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鳩山政権の下で一〇四七名問題早期完全解決へ全力を上げよう |
国鉄一〇四七名採用差別問題は鳩山政権が成立したことで解決に向けた決定的な局面に入った。二十四年目を迎えるこの不当な人権じゅうりんを放置していいはずがない。二月十六日には全面解決に向けた集会が予定されている。鉄建公団訴訟原告団事務局長の佐久間誠さんに闘いの展望について話をうかがった。
政権交代・好機到来
――政権交代がありましたが、それの前と後ではかなり状況が変わって、解決に向けた具体的な目途も出てきているのではないかと思います。二〇〇八年七月の鉄建公団控訴審第十回期日で東京高裁の南裁判長は、今後の裁判の進行に関して触れる中で原告・被告双方に対し「ソフトランディングできないか」と、裁判外での話し合い解決を促し、それを受け公明党が動いて、冬柴国交大臣の「解決に向けて努力する」という談話が発表されました。そして、〇九年二月十六日の集会に鳩山民主党幹事長が参加し、解決に協力するという発言がありました。二月十六日を起点として十一月の集会までの動きについてお聞かせください。
鳩山さんが二月十六日、星陵会館の集会に来て、「二十三年が二十四年にならないうちに解決できるように」という決意が示されました。あれはやっぱり大きかったですね。ただ基本的には前政権の時も今の政権になってからも、確認されているのは政局に関係なく、人権・人道上の問題としてこの問題については取り扱う。そういう共通点ができているから、公明党も野党にはなったけど、座長の弘友さんが変わらず十一月集会に出てくれた。
われわれの側からすれば鳩山新連立政権ができたことによって好機を迎えたと分析している。この国鉄問題は自民党がしかけて、中曽根が最高責任者として指揮をとったわけです。それに追従する官僚。これが一番難敵だった。しかも自民党の中では一応解決に向けたチームも出来ていたが党内の全体的なところでいうと、「中曽根さんが健在なうちは」と躊躇する動きもあった。そういうところが取り払われたというところではやりやすくなった。
後は総選挙の時もそうだったが、民営化経済政策の見直しが浮上してきた。景気はずっと悪いが、リーマンショックに端を発した経済の冷え込みをどうするのか。自民党政権とは違う方向性を民主党が打ち出している。しかも、郵政改革のところで言うと、改革に反対している国民新党と連立を組むようになった。争点として新自由主義路線について、経済政策を転換する動きがあった。それらが総合的に作用している。
南裁判長の「政治解決」提案
――話を少し戻しますが、〇八年七月南裁判長がソフトランディングの提案をした根拠は何でしたか。裁判・運動の流れの中でも重要であったと思いますが。
南裁判長は、今やっている鉄建公団訴訟でどの程度原告を救済できるのかと考えたのではないか。その司法の限界性をこちらの弁護団も見ていた。東京地裁の難波判決があの程度だったし、そして、全動労のところもだいたい同様だった。そうすると高裁のところが先に地裁で二つ出された判決を大きく踏み越えることは至難だったのではないか。南裁判長はJR東海の葛西会長を証人として採用し、政治解決も睨みながら、原告等の救済が司法の中でやってみても不十分なわずかの損害しか認定できないことから、雇用や年金の制度回復をも果たすことの可能な「政治解決」によって裁判外の和解を進めたと考えられる。それだけ「余りにも気の毒」と思うようなひどい不当労働行為が行なわれた、との心証が働いたと考えられる。
――分割・民営化の根拠となっている国鉄改革法二十三条の壁ですか。
国鉄改革法二十三条は「新規採用」方式をとった首切りでした。名簿作成は国鉄、採用はJRとし、採用過程を二分し、両者は無関係としたもので、ここをどう打ち破るかということであった。二十三条が大きな障壁だった。
また、因果関係論のところを踏み越えることが出来るかどうかということもある。「必ず採用された」という証明がないと言われるが、管理調書などは被告がもっているべきもので、こちらにはない。国鉄は多種多様な職種に分かれており、原告が「必ず採用された」と言い切れるだけの証明をすることは至難だ。
二〇〇三年十二月二十二日に、最高裁はJRに法的責任はなしという判決を出した。しかし、この不当労働行為は各現場段階で行われたものであり、本来は労働委員会で救済すべき事柄だった。しかし、最高裁は労働委員会が認定した不当労働行為を認めなかった上、司法で判断するということに切り替えた。不当労働行為があるんだったら、国鉄あるいは清算事業団相手に訴訟を起こせということだから。最高裁がそういうふうに言ったにもかかわらず、訴訟を起こしてみたら、結局わずかばかりの涙金でかたをつけようとしている。それはやっぱりいかがなものか、ということがある。
こちら側の弁護団から南裁判長に、現在の政治の動きをそれとなく伝えた。政治による解決が、われわれが求める雇用・年金・解決金、そして路頭に迷わない解決を最も満たすものである。結局、司法のところで裁判決着ということになると、おカネだけだから、雇用とかは出ない。二〇〇三年で切られているわけだから。
