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事故隠し合法化狙う電気事業法改悪案を国会に出させるな |
五百人が緊急集会とデモ
事故隠し究明委員会を結成
九月十二日、東京・三河台公園で「国・東電の事故隠しを許さない緊急集会」とデモが行われた。この行動の呼びかけは原水禁から発せられ、日本消費者連盟と原子力資料情報室など市民グループが加わった。今回、主催者によるチラシが作成されなかったにもかかわらず、さまざまな`口コミaで労働者・市民が結集、集会時には三百五十人、原水禁のホームページでは五百人が参加したと発表されている。「傷つき原発を今すぐ止めろ!」「国・東電の事故隠しを許さないぞ!」「原子力政策を転換しろ!」の声を上げようと、約二時間のデモに途中合流した仲間がたくさんいた。
集会の進行は日消連運営委員長の富山さん、主催者あいさつは平和フォーラム・原水禁事務局長の福山さん、基調的な問題提起は情報室共同代表の伴さんが行った。平和フォーラム福島の代表と柏崎地区労の代表からの現地報告、北海道の泊三号炉増設をめぐっての保安院との交渉報告が北海道平和フォーラムの代表から行われた。また、八月はじめに浜岡現地で「平和の集い」を開催した仲間と元GE技術者の菊地洋一さんからの特別アピールも行われた。
主催者あいさつの中で、省庁および東電への要請行動や今回の緊急行動の準備の過程で、「国・東電の事故隠し究明実行委員会」が結成されたことが報告された。「脱原発社会をめざして原子力政策の転換」「プルサーマル計画の撤回」「再処理工場の稼動阻止」「原発の新増設を中止」「原発の稼動中止または廃炉」の五項目を求め実現することを基本目標に、当面、年内の行動を共同して行っていく。
組織体制は、三人の共同代表制とし、関連の現地から副代表をむかえ、事務局を原水禁と情報室に置く。代表には原水禁議長の岩松さんと日消連の富山さん、情報室の伴さんが就任した。今後、呼びかけ団体、賛同を幅広く募っていく。東電はじめ九電力との各地交渉、省庁交渉を積み重ね、その上で十月十日の木曜日、日比谷野音を会場にした大集会の開催とデモを呼びかけている。(K・S)
事故隠し合法化狙う電気事業法改悪案を国会に出させるな
九月十三日、「東京電力点検記録等不正の調査過程に関する評価委員会」(委員長が原子力安全委員会の佐藤一男前委員長。以下、佐藤委員会)と「原子力安全規制法制検討小委員会」(委員長が近藤駿介東大教授。以下、近藤委員会)のそれぞれ第一回が開催された。
佐藤委員会は経産相の私的研究会として、「原子力・保安院が実施した調査について、資料や保安院の説明に即して、調査業務の手法とその結論の妥当性を評価するとともに、改善策を提言」するという。月内にあと二回の会合を行い、中間報告の案をまとめ、十月上旬に案への意見募集をし、十月中下旬には中間報告をまとめるという。このまとめ方によっては、原子力規制行政のあり方がJCO事故以来再び問われ、組織改変へとつながるのだが、どうだろう。
佐藤委員長はJCO事故時の安全委員長。三年前の事故直後、自らは臨界が起こっているとの判断ができず、そのため住民避難が遅れ、いたずらに被ばくを拡大させた張本人である。その後のJCO事故調査委員会に加わり、住民の被ばく評価の矮小化を行い、被ばく補償切捨ての根拠づくりを行っている。
佐藤は現在、財団法人原子力安全研究協会の理事長を務め、国や電力会社、原発関連メーカーからの原発推進資金を御用学者らに研究費として振り分けている。理事会の構成をみると、近藤駿介は常任理事を務め、柏崎・刈羽原発所長時代の不正関与を認めている榎本聰明東電副社長も理事に名を連ねている。
近藤委員会は経産大臣の諮問機関である総合資源エネルギー調査会の原子力安全・保安部会に設置され、「再発防止に向けた法制度のあり方等について検討」する。「再発防止」とは、点検でみつけた損傷が「維持基準」内であれば補修せずに運転を続けても良いとの法制度の裏づけがあれば事故隠しがなくなるという意味で使われている。
