犯罪の実態を公表し、処罰せよ!
民衆運動を弾圧する公安警察解体 |
隠蔽・居直りは許されない
十一月横浜APEC警備を利用して対テロ・治安弾圧体制作りの強化でハリキッている神奈川県警に激震が起きている。県官僚組織をめぐる裏金作り発覚を契機に県警に「飛び火」してしまった。県警は二月五日、長年、巧妙に隠蔽しながら不正経理(裏金作り)を繰り返してきたが、逃げ切ることができないと判断し、〇三年〜〇八年度にわたって本部五十四部署と五十四警察署で総額十四億三百十八万円の裏金作り犯罪を認めざるをえなかった。業者に公金をプールする「預け」で七億四千九百七十万円、納品を翌年度に回す「翌年度納入」の操作で三億千四百三十万円、契約せずに物品を納入させる「契約前納入」で一億八千四百十九万円などである。最低百七十業者と共謀のうえ犯行を続けていた。
県警幹部は、「署の会計課長や経理担当職員など百十七人が不正経理への関与を認めている」と公表した。しかし、なんと県警幹部に調査聴取していないにもかかわらず「幹部の関与はない」とか、「主に会計担当者がそれぞれやったことで、組織的なものではない」などと下部に責任に押しつけ、「トカゲの尻尾切り」で強行突破していくというあいかわらずの居直りを前面に押し出してきたのだ。犯罪者が自己の犯罪を調査することはできないが、否、たとえ調査してもそれは隠蔽するための取り組みでしかない。
渡辺巧本部長よ!「県民の信頼を裏切り誠に申し訳ない。再発防止に努める」と謝罪したが、税金を泥棒した総額返金はいったいどうするのだ。公文書偽造、公金横領罪が完璧に成立しているが、誰が罪人を逮捕し、捜査するというのだ。犯罪者集団が捜査するというのか? ふざけるな!ただちに第三者機関による調査を行い犯罪実態を社会的に公開せよ。とりわけ人権弾圧を繰り返してきた公安警察は、「捜査の秘密」などと理由にもならない言い訳をして、必死に抵抗してくるに違いない。
過日、霊感詐欺商法「神世界」の重要幹部として関与した公安警察の吉田澄雄警視を地方公務員法違反(08年7月)で懲戒免職処分、上司も処分したが、「県警崩壊」につながるとして吉田と上司の処分だけで逃げ切ってしまった。いまだに「神世界」事件は未解明であり、吉田は逮捕もされず生き延びている。公安警察の犯罪全貌を明らかにさせ、厳しく取り締まれ。県警の犯罪を過去に遡って明らかにし、泥棒した税金全額返還、公文書偽造・公金横領罪・詐欺罪を適用し、断罪しなければならない。「県警崩壊」は、長年の犯罪の報いであり、現実を直視し社会的に謝罪せよ。即刻、県警幹部は退職金支給ぬきで立ち去れ。
県警の犯罪を黙認するのか
県警を含む県官僚組織の裏金作り発覚の経過は、こうだ。会計検査院は、〇八年十月に北海道、青森、岩手、福島、栃木、群馬、長野、岐阜、愛知、京都、和歌山、大分の道府県において、国から交付された補助金を本来の事業目的以外の用途に使用する不正経理が行われていたことを明らかにした。その手口は、領収書を改ざんし、業者に公金を渡してプールさせたり、出張旅費を補助事業から回していたというのだ。〇二年から〇六年だけで総額五億五千万円に膨らんでいた。
この行政官僚機構の不正経理問題が社会的に指弾されるなか神奈川県も調査を実施することに追い込まれた。その結果として県は、〇三年〜〇七年度にわたり環境農政、県土整備両部の国庫補助事業で約六千四百件、約二億五千万円の不正経理が判明したことを発表した(09年4月20日)。
なかでも県政策部税務課では約一億二千万円の「預け」による裏金があり、職員四人(うち一人が発覚を恐れて自殺)が三千五千万円以上を使い込んでいた。職員らは、業者から図書券を貰い金券ショップで換金して、私物購入、パチンコ代、飲食代などに私的流用していた。県は、三人を公金詐欺罪で県警に告訴した(09年12月22日)。
ところが松沢成文知事は、県の裏金作り事件の記者会見で「県警でも職員百二十二人が『預け金があった』と調査アンケート で回答している」と述べ、県警にも裏金疑惑が存在していることを明らかにしてしまった(12月22日)。松沢は、県組織全体にわたる裏金作りと使い込みの責任を少しでも軽くしたいという願望、および県警の巨額な裏金作りが発覚する前に明らかにしておくという自己保身を目的とした「事前対策」として立ち振る舞わざるをえなかったのである。