そして、年金でいうと制度上の回復を求めている。制度の回復のところも裁判所のところでは解決できない相談となる。損害については損害金ということでしか司法は判断できない。政治解決が必要だということを裁判所に匂わせていた。それを裁判所に受けとめていただいたということだ。
民主党の協力姿勢
――そこで、公明党が動いたのがきっかけとなって動きに加速がついた。前からそういう動きはあったのですか。
国土交通大臣が公明党から選出されておりましたから。南裁判長も裁判外の和解を勧めた。公明党は自分たちの党から出している冬柴大臣も解決に協力する発言をしているし、こちらからの要請もあって、やっぱりこれは解決すべきではないかということで動いてくれた。もともと公明党自体は、自民党とくっついた与党の立場ではあったが、どちらかというと支持母体は社会の底辺にある生活者が多い。その意味では人権・人道問題についてひとつのポリシーを持っている。そこで対応委員会を作っていただいた。
――結局、そのソフトランディングはうまくいかなかった。なぜでしたか。
公明党が自民党にも働きかけてくれたがあまりにも時間が短かった。その時、判決で出されたものプラスアルファ・見舞金くらいのところであれば前政権のところでも解決できるとの雰囲気ではあった。しかしそれでは落とし所にはならない。結局、雇用・年金・解決金がそろわなかったら解決案にならない。これは再三再四政治の窓口に繰り返し伝えていることだ。原告の求めるものと被告の考えに差がありすぎた。
――昨年の二月十六日の集会に鳩山民主党幹事長が参加しました。政権交代で鳩山さんが首相になったわけですから、今後の展開に大きな役割を果たすと思いますが。
民主党は二〇〇七年ぐらいから、北海道では国会議員が窓口を作ってくれたし、その後に九州でも対策会議を作ってくれた。関東でも窓口ができ、オール民主党の構図がそろったということ。だから鳩山さんも当時の幹事長としてインパクトある発言に見られるように力を入れていただいた。今後の展開には期待が高い。
――〇九年三月に鉄建公団訴訟控訴審の判決が出ましたが、判決前あるいは年度末までに解決の目途を立てるという各政党の発言が二月十六日にありましたが。
それはおそらく高裁で不当労働行為を認定する判決が出るだろうというのが一つのポイントではあった。鉄建公団訴訟では地裁で難波裁判長が認めている。高裁で再びこれを追認されたら、被告は相当苦しくなるよということで、相手との駆け引き・判決前に交渉するよう内外に発信したものだ。当然今やっているのは、横浜訴訟が十二月二十二日に判決が出るし、最大規模の国労訴訟も判決は「追って指定する」となっているが、二月ないし三月中には出されることになろう。そういう判決が出る前に、交渉ごとですので判断をすべきだというのが、こちら側からのメッセージだ。
自民党とは逆のことを
――〇九年の十一月二十六日の集会で、今度は鳩山さんが首相になったわけで、解決の期待が高いものとなりましたが、今後の見通しをお聞かせください。
集会でそれぞれの政党が言われたが、具体的にこの問題についてわれわれが求めているように、「運輸機構はきちんと交渉テーブル作って、当事者ならびに代理人がそろった中で、交渉しなさい」という一定の判断が出てくると思う。高嶋民主党筆頭副幹事長が集会で述べられたが「正式にこの集会での決議が上がってきた段階で、民主党として努力する」との表現はそれを指していると思われる。鳩山さんなんかは「二十三年が二十四年にならないように」と言っているわけだから、全体がそろったと思う。後は前原大臣が手順を踏んで指示を出されるのではなかろうか、と見ている。
――そういうのは日時とか期限とかはっきりしないものですか。
どういうふうに展開するか分からないが、〇九年の十二月十一日に鉄道運輸機構に対して、こちら側から四者・四団体と各訴訟の代理人で申し入れた。相手は下手なことを言わないよう構えていたと感じた。「政治の指示がまだない段階では……」と態度は頑なだった。再三のこれまでの要請の中では「機構単独で経営判断できる」と言っていたが、鉄運機構では責任を持てないと考えられるので、やはり国土交通省が決断を示さなければならない。
――自民党政府の時は見える闘いだったが、民主党連立政権になって、はっきり見える形で解決しますとはなっていない。いらいら感はありませんか。
いま、政権が代わってそれほど経っていないわけで、私はオルグの時、方々で言っているのは、半世紀自民党政権が続いた。新政権は、これまでの前政権下でパイプに詰まった泥を全部掻き出してきれいにする作業が最初にある。すぐやれるものと、時間のかかる問題とが当然あると思う。一〇四七名解雇問題は国防問題と違って解決しやすい問題だ。一〇四七名解雇問題は、一九八七年の国鉄分割・民営化される当時の国会での付帯決議の「組合差別があってはならない」ということや「一人も路頭に迷わせない」という約束ごとそのものを破ったことに起因しているわけだから。そのことが労働委員会でも裁判の中でもどんどん認定されている。