近藤委員会の構成は委員長以下八人。うち七人が榎本東電副社長が特別委員を務めているエネ庁同部会の「検査の在り方に関する検討会」の委員だ。同検討会は今年二月に設置、「維持基準」と「事後保全」の`必要性aを議論し、`意見募集aも行い、この六月に中間報告をまとめている。
六月以降のスケジュールとして、二〇〇四年四月に事故隠しを合法化する新たな検査体制に移行するための法整備をすでに計画していた。検討会で今後行われるはずであった法整備の部分を分離し、近藤委員会で先行論議、そこで結論をもち、秋の臨時国会に提出するという目論見だろう。近藤委員会は今月中に結論を出すという。
少し長いが、検討会第五回議事録から榎本副社長の発言を転載する。
「ほんとうに何も判断しないで情報を公開するだけで物事が終結するかというと、そうでもないところがあるわけですね。例えば、反対派の人は、自治体へ押しかけてきて、『危ない』と。『とめろ』と、こう言うわけですね。小さい小さい、ほんとうに安全に何のかかわりのないことでも、そういうふうに言うわけです。そうすると、『とめるほどのことではない』という判断をだれかがしないといけないんです。だれもそれを、だれもしないということはあり得ないと思うんですね。そういうことでは済まされない。それを地方自治体という小さなローカルな場所でもそういうやりとりに対して、だれがそれを背負っていくかという問題が具体的に例えば生じたりするわけです。ですから、私は、そのために情報公開を積極的にすべきでないと言っているつもりは全くないんですけれども、公開すればいいというものじゃなくて、何かそういうものを受けていくシステムがきちっとしてないと、なかなか大変なところもあるということをよく理解する必要があるんじゃないかと思います」。
榎本副社長は六日の青森訪問に続き、九日には柏崎市と刈羽村へも訪問し、所長時代の不正への関与については「他の諸々の中で聞いた記憶はあるが、実務部門で処理してあると承知していた」とウソぶいている。東電不正の当事者と結託した委員で構成した近藤委員会は今すぐ解散させなければならない。
東電の原発立地の地元、新潟と福島では`反対派aの怒りばかりでなく、これまで原発・プルサーマル計画を推進してきた自治体や地方議員の怒りが原子力政策を揺るがし始めている。
新潟では九月六日、柏崎市議会は新潟県、柏崎市及び刈羽村は直ちに事前了解を白紙に戻すこととする「プルサーマル計画の中止を求める決議」が十六対十三の賛成多数で可決。十一日には刈羽村議会が、@第三者によるチェックAプルサーマル事前了解の撤回B国と東電が村民へ謝罪C推進してきた議会が村民へ謝罪――を内容とする「決議」「意見書」「申入書」の三つを全会一致で採択し、国や東電の中間報告をふまえ、再度要求事項を整理した決議を行うという。そして十二日には、新潟県知事・柏崎市長・刈羽村長による三者会談が行われ、東電に対して正式に事前了解を撤回することが確認された。
十四日付朝日新聞では、「東電、プルサーマル計画凍結働きかけ、損傷隠し発表直前、発覚後の反発恐れ」という見出しで、東電は八月七日に資料提出と合わせ不正調査への協力を保安院に申し出た際、「プルサーマル計画を凍結させるため、新潟県知事らへ『問題を抱えている』と内々に伝えさせてほしい」と佐々木保安院長に伝えたという。
昨年の刈羽村住民投票での勝利はもとより、三号機で現在行われている定期点検中に`日本ではじめてaプルサーマル燃料が装荷されるかもしれないという警戒感から、全国集会や度重なる刈羽村での戸別ビラまき、そして「住民投票の結果を尊重」を強くアピールした住民意向調査などの地元住民闘争が勝利し、脱原発に向けて一歩踏み出した。
福島第一、第二原発がある福島県双葉、大熊、富岡、楢葉の四町の町長と議長が九日に会合、「トラブル隠しで東電や国への信頼が損なわれた状況では原発増設とプルサーマル計画の受け入れは当面、凍結せざるを得ない」との判断で一致し、各町では安全性が確保されるまで凍結する方針を十一日までに決めた。