県警は、松沢が暴露してしまったため逃げ切ることができず急きょ記者会見したが、冨岡昭彦会計課長は「詳細はまだ分からない」「こちらに『火だね』があっては、県職員に対する捜査にも支障が出かねない」など意味不明な弁解をするしかなかった。
結局、一月二十一日、渡辺県警本部長は、発覚した裏金作り問題について「各部署の会計担当者の個人の判断で行われたもの」などと下部に責任を押しつけ、歴代の会計担当者の間で引き継がれてきたことが明白であるにもかかわらず、県警組織として公金横領と文書偽造を繰り返してきたことを否定してしまった。裏金作りの契機として「急な備品購入などの経費をつくるためだった」「予算を組む際の見通しに甘さがあった」と無責任な言い訳をする始末だ。しかも「精密に仕事をすれば今の会計制度でも対応できる」と居直るのだった。ここまでくると犯罪者集団として今後も犯行を続行するという決意表明だ。
さらに県の裏金作りの公表と一緒に県警が発表しなかったことについて「詳細が把握できていないので、まだ公表できる段階でない。隠すつもりは全くなかった」と言うのだった。
松沢は、県警の隠蔽演技も「もうだめだ」とかばいきれず「預け金が私的流用につながっていないか、県警でしっかり調べて県民に説明してほしい」などとぼやき、長年にわたる県警の犯罪を黙認してきた無責任な行政指導であったことを棚上げにするしかなかった。
警察庁が証拠隠滅指導
それでは県警の裏金犯罪の性格をはっきりさせようではないか。
発覚した県警の裏金作りと不正使用の時期は、〇三年〜〇八年度であった。もちろんそれ以前から現在に至るまで犯罪を繰り返してきた。この時期は、二〇〇三年の北海道警察の裏金問題発覚を契機に、全国の警察組織で裏金問題が連鎖的に発覚するという事態に直面し、関係警察幹部を切り捨てることによって必死に封殺してきた時期と重なるのである。〇四年に入ってからは、警察裏金問題が大きく連続的に報道され、国会でも野党が追及するという事態に入っていた。しかし、警察庁は、文書管理規則が五年間の保存期間であるにもかかわらず、被害が及ばないようにするために関東、中部、九州の各管区警察局、全国三十八の都道府県警察など三百二十六の課や署で犯罪証拠書類の破棄を秘密裏に指令していたのであった。全国警察組織においてほぼ一斉に文書廃棄しているから、警察庁の強力な指導があったことは明白だ。
神奈川県警も忠実に証拠隠しを強行した。ところが朝日新聞(04年4月29日)に「文書を廃棄したのは神奈川県警本部の刑事総務、薬物対策、装備、教養、試験課と、瀬谷、多摩、座間署、第一交通機動隊の九部署。港南署」にわたって「廃棄処分していた」とすっぱ抜かれてしまった。県警幹部は、「間違って処分してしまった」などとみえみえのウソをついていたが、それらの書類は県警裏金作りを証明する裏帳簿など重要証拠であった。結局、県警は警察庁と一体となって裏金作りと不正使用犯罪を圧殺しぬき、その構造を温存することに「成功」した。
同様に隠蔽システムも防衛しぬいてきた。県警は、当時、連続的な不祥事発生の事態に直面し、一九九一年三月に「組織防衛マニュアル」を極秘裏に県警本部の課長以上に配布していたのだ。マニュアルは県警監察官室が作成し、「事案の真相の早期把握」「適切な処理方針の樹立」、「適切な報道対策」などを指令している。とりわけ「不祥事は、社会への影響の大きい場合を除き、積極的には公表すべきでない」と強調。その理由として「一般市民の警察への信頼感と警察職員の士気を低下させるだけ」だからだというのだ。「マスコミとの摩擦を恐れるというだけの安易な考えで公表することがあってはならない」とまで言い切っている。
これだけではない。「関係職員に対する適切な措置」として、「職員が自暴自棄にならないよう細かい配慮をし、できる範囲での再就職斡旋に努め、その後、警察の目の中にいれておくことが必要」など提示し、監視体制を維持せよとしている。監察官室は「誤解を招く表現があるのは確か」、「この文書は執務資料として作られたもの。県警の内規では、執務資料の効力は一年しかなく、現在はこうした姿勢で不祥事対策をしていることはない」と対応したが、現在も引き継がれていることは間違いない。今回の裏金作り発覚のプロセスを検証すれば、「組織防衛マニュアル」を実践していることはあきらかではないか。いいかげんに嘘をつきまくることをやめろ!
APEC厳戒体制糾弾!