しかし二十三年間も人権問題で放っておかれている。これまで一〇四七名のうち五十九人も他界している。時の自民党政権が進めてきたことの真逆のことをやるというのが、当面は民主党の旗印ではないかなと思う。その課題の中に一〇四七名問題も一つ入っている。今年の参議院選挙がある。現政権が一〇四七名問題を解決することによって、労働者・弱者の立場に立ち、人権蹂躙を許さない、そういう立場に立った政党であることをアピールする格好の材料になるのではないか。民主党がきちんと解決するということが今後の進むべき方向性を指し示すものになると考えている。
2・16集会の重要性
――いまも言われたように、いままで五十九人の闘争団員が亡くなりました。闘争団の解決に向けた強い意志が集会では感じられましたが、いまの局面をどう考えているのでしょうか。
〇九年の二月十六日の星陵会館での集会、そして同・十一月二十六日の集会ということで、原告や家族は力づけられて明るく帰った。ただ、こちらの原告のところで意思統一しているのはこの政治解決が仮に壊れたとするならば、次善の策として、これは最高裁が解決の労を取れということだ。二〇〇三年の判決の責任がある。そのメッセージを最高裁にぶつけている。今も五十万署名を展開していて、原告はひとり三百筆、原告全体で十万筆を集めようと号令をかけてやっている。全国各地区で百カ所を目標に集会を重ねていて、十二月段階で九十くらいになっている。そういう積み上げの中で展開していく。
三項目要求がひとつでも欠けたものでは手打ちはできませんから。そうなってくると、最高裁が仮に労をとらなかったということになれば、判決を求めていくことになる。しかし、先程言ったように、最も望ましいのは今、進めている政治解決の中で、決着をつけることだ。
――そうすると、何らかの形で節目をつくっていかなければいけないので、今年の二月十六日は重要ですね。
政治解決のタイムリミットは、裁判の進行との関係もありまして、二月もしくは三月。ここがギリギリなんです。それを越すと、次々と判決が出される。その判決がどういうふうになるかということも、あながち考えられないわけではない。だから、そのタイムリミット前までにということは政治家の皆さんも分かっている。したがって、二月十六日の集会というのは、ひとつの大きな時期的な目標としてがんばってくれるのではなかろうかと思う。
――一〇四七名問題と少し違いますが、尼崎脱線大事故問題でJR西日本が事故調査委員会へ虚偽の報告をしたことなどが明らかになり、大きな問題となっています。分割・民営化を推進し、JR西日本の会長になった井手正敬の経営方針が安全無視のカネもうけ主義だと批判されています。もう一つはJR東日本による信濃川不正取水問題です。JR東日本は非を認め謝罪し、十日町に賠償金を払うと発表しました。こうした民営化後のJRの体質についてどうお考えになりますか。
「儲けのためだったら何でもアリ」という経営体質がさまざまな問題を引き起こしている。結局二つとも、国交省の采配にかかってくる問題だ。今後JR西日本が暴走しないように、安全対策をしっかりさせることで国交省は目を光らせることになるだろう。JR東日本については不正取水みたいなことを二度と繰り返さないように、キチンとした対応をするように監視することが国交省の手に握られている。そうすると、この問題で仮に国交省が解決しろと言った時に、JRの方が冗談ではないと言えるかどうか。非常に言いづらくなっている。
旧国鉄の経営陣が、全部新会社JRに逃げ込んだ。不当労働行為をやった者が、JR幹部になって残っているにもかかわらず、一〇四七解雇問題にJRとして何の責任を取らないということは許されない。旧国鉄を解体したから、鉄運機構に採用すると言ったって、そんなに人が要るところじゃないから、JRに採用するしかない。JRに採用させるためには、今回の問題は有利に働いていくのではないかと思う。
労働運動の再生へ
――一〇四七名問題の解決がもたらす今後についてどうですか。
一九八七年の国労つぶしの大きな流れから、労働者側のところで言うと、例えば同じころに労働者派遣法が成立させられた。非正規労働者が全労働者の三分の一を占める状況であるとか、二百万円以下の年収の労働者が一千万人だとか、あるいは二〇〇九年の上半期で見ると、中小企業の倒産件数が七千件を超えて、負債総額が四兆円強を抱えている。こういう状態になって、派遣村の出現であったり、若者の暴走につながっている。秋葉原での無差別殺人事件とか、そういう暗い社会風潮になっている。これらは労働運動が力をそがれたこと、それから労働組合が労働組合の体をなさなくさせられて、押し込められてきたことに起因していると思う。
だから、一〇四七名問題が解決した時には、その閉塞感みたいなものに、穴を開けることができるのではないか。それから若者の希望とか、社会全体にもたらす影響は大きいと思う。だからこそ、この問題を応援してくれている方々が二十三年に亘ってその輪を大きくしてくれたし、解決することによって良い影響をもたらすのではないか。
あきらめないで正義を貫き通すことと、そこからもたらす光に期待して、支えてくれた周りの人たちと手を取り合って、最後の勝利のゴールを迎えたい。二月十六日の集会にはたくさんの人たちが、日比谷野外音楽堂(未定)に駆けつけていただきたい。ひょっとしたら解決しているかもしれない。あるいは解決途上かもしれない。いずれにしても皆さんに集まっていただきたい。
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