人労働者が、自分の妻はチリ人だ。チリ地震で多くの仲間が死んだと一分間の黙祷を提起した。ペルー人労働者たちが、ホンダとコンビニエンスの替え歌を披露し、何年働いても、一生懸命働いても権利がないと抗議した。「コンビニ弁当はわれわれラテンが作ってる。真夜中ラテンが作ってる。賃下げ、解雇でコストダウン」。移住労働者と連帯するネットワークが「すべての生活と権利を保障する社会を作っていこう」と訴えた。
それぞれの母
国語で大合唱
一九八五年にアフリカの飢餓を救おうと作られた「We are the world」をモエヤンの指導によって何度も練習し、会場一体となって大合唱した。参加した国はガーナ、パキスタン、インドネシア、在日コリアン、フィリピン、ペルー、セネガル、日本。サビは英語だがそれ以外はそれぞれ母国語で歌われた。
最後に全統一の鳥居さんが「今回の集いは初めて音楽や踊りを主に行うということで小音楽堂を借りた。あいにくの雨が降ってしまい、地方からの参加者がこられなかった。コンビニ弁当はだれが作っているのか、という替え歌があったが、移住労働者抜きではわれわれの生活が成り立っていかない。日本人も当事者だ」と訴え、今度のメーデーには、日比谷の野外音楽堂で「We are the world」と提起した。団結がんばろうを三唱して連帯を深めた。なお、デモ行進は朝からの行動と長時間の集いで体が冷え切っているということで中止された。 (M)
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