福島県では昨年五月に知事を会長とした「エネルギー政策検討会」を設置し、これまで「県民の意見を聞く会」と`推進派aと`反対派a双方を招聘した二十二回の検討会を開催してきた。この十九日には、「エネルギー政策全般を電源立地県の立場で検討」した結果が中間報告としてまとまられる。これまで佐藤知事は、プルサーマルについては「事実上白紙も同然」との立場をとっており、中間報告の内容は注目すべきだろう。
日本原燃は東電不正発覚直後の九月三日、再処理工場の通水試験に続く化学試験を地元の了解もなく当初予定の十月から九月十八日に前倒しすると保安院に届け出ていた。化学試験を実施する前提として、原燃は地元自治体と結んでいる公害防止協定の改定が必要なところ、全く地元を無視していたのだ。東電問題発覚により、プルサーマル実施が危ぶまれる状況で、「再処理工場は準備着々」とポーズをとることで、プルトニウム政策全般が打撃を回避できるとでも考えたのだろうか。
木村青森県知事は、経産省の村田事務次官が「全く発想を変えた取り組みが必要になるかも」とプルトニウム利用計画全体を見なおす可能性に言及したとの報道に対し、「理解に苦しむ」と再処理工場稼動計画を変更させない姿勢だ。
こうした状況下の九月七日、東電は新潟での向かい風を追い風とするかのように、柏崎・刈羽原発から六ケ所再処理工場に向け使用済み核燃料搬出を強行した。同原発からの六ヶ所搬入は今回が初めてだった。
杉山むつ市長は、市民グループが六月から八月にかけて行った住民アンケートで使用済み核燃料の中間貯蔵施設誘致に対する反対意見が五七%に上り、賛成の三六%を大きく上回ったにもかかわらず、国の試算で施設を五十年使用した場合、交付金が約三百二十二億円となるとの試算などから、「プルサーマル計画が遅れ、再処理の操業にブレーキがかかれば中間貯蔵の必要性は増大する」との姿勢だ。
青森の核燃反対グループは「国の原子力政策を糾弾する青森・緊急集会」を二十九日に開催する準備を進めている。青森県知事が再処理推進姿勢を変えようとしないことで、「再処理とめよう!百万人署名」の成功がより重要となっている。さまざまな集まりで署名を集め、青森に届けよう。
東電は九月十七日にも社内「調査委員会」の調査結果を国へ報告、そして記者発表するという。前号で報告した交渉では、「商業上の秘密など以外、公表できるデータや資料は最終報告で公表する」としていたがどうだろうか。GE関連の二十九件以外の不正は公表されるのだろうか。二十九件は原子炉圧力容器内のトラブルばかりで、溶接個所がはるかに多い冷却系の配管では不正はなかったのか調査は行ったのか。
佐藤委員会が終了し、近藤委員会が始まるまでの時間で、保安院は暫定調査さ報告と合わせ「今回の不正事件に関して告発を見送る」との記者発表をしている。保安院は「東電の行為を違法として立証・告発することは、やがて自らに降りかかってくる」と保身に走っているのだろうか。佐藤福島県知事はこの発表内容に対し、「国は幕引きを早めようとしているのか」と批判した。
福島県知事ですら規制当局としての保安院の能力を危惧している。十七日にも予想される東電の最終発表を不正の資料やデータ公開の最後とさせてはならない。これまで東電や国がどれだけ地元住民の生活を軽視してきたか、さまざまなPR活動がどれだけのウソで固められていたかをしっかりと明らかにさせ、地元住民を先頭に新増設をゆるさず、廃炉に向けた闘いを前進させよう。
手抜き検査のための「維持基準」、トラブル放置の「事後保全」を合法化する電気事業法改悪案の臨時国会提出を許さず、近藤委員会と佐藤委員会を解散させよう。
国・東電の事故隠しを許さない10・10全国集会(日比谷野音)に結集し、経産省・東電を包囲しよう。(9月16日斉藤浩二)
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