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スペイン                      かけはし2002.9.16号より

失業手当削減などに反対し一千万人がゼネストに決起

ハビエル・ナバスケス



 二〇〇二年六月二十日にスペイン全土で行われたゼネストへの支持は、フランコ独裁体制の終焉以後の他のあらゆるゼネストに対するものよりも大きかったことを、あらゆる指標が示している。このストライキはとりわけ建設、製造業、農業、運輸などの諸部門で堅固なものだった。地理的に見れば、このストライキはアストリアス、アンダルシア、エクストレマドゥラ、カタロニアの自治社会で最も強力な支持を得た。
 しかし、このストライキは「最も見えない」ストライキの一つであった。政府、ならびに政府が支配するメディアが、ストライキを隠すために全力をつくしたからである。政府は、ストライキへの支持の広がりという問題についてなんのためらいもなく嘘をつき、疑似的正常性の外観を確保するために交通や通信の最小限のサービスを強制し、市民へのストライキの影響を削減するために政府の意のままになるあらゆる権力手段を行使した。
 ストライキ参加者は、彼らのストライキを目立たなくさせるこの戦略について意識していた。六月二十日の夕刻に呼びかけられたデモは、以前のゼネストの際のものと比較して最大規模のデモだっただけではなく、これらのデモが行われた都市の中でかつてなかった規模のものとなった例が多かった。バルセロナとマドリードの街頭ではデモ参加者は約五十万人となった。その数は、今年三月十六日にバルセロナで行われたEUサミット反対の巨大な動員とほぼ同じであった。
 このストライキが、順応主義(コンフォーミズム)――主流の労働組合主義の方針が保証した社会的平和の気運によって本質的に動機づけられたもの――の外観の下で、勤労人民が社会状況、労働条件、国民党(PP)政権の諸政策に深い不満を抱いている現実をさらけ出したことはまったく疑いない。この不満は、ゼネストへの参加を通じて表現された。
 それはまた、政府が失業者の状況を改革する政令を正当化して主張しているのとは異なり、賃金取得者が職のある者と職のない者を分断するメッセージを受け入れなかったことによっても理解できる。政府の思惑とは反対に、賃金取得者階級は、レイオフされた際の法的保護の低下、失業手当の削減、失業者が手当を要求するためにはどのような職でも受け入れなければならないという強制などのすべてのことが、資本に対して労働者を保護する基本的法令への攻撃であり、したがってすべての人びとへの攻撃であるということを理解したのであった。
 このストライキへのイニシアティブが、それを呼びかけた労組である労働者委員会(CCOO)や労働総連合(UGT)の手に握られていたとしても、左翼の他の社会的・政治的勢力の支持と参加はきわめて重要なものであった。とりわけ、「資本のヨーロッパと戦争に反対するキャンペーン」の闘いは重要であり、彼らはゼネストの原則を当初から支持し、六月二十日のセビリアとバルセロナのデモに自らの隊列をもって参加したのである。
 最後に、六月十九日のゼネストに向けたエウスカディ(バスク)の民族主義労組組織の別のアピールには言及すべき価値がある。そのアピールは、六月十九日、二十日の両日にバスク自治地域でのストライキをもたらしたが、それほど十分な支持を得られなかった。
 ストライキの後、政府は労働組合に対して、現在、法律に変えたいと望んでいる政令を修正する交渉を呼びかけた。労組の最初の反応は、この手続きの拒否と「社会的対話」を追求する呼びかけだった。しかし六月二十日の前と後では情勢が大きく変化したので、この六年間の国民党(PP)政権の社会的平和に舞い戻ることはきわめて困難だろう。
 ストライキの成果を最大化し、主導されてきたそのプロセスを継続するために、われわれは失業についての改革政令に対する確固たる反対の方針を追求し、その闘いをPPの反社会的政策すべてに対する拒否へと結びつけなければならない。われわれは、すでに反移民法案や水資源計画や教育改革などのPPの諸政策に反対し、労働組合の闘争や反グローバリゼーション運動を支持して動員を行っている社会運動とその関係者の結集を深めなければならない。われわれは、この闘争やセビリアのEUサミットに反対する動員においてなされたような保守派の攻撃に対するヨーロッパ規模での対応を強化しなければならない。
 最終的にわれわれは、PPとその欧州の同盟者の右翼的攻勢に直面する中で、今日にいたるまでまん延している受動性と個人主義の雰囲気に終止符を打つ強力な社会的力学を創出することができるし、また創出しなければならないのである。

 (ハビエル・ナバスケスは「エスパシオ・アルテルナティヴォ」〔スペインの第四インター派が参加している左翼組織。欧州反資本主義左翼会議の構成グループの一つ〕のメンバー)。
(「インターナショナルビューポイント」02年7・8月号)             


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