警察庁は、「〜来年開催のAPEC、洞爺湖サミット以上の厳しい警備に〜」と題する〇九年の「治安の回顧と展望」を発表した。「APECは、北海道洞爺湖サミット以上に厳しい警備となることから、組織の総力を挙げた取組みを推進する」などと煽動しているが、当然、裏金作りと不正使用の「反省文」は全くない。さらに警察庁は、一〇年度の警察庁予算案として二千七百五億四千三百万円を提示した。〇九年度予算額と比べると三十二億九千万円も増加した。「APEC警戒警備などテロの未然防止と緊急事態への対処態勢の強化」などを理由としている。県警はAPEC対策費として、約八億四千六百六十万円も計上した。すでに県警はAPEC対策課を立ち上げ、横浜市と市民、マスコミを動員して「要人警護」「テロ対処」「暴徒鎮圧」訓練を繰り返している。公安警察は反APEC運動を取り組む市民運動、活動家に対する監視、いやがらせを強行している。裏金作りと不正使用を居直る一方で対テロ・治安弾圧体制作りを許してはならない。反APEC運動の取り組みの一環として警察庁・神奈川県警など警察権力の犯罪を糾弾し、公安警察解体を掲げていこう。
(遠山裕樹)
おおさか社会フォーラムに向けプレ企画U
「地域主権」構想と橋下府政を徹底批判
【大阪】三月に開催される「おおさか社会フォーラム」に向けた二回目のプレフォーラムとして、一月二十六日、エルおおさかで「もうひとつのおおさか、もうひとつの日本」をテーマとした討論会が開催され、百人が参加した。
メインの講演は神戸大学教授の二宮厚美さん。二宮さんは新自由主義批判の論客として多忙な活動の中で、フォーラムの成功のためにかけつけてくれた。
橋下知事の徹底
した新自由主義
鳩山政権の「地域主権」構想と大阪府の橋下知事の「関西広域連合」は、あたかも地方自治や地域住民の利益を増進するものであるかのように言われており、メディアでも批判が許されない状況になっているが、実際にはいずれも新自由主義に基づく「水平的所得再配分」にほかならないと二宮さんは鋭く指摘する。現在の経済危機と不況の中では、「垂直的所得再配分」、つまり国から地方へ、金持ちや企業から貧困層へ金を回さなければならないのに、橋下の「関西広域連合」は、関西地域のあらゆる資源を大阪ベイエリア(湾岸地区)に集中し、強い企業(関西ではシャープ、パナソニックなど)に国際競争に勝ち抜くためのあらゆる便宜を提供することを意図している。これは関西財界の利害と一致している。
一方、鳩山政権と橋下府政の大きな違いとして、鳩山政権においては、本質的には新自由主義的改革を目指しているが、〇六年以降小沢のイニシアチブの下で反構造改革を鮮明に打ち出し、そのことによって政権交代を実現したという側面がある。この側面に注目すれば、鳩山政権には一定の可能性がある。それに対して橋下知事の場合は、徹頭徹尾新自由主義であり、彼自身の粗暴で独善的な体質とあいまって、一切の幻想の余地はない。一刻も早く打倒するしかない。
一時間半にわたる力のこもった講演は、就任以来絶えずメディアを賑わし、異常な高支持率を維持している橋下知事と、その背後にいる関西財界が目指している方向を明快に解明し、橋下府政への憤りにしっかりとした理論的根拠を与えた。
3月社会フォー
ラムの成功を
質疑の中では、小沢疑惑の問題、橋下の高支持率、関西財界の軽薄さ、大阪府と大阪市の間の水道事業統合案等について質問があった。
回答の中で二宮さんは、政治が「ワイドショー政治」となっている背景として、新自由主義の下で政治が地域の身近な問題と切り離され、疎遠になっていることを指摘した。もう一つの背景として、大阪の特殊な事情を指摘した。一つは、他の府県では、全国紙のほかに、有力なローカル紙があり、一定の批判的役割を持っているが、大阪にはそれがないこと、もう一つは大阪のメディアに支配的影響力を持っている吉本興業の文化が不断に弱者へのいじめを助長していると指摘した(吉本の評価について、筆者は異論があるがここでは触れない)。
最後にATTAC京都の春日匠さんが三月のフォーラムへの結集を呼び掛けた。
三月のフォーラムに向けて、二回のプレフォーラムと、実行委員会ごとに行われるミニ学習会を通じて、課題が共有されつつある。十万枚のチラシと五千枚のポスターも、この日から配布が始まった。ワークショップやオープンスペースの企画も集まりつつある。本番まであと二カ月、全国の読者の皆さんの注目と協力・助言を訴える。(KO)
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